セーフティーゾーンの外に出た空白達は2人のプレイヤーを見つけた。
「言ったろ?重要なのは初動のモーションだって」
「んなこといったってよ、あいつ動きやがるしよ」
「ちゃんとモーションを起こしてソードスキルを発動させればあとはシステムが技を命中させてくれるよ」
黒い髪の男は戦闘などに馴れている様子だった。恐らくベータテスターと呼ばれる選ばれし1000人の1人だろう。このゲームはベータテストを行い、その結果から難易度の変更や不具合修正を行ったらしい。だからベータテスターは戦闘に慣れているのだろう。
「俺は100層まで目指すぜキリト」
「俺も100層を目標にしてるよ」
「どっちが先に着けるか勝負だ!」
「恐らくソロじゃ100層までいけないだろ」
「なんだよ、折角カッコいいとこ女の子に見せてモテモテになろうと思ったのによ」
あの2人はかなり強くなる。俺はふとそんな気がした。
「にぃ、人いるから、他行こ?」
「そうだな、他のやつに先越されるとはな」
俺達は2人が戦闘練習をしていたところから少し離れた森のなかに入った。
「にぃ、前になにかいる」
「猪みたいだな、名前はフレンジーボア、さっきのプレイヤーが戦ってたやつか」
「攻撃パターンは突進、だけ」
「とりあえずこいつでスイッチの練習するか」
「白が倒す」
「一回づつはスイッチしようぜ?」
「やだ、めんどくさい」
「わかったよ、じゃあ行くぞ白!」
「ん、にぃ、ふぁいと」
「おう!スイッチ!!」
フレンジーボアの攻撃を弾くと白は急かさず飛び出し目を狙って剣を振り下ろした。白の攻撃は目に当たったのにも関わらず目は無傷だったがHPは減っていた。
「視覚遮断とかはできないみたいだな」
「ボスは、わかんないけど」
「もう一回スイッチするから今度は倒しちゃっていいぞ」
「その、つもり」
「行くぞ、スイッチ!」
白はソードスキルを発動させて危なげなく倒した。
「レベル上がった、にぃ弱い」
「よ、弱くないしな?!」
「にぃ、小さい」
「ち、小さくない!兄ちゃんは人並みだ!」
「どうでも、いいけどなんか落ちた」
「どうでもいいって…ん?なんだこれ?」
白が持っていたのは綺麗な結晶だった。
「これ転移結晶、だって」
アイテム説明欄のところには自分の指定した街に移動できると書いてあった。
「今はこの主街区しかないな」
「うん、増えるタイプだね」
そんなことを話しているといつの間にか夕日がでていた。
「そろそろ街に帰るか」
「つか、れた」
「お、おい白!疲れたことには同意だがもう少し頑張ってくれ!」
今にも眠りそうな白の手を引っ張っているといつの間にか街の中にいた。
「おい白!なんか街の中に転移されたぞ」
周りを見ると同じように人が次々と転移してきた。白が目を開くとカタカタとが震えだした。
「人たくさん、怖い」
「おお、お、落ち着け白!ここはゲームの中だ!」
「ゲームの中?」
涙目になりながらも冷静になった白はゆっくりと周りを見回し「ふぅ」とため息をついた。どこかで見た光景だ。
「にぃ、あれ」
白が指差した方向にはアバターの10倍くらいの大きさのローブを被った男が立っていた。
「プレーヤーの諸君、私の世界へようこそ」
「私の世界?」
横を見るとさっきの黒い髪の男が眉をひきつらせながらローブの男の方を見ていた。
「私の名前は茅場晶彦、今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ」
「茅場って誰かわかるか?白」
「このゲーム作った人」
「あいつプレーヤーをこのゲームに閉じ込めたのか」
「うん、たぶん」
「メニューにログアウトがなかったのはこのゲームの仕様ってことか」
「なにが、目的だと思う?」
「それはあいつが答えてくれるさ」
「諸君らはなぜと思っているだろう。私の目的はすでに達せられている。この世界を作り観賞するためにのみ私はソードアートオンラインを作った」
「なかなか面白いこと考えるじゃねぇか」
「以上でソードアートオンライン正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の健闘を祈る」
茅場が去り周りの人々は死の恐怖に怯え狂気するものもいた。だが空白達はこれはゲームだとわかっているから異常なくらい冷静だった。
「なぁ白、俺がゲームしてるとこをずっと眺めてて楽しいと思うか?」
「やるほうが、楽しい」
「だよな?見てるだけなんてクソつまんないよな」
「にぃも、そう思う?」
「そりゃそうだろ、ついでに言うとやつは必ずボス攻略に参加してくる」
「なんで?」
「怯えてなにもしないやつを見てても楽しくないだろ?だから死ぬ覚悟でクリアしようとするやつを見てたほうが楽しいってことだ」
「どう探すの?」
「とりあえず情報を集めるしかないだろ」
「わかった。でもその前に、ベータテスターはもう次の街に、向かったよ?」
「俺らも行くぞ」
「うん、レベル上げしてボス2人で倒す」
「そうと決まったらレベル上げ行くぞ」
「うん、がんばる」
2人はマップを開きながら次の街を目指した。
「にぃ、どっち行く?」
街に向かう途中分かれ道があった。右は左より早く街に着けるがモンスターのレベルが高い。左は少し街から遠回りになるがモンスターのレベルは低い。
「そりゃ効率の良さ考えたら右に決まってんだろ」
普通なら危険を回避するために左へ進むが俺達は躊躇わず右に進んだ。
「多分、白達が今1番レベル高い」
「そりゃ右来たからな。今なら左より右のほうが安全じゃね?」
「白達の、お陰だね」
「そうだな、まぁどうせ左行くんだろうから関係ないけどな」
俺と白は右に進んでから大量のモンスターと戦闘をした。白のレベルは8、俺は7、恐らく他の種族とプレイヤーは5か4くらいだろう。
「白見えてきたぞ」
「にぃ、おんぶ」
「しょうがないな、宿に着いたら一回起こすからな」
「うん、わかった」
白は俺の背中に飛び付くとすぐに寝てしまった。もう目の前に街が見えている。まだ誰も来ていないだろう。
「一晩寝てボスでも倒しに行くか」
とりあえず休むために宿に向かった。
「白、宿についたぞ」
「うん、早速やってみよ?」
「じゃあやるぞ」
俺はメニューを開いてデュエルを申し込んだ。白のほうにはデュエルの申請が届いている。
「にぃ、やってみて」
俺は白の方に指を伸ばし、下にさげてみた。すると白のメニューを開くことができた。
「やっぱりできたな」
「これ、レッドが知ったらうかつに寝れなくなる」
「これも仕様なんだろうな」
「にぃ、どうする?」
「白は寝ないで何日いける?」
「今寝れば、4日くらい?」
「そうか、とりあえず明日ボス行くぞ」
「うん、その前にお腹、空いた」
「パンしかないけどいいか?」
「ジャムとかほしい」
「今はないから我慢してくれ」
「うん、わかった」
白は俺からパンを受けとると凄い勢いで食べて、寝てしまった。
「さて、これからどうするかな」
独り言でしゃべったつもりだったが白が寝ながら「一番上、行く」と言った。
「じゃあ決まりだな」
俺は最終目的、最上階とメモをして眠りについた。
ボス攻略のときは空白最強なのでお楽しみに!