ロクでなし魔術講師と寡黙な義弟   作:ほにゃー

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第10話 悪魔の戦棍

ジンを倒した後、グレンはジンを拘束した。

 

その後、システィから状況を聞き、なんとかセリカと連絡が取れ、応援を呼んで貰おうとしたが、それは無理だった。

 

昔のセリカならともかく、今のセリカはただの魔術学院の講師でしかなかった。

 

だから、すぐには対応ができなかった。

 

セリカはグレンに死ぬなと言い残し、対応をしようとする。

 

グレンが通信を切るとシスティが不安そうな顔をしながら、グレンを見る。

 

「あの……助けは来るんですか?」

 

「今の会話を聞いてて、そう思うか?」

 

グレンがそう言うと、システィは部屋を出ようと走り出す。

 

「待て!どこに行くつもりだ!?」

 

「ルミアを助けに行きます!」

 

「よせ!無駄死にする気か?」

 

「だって!私…悔しくて…」

 

システィは涙を流し、グレンに言う。

 

「先生の言う通りだった!魔術なんてロクな物じゃなかった!こんなものがあるからルミアが…」

 

そんなことを出だすシスティをグレンは優しく撫でた。

 

「ルミアは真の意味で魔術を人の力にしたい。そのために魔術を深く知りたい。そう言ってたぞ。死なせらんないよな。俺が動く。残りの敵三人は速やかに…………俺が殺す」

 

殺す。

 

そう言ってのけるグレンに、システィは恐怖を感じた。

 

だが、同時にグレンが辛そうにしているとも思った。

 

「何言ってるのさ、グレン」

 

すると、アルトがグレンに行った。

 

「俺じゃないでしょ。俺たちで殺すんだ」

 

そう言うアルトにもシスティは恐怖を感じた。

 

だが、アルトからは辛そうにもやるせなさも感じなかった。

 

まるで殺すことが正しい。

 

システィは思わずそう感じた。

 

「ハハハ!殺すねぇ…なんだお前らもこっち側の人間だったのかよ」

 

いつの間にか目を覚ましていたジンは、笑いながらそう言った。

 

「二人とあなた達を一緒にしないで!」

 

「いいや俺にはわかるね。そいつらは絶対ロクな奴じゃねぇ俺達と同じ人殺しの外道さ!」

 

ジンが笑いながらそう言ってると、グレンはジンを縛ってる縄をつかみ、持ち上げる。

 

「おい、黙れよ」

 

「なんだよ?図星だったか?」

 

「俺のことは否定しねーよ。所詮、俺も下種だ。だがな、アルトは違う!」

 

グレンはいつになく声を荒げ、そう言った。

 

「アルトはな、本当なら俺たち(こっち)側の人間じゃなかった。それなのに、汚い連中の都合でアルトは…………!」

 

そう言うグレンの声は僅かに泣きそうになっていた。

 

このままでは捕まえた捕虜を殺しかねない。

 

そんなグレンを止めたのはアルトだった。

 

「グレン、俺は大丈夫だから」

 

「アルト………」

 

「それより、命令を頂戴。俺は、何をすればいいの?」

 

「そうだな……俺はルミアを助けに行く。アルト、お前は教室で拘束されてる他の皆を助けに行ってくれ」

 

「わかった。じゃ、グレン。気を付けて」

 

アルトはグレンにそう言い残し、部屋を後にする。

 

教室の前につくと、アルトは扉にかけられたロックの魔術に気づく。

 

「この程度なら破れるな」

 

アルトは指を噛み、血を出すと扉に血文字を刻んでいく。

 

「《開け》」

 

そして、アンロックの魔術を使い、扉を開ける。

 

「あ、アルト!?」

 

アルトが入ってきたことに、大柄な少年、カッシュが驚きの声を上げる。

 

「グレンに言われて助けに来た。全員無事?」

 

「ああ、なんとか。だけど、体を拘束されて、挙句魔術も使えないんだ」

 

「大丈夫、この程度、すぐに………誰?」

 

カッシュの縄を解こうとした瞬間、アルトはあることに気づき振り向く。

 

すると、教室の扉にもたれかかるように眼鏡をかけた男がいた。

 

「俺の名はランス。〝天の智慧研究会”の人間だ」

 

〝天の智慧研究会”という名に、クラス全員が驚く。

 

「で、何の用?」

 

「悪いが、そこの子供たちは俺が行う儀式の生贄だ。勝手に開放しないでもらおうか」

 

「悪いけど、グレンからの命令なんだ。それはできない。それに…………皆を助けたい。そう思うんだ」

 

「ふん、愚かだ………《(ザン)》!」

 

ランスは警備員を殺した時と同様に指を振る。

 

すると、アルトの右手が切り裂かれ、そこから血が流れる。

 

クラス中が悲鳴を上げる中、アルトは平然としていた。

 

「痛いな……おじさん、結構やるんだね」

 

「顔色一つ変えないとは……驚きだな。少々手加減をしてしまったが、構わん。次の一撃で、殺す。子供とて容赦はしない」

 

「そう。なら……俺も本気で行くよ」

 

そう言い、アルトは懐からあるものを取り出す。

 

それはペンダントだった。

 

そこには妙な紋章が刻まれており、ランスはそれを見て思わず、顔をしかめた。

 

(あの紋章………何処かで………)

 

「《我願う・血の盟約に従い・我が手に悪魔の戦棍を》」

 

そう言うと、ペンダントが光り、そして、彼の手にはまるで血に濡れたかのような赤いメイスがあった。

 

アルトは唇を軽く舐めて、メイスを構える。

 

「さて、始めようか」

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