ジンを倒した後、グレンはジンを拘束した。
その後、システィから状況を聞き、なんとかセリカと連絡が取れ、応援を呼んで貰おうとしたが、それは無理だった。
昔のセリカならともかく、今のセリカはただの魔術学院の講師でしかなかった。
だから、すぐには対応ができなかった。
セリカはグレンに死ぬなと言い残し、対応をしようとする。
グレンが通信を切るとシスティが不安そうな顔をしながら、グレンを見る。
「あの……助けは来るんですか?」
「今の会話を聞いてて、そう思うか?」
グレンがそう言うと、システィは部屋を出ようと走り出す。
「待て!どこに行くつもりだ!?」
「ルミアを助けに行きます!」
「よせ!無駄死にする気か?」
「だって!私…悔しくて…」
システィは涙を流し、グレンに言う。
「先生の言う通りだった!魔術なんてロクな物じゃなかった!こんなものがあるからルミアが…」
そんなことを出だすシスティをグレンは優しく撫でた。
「ルミアは真の意味で魔術を人の力にしたい。そのために魔術を深く知りたい。そう言ってたぞ。死なせらんないよな。俺が動く。残りの敵三人は速やかに…………俺が殺す」
殺す。
そう言ってのけるグレンに、システィは恐怖を感じた。
だが、同時にグレンが辛そうにしているとも思った。
「何言ってるのさ、グレン」
すると、アルトがグレンに行った。
「俺じゃないでしょ。俺たちで殺すんだ」
そう言うアルトにもシスティは恐怖を感じた。
だが、アルトからは辛そうにもやるせなさも感じなかった。
まるで殺すことが正しい。
システィは思わずそう感じた。
「ハハハ!殺すねぇ…なんだお前らもこっち側の人間だったのかよ」
いつの間にか目を覚ましていたジンは、笑いながらそう言った。
「二人とあなた達を一緒にしないで!」
「いいや俺にはわかるね。そいつらは絶対ロクな奴じゃねぇ俺達と同じ人殺しの外道さ!」
ジンが笑いながらそう言ってると、グレンはジンを縛ってる縄をつかみ、持ち上げる。
「おい、黙れよ」
「なんだよ?図星だったか?」
「俺のことは否定しねーよ。所詮、俺も下種だ。だがな、アルトは違う!」
グレンはいつになく声を荒げ、そう言った。
「アルトはな、本当なら
そう言うグレンの声は僅かに泣きそうになっていた。
このままでは捕まえた捕虜を殺しかねない。
そんなグレンを止めたのはアルトだった。
「グレン、俺は大丈夫だから」
「アルト………」
「それより、命令を頂戴。俺は、何をすればいいの?」
「そうだな……俺はルミアを助けに行く。アルト、お前は教室で拘束されてる他の皆を助けに行ってくれ」
「わかった。じゃ、グレン。気を付けて」
アルトはグレンにそう言い残し、部屋を後にする。
教室の前につくと、アルトは扉にかけられたロックの魔術に気づく。
「この程度なら破れるな」
アルトは指を噛み、血を出すと扉に血文字を刻んでいく。
「《開け》」
そして、アンロックの魔術を使い、扉を開ける。
「あ、アルト!?」
アルトが入ってきたことに、大柄な少年、カッシュが驚きの声を上げる。
「グレンに言われて助けに来た。全員無事?」
「ああ、なんとか。だけど、体を拘束されて、挙句魔術も使えないんだ」
「大丈夫、この程度、すぐに………誰?」
カッシュの縄を解こうとした瞬間、アルトはあることに気づき振り向く。
すると、教室の扉にもたれかかるように眼鏡をかけた男がいた。
「俺の名はランス。〝天の智慧研究会”の人間だ」
〝天の智慧研究会”という名に、クラス全員が驚く。
「で、何の用?」
「悪いが、そこの子供たちは俺が行う儀式の生贄だ。勝手に開放しないでもらおうか」
「悪いけど、グレンからの命令なんだ。それはできない。それに…………皆を助けたい。そう思うんだ」
「ふん、愚かだ………《
ランスは警備員を殺した時と同様に指を振る。
すると、アルトの右手が切り裂かれ、そこから血が流れる。
クラス中が悲鳴を上げる中、アルトは平然としていた。
「痛いな……おじさん、結構やるんだね」
「顔色一つ変えないとは……驚きだな。少々手加減をしてしまったが、構わん。次の一撃で、殺す。子供とて容赦はしない」
「そう。なら……俺も本気で行くよ」
そう言い、アルトは懐からあるものを取り出す。
それはペンダントだった。
そこには妙な紋章が刻まれており、ランスはそれを見て思わず、顔をしかめた。
(あの紋章………何処かで………)
「《我願う・血の盟約に従い・我が手に悪魔の戦棍を》」
そう言うと、ペンダントが光り、そして、彼の手にはまるで血に濡れたかのような赤いメイスがあった。
アルトは唇を軽く舐めて、メイスを構える。
「さて、始めようか」