魔法少女リリカルなのは~チートな主人公が頑張っている物語~   作:てりー

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次回が前後編に分かれているため今日は一話のみの投稿となります。


第八話 ビルの爆破解体って楽しそうだよね

前回のあらすじ

ユーノから『鬼』について聞きました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 沈黙が重い。

 

 グレアムさんとリーゼ姉妹とともに隊長室にいるのだが、無言の沈黙がヤバいのだ。

なぜこんなことになったのかというと、話は少し戻るーー。

 

 

 

 今日はユーノと話した翌日。昨日のうちにグレアムさんに話をし、今日話をすることに了承してもらったのだ。

 

 予定時刻ちょうどにノックをするとグレアムさんが待っていた。紅茶をいれてくれたらしくマスカットのように甘い香りが空間を支配している。

 

「ふむ、やはり地球産の紅茶は出来がいいね」

「翠屋セレクションですからね。うちはそういったものを探すの上手いです」

「ふむぅ。ぜひもう一度行きたいね」

「待ってますよ。歓迎します」

 

 俺を隊にいれるにあたって、グレアムさんは一度挨拶にきたことがある。普通はそんなことはしないのだが、育成課のメンバーは少ないのでこういったことが出来るのだとか。

 

 机にあるスコーンを手に取る。今日はプレーンのようだが、少し性格のキツいこの紅茶にはピッタリだ。

 

「このスコーンも美味しいですよ。紅茶と合わすの上手いですね」

「イギリスの食事では唯一誇れるものだからね。他はダメだ。美味くない」

「なんでしたっけ……あぁそうだ。イギリスで食べる他国の料理が美味しいんですよね」

「ははは。的を得ているね」

 

 和やかな雰囲気で一杯目を飲み干す。二杯目をいれて貰ったところで話を切り出した。

 

「それでですね。今日わざわざこんな場を設けて貰ったのは。ある話をしたかったからです」

「なんだね。聞こう」

「『鬼』についてです」

 

 一気に空気が冷える。先程までのぽかぽかとした春のような柔らかさはもうない。あるのは永久凍土のような冷え冷えとした空気。

 

「どこでそれを?」

 

 グレアムさんの口調は変わらないが、明らかに目が変わっている。こちらを伺うような、見通すような。この目をされたのは育成課をつくるために頼んだ時以来だ。

 

「ちょっとした情報網です。それでグレアムさんはどこまで掴んでるんですか?」

「……リーゼを呼ぼう。彼女達もよく知っている」

 

 数分後、グレアムさんに呼ばれたリーゼ姉妹は、今まで見たいつよりも堅い表情をしていた。

名前が出ただけでこうなるなんて、『鬼』がどれだけ恐ろしい組織かしれるというものだ。

 

 

 俺の対面に三人が座り。まるで面接か何かのようだ。話す内容はもっとエグくて胸くそ悪くなる話なんだがな。

 

「さて……まずは剣介君がどれだけ知っているのか聞こう」

「……了解です。俺が知っているのは、最近のミッドでおきてる連続殺人ですね。一般局員が知り得る情報までならだいたい分かってます」

 

 ユーノがくれた情報は、あくまで一般局員が知り得る範囲。探ろうと思えばいくらでも探れるものだ。

俺が欲しいのはこんな浅いものではない。

 

「ふむ、それくらいか。これはもう少し隠し通せたかもしれんな」

「……グレアムさん」

「冗談だ。それに、君くらい精神的に成熟しているならば教えても問題はない。私と『鬼』は前々から少し関係があってな」

 

 

 一般局員には『鬼』としか伝えられていない巨大犯罪グループ。

正式名称を『アヴァタラム』という。彼らが恐ろしいのは犯罪にためらいがないからだ。一般人の殺害から将校クラスの暗殺まで、息を吸うようにやってのける。

 

 グループは複雑に組織化されているらしく、管理局の捜査網をもってしても顔と名前が一致する幹部は数えるほどしかいず、誰が指揮系統を統括しているか、などもわからない。

トップの名前も明らかになっていない。

ただ、全てが謎のトップでも、ただ一つ知られていることがある。それは二つ名で『悪鬼』というらしい。

 

 

「管理局の捜査網でも把握できない……大きすぎるくらいの組織ですね」

 

 一気に説明し終えたグレアムさんが紅茶を一口含む。アリアは目を閉じたまま動かず、ロッテは下を見つめている。

 

 管理局の捜査網が全力で動けば、それは次元世界最大の探偵だ。普通グループを抜けた裏切り者や密告者がいるはずなのだが。

 

「そこも恐ろしいところでね。彼らは裏切り者を絶対に許さない。管理局と接触する前に殺されるそうだ」

「それで、顔と名前の分かっている幹部とは誰なんですか?」

「それはロッテから聞くのが一番だろう。話してやってくれ」

 

 先ほどまで沈黙を守っていたロッテが前を向いた。少し昔を思い出すような、それでいて鮮明に覚えているような、そんな目をしている。

 

「あれは……3年前だね。私と他の隊で、あるテロ事件を追ってたの。無差別テロで犠牲者は数十人。ま、よくある感じの事件だったんだけど、犯人として一人だけ浮かんできたのよ。それが『鬼』の幹部、トール・マーグリスね」

 

 あのことを思いだしたかのように、ロッテはそっと目を閉じた。

 

 

 

 

 

「リーゼロッテさん。私たち本隊は左から進みます!」

「りょーかい。気をつけてね」

 

 敵のアジト、というには拍子抜けな普通のビルの階段を一歩ずつ上る。それでも独特な緊張感はある。締め付けられるような息苦しさとでもいうのだろうか。

 

 私、リーゼロッテは数週間前におきた無差別テロの犯人を追っていた。爆発時の魔力残滓と電波の跳ね返りから特定したのだが、ここがアジトで正解のようだ。

 

「とはいえ、他にも候補があったから戦力は集められなかったんだけどね」

 

 ふぅっ、と溜め息をついて階段の背もたれによりかかり父様から送られてきた内部の地図を見る。

 

「本隊がここから侵入してるんだから……」

 

 地図を指でなぞり進行ルートを確認。私が侵入するのは本隊とは真逆の部分。人ではとれないダクトからだ。

 

 水のボトルを 取り出して一口含む。こっから先は余裕などないだろう。

今の内に必要な物は取り込んでおくべきだ。

 

「…………これは質量兵器かな」

 

 少し口の中で転がすようにして摂取していると爆発音が響き、質量兵器の音。いわゆる銃声が聞こえた。

 

「急がなきゃ……だね」

 

 水をしまい、行く先を見据える。もう少しでダクトだ。

 

 

 

「こういうときは使い魔でよかったと思うわね」

 

 生身の人間には狭すぎるダクトでも、猫形態となった私には関係がない。すいすいと進んでいき、人一人分くらい入れる行き止まりまで到着した。

 

 敵の首領は一番奥にいるだろうから、こっからは突破しなきゃいけない。

人間形態に身体を戻し、這いつくばるようにしてダクトの下にある網目の部分から先を見た。

 

 銃を持った敵が2人に、徒手空拳が3人。これならいけるかな。

 

 目を閉じて息を一つ吐く……よしっ。

 

 網目の部分を蹴落とし一気に飛び降りる。

着地の衝撃を膝を曲げて地面に流し、同時に次の一歩に進むための筋力を蓄えて……一気に爆発させた。

 

「だ、誰「遅いよ!」」

 

 相手が銃を構える前に側頭部目掛けて回し蹴りを放つ。ビシッ。という音で吹き飛ぶのを確認し、勢いがつきすぎて回る中、目で敵の位置を確認する。

 

 片足で着地して、近づいてきた一人の鳩尾に勢いをつけた肘内を喰らわせ昏倒させる。 

「て、てめぇ!」

 

 殴りかかってきた男の手首を掴み、力の勢いに身を任せ投げ飛ばす。やっぱりこいつら練度は低い。

 

 横にいた男が顔面に向けて拳を放ってきたが、こんなんじゃハエがとまるよ。

カウンターパンチで勝負あり。

 

「へ、へへへ。つえぇな。だが、これで終わりだぜ」

 

 やっと構え終わったのか、銃を持ちこちらを勝ち誇った顔で見てくるアホが一人。

 

 私はもっと酷い紛争地帯の乗り込んだこともあるし、そもそも地球は質量兵器が一般に出回っている。こんなもので動揺なんてしてたら、命がいくつあってもたまりゃしないのよ。

 

「撃ちたきゃ撃てば。それで外しなさいな」

「な、舐めんじゃねぇぞ!」

 

 相手との距離は数m。銃声よりも速く弾は届くので、音が聞こえてから動くなんて物では遅い。それならどうするか……。

 

 私はできるだけ力を抜いて相手を見る。できるだけ余裕気に、相手が焦るように。

 

「で、まだ撃たないの? びびっちゃった?」

「こ、こんのクソ尼! 動けなくして犯す予定だったがもうやめだ。お望み通り殺してやるよ」

「はぁ。発想が貧困ね」

 

 ここでアリアだったら気の利いた煽り文句でもでてくるんだろうけどなぁ。童貞野郎とかね。

 

 でも相手も良い感じにじれてくれている。これならタイミングを読むのも難しくない。

 

「へっ、死ねやは!? へはぁぁぁ……」

 

 相手が引き金に力を入れようとした瞬間。膝から崩れ落ちるようにしてダッシュする。

一瞬後には驚愕しきった顔が目の前にあるけれどこれで終わり。顎にパンチをいれて卒倒させた。

 

「うーん。でもやっぱり銃って厄介よね」

 

 誰にでも扱えて強い兵器ってのは厄介。だからといって魔導士だけがスゴいみたいな風潮もダメなんだけどね。

物事はバランスが大事なのよ。何にしても。 

 

 地図を確認すると、ここから先は一本道。迷うことはなさそうだ。

倒れている男たちの両腕を後ろ手に縛り付け廊下に転がしておく。こうしておけば、あとで局員が回収してくれるでしょう。

 

 

「…………」

 

 こちらが拍子抜けしてしまうほどに敵の気配がない。先ほどのあいつらで終わりなのだろうか。

それならそれで楽だけれど、攻め込まれる事に対して雑すぎやしないだろうか。

 

 そうして特に敵と出会うこともなく首領がいると思われる部屋の前についた。中の気配からいって一人。しかも強さみたいなものを一切感じないのだ。もしかしたら中にいるのは影武者で、本体は逃がしたのかもしれない。

 

「そしたら運が悪かったってことか」

 

 重心を右半身に移動させ、左足をあげる。ちょうど靴の底がドアの中心部にあたるように調整して、足を曲げた。

 

 銃で例えるなら靴が弾丸だろうか。関節がバネで筋肉が火薬。

私が銃より自分の足のほうが優れていると思うのはーー。

 

「こーんにっち……は!」

 

 ーー鍛えれば鍛えるほど威力が増すからだろう。

 

 ドア枠ごと蹴り飛ばしたドアはひしゃげて吹っ飛んだ。そして露わになった部屋の内部には……緑の髪をした男が窓の外を見つめていた。

 

「このビルは包囲されているから、抵抗せずに捕まりな」

 

 私を無視してひしゃげたドアを見つめる緑髪。私という敵が入ってきたのに何も気にしていないようだ。

 

「何もしゃべらないってことは無抵抗でいーわけ?」

 

 もう一度声をかけてみると、ゆっくりとこちらを向いた。甘いマスク。と言われるような顔だろうか。優しげな顔立ちの男だ。

 

「はじめましてリーゼロッテさん。私は『アヴァタラム』の幹部、トール・マーグリスと申します。あなたのご高名は様々な場所でお聞きしますよ」

「そりゃよかったわ。じゃぁ大人しく捕まってくれる? 幹部ってのが本当なら色々と聞きたい事があるのよ」

 

 にっこりと微笑みながら自己紹介をしてくるトールをばっさりと切り捨てる。

だが幹部というのは本当かもしれない。こんな状況で笑っていられるようなやつは頭がおかしいか、本当に実力があるかだ。

 

「ふむ、それは困りました。これでも忙しいのですよ。捕まるわけにはいきませんね」

「なら逃げてみな……私相手に逃げきれるっていうのならね」

 

 スーツ姿で立っているこいつから強さは感じられない。驕りでもなんでもなく。私なら勝てる。

 

 腰を落とし軽く膝を曲げる。前傾姿勢というやつだ。これで、相手が意表をついてきても動ける。

例えば屋根裏からの強襲とかね。

 

 トールが目を閉じて腕を組む。本当に困っているような顔をしている。

 

「あなたは管理局のなかでも10本の指に入る使い手です。私がかなうわけありません」

 

 ふぅーっと深く息を吐く。少しばかり空気が変わる。何かしてくる前兆だろうか。

 

「ですが」

 

 目が開いた。

 

「逃げることならば出来ますよ」

 

 ただ親指が動いただけだった。

普通ならスマホをタッチする指が、ゲームを操作する指が、ペンを支える指が、ほんの少し動いただけだった。

 

 ただそれだけなのに。

 

 地鳴りが響いた。

 

「うわぁぁっ!? 逃げろぉっ!!」

 

 壁が吹き飛ぶ音がした。

 

「トール様!? 助けてくださいトール様!!」

 

 耳をつんざく悲鳴が聞こえた。

 

「このようにね」

「な……何を……いや、何故やったぁぁっ!!」

 

 それは明らかに爆弾の音だった。管理局の目が行き届いていない世界。私の故郷地球でも非日常の象徴ともいえる存在。

それがミッドの市街地で解放されたのだ。

 

 私はそれに気づくのに数秒を有した。もしかしたらそれが決定的な差だったのかもしれない。 

 

「何故……ですか。私たちは力が全てです。この程度の局員に負ける雑魚はいらないのですよ。それにハエの始末にもなります」

「それが部下に対する態度か!」

「えぇ、当然でしょう。彼らなど元から命の勘定に入ってませんから。……あとは単純に趣味。ですかね」

「趣味……? どういうことだ!」

「そのままですよ。だって気持ちいいじゃないですか。人の悲鳴って」

 

 さっきと同じように。まるで飲み屋で話すかのような気楽さで喋った。微笑みながら、にこやかに、爽やかに。

 

 そんな奴に、私は……キレた。

 

「この外道がぁぁっ!!」

 

 私が出せる最大速度で外道に走る。あの笑い顔を黙らせてやらなければ気がすまない。

 

 頭の中はマグマのようにドロドロで、視界は真っ赤だ。

 

アイツを潰せ。

アイツを潰せ。

 

 それだけが鳴り響く。

 

 後少し! 後少しで手が届く!

 

「残念ですがーー」

 

 たぶん目が血走っている私が全速力で近づいているのに人差し指をたてる。そしてそれが横に振られた。

 

「ーーあと数歩届かない」

 

 奴の姿が消えた。それが理解できない私は、あいつがいた虚空に向かって拳を振り上げ、空気を切ることで一応の収束となった。

 

「あ……あぁぁっ! あぁぁっっ!」

 

 やり場のない怒りを机にぶつける。机の上にあったコーヒーカップが床に投げ出され、高そうなカーペットに黒い染みができた。

 

「あぁぁっ! ……っは……!?」

 

 もっと壊してやろうと、もっとグチャグチャにしてやろうと戸棚に手をのばした時だった。

轟音とともに、部屋の中央から下半分の床が抜けたのだった。

 

「っっ! くっそ!」

 

 床が抜けてびっくりしたからなのか、のぼっていた血が下がり、少し冷静さを取り戻す。

 

 今はとにかく逃げなければいけない。

 

 助けたくても下の方はもう無理だろう。今から部屋をでるには大穴を飛び越えなければならない。

わずかな時間で私が何をするかを検討し、最善の方策をとる。

 

 それは逃げることだ。私は敵の情報を掴んだ。あの『鬼』の情報を少なからず掴んだのだ。

このまま私がここで救出作業をしたら死ぬかもしれない。それは未来を考えると不正解だ。

 

 ここまで考え、私は窓を割り外に飛び出した。向かいのビルはここより若干低いので、ちょうどよく屋上に辿り着く。

 

「ちくしょお! ……ちくしょお!」

 

 自分で自分の腿を殴る。まだ助けを求めているやつはいるかもしれないのに逃げ出した自分が嫌で嫌でたまらなかった。そしてーー。

 

 ーーそして『鬼』がいたビルは崩落した。

 

 

 

 

「と。まぁこんなことがあったのよ。被害はすごかったわ。死者負傷者併せて100名をこした。爆破も下手くそだったから道路で歩いていた人にも危害を加えたのよね」

 

 淡々とした口調で何でもないことかのように語るロッテ。だが、『鬼』の容赦なさ、狂気は俺の認識を大きく超えていた。

 

 育てればモノになるかもしれない人達をあっさりと切り捨てる嫌な潔さもそうだ。そしてもう一つの理由が趣味……か。胸くそ悪い。

 

「あいつを見て本当の容赦のなさってやつを知ったわね。私が踏み込んだ時点で逃げればいいものを、待っていたんだから」

「わざと見せつける事で残虐性をしらしめたってことか」

「そんなとこでしょうね」

 

 そしてもう一つ。ここからわかることで重要な事がある。それは組織の大きさだ。

人を育てるというのは金がかかる。簡単に切り捨てられるものではない。

 

 それにもかかわらず『鬼』はまるでポイ捨てするように人を切り捨てたのだ。こんなに簡単にやるということは他の場所でもやっているのだろう。

そこから考えられることは資金の豊富さ、人の豊富さだ。

 

「さて、剣介君が戦おうと言った集団はこれほどのやつらなのだ。この規模の集団に勝ち目があると思うか」

 

 やはりそこに収束するか。

ぶっちゃけ俺や育成課だけではもみつぶされて終わるだろう。いくら管理局最強クラスの局員であるリーゼ姉妹に俺がいても、組織力で負けている以上、面で戦われたらどうしようもない。

 

 だけれど、『管理局』で戦えばその限りではないはずだ。

組織力でこちらが勝ち、点のゲリラ戦をしかけてきてもジャンヌさんのような人がいる限り負けないだろう。

 

「勝てるとは思います。管理局で対抗すれば」

 

 元から育成課で戦いを挑む気など毛頭無い。大きく広く戦い、最後の点で俺たちが制圧する。難しいけれどグレアムさんの指揮力、リーゼ姉妹の個人能力があれば可能だ。

 

「甘いな。管理局はまだ踏み込みきれていない。その証拠にこちらの地区は警戒していない」

 

 それは確かにそうなのだ。局員が殺害されたのだ。ミッド全土で警戒体制をとってもいいと思うのだが、現状警戒しているのは被害があった地区だけだ。

 

「では、もしもこちらの地区で被害があり、ミッドが警戒態勢になれば育成課が捜査にのりだしてもいいですか?」

「………………」

 

 

 

 そして現在に至る。というわけだ。

グレアムさんが育成課を大切に育てたいというのも分かる。だがまずはもう少し大きな組織にして、組織の規模の基盤を造ってからじっくりとでもいいんじゃないだろうか。

 

 グレアムさん達が目を閉じてから数分がたった。あそこの三人は何を話しているのだろうか。念話でも使っているのだろう。

 

 そしてグレアムさんの目がゆっくりと開いた。

 

「剣介君」

「はい」

「結論からいうと育成課単体で捜査することは許可しない」

 

 許可できない。ではなく許可しない。か。ここにグレアムさんの本気度がうかがえる。

 

「なぜですか?」

「君たちは若い。『鬼』と遭わせる事でどんなショックを受けるか分からないからだ」

「しかし「これは育成課隊長としての判断だ。いいね石神剣介二等陸士」……はい」

 

 それだけいうと、また目をつぶってしまった。これで話は終わり。ということだろう。

組織の隊長としては、これが当然の判断なのだろうな。

 

 

 

 まぁそれなら俺にも動き方があるけどな。

 

 




『翡翠色の法皇』さん、感想ありがとうございました。

二回連続で胸の奥がもやもやするような描写が続きましたが、皆様はどうでしょう。俺は書いていて嫌になります。
え? じゃあ書くな?
それはそれで展開的に欲しいんですよね。←ワガママな考え

剣介がDQN化し始めてることに戦々恐々としている今日この頃です。


今回でてきたトールですが、武官ではなく文官です。素の戦闘力では一般局員に毛が生えた程度でしょう。
しかしながら、もしもこいつと戦った場合。AAクラスの局員が重傷を負います。AAAクラスなら問題なく捕まえられます。それくらいの相手です

人を犠牲にすることを厭いませんので、どれだけ残酷な方法でもとります。それゆえ何をしてくるか分からない。
戦っている最中に何されるか分からないのは、かなり怖いことですからね。

ちなみに、なぜロッテの名前を知っていたかですが、彼は去年までに入った局員ならば全員の顔と名前、軽いデータなら覚えています。それくらいの頭の良さですね。

次回 フェイトと水族館に行こう

この小説を読んでくださる全ての方々にありったけの感謝を


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