魔法少女リリカルなのは~チートな主人公が頑張っている物語~   作:てりー

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第九話 子供の頃は水族館へ行くのが楽しみだったけど、何度も行って飽きてしまった

前回のあらすじ

『鬼』についてお話しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ~。たくさんのお魚が泳いでる! すごいねケンスケ」

 

 今日は学校も育成課も休日。俺とフェイトは二人で水族館にきていた。

 

 まぁ完全にリンディさんとエイミィさんに騙されたわけだ。

なにせハラオウン家(+エイミィさん)としてチケットをとっておきながら、フェイトをのぞく全員がドタキャンし俺にチケットがまわってきたのだから。

 

 俺にチケットを渡す時にエイミィさんがした、してやったりの表情とクロノの苦虫を踏み潰したような顔が脳裏に蘇る。

 

 まぁそれでもーー

 

「ねぇねぇ、あれすっごく可愛いね!」

 

 こんなに嬉しそうにしてるフェイトを見ると、きてよかったと思うわけだが。

 

 だってほら、いくらテンションがあがったとはいってもこれほどしゃべるフェイトはそう見ないもん。

目とかむっちゃキラキラさせてるし。

 

 手招きをするフェイトに近づいて水槽をみると、白くて小さな海の天使。クリオネがいた。 

 

「ねぇケンスケ。すっごく小さくて可愛いけどなんていう生き物なの?」

「こいつはクリオネ。『流氷の天使』って呼ばれる人気の生物だな」

「へ~……かわいいなぁ」

 

 可愛いクリオネに見惚れたのかぼーっとした顔で見つめているフェイト。

教えない方がいいんだろうな。……クリオネの食事風景は。

 

 クリオネという生物は見た目がとても美しい。それゆえ人気も高い。

しかし一部ではトラウマ製造生物とも呼ばれている。それはなぜか。こいつの食事風景が異様にグロいからだ。

 

 どんな食事をするかというと、天使の頭を思わせる頭部から何本もの触手がでて、獲物にさし養分を吸い取るという食事だ。

このときの姿がかなりグロテスクで、人によっては、特に小さな子ではトラウマ必至なのだ。

ここで呆けている娘っこも絶対トラウマになるだろうから黙っておこう。

 

 

 天使(笑)のクリオネを堪能したあとも小魚がたくさんいるスペースにフェイトは留まっている。

あんな高速戦闘を繰り返すようなフェイトでも、そこら辺は女の子なのだろう。

 

 グッピーやメダカなどを見ては可愛い可愛いといって、なぜか俺に説明を求めてくる。俺よりも館内にある説明板や音声案内に頼った方が確実だと思うんだけどな。俺はサカナくんじゃないから知識をもっているわけではないのだ。

 

 

 次にフェイトが興味を持ったのはカニとかヒトデとかの小さな磯の生き物だった。 

カニも色々な種類がいる。俺たちが食べるような毛ガニや、磯によくいる小さな沢ガニとかね。

ちなみに沢ガニは唐揚げにすると美味しいって雄山先生が言ってた。

 

「あれ? そういやぁフェイトって、カニ食べたことあるっけ?」

「うん。あるよ。 ここにいるようなカニじゃないけど」

「まぁ基本的に毛ガニは食用だからな。こんなかで何か気に入ったのいる?」

「えっと。これ……かな」

 

 ほんのちょっぴり頬を染めながらフェイトが指さしたのは小さなカニ。沢ガニだ。

 

「ちっちゃいのが好きなのな」

「うん。可愛いから」

 

 でも本当に嬉しそうに見るよな。一匹一匹の魚に顔を輝かせてじっくり見る。連れてきたかいがあったといものだ。

どこかでこれに似た感覚があったはず……。

 

 あぁ華音と来たときだ。あいつもこんな感じで一生懸命に魚を見て笑って、驚いて……懐かしいな。

 

「ケンスケ? どうかした?」

 

 気づくとフェイトが顔をのぞき込んでいた。白く整った顔と長いまつげが特徴的で……要は顔が近いってこった。

 

「いや、なんでもないよ。フェイトはどうした?」

「う、うん。あのね、あそこでヒトデに触れるイベントがあるんだけど……」

 

 フェイトが指差した先を見ると、なるほど。よく水族館にある体験コーナーがあそこにあるようだ。

 

「えと……行ってきても……いい?」

 

 何かが恥ずかしいのかこっちをちょっと見上げる形でお伺いをたてている。

体験コーナーにいる人をよく見てみるとなんとなく理由がわかった。

 

 あそこにいるのは家族連れの男の子のみ。フェイトのような女の子がいないので行きづらいといったところだろう。

 

「よっし。じゃぁ一緒に行くか」

「ーーうん!」

 

 顔がぱーっと輝いて嬉しそうに頷く。なのはも感情豊かだけど、顔で変化が分かるという点ではフェイトのが分かりやすいな。

これで戦闘になると、しっかりポーカーフェイスができるのはスゴいと思う。

 

 

「……(ビクン)……(ビクッ)」

 

 体験コーナーではヒトデに触ることができるようだ。色々な種類がいて触りがい(?)がある。

 

 他の男の子達はワーキャーいいながら触っているのだが、フェイトは女の子だけあって若干の抵抗があるようだ。

手を伸ばしては水面に触れるか触れないかの位置で戻しを繰り返している。

 

「無理することないぞフェイト」

「う、うん。でも大丈夫だから」

 

 ちょっと変な意地をはりはじめたな。

フェイトの欠点でもあるのだが、たまに変に固執することがある。まぁ修行とかでは良い方向に働くんだけどな。今はダメな方向だ。

 

「なぁフェ「おまえ、こうやって触るんだぜ」……あ、やべ」

「え……ひ、ひぐっ……うぇ……うぇぇぇぇん!」

 

 俺が手をさしのべようとしたとき、横にいた男の子がフェイトの腕を掴んで水に突っ込んだのだ。

普通に善意からなんだろうけどこれは失敗だな。

 

「ほらフェイト。怖くないぞ~」 

「だって……だって……うぇぇぇぇん!」

 

 泣き出したフェイトの頭を撫でてあやす。よほど怖かったのだろう。腕と顔を胸に押し付けている。ちなみに微妙に冷たい。

 

 まぁちょっと怖くて悩んでいたところに、自分の意志ではなく突っ込まされたら誰だって怖いだろう。俺的には普段泣かないフェイトの泣き顔が見れるのは珍しく、可愛いのだが。

 

「え……え?」

「あぁー、君もありがとな。フェイトのためを思ってやってくれたんだろ」

 

 あわあわおろおろしている少年もフォローする。今日のこれは不幸な事件が重なったとしか言いようがない。

 

「ま、まーくん何してるの!? あぁもう……本当にごめんなさいね。うちの子が迷惑かけちゃって……ほら、まーくんも謝る」

 

 泣き声を聞きつけた親がやってきてこちらに謝ってくる。よくいるDQN親じゃなくてよかったです。

 

「いえ、気にしないでください。悪気があったわけじゃないですから。……今はそっとしておいてもらえますか。ちょっとこいつの相手をしますので」

「本当にごめんなさいね」

 

 ぺこぺこと頭を下げる親に別れをつげ、小さな広場に備え付けのベンチに座る。お昼時にこういった場所が空いているのは運がよかった。

 

「ほらフェイト、泣きやんだか?」

「う、うん。その……ごめんね」

「いんやぁ~。俺としては珍しい姿が見れて大満足ですよ」

「ーーーーーー!」

 

 にやにやしながら言うと、顔を真っ赤にさせてうつむいた。

フェイトは肌が白いから、こうやって恥ずかしがらせると色の変化が顕著で面白いのだ。

 

「まぁでも安心したよ」

「……?」

 

 俺が呟くと、こちらを向いて疑問の表情をするフェイト。

 

 ぽんっとフェイトの頭に手を置いてくしゃくしゃと撫でると、くすぐったそうに身をよじった。

 

「フェイトがさ、こういったことで子供らしく泣けるやつで」

「あ…………うん、私も」

 

 俺がフェイトの泣き顔を見たのは一度きり。俺がプレシア・テスタロッサを殺害した時のみだ。

 

 あれから付き合いは長くなってきて、けっこう辛いことを経験ことを知ってるし、その場にいたこともある。

そんなとき、フェイトは悲しそうな顔をするものの絶対に泣かなかった。 

 

 子供ってのは自由奔放なのが特徴だ。いや、そうやって騒ぐのが仕事のようなものだろう。

それなのに、こんな歳から辛いことを我慢するのを覚えてしまうなんておかしすぎる。

 

「えと……ケンスケ」

「どうした?」

 

 顔をほんのりと赤く染めて、えと……えと……。と呟く。何か頼みたいのだろうか。 

 

 何度か深呼吸をしたあと、決意を決めた表情でこちらを見上げた。

 

「お、お弁当作ってきたから、一緒に食べない!?」

「…………」

 

 あまりに気迫のこもったお弁当のお誘いに一瞬面くらってしまった。

なんでこんなにも勢いよく言ったのかはおいておいて、時間は午前11時30分。ちょうどお昼の時間だ。

 

「だ、だめ……かな」

 

 本気で不安そうに見つめている。そうか、こういうことか。

 

 今日出発するときに、エイミィさんから耳打ちをされたのだ。「お楽しみがあるかもよ~」と。

その意味をようやく理解した。

 

 しっかし。なのはといいフェイトといい、どうしてこいつらはこんなにも保護欲をかきたてるような表情をするのだろう。狙ってやってるとしたら、将来は相当な悪女だぞ。

 

「ダメなわけあるか。よっしゃ食べようぜ」

「う、うん!」

 

 満面の笑みで頷いたフェイトは持っていたハンドバックからお弁当箱を取り出した。いつも学校で食べてる小さなやつとは違い大きめだ。二人分ということなのだろう。 

 

 蓋をかぱっと開けると、中には一口サイズの俵おむすびとタコさんウィンナー。ちょっとの野菜に、メインディッシュであろう、可愛らしい楊枝が刺さった小さなハンバーグがいくつかあった。

 

「へー。フェイトって料理できるんだな」

「そ、そうかな……それなら嬉しい」

 

 なのはに比べると見た目はお世辞にも良いとはいえない。だからこそなのだろうか、頑張ってつくりました! っていう『気』とでもいうのだろうか、が伝わってくる。

 

「えっとね、それで飲み物が」

 

 ーー俺は見逃さなかった。微妙にフェイトの表情が曇るのを。

フェイトにあんな表情をさせる飲み物を俺は一つしか知らない。

それはーー

 

「フェイト、水筒の中身ーーリンディ茶だろう」

「……うん」

「リンディ茶はノーサンキュー」

「だ、だよね」

 

 リンディ茶。それは戦艦アースラ艦長であるリンディ・ハラオウンの誇る最終兵器だ。

その中身は緑茶にミルクと砂糖をたっぷり入れたもの。飲んだ瞬間に甘さと苦さが複雑に混ざり合って世界の向こう側が見える。と言われる悪魔の飲み物だ。

 

 ここで、抹茶ミルクを思い浮かべた人、それは冒涜だ。抹茶ミルクは抹茶の濃厚さと香りの強さがあって初めて成り立つものなのだ。

リンディ茶で使われているのは緑茶。似たようなものだが、それで商品と毒物にわかれるのだから、いやはや食べ物とはスゴいものだ。

 

「ちょっと飲みかけだけど。こっちでいいか?」

 

 俺はバックから飲みかけの緑茶をだす。飲みかけとはいっても一口だけなのだが、いくらちっこくてもフェイトは女の子。人が口をつけたものを飲みたくないかもしれない。

 

「うん。じゃあ私はコップを使おうかな」

「ほいほい」

 

 コップに緑色のお茶をいれ、お弁当箱を中心にして二人で向かい合う。

 

「では」

「「いただきます」」

 

 この言葉、やっぱり日本だけの文化らしい。

初めてハラオウン家(+エイミィさん)がうちに来たとき驚いていた。食材を感謝する。という行為に感動したのか、今では食事の前に必須になったらしい。

 

 最初にどれを食べようか迷う。おにぎりにしようかウィンナーにしようか。ちょっと形は悪いが、どれも食べる人を思って作りました。という気持ちがこもっているので、おかずを見ているだけで嬉しくなってくる。

 

 「やっぱ最初は……これにするか」

 

 メインディッシュであるハンバーグに手をのばす。上にケチャップがかかっていてとても美味しそう。

 

 口に入れると、ケチャップの酸味とともにドッシリとした歯ごたえの肉が口の中を支配する。

予想よりもはるかに肉を食べた感じがする。小さいのに結構なボリュームだ。

 

「ど、どうかな」

 

 自分の箸の手をとめてこちらを見るフェイト。心配そうな顔をしている。

 

「うん、美味しいよ」

「ほ、ほんと!? えっとね、そのハンバーグはね」

 

 嬉しそうな顔で作り方を説明している。リンディさんやエイミィさんに特訓をうけたらしい。

 

 俺は俵のおにぎりに手を伸ばしながらフェイトの話を聞く。美味しいという言葉だけでこれほどまでに喜んでくれるなら、こちらも更に言いたくなるというものだ。

 

「ほら、食べないとなくなるぞ~」

「あ、そ、そうだね」

 

 とはいえ、このまましゃべり続けていたら朝を迎えてしまう。フェイトにも食べるように勧めると、慌てたように手を伸ばした。

 

 

 二人して食べ始めてちょっとしたら、フェイトの手がとまった。ウィンナーを楊枝で刺したあと顔を伏せてじっと考え事をしている。お腹でもいたくなったのだろうか。

 

「どうしたフェイト?」

「いや……うん……あのぉ」

 

 よくよく見ていると、よく熟れたトマトのような顔をしてブツブツと何かを呟いている。

まじでどうしたのだろうか。

 

「おいフ「え、えっとね!」お、おう。なんだ?」

「あ……あ……あ、あーん」

 

 もう爆発する三秒前みたいに顔を真っ赤にして俺にウィンナーを差し出してきた。……これがしたかったのね。

 

 こうやってフェイトを見ていると、何だろうお父さんの気持ちになってくる。自分に娘が出来たら溺愛するんだろうなぁ、などと考えてしまう。

好きな人をつくるつもりなんてこれっぽっちもないけどな。

 

 口を開いて入れてもらい何度か咀嚼。やっぱりパリッとしたソーセージって美味いよな。

 

 ふとフェイトのほうを見ると、顔を手で覆って膝につくくらいまで下げジタバタしている。この可愛い生き物はなんなんだろう。

 

「あらあら」

「かわいいわねぇ~」

「殺せ! 汚れた俺をいっそ殺してくれぇぇっ!」

 

 若干一名変なのが混じっていたが、温かい目で周りから見られる。周りから見れば小学生同士の微笑ましいカップルなんだろうな。俺にはそんなつもりまったくないが。

 

 これは自惚れのように聞こえるかもしれないが、フェイトは確実に俺のことが好きだ。友達としてではなく男として。

 

 卑怯だな。とは思う。フェイトが初めてまともに接した人間が俺だ。ユーノもそうだが、あいつはフェレット形態が多かったため、男性として認識するのは俺が先なんじゃないかな。

 

 俺は彼女というか、好きな人はつくらない。それなのにフェイトやなのはの甘えを拒否せず更に猫可愛がりしてしまっている。

自分たちの事を無条件で支えてくれる顔も悪くない(転生特典の一つだが)同世代の異性がすぐ近くにいつもいたのだ。これで惚れるなというのが無理な話だ。

 

 はやてとの違いがそこだな。はやてには守護騎士がいるからそういった意味でのフォローはやってくれる人がいる。

 

 どうしたもんかなぁ。と思う。俺が態度を変えればそれで良いのだが、そんなことをする気はない。普段は冷たく影でフォローなんてものは俺にできる気もしないしな。

 

 まぁでも、子供の頃の恋なんて一過性だ。あと数年もすれば、もっと違う意味で好きな人を見つけるだろう。なのはもフェイトも絶対美人になるし。

俺はそのときまでのいわば繋ぎ。ほら、よく聞くだろ。男の子は母親が初恋で、女の子は父親が初恋だって。

 

 そんなもんでいいんじゃないかな。  

 

 




今回はフェイトとの水族館デート前編です。本来ならこれくらいの分量で終わらせるはずが……どうしてこうなった!?

最後のナルシーな独白ですが、まぁ『俺の意見』がたぶんに入っているので、見逃してください(笑)

フェイトが泣いた……あれだけ我慢強い子だとはいえ、中身は小学生ですからね。いきなりやられたら泣くのは仕方ないと思います。というか泣くフェイトを書きた(ry

次回 後編!

この小説を読んでくださる全ての方々にありったけの感謝を

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