魔法少女リリカルなのは~チートな主人公が頑張っている物語~   作:てりー

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完全なifストーリーですので本編には繋がりません



番外編 ペットは可愛い。ちなみに私は犬派です

番外編

もしものお話

 

 

 

【ケンスケ! もうちょい左!】

【こんくらいか!? 暗くてなんも見えねぇよ!】

【行きすぎ! あと10秒で通過するぞ!】

【どっこだよ!】

「りゅりゅりゅりゅりゅりゅっーーーー!」

【ケンスケ捕獲失敗!】

【あぁぁっ! めんどくせぇぇっ!】

 

 この惨状。何かというと、ある生き物の捕獲が目的だ。ミッドでは少し名の知れた(らしい)おっさんが依頼してきたのだが、あんまりにも馬鹿らしい依頼内容により、見事育成課の仕事になったのだ。

だがこの生き物、なかなかどうして侮れない。今に至るまで数時間。俺らから逃げ続けているのだ。 

 

 はじめは普通に繁華街だった。人のいない路地裏を進み、かと思えば追いかけられたら人のいる場所にでて、小さいからだを活かすという頭脳戦法をみせ、見事に振りきられた。

 

 その次は住宅街だ。悠々と歩いているところを発見したのだが、あの生き物。俺らが近づくと家の敷地内に入ってしまうのだ。いくら捜査目的だからといって、生き物一匹捕まえるために何軒も何軒も入らせて貰うわけにはいかないので、ここでも捕り逃した。

 

 そして今はここ、なんと下水道に逃げてしまっているのだ。ただでさえちっこくてすばしっこい上に、真っ暗の下水道に逃げられてしまってはどうしようもない。ティーダが隊舎から指揮してくれているが、ぶっちゃけ捕まえられない。 

 

【ケンスケ~……どーだった~】

 

 弱々しくアルの声が響く。少し前に突破されただけでなく、水に落ちたらしい。それでも次の地点に向けて動かなければならないというのは悲しいな。

 

【捕り逃したよ。あいつおかしいだろ】

【だよなー……しかも今まで図鑑でだって見たこと無いぜ。あんな生き物】

 

 今俺らが追っている生き物は、犬でもライオンでもアリクイでもない。動物園でも水族館でも、図鑑でも見たことがない生き物なのだ。

姿を例えるとするなら猫が一番近いだろうか。まんまるいボディーに尻尾がつき、一応猫っぽい耳がついている。でも手と足がないんだよなぁ。逃げ出さないように切り落とされたとかではなく、元から存在していないのだ。ちなみに移動は全て腹這いだ。腹這いであの速さは反則じゃないかと思う。

 

【俺さ、もー鳴き声がトラウマだわ】

【りゅーっ。って鳴き声だろ。どっから声だしてんだろうな】

 

 普通では聞いたことがない鳴き方をするのもこいつの特徴だったりする。本当になんなんだろうな。こっち特有の生き物かと思ったらそうでもないし。いいかげん捕まえないと俺らのストレスがマッハだぞ。

 

【ティーダ。今どんな感じだ?】

【もう二人突破された。残ってるのはサラだけ】

 

 ティーダも苛立ち混じりになってきている。あれだけ逃げ回られ続けて、毎回諦めずに捕捉してるんだもんな。そろそろキレてもおかしくはない。

 

【ごめん。逃げられちゃった】

【はーい終了。もう俺にはどうやって捕まえたらいいのかわからねーよ】

 

 餌で釣るという作戦も考えたのだが、飼い主曰く、落ちている物を食べるなと教育しているらしいので無意味だろうと中止になった。これが問答無用でぶっ潰しできるならさっさと殺してるんだけどな。そういうわけにもいかない。

 

【全員聞こえるか。目標が外に逃げ出した。公園のほうに向かってるから、ここで絶対に捕まえるぞ】

【【りょーか~い】】

 

 返事から分かるとおり、全員士気がだだ下がりしている。そろそろ捕まえないと、マズいかもしれないな。……俺も含めて。

 

 

 

 

「で、いまどこに逃げたって」

「ティーダからの情報ではそこの植え込みらしいよ」

 

 サラが指した植え込みを見ると、確かにざわざわと葉がゆれている。このチャンスで捕まえられるだろうか。

 

「じゃー全員で丸くなって囲むか」

「「りょうかーい」」

 

 きらきらとした日光が差す昼下がり。公園の植え込みを取り囲む男女が5人。全員が全員、目をぎらつかせている。やはりというべきか当然と言うべきか、周りの人にちらちらとみられている。俺らだって好きでこんなことやっているわけじゃないんだけれどな。

 

「よーしそのままそのままー。うーごくなよ~」

「りゅ!?」

「今だ!」

「うりゅりゅりゅりゅっ!」

「また逃げられたあぁぁっ!」

 

 捕まえようと5人が手を伸ばした瞬間。一瞬の隙をつかれて逃げられた。この俊敏さはフェイトを上回るのではないだろうか……もう嫌だ。

 

「探せぇぇぇっ! 草の根をわけてでも探しだすんじゃぁぁっ!」

「どこにいんのよぉぉっ!」

 

 ついに何人かがぶっ壊れた。朝から延々同じ作業をし続けされたら、これは気が狂う。

なんか突破口がないものか……。

 

 

 その後も俺たちは手を尽くし続けた。捕まえるために魔法を使った。ネズミ取りを使った。数人で追いつめたりもした。しかしあの生き物は捕まらない。そろそろ皆の目が血走ってきたころだ。

 

「あなた達……何やってるの?」

「おぉ。アリアか。依頼で変な生き物を捕まえろと言われてな」

 

 声をかけてきたのはアリアだ。今日は休みなのだが、散歩でもしにきたのだろうか。

 

「変な生き物ねぇ。もしかしてこの子?」

「そうそう。そいつみたいに猫っぽくて尻尾があって……いるじゃねぇかぁぁぁっ!?」

 

 アリアの胸に抱かれたそれは、首を傾げるような感じでこちらを見ている。この尻尾や耳、なによりまんまるいボディーは間違いない。今日という日をメチャクチャにしてくれた張本人だ。

 

【ティーダ、どうする?】

【一度連れ帰ってきてくれ。飼い主も呼んでおく】

【了解】

 

「アリア。どうやってこいつを見つけたんだ?」

 

 これが一番気になる。まさかこんな形で見つかるとは思わなかったからな。なぜこうなったのかくらいは聞いてもよいだろう。

 

「そんな難しいことじゃないわよ。走って? きたこの子がいきなり飛びついてきたのよ」

 

 あれほど誰にも懐かなかったあいつがか? もしかしたら、アリアから同じにおいがしたのかもな。アリアは猫を素体とした使い魔だ。この生き物も猫っぽいから、同じような存在であるアリアは敵と思わなかったのかも知れない。

しかし、不思議な事もあるもんだな。

 

 

 

 

「おぉぱんにゃ! どこに行っていたのだ。心配したぞ~」

 

 隊舎に入った直後。太ったおっさんが駆け寄ってきた。この人が依頼人だ。あいつの名前、ぱんにゃっていうんだな。わざわざ、にゃ、をつけなくてもいいだろうに。

 

「りゅー……。りゅー、りゅりゅー!」

「あ、こらこいつ!」

 

 おっさんがこちらに近づいてくると、ぱんにゃはアリアの手から飛び降り、後ろに隠れてしまった。

まるでアリアが本当のお母さんのような。そんな格好になっている。

 

「ちょっとあなたたちも落ち着きなさい。ほーら、ぱんにゃ~。お父さんだよ~」

「りゅー……うりゅ~!」

 

 嫌だ。というふうに首を振り、アリアに飛びつくぱんにゃ。あのおっさんを見る限り、動物のことを本気で考えているっぽいけどな。まぁでも、実際に家でどうなのかは分からないけれど。

 

 何度も依頼人のところに向かわせようとするアリアと、呼びかける依頼人だったが、ぱんにゃはアリアの胸に顔を埋めて動かない。絶対に離れるもんか。という強い意思が見てとれる。

 

「こら、ぱんにゃ。お父さんのところに戻りなさい。……申し訳ございません。お返ししますので」

「りゅー! りゅりゅりゅー! うりゅりゅー!」

 

10分ほど問答を続けていたのだが、何の進展も見せないこの争いにいい加減じれてきたのか、アリアがぱんにゃを引っ剥がし、依頼人に渡そうとする。ぱんにゃは精一杯の力で抵抗しているが、アリアにかなうわけがない。悲痛な叫びで同情を引こうとするが、可哀想かもしれんけど俺らがどうこうできる問題ではない。

 

 依頼人のもとに戻されたぱんにゃは、目一杯の涙をためてアリアを見つめている。ここだけ見ると、家の問題で引き剥がされる主人公とヒロインのような感じがする。

依頼人も困った顔をして何かを考えていたが。一つ咳払いをすると、驚くべき行動をとった。

 

「ほら……ぱんにゃ」

「うりゅ!?」

 

 胸に押しつけられていたぱんにゃを、そっと地面に降ろしたのである。俺らだけでなくアリアも驚きの表情に包まれる。

ぱんにゃはぱんにゃで、依頼人とアリアを代わるがわる見つめては首をかしげている。

 

「えぇと、これはどういった意図なのでしょうか」

「アリアさん。こいつを、ぱんにゃをよろしく頼めませんでしょうか」

「へ? い、いや私は構いませんが、しかし」

「こいつはですね。捨て子だったんですよ。たぶん、ずっと母親みたいな人を待ってたんだと思うんです。アリアさん、どうかよろしくお願いします」

 

 頭を下げる依頼人。こんな展開になるとは誰が予測できただろうか、全員が混乱していることに間違いはない。

 

 ぱんにゃは状況を把握したのか、嬉しそうにアリアにすり寄っている。アリアはどうすればよいのか分からないみたいだ。

 

「アリア、ご好意に甘えなさい」

「「隊長!?」」

 

 扉を開けて出てきたのはグレアム隊長だ。そして更に混乱する俺たちを置いて、依頼人とお金について話し合っている。ぱんにゃは譲って貰う代わりに依頼料0円にするつもりなのだろう。

 

 やっと混乱が収まったアリアは、腰を落としてぱんにゃの前でしゃがんだ。ぱんにゃもアリアを見上げてちょこんと座っている。

 

「……ぱんにゃ」

「うりゅ」

「もう脱走とかしないで良い子になれる」

「うりゅ!」

「じゃあ……おいで」

「うりゅー!」

 

 アリアが手を広げると、ぱんにゃはそこ目掛けて飛び込んでいった。あれほど逃げ回ってこのやろうとか言いたい事はたくさんあるけど、アリアがこんなに笑顔なのは初めて見た。うん……平和が一番だな、いろいろと。

 

 




感想感謝コーナーです。
『佐天』さん感想ありがとうございました。

いやー……更新遅くなりました。しかも番外編とか……本当に申し訳ありません。本編のほうも鋭意執筆中ですので、寛大な心でお待ちいただけるとうれしいです。

さて、今回のお話は前書きにも書いたとおりifストーリーです。育成課にペットを置きたいと思って書いたのですが、よく考えるといらないだろうという結論にたっし、見事に番外編としての登場となりました。
もしかしたらこれからもこういうifストーリーは書くかもしれないので、そのときは笑ってお許しください。

今回でてきました『ぱんにゃ』というキャラクターですが『ましろ色シンフォニー』というギャルゲーのキャラクターです。アニメ化もされておりますのでチラッと見ていただければ姿がよくわかるのではないかと思います。

この小説を読んでくださる全ての方々にありったけの感謝を
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