魔法少女リリカルなのは~チートな主人公が頑張っている物語~   作:てりー

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第二十七話 変な人に声をかけられてもついて行ってはいけません

 育成課での生活が二年目に突入してから数ヶ月がたった。

後輩も何人かでき、俺の立場はロッテ達ほど指導役というわけでも一緒に苦楽をともにする同期というわけでもなく、さながらOBの先輩だ。

 

 他の皆も頑張っているようで、フェイトは執務官になるための試験勉強、はやては指揮官訓練、なのはに至っては任務の隊長を任されるようになったそうだ。

たまにフェイトのやっている勉強を覗くが、範囲が膨大かつ問われる内容も論理だてて考えないと解けない内容のようだ。

あれを見ると執務官訓練がなぜ難関と言われるのかがよくわかる。

 

 そんななかで俺はというと、正直やることがあまりない。

もちろん訓練はしっかりこなしているし、ルマン枢機卿を通じて聖王教会と育成課の隊規模での繋がりをつけたりもした。

 

 アヴァタラム事件の解決により育成課の評価も高まっており、このまま育成課にいて研鑽を積めば確実に明るい未来が待っている可能性が高い。

とはいえ、少々マンネリ気味であることも否めないのである。

 

「というわけでユーノ、俺はどうしたらいいと思う?」

「知らないよ」

 

 アイスティーを飲みながらサラッと流したのはユーノであった。

今日は授業中にユーノから通信があり、何か話したいことがあるというので無限書庫に来たのだ。

 

「でもケンがそういうことで悩むって珍しいね。やりたいこと決まってるんだと思ってた」

 

 苦笑しながら言うユーノ。

 

「やりたいことはあるんだけどなー。今はそこに至るまでの小目標がないって感じかな」

「うーん、それが問題なのかもね。僕やなのははとりあえず目の前の小さな目標があるから動きやすいけど」

 

 なんだかんだ相談にのってくれる辺りユーノは優しい。

ユーノにしても俺にしても同世代の男友達が少ないので、こんな風に話せる相手は珍しいのだ。

話してる内容は世代からかけ離れているモノかも知れないけれど。

 

「話を脱線させて悪かったな、ユーノの話ってなんだ?」

「あぁ、そうだった。うん、これはここだけの話なんだけど。

 アヴァタラム事件が終わった後、事後処理に加わってたからミッドのことを色々と調べる機会があったんだ。

 そのときに気になって調べたんだけど……」

 

 そういってユーノが取り出したのはお手製感のあるレポート用紙だった。書いてある内容は新聞や雑誌の切り抜きなどが主だったが、それをまとめた内容を見ると。

 

「なるほど、これはきな臭いな」

「やっぱりそう思う? 踏み込んだ文書には触れてないからまだ確証はないけど」

「それにしてもだと思うな。動きが鮮やかすぎる」

 

 内容はアヴァタラム事件後の聖王教会の動きだった。地上本部からの奇襲はミッド地上本部内、しかも一部の人間にしか知らされてない出来事のはずだった。

それにも関わらず、事件が終了するころには死傷者の緊急受け入れ体制が整っていたのだ。

また、なぜか情報が一部のメディアに流れてミッド地上本部が批判を受けた際にも、これまた予測していたかのように地上本部を助けて自分たちの支持率をあげている。

 

「考えてみるとアヴァタラム側の死傷者も少なかったんだよな」

 

 主要なアヴァタラムのメンバーで逃げきれないほどの怪我(死亡)をしたのは総帥だけ、あとは全員逃げおおせている。

これも不自然と言えば不自然なのだ。逃走ルートは未だによくわかっていないし、最初から逃げ道を確保していたと考えてみてもこちらの戦力で一人も確保できないというのは少しおかしい。

 

「教会が怪しい……?」

「可能性があるくらいだよ。全部が偶然でもおかしくないんだから」

 

 今の段階では気に留めておく、くらいか。どの世界でも勢力争いは当然のごとくあるのだろうから、教会がアヴァタラムに荷担していても不思議ではない。

なんにせよ心の片隅に置いておいて損はないだろう。

 

「教えてくれてありがとな、ユーノ」

「いや、こっちこそきてくれてありがとう」

 

 俺も久々に会いたかったから、と笑うと話はだんだんと今何をしているか、学校はどうなのかという話に移っていった。

 

 

 

「すっかり遅くなったなー」

 

 ユーノと別れた本局からの帰り道、育成課に忘れ物を取りに行くと、すっかり外は暗くなっていた。

明日も学校あるのになと思いながら転送ポートに向かっていると、何かの気配を感じた。

振り向くと、そこには白装束の何者かが数人いた。

 

「おまえらは……」

 

 全身が白装束で覆われた姿は見違えることはない。彼らはアヴァタラム事件で最後の最後にでてきた――。

 

「我らは管理局最高評議会親衛隊。まずは挨拶をしようか、石神剣介」

 

 正直な話、俺の中での親衛隊(こいつら)の印象は最悪だった。何の説明もなく命がけの作戦を無駄にさせられたといっても変わりないからだ。

 

「こんな夜更けに何のようですかね?」

 

 当然こちらの一言目はキツいものとなる。

 

「そう警戒しなくてもいい。我らは最高評議会の意向を伝えにきただけだ」

 

 彼らの目的は何なのか。値踏みするような目線を向けるがすぐに看破されたようだ。さて、意向とはどういうものなのか……。  

 

「では伝えよう。石神剣介、君には親衛隊に入隊する権利を与える」

 

 驚きはなかった。秘密とされているような部隊が接触してくるということはそういうことなのかもしれないと思っていたからだ。

 

「なんで俺を誘う?」

「我らは最高評議会の犬だ。犬の使命は主の指示を守ること、それ以外にはない」

 

 俺の疑問ははねのけられた。 

 

「とりつくしまもないか。まぁいいよ、ここで答えを返してやるさ。俺はお前等の部隊に行くつもりはない」

 

 きっぱりと言い放つと、白装束の一人がくぐもった笑いをあげた。

 

「まぁ良い。だが、種はまかせてもらおう。石神剣介、力が欲しければ此処へ来い」

 

 そういうと電話番号が書かれた一枚の紙が差し出された。そして次に顔をあげると彼らは消えていた。

 

「なんなんだいったい」

 

 呟きは暗闇に覆われたミッドに溶けて消えたのであった。

 

 

 

 翌日。学校に行こうとしたところで信じられない報告が届いた。

 

 ゼスト隊の壊滅である。

 




なんとか第二章開幕です。
投稿頻度は落ちるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

もし良ければ感想をいただけると嬉しいです。
嬉しいお言葉も批判も全て執筆意欲につながりますので、よろしくお願いいたします。

それでは、また次回もよろしくお願いいたします。

次回
冷たい雨


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