魔法少女リリカルなのは~チートな主人公が頑張っている物語~   作:てりー

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第二話 日本代表オリンピック出場おめでとう

前回のあらすじ

修行しました

 

 

 

 

 

 今日は日曜日、朝から仕事にかかりきりになれる唯一の日だ。

早朝6時ということで、海が近い育成課の隊舎近くは霧がかかっている。

ミッドも地球と同じように日曜日は基本休みなので人通りはほとんどない、育成課は休みなんてないから関係ないけどね。

 

「あっれー剣介じゃん、おっはよ」

 

 トレーニングウェアを着て尻尾をビュンビュンと振り回しながら走ってきたのはリーゼロッテ、グレアムさんの使い魔だ。こんな時間から起きているとはめずらしい。アリアの話しじゃいつも朝は一番遅いらしい。

 

「おはよう今朝は早いなロッテ、他の皆は?」

「たまったまだよ、目が覚めちゃってね。父様は本局に用があるっていって出かけちゃって、アリアは訓練場の準備、他の皆は寝てるよ。剣介こそ今日は早いじゃん、どしたの?」

「俺か? 俺は軽く身体を動かしておこうかと思ってな」

「じゃあ早く着替えてきなよ、一緒にランニングしよう」

「りょーかい、ちょっと待っててな」

 

 軽く走って隊舎の前につき、指紋認証をした後に自動ドアを抜けた。

 

 新人育成課の隊舎は見た目がボロボロだ。

数年前から使われなくなった訓練場付きの隊舎で最初に見た時は中は埃まみれ、訓練場も所々崩れかけていて、当然のごとくライフラインも使えなくなっていた。

管理局からある程度の修繕費は与えられていたが、いくら最低限の修繕しかしなくても足りないくらいだった。

 

 そこで白羽の矢が立ったのが俺だ。レジアス中将から外観が変わらなければ個人の資産で修繕することが認められたので、黄金律A+の英雄王が集めていた金をばらまき外装以外を完璧にしたのだ。

 

 広さの関係上、議事戦闘空間を作りだす立体ホログラムはできなかったが、フェイトが全力で暴れても……きついかもしれない、なのはが全力で暴れても……ぶっ飛ぶわ。

魔力ランクAAの隊員が全力で暴れても傷一つつかないほどの魔法・物理防御力を持った訓練場にしたり、最新鋭とは言わないまでも防犯能力の高い指紋認証を使った防御プログラムやリ、ズとセラによるアインツベルンクオリティを最大限発揮したメイドシステム、外観を変えられないのなら地下に造ればいいじゃないということで地下三階建てなどなど。

よく建築業者が一年で間に合わせてくれたと思う。

 

 まぁそんなこんなで手狭とはいえ隊員一人一人の個室もしっかりと完備されているので、自分の部屋でトレーニングウェアに着替えて外にでると、ロッテが逆立ちをしていた。

 

「お待ち……ってなにやってんの?」

「ん~ミッドを優しく支えてるんだよっと」

 

 両腕をバネにして一回転宙返りで着地をするロッテ。

あの最年少執務官クロノ・ハラオウンを肉体面で調きょ……鍛えた腕前はいささかも衰えていない。

単純に技術だけでいえば俺より数段上で、魔法を使わず素手でも恭也さんとも良い勝負をできるくらいの達人だ。

 

「じゃあ走ろっか!」

 

 走るとはいっても朝飯前なので5kmかそこらだけれど、朝の気分転換にはちょうどいい。

海岸線を見ると、コンクリートで固められた砂浜も何もない海が見える。将来地球もこのようになってしまうのかと思うと少し憂鬱な気分になる。

 

 朝の冷気を身体に浴びながら走っていると、懐かしい出来事が思い浮かんだ。

 

「そういえばさ」

「ん?」

「ロッテとアリアはどうしてあの時味方をしてくれたんだ?」

 

 あれは闇の書事件が終わってから少したった後、グレアムさんが管理局を辞めるという話を聞き、部隊を造るために思いとどまってもらおうと頼みにいったとき、固辞するグレアムさんを俺と一緒に説得してくれたのだ。

あのあと何度か考えたがいくつかは思いついても、これだ、という理由が見つからないまま放置していたのだった。

 

「あぁあれね……なんだったかな」

 

 目を海のほうに向け、考える仕草をするロッテ。

 

 よく思うのだが、俺の周りの女性はほぼ全て顔面偏差値が高い。

桃子さんやリンディさんを筆頭に、なのはやフェイト、はやてといった幼いやつらも含めて現在(将来)美人になるであろう人が多いのだが、それはロッテも例外ではない。

猫っぽい仕草や天真爛漫な性格が好きな人は多いようで、わざわざ本局から告白しにくる猛者もいるほどだ。すべて断ってるみたいだけどな。

 

「あぁ思いだした。

あのね、正直に言えば私は剣介を……うんうん、剣介たちを恨んでいた」

 

 それは当然だろう。

十年間ずっと暖め、練り直し、改良し続けた計画を破壊されたのだ。

しかもそれが自分たちの計画に比べて場当たりにも程がある、奇跡を頼りにした計画ともよべないお粗末なものなら尚更だ。

 

「あの時も隙があれば八つ裂きにしてやるーってアリアと念話で話してたんだ」

「そこまでとは思わんかったぞ」

 

「あはは、そこまで怒ってたってことで勘弁してよ。それで、剣介が父様に新部隊を作ってくださいって頼んだときはビックリしちゃった。あれほど痛めつけられて痛めつけ返して、そんな遺恨しか残らないような相手に、なんで新部隊発足なんていう重要な事を頼むんだろうなって思ったんだ」

 

 俺とロッテは二回ほど戦っている。

一度目はフェイトが蒐集されたときで、無茶な魔術で身体がボロボロになっていた俺を容赦なく攻撃してきた。シグナムがいなければ危なかったほど、というか確実に負けていた。

二回目は闇の書起動時で、腹に電流バインドや、リーゼ姉妹がなのはとフェイトに変装などをして俺がキレたときだ。

約束された勝利の剣(エクスカリバー)』で消滅させようとした瞬間に闇の書が覚醒してチャンスを活かせなかったと言うべきか。

 

 俺もロッテも相応のダメージを負った。それを考えればグレアムさんに頼む俺の気持ちが分からないというのは当然だろう。

 

「それでね、最初は私たちの力を悪用しようとしてるのかーとか、使いつぶそうとしてるのかーとか考えたんだけど、父様に断られても何回も頼みこむ姿をみて、すごいなって思ったんだ。剣介はこれまでの喜びとか憎しみとか全て飲み込んだ上で私たちをアテにしたんだって。私には出来そうになかったからさ。ま、私とアリアが感じただけで、それがあってるのか間違ってるのか聞く気はないけどね。だから私とアリアは剣介の味方をしたんだ、これが理由」

 

 こっちを向いて微笑んだロッテは眩しくて、美しくて、カッコよくて、俺は顔をそむけることしかできなかった。

 

「あれあれ、お姉さんに惚れちゃった~?」

「誰が惚れるかアホ……ただ、想像以上に俺の事見ていてくれたんだなって思ってさ」

「まぁこれでも年上で、たくさんの事は見てきたからね~。危ないねずみっ子を引っ張るのも私たちの役目よ」

「…………そっか」

 

 それっきりお互い無言で走って隊舎に戻った。

 

 ロッテの事は理解していたつもりだったが、こんなことまで考えているようなやつだったって知りかなり驚いた。

人間は一つの面からでは判断できない。士郎さんが言っていた言葉だったが、まさにその通りだな。

 

 

 

 育成課についたら朝ご飯の時間だったが、俺は家で食べてきたので訓練場に先に行くことにした。今日はフォーメンション訓練だけでなく模擬戦もやるらしいから宝具のほうを確認しようと思ったのだ。

 

 訓練場のイメージは大きな体育館といったところだろうか。

いくら海沿いとはいえ、ここらは住宅もあるためあまり大きな訓練場は建てることができず、屋根もある。屋根があることによる利点ももちろんあるが、やはり基本は空も自由に使った戦闘なので屋外でやりたいところだ。

 

「『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』」

 

 黄金の京を開く鍵となる言葉を呟くと、世界が一つだったころ、全土の財宝をひとまとめにしたと言われる四次元ポ……宝物庫へと繋がった。

 

 ギルがやるように大量展開させると、ちょっと爽快な気分だ。

これを全て射出してもいいのだが、訓練場がガレキの山とかすので止めておこう。

 

 次に主要宝具の確認だ。

俺が主に使っている宝具は3つ。『勝利すべき黄金の剣《カリバーン》』・『干将・莫耶』・『斧剣』だ(厳密に言えば斧剣は宝具ではない)。レンジや敵、状況に合わせて色々と変えていくが、基本的にはこれらでやりくりしている。

というか、訓練などで使える宝具で危険が少ない物ってこれくらいしか思いつかないんだよね、槍は危ない奴ばっかだし。

使い方として、斧剣は複製の魔術で大量展開させて落としたり、周りに展開して防御に使ったりと魔術を活かしながら使い、剣は普通に基本武器だ。

 

「あんら~いつみてもスンゴいね~」

「よぉアル、食事は終わったの?」

「そんなとこだな、他の人たちもすぐ来るぜ」

 

 やってきたのは金髪金目、白人の17歳男性。アルベルト・クラフェルト、通称アルだ。

性格は軽い……というか緩い、初対面でリーゼ姉妹(・・)を口説いたのには驚いた。

ポジションはガードウイング~センターガードで、指揮官の補佐をしながら得意のシューターなどで遠距離攻撃をしかけるといった感じだ。

 

「ケン~おっはよ!」

「おはようルカ、今日も朝からテンション高いな」

「もっちろん! 私が低かったら天変地異がおきるよ!」

 

 次は黒髪赤目の13歳女性。キュルカス・クローバー。通称ルカだ。

性格は元気いっぱい。いつでも明るい彼女は隊のムードメーカー的存在、だが大事な部分は洗濯板。

ポジションはガードウイングで、フロントアタッカーの補佐といったところか。

 

「おはよう、今日も頑張ろうね」

「そうだなサラ……今日はヘタレてないじゃん」

「うぅヘタレって言わないでよ、これでも頑張ろうとはしてるんだよぉ」

 

 そこで軽くへこんでいるのは碧髪碧目の15歳男性。サラミス・イーリアス。通称サラだ。

性格は優しい……というかヘタレ。でもただのヘタレじゃなくて行動力も勇気もある……でもヘタレ。

ポジションはフルバックで、隊全体の防御担当。攻撃ができない代わりに恐ろしい強度の防御魔法を作ることができる。

 

「おはようございますケン」

「おはようルー……髪で隠れて目が見えないぞ」

「自分はこれがデフォですから」

 

 なんかエロゲとかの主人公でよく見る感じのこいつは黒髪黒目の15歳男性。ルーオカ・キザンカ。通称ルーだ。

性格はかなりフレンドリーで敬語を使っているのは本当にデフォなんだろう。

ポジションはフロントアタッカーで、直接乗り込んで攻撃をしかける隊の攻撃の要だ。

 

 ちなみにリーゼ姉妹が入ってくるとポジションはいくらか移動し、ルーはガードウイングぎみのフロントアタッカーとなり、ロッテがフロントアタッカーとなる。

アリアはフルバックとなり超長距離バインドなどで援護してくれる。

 

 新人だけでの基本配置がフロントアタッカー1人、ガードウイング(援護重視)2人ということから、攻撃力が足りないというのがこの部隊の弱点だが、実際の戦闘で俺たちがやるべきことは戦線の維持であり、決して勝利ではない。

俺らが勝利できるような相手ならばそもそも攻撃力不足は問題ないし、俺らが対処できないような大物なら武装隊が来るまで死なずに保たす事が必要とされているからだ。

 

 こうなると、俺のポジションはどこなのか、という疑問にぶち当たる。

フロントアタッカー向きではあるが、ガードウイングもできるしセンターガードもやれないことはない。フルバックでさえも能力的には可能だ。

 

 そんなわけで俺のポジションはフリーとなった。

最初に聞いたときは意味がわからなかったのだが、自由な位置で自由に戦闘をする、そんな役割を『フリーロール』と言うらしい。

しっかりとポジションを決める最近の部隊ではあまり見られないが一昔前のトレンドだったんだとか。

 

 このポジションが使われなくなった一番の理由は、有能な指揮官の不在だ。

前線から後ろまで勝手に動き回る隊員の邪魔をせずに活かし、なおかつチームの動きも活性化させるような指揮。そんな指揮能力を持っている人が現れなかったことがフリーロール衰退の要因らしい。

 

 ここまで言えば分かるだろう。この部隊には俺が好き勝手しても、俺もチームも活かせる、そうグレアムさんに認められた指揮官がいるのだ。

 

「おはよう、皆集まってるな、じゃあ今から今日の業務を開始します。メニューを発表するからよく聞いていてね」

 

 それがこの人、オレンジ髪黒目の18歳男性。ティーダ・ランスター。

この隊の新人で一等士官なのは彼だけであり、最年長なこともあり育成課新人部隊のリーダーを担っている。

ポジションはセンターガードで、部隊はティーダがいなければ機能しないといっても過言ではない。

一緒に行動するようになって一ヶ月しか経ってないが、もう皆からリーダーとして認められているスゴい人である。

 

 

 

 

 

 

「ルカ遅い! もっと早くルーのフォローに入れ! アルは3m左に広がって、陣形を乱すなよ!」

 

「「はい!」」

 

 ティーダさんの指揮が訓練場に響く。

相手はロッテでアリアは休憩、6VS1という超ハンデの訓練なのだがさすがはロッテというところか、こちらのタイミングを外してフォーメーションの隙間に入り込んでくる。

そうやって入り込まれて乱された部分は俺がフォローしているのだが、それすらもロッテの動きが上回るというのが現状だ。

そして俺が動いた分それを活かすためにフォーメーションが更に動く……と。

 

 負の連鎖とまではいかなくても悪い流れなのは間違いない。

俺が動かなければいいと思った事もあるが、それでは陣形が崩されてアウトなので極力迷惑をかけないように動いている。しかし、そうやって消極的になると部隊の動きが悪くなってしまう。

 

「ストーップ!」

 

 アリアの声で皆の動きが止まる。

こんなときはアリアの指導が入るのが普通だ。

 

「ランスター一士」

「はい!」

「指揮が遅い。ロッテの動きから、どこに入ってくるのか予測して動くこと」

「はい!」

 

 ロッテは手加減してくれているんだろうが、それでも新人の俺らからしてみれば分かりにくい。

上半身を使ったフェイントに気をとられたり、柔軟な身体を活かして急な方向転換など、やりたい放題やられている感じだ。

 

「石神二士」

「はい!」

「動きが中途半端すぎ。援護するなら援護する、無視するなら無視する。どちらか一方に絞りなさい。あなたの役割が何を求められているのかを把握して動かないと意味ないよ」

「了解!」

 

 俺が中途半端に動けば、それだけティーダに負担がかかる。

ティーダに負担がかかれば、それだけ隊の動きの質や速度が低下する。

 

 隊を活かして俺も輝く、そんな動きができれば一番なのだろうが、今の俺ではどうすればいいのか試行錯誤の状態だ。

まぁでもそれでいいのかもしれない。

 

「ケンスケぼーっとするな!」

「は、はい!」

 

 試行錯誤して間違いを犯し、修正しながら一歩ずつ進んでいく。それでいいんじゃないかな。

 

 のんびりしたことを考え、訓練の時間はすぎていった。

 

 

 

 

 

 

 




オリキャラたちの設定は次回の後書きでやるから心配しないでください。


では、この小説を読んでくれた全ての方にありったけの感謝を



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