魔法少女リリカルなのは~チートな主人公が頑張っている物語~   作:てりー

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第四話 友達っていいもんですね

前回のあらすじ

訓練終了です

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん……朝か」

 

 時刻はいつもどおり5時、転生前に弓道部に所属していた俺は、毎朝あった朝練の影響か、いくら夜更かしをしようが5時には起きてしまうという得かどうかよくわからない能力がある。

 

 季節は冬なので、身を切るような寒さが支配している廊下にでると自然と足が速くなる。

階段を降りていくと、外が暗いなかリビングには明々と光がついていた。

 

「おはようございます」

「おはよう、けん君」

 

 大学生の息子がいるとは思えないほど若々しく、ふわっと笑うと20代じゃなかろうかとまで思う人、高町桃子さんが起きていた。

今日は平日なのでお弁当の用意といったところだろうか、居候にここまでよくしてもらえることは本当に頭が下がる思いだ。

 

「……ぷはっ、冷てぇな」

 

 洗面所にいき冷たい水を顔にあてると完全に目が覚めた、くしで髪を整えた後は部屋に戻って服を着替える。とはいっても普段着や制服ではない、トレーニング用の黒いシャツだ。

俺や恭也さんといった御神流の面々は、毎朝鍛錬をしている。とはいえ早朝ということもあるので鍛錬自体はランニングや型の確認といった軽いものだけれど。

 

 ジャージを羽織り、外に出てストレッチをしているとドアが開く音がした。

 

「おはよう、けん君」

「おはようございます士郎さん」

 

 高町家の家長にして剣の師であるこの人は高町士郎さん、元祖チートとでもいえばいいのだろうか、昔ボディーガードをしている最中に怪我をしてしまい十分な戦闘が出来なくなったらしいが、それを感じさせてくれることはあまりない。

 

「今日はどんな予定なんだい?」

「学校に行った後に、今日は本局で仕事があるそうなので本局に行く予定です」

 

 昨日グレアムさんからいきなり言われた事なのだが、今日は俺が育成課に行ったらすぐに本局に行くらしい。何をやるのかはよく知らない。

 

「おはよう剣介」

「おはようけん君」

「おはようございます恭也さん、美由紀さん」

 

 立場的には俺の兄弟子にあたる人、それが高町恭也さん、二代目チート、たぶん現在高町家最強の人だ。

イケメン、クール、でも中身は優しい、という主人公を地でいってる人。しかも美人の彼女持ちという完璧さ、嫉妬する気もおこらない。とはこのことか

 

 師範代である恭也さんの一番弟子(一人しかいないが)である高町美由紀さん、恭也さんを上回る天才と言われていて、実際に成長速度は素晴らしいらしい。

 

「今日はどこまで走ります?」

「じゃあ今日は裏山まで走ろう、行こうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 音が聞こえる。もう朝なんだろうか……さっき寝たばかりに思えちゃう。

音を探して手を動かすけれど見つからない……あ、外か、寒いなぁ。

 

 私の身を包んでいる布団から手をだすと、冷たい空気が我先にと布団内になだれ込んでいく……でたくないかも。

そのまま手をバタバタと振ると、固い物をはじく感触がして、床にアラーム機能付きの携帯電話がおちた。

 

「うー、寒い~」

 

 仕方がないから布団からでると、思わず身震いしてしまうような寒さに、アラームを消したあと布団に戻りたくなるけど我慢する。

 

〔おはようございますマスター〕

「おはようレイジングハート」

 

 机の上に置いてある布を見ると、赤い宝石が鎮座してある。

無機質な機械音声でありながらも温かく聞こえるのは、私の気のせいではなく、レイジングハートというインテリジェントデバイスならではの温もりだと思う。 

 

〔マスター、ジャンヌ様よりメールがきています〕 

「ほえ? ジャンヌさんから?」

〔今日の訓練、という題です。いま出します〕

 

 空中に四角いパネルが浮かび上がり、ヘンテコな文字が表示された。これはミッドで使われている文字だ。

 

 私やけん君が管理局でお世話になると決めて、まず最初に勉強したのがミッド文字だ。言語という枠のなかでは難しい部類ではないらしく、単語さえ覚えてしまえば後は簡単に読むことができるようになった。

とはいえ、人と翻訳装置なしで会話出来るようになったのはつい最近なんだけど。

 

「えっと……

『深夜にすまない。

明日の訓練、及び教導は中止とする。

明後日からのスケジュールは予定通りなので、明日一日ゆっくりと休んでおくように。

もう一度言っておく、自主訓練などでミッドに来ないで、ゆっくりと休んでおくように。

ジャンヌ・ダルリア一等空佐』

これって……今日が休みってことだよね」

〔そういうことですね〕

 

 お休みなんて久しぶりだなぁ、いついらいだっけ………………え~と………………あれ?………………よ、よし、今日はアリサちゃんとすずかちゃんと遊ぼう、そうしよう。

 

 固い、とっても固い決意を固めてリビングへ行くと、お母さんが朝ご飯を作っている。そうだ、今日の夜ご飯は私が作ろうかな。

 

「おはよう、お母さん」

「あら、おはようなのは、もう出来上がるからお父さんたちを呼んできてくれるかしら」

「はーい」

 

 イスにかけられたタオルを持って外にでて、道場のほうに向かうと、木刀と木刀がぶつかり合う音がした。

私は運動神経がまったくないので剣術を習うことはないけれど、今でも……むしろ今のほうがかな、訓練を見ているので何で打ち合っているかぐらいはわかる。

 

「みんな~、おはよ~、朝ご飯できてるよー」

 

 道場の扉をあけて叫ぶと、動いていた二人がとまった、お姉ちゃんとけん君だ。

二人にそれぞれタオルを投げると、今日はちょうど胸におさまってくれたのでよかった。

飛距離が足らないことが何度もあったのです……。

 

「ありがとうなのは、それとおはよう」

「おはようけん君」

 

 このちょっと女の子っぽい顔をして、吸い込まれそうな琥珀色の瞳の男の子は、石神剣介。

いつも私を助けてくれて、導いてくれて……私の一番近いところにいる男の子。

 

 言っていることや考えている事が大人っぽくて、ちょっと分からないこともあるけど、いつでも私たちの事を考えてくれる優しい人。

 

 でもたまに、もう手に入れられないものを想っているように窓の外を見つめているけん君がいる。すぐに私に気づいて絶対に笑って、どうしたって聞いてくるけどどうしたじゃないよっていつも思う。

 

 私は居候になる前のけん君を知らない、お父さんもお母さんも、お兄ちゃんやお姉ちゃんも知らない。けん君が話してくれるのを待とうってお父さんが言っていたから、今はそれを待っている最中。

いつ話してくれるかわからない、一生話してくれないかもしれない。小学生の私だって、同い年の子供が両親をなくしてさまよい歩いていた、という事がどれほど異常だなんて気づいている。だからとても重い理由があるのだろう。

それでも私は待とう。

なんでかって?

けん君が好きだから。けん君の事を誰よりも知りたいから。

理由なんてそれだけ、でも、十分なんじゃないのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「おーいなのはー置いてくぞー」

「ちょっと待って~、あと2分」

「ったく、朝からダッシュだな、こりゃ」

 

 玄関前でなのはを待つこと5分。あいつらと約束しているバスの発車時刻が近くなってきた。

 

 俺となのはの通う学校の名前は、私立聖祥学園初等部。

お坊ちゃまお嬢様がわんさかいる金持ち学園で、質の高い勉強だけでなく常識、良識を育てる学校だ。

俺としてはそんな良いとこ、いや、そもそも学校なんぞ行くつもりはなかったのだが、士郎さんと桃子さんに、いつのまにやら試験を受ける日程を決められており、入学させていただいた。

入ってみた感想は、お坊ちゃまだなぁというくらいで、明らかにおかしなやつなどがいない平和な学校という感じだ。

 

「けん君おまたせ!」

「お待ちしてました、走るぞ」

「うん!」

 

 聖祥小学校の制服であり、バリアジャケットの元となった白を基調とした服でおりてきたなのは、急いで用意しました! というのを前面におしだした格好になっていた。要するに酷いってこった。まぁ今は時間がないんだが。

 

「はぁ……はぁ……何とか間に合った~」

「ギリギリだったな」

 

 運転手さんのご好意によって、少しだけ発車が遅れたバスになのはをねじこんで、なんとか間に合った。

運動神経が切れているなのはは手すりに掴まってへたり込みそうになっている。全力疾走した証だろう。

 

「おはよ~!」

「なのはちゃん、けん君、こっちに席とってるよ」

「いつもありがとな、今行くよ」

 

 最初に元気よく声をかけてくれたのが、金髪翠目の少女、アリサ・バニングス……ツンデレ。

席をぽんぽんと叩きながらおっとりと呼んでくれたのが青髪黒目の少女、月村すずかだ。

 

「おは……よう、アリ……サちゃん、すず……かちゃん」

「大丈夫? なのはちゃん」

「あんた、本当に走るの苦手よね」

 

 管理局で仕事をしている以上、体力がついて当然と思っていたが、なのはの場合そうでもない。

長所を伸ばしまくるという信念のもとに指導するジャンヌさんのせいかわからないが、今は、体力よりも理論的なことを重視しているらしい。それでも昔より体力はついたみたいだが。

なのはの場合は魔力が無尽蔵なので、体力がなくてもなんとかなってしまうみたいってのも影響しているらしい。

 

「そういえばケン、フェイト達が帰ってくるのって今日だっけ?」

「ん、あぁ。連絡では今日の19時くらいに家に着くそうだ」

「アリサちゃん、すずかちゃん、今日はお休みらしいから、後で遊ばない」

「いいわね久しぶりに」

「うん、そうしようなのはちゃん」

 

 さっきなのはに今日が休みだと言うことを聞いたのだが、本当に久し振りだ。

ジャンヌさんが悪いわけじゃない。悪いのはなのはで、ジャンヌさんのような指導役の先輩がつけられた場合休日はその人の予定に合わせられる。ジャンヌさんの休日はなのはの休日というわけだ。

 

 しかし、いくらジャンヌさんが休日になろうとも、なのはが他の人に教わろうと自主的にミッドに行くので今まで休んでいる日などなかった。

今日の休日は、それを見越したのかキツい書き方だった。いや、それくらいしなければなのはは従わないので仕方がないのだが。

 

「なのはちゃん急いでいたみたいだね、制服がグシャグシャだよ」

「ふぇ!? あぁ~もうほんとだぁ、朝のセットは上手くいったのに」

「ちょっとこっち向きなさい、直してあげるから」

「うん。ありがとうアリサちゃん」

「おぉ、仲良きことは美しきかな」

「けん君も、気づいてたなら教えてくれてもいいじゃない」

「いやそれどころじゃなかっただろうが」

「むー……それはそうなんだけどさ」

 

 ちょっとふくれっ面をしながら文句を言ってくるなのはをなだめつつ、外をみると綺麗な海が広がったいた。

 

 ここの都市の名前は海鳴、名前からわかるとおり海の音がよく聞こえる場所で、夏には海水浴を楽しむことができる。

今年の夏にも高町家、ハラオウン家、はやて家、俺、アリサ、すずかで遊んだりしていた。

一番苦労したのは各人の予定を合わせること、というのは笑い話か笑えない話か。

 

 何とはなしに制服を直しているアリサを見ていると、目があったアリサが話しかけてきた。

 

「ケン、今日は仕事なの?」   

「あぁ、今日は放課後からで間に合うらしいけどな」

「やっぱりあんたたちとの予定は合わないわね」

 

 ちょっと残念そうに、そして分かっているわよというふうに肩をすくめるアリサ。

俺が休みの日でもなのはが休みでない、という日がほとんどでその逆はあまりないのだが、一年前に比べて遊ぶ機会が減ったというのは確実だ。

そういう道を選んだのだから仕方がないし、普通より労働時間が短いなど優遇されてはいるのだが、10歳のガキが外で遊ばず仕事をするってのはおかしいだろう。

 

「けん君もなのはちゃんも倒れたりしないでね、私もアリサちゃんも心配してるんだよ」

「俺は普通の人より何倍も鍛えてるからへーき」

「そういうこと言うから余計に心配するんだよけん君」

「ま、それは俺よりこの娘に言ってくれ、俺よりよっぽど無茶してる」

「ふぇ!? あ、ほ、ほら、学校見えてきたよ」

「こりゃまた物凄い話題そらしをしてきたわね……ま、いいわよ、とにかく2人とも、私たちが心配してるんだって事は知っておきなさいよ」

「あぁ、ありがとうアリサ、すずか」「うん、ありがとうねすずかちゃん、アリサちゃん」

 

 

 




感想感謝コーナーです。
『シリカ』さん感想ありがとうございました


作者は批判感想なども大歓迎ですから、厳しい意見もお待ちしています。
また、調べてはいますが、リリカルなのはの設定を分かっていない事が多いので、間違っていることや覚えておいた方がいいことなど教えていただけるとありがたいです。
もしも感想に書くのが嫌ならばメッセージでも大丈夫です。
理不尽な要求(神転生はくだらないから書くのをやめろなど)以外はできる限り真摯に対応していきます。

この小説を読んでくださる方にありったけの感謝を。


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