魔法少女リリカルなのは~チートな主人公が頑張っている物語~   作:てりー

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第五話 stsで後見人に三提督がいたけど、もう少し驚いてもいいと思うんだ

前回のあらすじ

アリサとすずかに会いました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カシャっという音とともに時間が表示され、自分の名前に○が書き込まれる。これでタイムカードは完了。

ミーティングルームや事務関連の仕事をする部屋などがある廊下を一番奥までいくと、一つだけ扉の形が違う部屋がある。それが隊長室だ。

 

「石神二士、ただいま出社しました」 

 

 ノックをして入り、敬礼をする。まぁ毎日のことだ。

グレアムさんも俺が来る時間はだいたい分かっているので、慣れたものだ。

 

「うむ、では荷物を置いて準備してきたまえ。他の者達もそろそろ帰ってくるはずだ」

「了解」

 

 部屋を出て一つため息。今日の業務内容は外回りで、市街地を警備もかねて見回るものだったはずだ。

 

 ミッドの治安は地球に比べてもかなり良いほうだ。日本並みとまではいかないが、質量兵器の使用が禁止されているので大規模なテロはあまりない。夜道を歩いても、危険を感じる地域は少ない。その代わり魔法を使った軽犯罪は多いんだけど。

 

 ミッド市内に何があるのかは地図上では覚えた。でも実際に歩いてみなければわからない……のだが、今のところ隊舎と地上本部の往復しかしていないので、ちょっと心配だ。

 

「ま、今度休みになったときでも回ってみるかな」

 

 バビロンから水を取りだして一口含み、学校で出された宿題をとりだす。死ぬほど簡単ではあるのだが、毎日だされるので(あたりまえ)面倒。

 

 夏休みなど自由研究の宿題がでたので、民主政治と共産主義の違いを各国から検証してみた、という題でレポート用紙30枚ぶん書いたら親にやってもらったと疑われたのだ。

なんとか誤解はとけたが、あれ以来もう宿題なんて真面目にやっていない。まぁ提出はするけどね。

 

「たっだいまぁ!」

 

 宿題を終わらせていらないものをバビロンに放り込んでいると、どっかで聞いた猫の声がした。

もう少し遅くなるかと思ったけど早めに切り上げたのだろう。

 

 首をならして腰をあげると、ドアが開いてルーがきた。

 

「こんにちはケン」

「こんちはルー、もう行くのか?」

「えぇ、5分後にミーティングルーム集合だそうです」

「りょーかい」

 

 新人育成課は色々な部屋がある。とはいっても機能していないものがほとんどで、だいたいは部屋だけもうけられているといった感じだ。デバイスルームなどか良い(悪い)見本である。

 

 デバイスルームがなぜ部屋だけか、というと、ルームを作る条件の一つにデバイスマイスターが一人以上いなければならない。というのがあるのだが、うちには一人もデバイスマイスターがいないからだ。……じゃあ作るなよ。

 

 まぁもっともなつっこみはおいておいて、ミーティングルーム(通称万能部屋)につくと、もう全員が集合していた。

 

「では、今から本局に向かおう。まずは地上本部に行くよ」

「「了解!」」

 

 

 

 

 

 リーゼ姉妹含めて全員で本局に向かうため俺たちは全員で電車に乗っている。

色々な事を話しながら乗っているので退屈というわけではないのだが……。

 

「……隊長」

「どうしたんだいアルベルト君」

「……車買いません?」

 

 平日の昼間っから制服を着た職員(しかも老若男女)が電車にのって移動している。かなりシュールな光景ではないだろうか。

現代日本で例えるなら、自衛隊の制服を着た集団が山手線に乗っているようなものだ。

 

「ふむ、自腹ならば考えないこともないが……」

「それか転送ポートやヘリコプターか設置しましょうよ、これはギャグですって」

「それは私も思ったのだけれどね、お金がないんだ」

「せ……切実っすね」

 

 あまりに現実的な返答に言葉が詰まるアル。それを聞いて意気消沈する俺たち。

 

「ま、まぁいいじゃない! こうやって電車に乗るのも良い運動になるわよ!」

「そ、そうだよね!」

「「………………」」

 

 どうしようもない沈黙は地上本部に着くまで続いた……どうすりゃいいんだよこれ。

 

 

 

 

 

「新人育成課様ですね、お待ちしておりました。一番ポートに入ってお待ちください」 

「アル、仕事中だからね」

「わ、わーってますよ」

 

 受付のお姉さんに転送ポートの予約表を渡してポートまで案内してもらう。口説こうと一歩でたアルをアリアがたしなめるのはいつもの光景だ。

 

 本局と地上本部を結ぶ専用の転送ポートに待ち時間無しで乗りたければ予約はかかせない。待ち時間が通常時20分、混雑時1時間というどこぞのアトラクション並みなのだ。

 

「アルはもう少し自制心というのを持ちなよ」

「そうはいうけどティーダさん、美人の女性がいたら口説かなけりゃ失礼ってもんでしょ~」

「あなたのアグレッシブな精神だけは見習いたいですね」

「ルーは女性が苦手だもんな」

 

 ポートで待っている間、グダグダと雑談する。

ルーは仕事ならば問題ないが、プライベートで女性と接する事が苦手なのだ。結成当初の一週間、リーゼ姉妹とルカ相手にプライベートで話せなかったのだから重症だろう。

 

「慣れれば平気だもんねルーは。私の時だってそうだったじゃない」

「待てルカ、もしかしたらルカは女性としてカウン「誰がまな板だっ!」ゲフッ!?」

「ケ、ケン、大丈夫?」

「誰もまな板とは「まだ言うかあっ!」グハッ!?」

「ケンって進んで地雷を踏みにいくよな」

 

 フンッ! と鼻から息をだして倒れた俺を踏みつけるルカと苦笑してる皆、なんでこうボケたあとの攻撃って痛いんだろうな。

 

「ほらルカ、そろそろ機嫌を治しなさい」

「ケン、もう言わない?」

「はい、言いません」

「それならよろしい」

 

 グレアムさんが止めに入り、俺に約束をさせたうえで離れるルカ。

あぁー痛い。あとで仕返しにパンツの色をアルに教えてやろう。俺を踏んだことを後悔するがよい。

 

「あ、あのぉー、転送の説明に移ってもよろしいでしょうか?」

「あ、よろしくお願いします」

 

 口をはさみづらい雰囲気だったのだろう。すごく申しわけなさそうな声が聞こえてきた。

 

 なんかグリグリとした変な感触が腕に伝わってきた。

何かと思いそちらの方向を見ると、まな板娘がこちらを軽く睨みながら肘を押しつけている。俺のせいだとでも言うのだろうか。まぁだいたい俺のせいだが。

 

 俺は当たっている肘を腕からはずして、その勢いのまま相手のわき腹に腕を伸ばす。

 

ーーそれは白鳥のごとく優雅に

 

ーーそれは鷲のごとく鋭く

 

ーーそれは羊の毛のように柔らかく繊細に

 

ルカのわき腹を軽くもみ上げた。

 

「うひゃぁ!?」

 

 柔らかい感触がした瞬間、ビクンとした動きとともに軽く跳ね上がるルカ。

 

「ど、どうしたルカ?」

「どうしたの?」

「な、なんでもないです。大丈夫です」

【あとで絶対泣かしてやるから覚悟しなさいよケン!】

 

 いきなり跳ね上がるなんてどうしたのだろうと思い、極めて心配そうに声をかけると念話でなんか恐ろしいメッセージがきた。心配してやったのになんて理不尽なんだろう。

 

  

 

 

 

「本局に到着しました。お忘れ物のないようご注意ください」

 

 紆余曲折はあったものの説明は無事終了し、転送も不具合なく成功した。

 

 ここは管理局本局。管理局が介入している全ての世界からエースを集めた管理局最強の場所。それは戦闘面だけではなく技術面もだ。掛け値無しに世界のトップが集まった宇宙空間なのである。

 

 転送ポートから出て、外に向かう。俺とティーダ以外の新人組は本局に来るのが初めてらしく、相当興奮しているのが伝わってくる。

 

「うっわぁぁぁ!!」

「いやぁ~これはスンゴいね~」

 

 転送ポートを出ていきなり表れる次元の狭間。暗い中に本局の建物の灯りが混ざっているため幻想的な風景になっている。さながら暗闇に浮かぶダイヤモンドといったところか。

本局オススメのスポットとして雑誌に取り上げられたこともあるらしい。

 

「はぁ~……あっち見てみなさいよサラ、なんかあるよ!」

「本当だ! キラキラしてるけどなんなんだろうね」

 

 さっきまでの不機嫌はどこへいったのか子供のように……中学生って十分子供だな。

年相応にはしゃぐルカとサラに、表向きは平静に、それでも隠しきれていない興奮がにじみ出ているアルとルー。

 

「ほら、あとでいくらでも見れるから行くよ」  

「えー……今の興奮が必要なのにぃ」

「こら、ルカ二士、これは仕事なんだからね」

「……了解」

 

 アリアがぐずるルカをなんとか説得し、ようやく出発。10分くらい見てたけどよく飽きなかったな。

ルカはまだ後ろ髪ひかれるのか、何度も後ろを振り向いてはため息をついていた。

 

 

 本局の玄関口たる転送ポートを抜けると、いよいよ本局内部だ。一般人が入れるのは受付までなのだが、その受付もものすごい。

5階はあるであろう吹き抜けの造りで待合い席も広大。待ち時間が一時間などはざらなのでレクリエーションスペースも確保してあるという至れり尽くせりな受付空間なのである。

まぁ俺たちは一般人ではないので受付には行かず、職員用入り口から入るんだけどね。

 

 入り口から入るとかなり広い空間にでた。10数機のエスカレーターが設置されており、空中に浮かんだ掲示板がそれぞれどの部署に行くのかを教えてくれている。教導隊は3番エレベーターのようだ。

 

「隊長。今日は本局に行くと聞いただけで具体的な話は聞いていませんが、何をするのでしょうか」

 

 迷うことなく10番エレベーターに向かっていくグレアムさん。10番エレベーターの行き先が会議室と書いてあるのを目にしたルーは、本当に何をするのか分からなくなったのか尋ねた。

俺も聞きたいので軽くうなずく。他の新人組も同じ反応だ。

 

「あぁ、そういえばまだ話していなかったね。今日は育成課の後見人に会って貰おうと思ってね」

「「後見人?」」

 

 後見人とは、その名の通り部隊を後ろから支えてくれる人だ。資金援助や権力としての後ろ盾など、支える幅は広い。会社でいえば株主のようなものだろうか。

 

「理由は分かったのですが、なぜ隊長や副長だけでなく平の私たちもなのですか?」

 

 グレアムさん……というか新人育成課の後見人なんてかなり階級の高い方達ばかりだろう。そんな方々に俺たちが会うなんぞ普通は考えられない。平が社長よりも偉い人にいきなり会うとかどんなギャグだよ。

 

「先方がぜひ君たちの顔をみたいそうだ。書類上ではなく現実でね」

「こっちにとっては心労が重なるだけの不要イベントというわけですね」

「身も蓋もない言い方をすればそうなのかもしれないが、こんな私に協力してくれる方々だ。失礼の無いようにね」

「「了解」」

 

 ここにいる新人達はグレアムさんが何をしたのか知らない。闇の書事件に介入した事は工作により事実上闇に葬られている。

局の一部、海で言えば提督以上、階級でいえば将官以上は知っているが、一般の局員が知らないのは必然だろう。

 

 そして、今回グレアムさんの後ろ盾になってくれているという人達は最低でも将官以上らしいので、確実にあの事は知っているのだろう。それでもグレアムさんの後ろ盾になってくれている。それがどれほどの決断なのか分からないが、俺の希望を叶えてくれた方々だ、どんな人なのか楽しみだ。

 

 

 エレベーターを3機ほど乗りついで辿り着いたのが、小会議室と書かれた扉の前だった。

内部からは数人の気配がするのでもう来ているということなのだろう。

 

 ネクタイを少し直すグレアムさんと制服の裾を直すリーゼ姉妹をみて、緊張しはじめる俺たち。

 

「ギル・グレアム以下、新人育成課、ただいま到着致しました」

「入れ」

 

 軽いノックをして、俺たちが到着したことを伝えると、中から厳かな声が返ってきた。これだけでどれだけ偉いか分かるといったものだ。

 

「失礼します」

 

 ガチャッ。という音が聞こえてグレアムさんが会議室の安っぽいドアを開けると、そこには男性二人が座っていた。

「よぉグレアム、久しぶりだな」

「久しぶりだな、ガイナス」

 

 酒焼けのガラガラ声で野球のミットのような手を差し出しているのはクマのように大きな男性。今は笑みを浮かべているのでそれほど怖くないが、訓練の時あの顔で怒られたら相当恐ろしいのだろう。

 

「で、こいつらが隊員か?」

「あぁそうだ」

「ふぅむ」

 

 顎に手を当てて滑らせながら、俺たちを品定めするように見る。たったそれだけの動作なのにとって食われるような思いがするのはなぜなのだろうか。

 

「ガイナス准将、そろそろお座りを」

「ん? あぁそうだったな、ガハハハハハハッ!」

 

 奥から聞こえてきた声は低いながらも良く通り、まるで説教をする神父のような雰囲気があった。

よく見ようと身を乗り出した瞬間ーー。

 

「グレアム君、育成課の君たちも座りたまえ」

「失礼いたします」

 

 着席を促されたので全員座る。備え付けのテーブルを挟んで後見人二人と育成課9人という形だ。

 

 先ほどの人を見てみると、初老ながらも黒くキレイな長髪を、後ろで束ねた細身で長身の人だった。眼光は鋭く細い目をしている。

 

「では、まず我が新人育成課に協力してくださる後見人のお二方を紹介致します。

本局防衛軍司令官ガイナス・グレイ准将と、聖王教会ルマン・ロール枢機卿です。」

 

 一気に場が緊張するのが分かる。偉い人だろうとは思っていたが、こんなビッグネームがくるとは思っていなかった。

まずはガイナス准将。管理局でレジアス中将と双璧をなす武闘派で、武装隊という超エリート集団ではなくあえて一般の局員を鍛えることで管理局全体の底上げを担っている。管理局が抱える軍全ての、実質的なトップだ。

 

「ガイナス・グレイだ。ここで会ったも何かの縁。そこの坊主、あとで酒でも飲みにいかんか、ほれ」

「ガイナス、10歳の小学生に酒を勧めてどうするのだ」

「ぬぁっはっはっはっは! そうか10歳か! どうりでチビスケだと思ったわ!」

 

 豪放で階級の違いを気にしないスタイルは局員にも人気で、野郎だけが入れるファンクラブもあるらしい。アッーーーー! な人たちが集まっているのかもしれないな。

 

 次に控えるのがルマン枢機卿。こちらも准将ほどではないがビッグネームだ。

聖王教会には12人の枢機卿がいて、その内の一人。影響力は素晴らしく、彼らの言葉で紛争が収まった事例もある。

 

「紹介に預かったルマン・ロールです。君たちに伝えたい言葉がある、それは。

私がこの隊を後見する意味。グレアム君があなたがたをこの隊に入れた意味。今の管理局でどのように自分を活かしていくのか……まだこの言葉の意味を分かっていないかたもいると思うが、是非考えて、形にしてほしい」

 

 スーッと。心に染み渡るように広がる穏やかな言葉。これが枢機卿にまで至った方の説得力なのだろうか。

気がつくと、いつのまにか皆は虚空をみつめ、今の言葉の意味を考えていた。

 

 

 

 実はこの後のことをよく覚えていない。グレアムさんやリーゼ姉妹は、皆がルマン枢機卿の言葉を考えており上の空だったらしい。

 

 俺は自分の形が見えている。それはなのはを、フェイトを、はやてを、俺の大切な一を守ることであり、華音から託された使命だ。

だがそれは管理局にどう貢献するか、ではない。もちろん管理局など利用するだけというスタンスは変わらない。

 

 でも少しだけ……なんて言えばいいかな……管理局にいる間に貢献すべき機会は多くでてくる。ただ利用するだけにしても、どうやって利用するのか、ウィンウィンの関係にするのか。など、考えるという事をする。これはこれから関わっていくのに際して避けてはいけない事なのだろうと思ったんだ。

 

 

 

 

 




今回はオリジナルキャラクターが二人出てきました育成課の面々にとっての選択肢を広げるためのキャラクターです。
レギュラーキャラではなく、stsでのクロノのようなサブキャラとなる予定ですね。

次回、フェイトとはやてが出ます。


この小説を読んでくださる全ての方にありったけの感謝を

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