魔法少女リリカルなのは~チートな主人公が頑張っている物語~   作:てりー

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第六話 ストップ・ジ・バルサ完遂

前回のあらすじ

後見人に会いました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼します」

「おぉ! またいつでも訪ねてこい!」

「では、いずれまた」

 

 後見人であるガイナス、ルマンと別れたギル・グレアムは軽い頭痛におそわれていた。その小さな痛みの原因は先ほどのルマンによる話にある。

ルマンの言った考えるという言葉。それはは新人達に伝えるべき言葉であった。が、今ではない。彼らが進路を決める時、彼らが管理局員としてはばたく時に伝える言葉だ。

今の彼らにあの言葉は重すぎる。

 

 あの言葉を考えすぎると、自分が管理局に仕えているといった感情が芽ばえてしまう。

これは若いほど顕著で、特に剣介君のような小学生~中学生。剣介君は問題ないだろうが、それくらいの年齢の子供の頃から管理局に勤めて凝り固まった思想になってしまう。ということがよくあるのだ。それは避けなければいけない。

 

「どうしたものかな」 

 

 ポツリとつぶやいた言葉は誰にも聞かれずにすんだようだ。

 

 彼、ルマン枢機卿と私は、ガイナスと違い仲が良いわけではない。課をつくるにあたって誰に後見人を求めるのが良いかと考えたときに、ガイナスから紹介されたのだ。

 

 聖王教会は管理世界において絶大な力を有している。その最高幹部である枢機卿に味方をしてもらえば承認されやすい、ということだ。

 

 その効果は素晴らしく、彼の名前が入っているだけで皆が一目置くのである。それ相応の対価はとられたが。

我が隊の運営費が足りないというのはこれが原因と言っても過言ではないのだ。

 

「父様、この後はどうするの?」

「あ、あぁ、今日はこれで終わりだから、隊にもどろうか」

「はーい」

 

 早めに毒を抜く。そのために風がほしいな。

対策を考えながらも、そういった存在が出てきてほしいと思う自分がいる。風になりえる新人といえば剣介君かティーダか……。軸を持っている者のみが惑わされないですむだろう。

 

 これからの事に頭を悩ませながら階段をおりた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁーケーン」

「んー?」

 

 エスカレーターの近くまでいける階段を降りているとアルに声をかけられた。

けだるそうにしながらも真面目さが混じっているので、地球産のギャルゲーを買ってきてくれなどの、年齢を考えてほしい要求ではないだろう。

 

「さっきの話、どう思う?」

「あぁあれか」

 

 枢機卿の話だろう。俺みたいに形ができていても迷わされかけたんだ。他の育成課の面々にとっては心に深く刺さったことだろう。

 

「気にすることないんじゃないか?」

「……はぁ?」

「ケン、それはどういうことだ?」

 

 数十分前まで混乱させられた俺が言うセリフではないので、アルや他の新人達もどういうことかという風に俺を見てくる。

 

「いやさ、確かに考えなければいけない問題だとは思うんだ。これから管理局員として生きていくならな。

でもなんか、小学生にギャルゲーを買ってこいというような……そんな感じがするんだ」

「どういうことなのかな」

「うーん……上手く言えないけどなんていうか、まだ早いって言えばいいのかな」

 

 俺たちが考えるべきことは他にある気がする。それが訓練なのか何なのかは分からないけれど。俺らが一人前の管理局員となったとき、考えることなのではないか。

 

 分かったような分かっていないような表情をしながら歩く皆に少し申し訳ないが、これ以上どう説明すればいいのか分からない。俺だってなんとなくなんだからな。

 

「けん君!」

 

 エスカレーターの方向に歩いていくところで聞き慣れた声が耳に届いた。

 

「お、はやて、今帰ってきたのか?」

「そうなんよ~、フェイトちゃん達も仲にいるで。あ、久しぶりです。グレアムのおじさん」

 

 声の主は八神はやて。去年の闇の書事件における当事者だ。グレアムさんとは既に仲直り済み。今もグレアムさんは八神家の経済援助をしている。

 

「はやてくん。航海の帰りかい?」

「そうなんですよ~」

 

 まだ立って歩くことになれていないのだろう。手すりに掴まりながら話すはやて。闇の書によって蝕まれていた麻痺が消える前は車椅子生活だったのだが、それが治ったことによりリハビリをしながら管理局に所属しているのだ。

 

「ねぇケン、あの女の子知り合い? グレアム隊長のことおじさんって呼んでるし」

「あぁ。八神はやて、友人だな。」

「ふーん……可愛い子ねぇ~」

 

 ふとアルを見ると、顎に手をあてながらはやてをじっと見ている。変態かお前は。

 

「あと10年……いや、7年くらい……」

「おいアル、社会的に抹殺してやろうか」

「7年後ならいいじゃねぇか! 十分大人だろ」

「そのときのお前の年齢は?」

「24?」

「ロリコンじゃねぇか!」

 

 俺がつっこみをいれて、甘んじて受けるアル。こういったやりとりも日常茶飯事なのだが、俺の友人連中(同年代、ヴィータを除く)に手を出したらアルは約束された勝利の剣(エクスカリバー)で消し炭にしてやろう。

 

「主、どうしたのですか……剣介ではないか」

 

 そんな騒ぎを聞きつけたのか、桃色長髪を先っぽでまとめたおっぱい魔人がやってきた。彼女はシグナム。闇の書事件の主犯格であり、俺が知る騎士の中で一番騎士らしい人だ。

 

「あぁシグナム久しぶ「そこの綺麗なお姉さん! 私の名前はアルベルト・クラフェルト……」あ~こりゃ止めらんねぇわ」

「我慢の限界ってやつね、あれも病気よ」

「な、なんだいきなり。け、剣介! どうにかしてくれないか」

「無理」

 

「あらあら、なんの騒ぎ……グレアムさんに剣介さん。今日は本局にいらしていたのね」

「ケンスケ、来ていたんだ」

「あたしは剣介以上に珍しい光景が見えてんだが」

「我らが将があんなにうろたえている姿を見るのは初めてね」

「外が騒がしいと思ったら君か」

「やっほー剣介君」

 

 シグナムを心配したのだろうか、アースラの面々が一斉にでてきた。彼らは戦艦アースラに所属しているクルーだ。

今回は一週間ほど航海していた。前みたいな次元震の調査といったところだろうか。

 

 にこにことした笑顔でこちらにきたのは長い金髪の女の子。フェイト・テスタロッサ・ハラオウンだ。

ジュエルシードを奪い合う事件。俗に言うPT事件で仲良くなった女の子。今は執務官の資格をとるために勉強中らしい。 

 

「よぉフェイト、元気だったか?」

「うん。私は元気だったよ」

「そりゃよかった」

 

 会えて心底嬉しい。そんな顔で笑われるとされるとこちらも嬉しくなってしまう。そんな素直さがフェイトの良いところなのだろう。

 

「ねぇケンスケ、後ろにいる人たちって」

「私はキュルカス・クローバー。フェイトちゃんだよね、私の事はルカって呼んで!」

「は、はい。よろしくお願いします」

 

 ドンッ! という効果音がなりそうなほど(無い)胸をはって自己紹介をするルカに気圧されるフェイト。こういう力強さは初めてだろうからな。

 

「僕の名前はサラミス・イーリアス。サラでいいよ。で、こっちが……」

「あぁぁぁ女が一人女が二人女が三人」

「ものの見事に壊れてるな」

「さっきまでテンパってただけだったんだけどね」

「すまんなフェイト、こいつはルーオカ・キザンカ。まぁ気にしなくていいから」

「だ、大丈夫なのかな」

「へーきへーき」

 

 自分が何か失礼なことをしてしまったのではないかとオロオロするフェイトだが、ルーの場合はある意味病気なので仕方ないだろう。

 

「な ん で こんなに美人さんたちが集まってるんだよ!」

 

 アルはアルで楽しんでいるようで何よりだ。ここにいる全ての女性(小学生を除く)に声をかけているようで、フェイトの義母リンディさんと、シャマルさんは喜び、エイミィさんは苦笑しながら受け流ししていた。

 

 ふと後ろを向くと遠くを見るような目をしているワンコが一匹。

 

「おっすザフィーラ」

「あぁ……」

「なんか呆れてる?」

「この光景をみて呆れぬ者はいないであろう」

 

 このワンコの名前はザフィーラ。普段はこんな感じで子犬や狼に変化してるが、実際に戦うとなれば犬耳をはやしたガチムチのお兄さんになる。

犬の姿からあれになったらトラウマ必至だろう。

 

 ふぅっとため息をつくザフィーラを見ているとなぜか撫でたくなる。毎日毛繕いをしてもらってる銀色の毛はカシミアもかくやという手触りの良さを誇るのだ。

人間形態のザフィーラに抱きついたらガッチガチだろうが、犬形態ならモッフモフしている。

 

「で、どうして君たちがいるんだ? ミッド勤務のはずだろう」

「おっすクロノ。そうしかめっ面をしてるとハゲるぞ」

「誰のせいだと思っているのだか」

 

 15歳のくせに二次成長が始まっておらず、世のショタどもを虜にしているこの女顔はクロノ・ハラオウン。フェイトの義兄だ。

 

 生真面目体質からの弄られ役と、根っからの苦労人で、アースラ勤務のエイミィ・リミエッタさんによくからかわれている。

俺やはやての予想では、あの人たちはカップルとなる。それくらい息ぴったりのコンビでもあるのだ。

 

 しっかし遠目に眺めてみると、こりゃ酷い光景だ。

アルは口説き周り、ルーはぶっ倒れ、ルカははしゃいでおり、サラは……普通でティーダはこめかみを抑えている。

あれ? 混沌としてる原因俺らじゃね? 

 

「リンディ提督たちはもう帰りですかな?」

「えぇ。ちょうど会議も終わったところですわ」

「ふむ、ならば丁度良いーー。

ーー育成課の者は石神以外帰宅するぞ!」

「「了解!」」

 

 こうなったときの育成課の動きは意外と早い。ちょーっと恨めしそうな顔をしている女好きも一名いるが、メルアドだけ渡して帰ろうとする姿はある意味潔い。

 

「じゃーねぇー」

「いつでも連絡待ってま~す」

 

 ものの数十秒で全員にメルアドを渡し終えたアルを最後に育成課の面々は去っていった。

さながら嵐のようなものだったのだろう。シグナムがなんかぐったりとしていた。

 

「大丈夫か? シグナム」

「……あ、あぁ。あれほど男に迫られたのは初めてだったのでな。あの男はいつもこんな感じなのか?」

「あー美人がいるとスイッチが入るんだよなぁ。特に今回は何人もいたから抑えきれなかったんだろうな。メールとか返さなくていいからな。嫌ならあいつに言っておくし」

「嫌、というわけではない。ただ驚いてしまっただけだ。だがメールは無理だな」

「なぜ?」

「私たちは携帯を持っていない」

 

 そんな理由かい!

こころのなかでツッコミを入れながら苦笑する。そういえば八神家ははやて以外持ってないんだよな。

まぁ携帯を積極的にいじるシグナムとか想像できないけど。

 

 Twitterで、仕事なう。とかつぶやいてるシグナムは似合わなすぎるだろ。 

 

「そもそもあたしらに仕事があれば、はやてへの連絡だけで済んじまうからな」 

 

 腕を組みながら至極まともな事を言う幼女はヴィータ。シグナムやザフィーラ、シャマルといっしょで闇の書の守護騎士をしている。そのちっこい外見からは似てもにつかないハンマーが武器だ。

カートリッジを使用して爆発的に威力を高めた攻撃は、なのはのシールドを抜いたこともある。

 

「剣介さん。今日はこの後用事あるかしら? 夕食一緒にどう?」

 

 リンディさんからの魅力的なお誘いだったが、今日は断ることにする。

朝、なのはが今日のご飯は私がつくるって嬉しそうに言っていたからな。これで別の場所で食べてきたらふてくされるだろう。

 

「すいません。今日はちょっと」

「残念ね~。はやてさん達、うちでお食事を食べていかない?」

「ほんまですか。およばれします。」

 

 リンディさんとクロノが住んでいる家はなのはの家からも見える高層マンションだ。はやての家からも遠く離れているというわけでもなく、守護騎士同伴なら危険な目にもあわない……むしろ相手のご冥福をお祈りする事態になりかねない。

 

 なにせ守護騎士は回復役であるシャマル以外の一人一人が一騎当千の力を持っており、一般局員なんざ意にも介さないくらいの腕前だからな。

 

 特にシグナムは、武装隊でない管理局員の中で最強クラスのリーゼ姉妹と打ち合えるくらいの腕前だ。技術だけでいえば俺より数枚上手だろう。

シグナム達に対抗するのなら一個中隊でも連れてこいって話だ。 

 

 

 

 航海の土産話などを聞き、談笑しながら転送ポートに向かっている途中。本局勤めだろうか、あちらの制服を着た男性二人組とすれちがった。

 

「おい、あれだろ。闇の書事件の主犯って」

「うちも寛容だよな。管理局員相手に通り魔をおこしたやつらだぜ。人手不足らしいけど、そこらへんしっかりしてほしいよなぁ」

「あの子10歳なんだろ。そんな若くから犯罪おこしてちゃ未来ねぇって」

 

「っつ!」

「やめろヴィータ」

 

 飛び出しそうになったヴィータをシグナムが抑える。

 

「でもよあいつら」

「やめろと言ったはずだが」

 

 言葉を続けようとしたヴィータに対し、ピシャリと叩きつけるように言葉を投げる。

 

 なぜこのような事を言われるのか。それは一年前にさかのぼる。事件の名前は闇の書事件。俺達とはやてが友達になるきっかけとなった、冬の事件だったーー。

 

 

 

 八神はやては子供の頃に両親をなくしており、脚も動かないため一人きりで車椅子生活をしていた。

生活を援助してくれていたのは父親の古い友人であるという初老の男性。ギル・グレアム。

 

 ある夜、いつものように寝ようとして電気を消したはやては信じられないものを見てしまう。それは

本が宙に浮き上がり、勝手にページがめくられているという光景だった。

 

 この世の物のは思えぬその出来事に、声もでないはやてだったが、本がいきなり光ったことで現状が打破された。

光の中から女性が二人、幼女が一人、男性が一人でてきたのである。

そして紆余曲折あり、その者たちと暮らすようになったのだ。

 

 他人との生活ができる。はやての心は嬉しさに震え、事実数ヶ月の間は楽しかった。自分の家に人がいることによる安心感。話ができるという楽しさに没頭できた。

 

 だが、その平穏は長くは続かなかった。はやてが倒れたのである。はやてが車椅子で生活しなければならない元凶によって。

 

 それは足先から麻痺が広がっていく原因不明の奇病だった。これほど医療が発達しても原因を解明することすらできない奇病。

だが、現代医療で分からないのは当然だった。なぜならそれは魔法と呼ばれる存在によるものだったのだから。

 

 この病気の原因は、守護騎士がでてきた本。闇の書によるリンカーコアの浸食。放っておけば心臓まで麻痺が至り死ぬ。

 

 これに気づいた守護騎士は悩んだ。この病気を治す方法は一つだけ。666ページある闇の書にページ分の魔力を加え、闇の書の主であるはやてに全能の力を与えることであった。

しかし問題が一つだけ。はやては彼らと争いをしないという約束をしていたのだ。

約束と命。二つに揺れる守護騎士だったが、彼らは決めた。はやてを助けると。

 

 こうして、管理局員を闇討ちし魔力を根こそぎ奪っていくという通り魔的犯罪が行われ始めたのだった。

 

 その後、なのはやフェイトが戦ったが、グレアムとその使い魔リーゼロッテ・アリアの暗躍などにより、闇の書は完成する。最後の生け贄を守護騎士として。

 

 はやては目の前で守護騎士の魔力が奪われるのを目の当たりにし壊れた。

 

 はやての願いにより暴走する闇の書だったが、なのは、フェイト、ユーノといった面々の活躍により、はやての正気を取り戻すことに成功する。

そして闇の書の闇とよばれる悪の根元を倒し、事態は収束かと思われた。

しかしその予想は外れるのだった。はやてが倒れることによって。

 

 原因は闇の書の管理プログラムだった。管理プログラムには自動修復プログラムがある。それが闇の書の闇、まで再構築しようとしていたのだった。

 

 解決方法は3つ。

①防御プログラムなどが再構築するたびに戦闘を行い破壊する。

②管理プログラムであるリインフォースごと消滅する。

③闇の書の闇、は破損プログラムなので、正規のプログラムを構築しインストールする。

 

 これのうち①は問題外。③も時間が圧倒的に足りない。これらの理由から②が選ばれそうになった。そこで俺のチート能力が役にたったのであった。

 

 俺は宝具を譲渡する力を持っている。その力で『全て遠き理想郷(アヴァロン)』を譲渡し、宝具の能力でプログラム内部の時間経過を止めたのだ。

 

 これにより再構築の心配がなくなったリインフォースは、現在管理局で正規のプログラムを作って貰っている最中だ。

それが5年後か10年後か100年後かは分からない。なにしろ古代のプログラムなのだ。いくら最高のプログラマーが集まっているとはいえ時間はかかる。

 

 

 

 

 これが闇の書事件。

一人の少女を助けるために仕方なく起こした悲しい事件だった。

 

 しかし、この事実が明るみにでない以上、世間の反応は違う。それはなぜか、この闇の書事件。過去何度もあったのだ。

 

 そのたびに何度も完全覚醒し、何人もの人々を犠牲にしてきた。親族や関係者を含めると、被害者は億を下らないだろう。

 

 だがそれでも、はやてには情状酌量の余地はあった。自分が認知していないこと、闇の書というプログラムが暴走してやったということにすれば、数回の無償奉仕という実質無罪になる。という道もあったのだ。

 

 しかしはやてはそれを選ばなかった。シグナムやヴィータといった守護騎士を、ただのプログラムとみなせなかったのだ。

はやては彼女たちを『人間』として、一緒に罪を償う道を選んだのだった。

 

 管理局には面白いスタンスがある。才能があり、未来に向けて歩く気持ちのあるものには管理局員として更生の機会を与えるというものだ。

はやて達は今、罪を償うために様々な部署で働いている。ある意味それは生き地獄だ。 

はやては未成年ということで公表されなかったが、守護騎士は全員、顔と名前が公表されたのだから。

 

 いくらはやての顔が公表されなかったとはいえ守護騎士達がいつも側にいて『主』とよんでいれば、バレるのは自明だろう。

 

 また人の噂というのはいい加減なもので、色々と根も葉もない笑えない噂も広まっている。今回の事件で守護騎士が殺人を犯したとかな。

 

「うん……ヴィータも迷惑かけちゃいけんよ。私たちが悪いんやから」

 

 微笑みながら語りかけるはやて。だが、誰が見てもその微笑みは痛々しいものだ。

本当は悲しいのに、本当は叫びたいのに、それらを全て押し殺して能面のような笑いをする。

こんなもの、小学生がやっていい笑顔じゃないだろう。

 

「けん君? ふわぁ!? ふぇ、ふぇんふんふぁにふふほ」

 

 無言で歩いていきはやての頬を両手で挟む。子供特有のぷにっとして張りのある手触りにちょっと遊びたくなるけどそこは我慢。

混乱してるはやてを固定して目と目をあわせる。

 

「あのなぁ、そんな顔してな~にが平気だ。

いくらお前が選んだ道だからってな、一人で苦しまなきゃいけないって道理はないだろ。少なくともここにいる全員はお前の味方だぞ。

守護騎士に相談しにくいのなら大人の女性であるリンディさんに相談しろ。同年代の女の子がいいなら、なのはもフェイトもいる。女の子がいやなら俺がいる。

話して何が変わるもんでもないけれど、皆受け止めて一緒に悲しみ、笑う準備はできてるんだからな」

「……けん君」

 

 なにかお化けでもみたのかと思えるような表情をみせるはやて

 

「ノリのよさや元気が取り柄のお前が落ち込んでいてどうするよ」

「ぅん……うん! そうやな!」

 

 今度はにっこりと、心の底からの笑顔を見せたはやてに安心し、頭に載せていた手を離す。

やっぱり小学生に悲しい顔は似合わない。堪えている表情なんてまっぴらだ。

 

「けん君は普段あんなにデリカシーないのに、たま~にこっちの心を見透かしたようなこというんやね」

「それはあれだ。人生経験の違いってやつだ」

「同じ10歳やないか」

「剣介さんもはやてさんも、精神年齢は十分に大人ね」

「よかったな、はやて。おばさんだってよ」

「誰がおばさんや!」

 

 パシッ。と切れのあるツッコミが入る。このテンポでくるのは調子が戻った証拠でもあるから一安心。

どいつもこいつも小学生にしては重すぎるものを背負いすぎなんだよ。なおかつ全員我慢強いときてるからたちが悪い。

 

 だからまぁ、基本は不真面目に、たまに真面目に支えていこう。

そうすればこいつらだもの、道を外れることなどないさ。

 

 




今回のタイトルの意味は、欧州CLでのチェルシーがバルセロナに勝利した記念ですね。今朝3時45分からの試合でしたのでぶっちゃけ寝てません。
40時間以上起きていて注意力が散漫なんてものではないので、誤字など多数あると思われます。教えていただけるとありがたいです。

チェフ守護神だったよ、ラミレスお前のループ最高だよ、ドログバ何人いたよ、トーレスお前はやっぱり神の子だよ。
……テリー、お前はなにをやっとるんじゃ。決勝で借りを返すお前の姿を見たかったのに。



今回は、はやての回とでも言うべきでしょうか。
原作の罪がどれくらい重いのか分からなかったので勝手に作成しました。

賛否両論あると思いますが、私個人の意見ですので。
でも、何かありましたら感想に書いていただきたいです。こういうことで読者の方と意見交換するのは私にとっても嬉しいことですので。

次回、ユーノ君登場予定


この小説を読んでくださる全ての方々にありったけの感謝を

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