チート級最強サーヴァント、アヴェ藻の前!蹂躙致します!(魔力供給的な意味で。)   作:ヘタレ蛇

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ぐっだったぁ~!!
やっちゃならないと思ってもくだるなってしまった。
本当ならこれで終わらそうと思ってもやりたいことが多くて此処で切れなかった。となれば爆発オチなんて続けらんない。設定表とか作ったらネタらしいネタを無理矢理作っていたら結構ダレていた。ストーリー見直したら「あれれ?1話じゃ収めらんないじゃん」とお餅待った(思っちまった)よ。

…と作者の本音を書きましたが
またぐだぐだします。長くなりそう。結構ファンの方を敵に回しそう(今更)な内容です。少し手抜きかな?


これぞ我等が宝具(前編)

《???》

 

私はあの女に召喚され、この地、フランスを駆け回り村や街の住民、老若男女、況してや子供までも手に掛けた。憎くてしょうがない、殺したくなくても(狂化)が抑えられない。日に日に抵抗できなくなってきた。誰か私を……

 

 

彼女は泣く、己の願望を、己が手で殺める事を、理性で聞こえる悲鳴(鳴き声)が、理性で見える子供達(泣き顔)が、本能(狂化)が理性を縛り(狂わせ)、殺意が無垢な子達に振り撒いていく(殺していく)純潔の狩人アタランテ(バーサーク・アーチャー)はもう心がボロボロだった。

 

 

 

「(…あの(魔女)からか…。

 

…偵察?聖女マルタ(バーサーク・ライダー)が裏切っているかもしれない?視覚共有したいから近づいて見てこい?

 

…ふむ、あの者、狂化を受けても尚反発できようとは。否、最早限界が近い故に魔女に反発する勢力と接触をしているのか。

恐らくライダーにはない、誰かより視覚共有が妨げられているのではないか。どうでも良いことか。

 

そう言えばあの(魔女)偽聖女(ルーラー)と瓜二つであったな。奴自身だろうが別人だろうが言うことを利かねばならぬのは癪だ。が思いのまま行かぬのは滑稽だ、ざまぁみろ。)」

 

 

と思いつつ森から森へ移動し、対象に近付いている事をアタランテは分かった。

 

 

「(茂みの近くから話し声が聞こえる、そして其処から離れた所に可笑しな音がする、音楽か?……何だろ…胸の奥が……熱く……悲しい……?)」

 

 

話し声がする茂みから離れた木の裏に身を隠し、耳に届く音に手を握り締め胸を抑え、目元が熱くなっていた。そして更に手に込める力が増して、閉じた瞳から一つの雫が…

 

 

(『バーサーク・アーチャー聞こえてるかしら?』)

 

 

がそれを聞こえた瞬間、全てが引っ込み、代わりに殺意で冷えきっていく。竜の魔女がパスを繋いできたらしい。

 

 

「あぁ、今対象らしきの近くまで来た。」

 

 

(『あら、利口ね。それで其処から私の()()()は見えるかしら?』)

 

 

残り滓、あの(魔女)が言う滓というのは。其処まで思って「どうでも良いか。」と考えるのを止めた。

 

 

「いや、今から見える位置に移動する。」

 

 

(『そう、ならさっさとしてくれないかしら?』)

 

 

「言われずとも。」

 

自分のマスターからの悪態を聞き流し、話し声と視認できる位置まで高速で駆け抜ける。話し声が段々大きくなり、見える位置まで近付いた。

 

 

(『視覚共有するわ。』)

 

 

「ああ…。」

 

 

魔女と魔力のラインを通じて視覚を共有し始める、そして話し声のする方を見…

 

 

「あぁ……ん…もう止め…。」

 

 

「ふふふ、駄目です。手加減はしませんよ?」

 

 

「!?」(『!?』)

 

 

見えた、ライダーだと思わしき服を着た女性が露出の多い服を着た獣の耳と尾を持つ女性に覆い被されていた。襲われている、のだがアタランテは聴覚によりある種、襲われている事を知り、竜の魔女は一度目の強烈な面識によりそっちの方だと理解した。

 

 

「や…だ……もう…やめ、て……おねが、い…。」

 

「うぅん!本当に可愛くなっちゃって~、それじゃもっと凄いのを、あ、げ、ま、す、よ。」

 

 

「あぁ…いや!だめだめらめぇ!らめてぇぇ!わたしはもう、たえられ。」

 

 

「はい、どーん!」

 

 

「あぁ…あ"ぁ……あ"……ぁ"…。」

 

 

「………。」(『………。』)

 

 

何と惨い、これがアタランテの感想だった。聖職者に対して何と惨い事をしているか。純潔の誓いを二大神(アポロンとアルテミス)に立てたアタランテ自身がそうであるように許容できる事ではない。

 

 

(『…ふっ、あはははざまぁないわ。もういいわ、アーチャー。ライダーとあの変態狐を殺しなさい。』)

 

 

魔女から命令に無言のまま、殺意を対象に向け、弓を構え、矢を添えて、弓を引く。思う事があれば、せめて一撃で仕留め…

 

 

「…っ!?今…見られた?」

 

 

アタランテは動揺した、今、狐が狩人を嘲笑った(ニタリとした)。錯覚だったのだろうか。未だに獲物が食事を貪っている筈だが、見られた瞬間に私自身が獲物と認識している。矢を引く手が緊張で力が入る。

 

 

(『…アイツ、此方をニタニタと笑ってなかったかしら…?』)

 

 

魔女もそう見えたらしい。下手に様子見は止め即仕留めよう。一射したら直ぐ二射(速射)を。アタランテは獣の女性を狙い矢尻を離…

 

 

ガサッ

 

 

「!!」

 

 

背後からの音に反射的に矢を向ける。だが何も姿は無く、只の茂みが其処にあった。

 

 

「…獣であったか。」

 

 

再び矢を獣の女性に向け…

 

 

カサカサッ

 

 

「…!」

 

 

アタランテは今度は音がしたところに矢を放つ。矢は風を切り茂みに消えた。無音がその場を支配する。

 

 

(『アーチャー、どうしたのかしら?』)

 

 

「………。」

 

 

アタランテは無言のまま着弾した矢がある茂みに近づく。茂みを掻き分け、地面に刺さる矢を確認した。

 

 

(『はっ、臆病風に吹かれたのかしら?』)

 

 

「…かもしれぬ。」

 

 

魔女の言葉を気に止めなかった。だがアタランテは思う。あの軽い草の掠れ音は獣ではなく人為的だと確信している。だが居なかった。まだ近くにいるだろうと。今は魔女の言うとおりに2体のサーヴァントを殺す。そう思って振り返り狙い位置に移動す…

 

 

 

「…!?」

 

 

突然アタランテの体が傾く。後ろから()()()()()()()()()()()。それだけなら足でバランスを取れば、それでも右足に()()()()()()()()()、そのまま前に転び両手を地面に付く。

 

 

「誰だ!…気のせいか。」

 

 

アタランテが後ろを振り向くが誰も居ない。

 

 

「む?…………。」

 

 

アタランテが立ち上がろうとすると右足がビクとも動かないに気付き、右足を見ると手に引っ掛かっていた(捕まっていた)

思考が停止した、手が自分の真下から伸びて右足を掴んでいる。アタランテはゆっくりと自分の真下を見る。

 

 

「はぁい!覗きですか?では対価を。」

 

 

アタランテは思った、()()()()()()()()()()()()。と。

 

 

「…!」

 

 

考えるよりも早く体が腰に挿した矢を抜き、真下の獣の女性に降り下ろす。

 

 

「早い!うわっ!?」

 

 

が刺さったのは地面だけだった。しかも今度は両足を掴まれ、引っ張られアタランテは転んだ。そしてそのまま茂みの間に引きずり込まれようとしている。

 

 

「この、舐めるな!」

 

 

直ぐ様、両足を掴まれた状態で体制を変え獣の女性に二連射の矢を放つ。それを生き物の如く大きく伸びた尾のような物で弾く。

 

 

「(そこだっ!)」

 

 

尾で前が見えない瞬間に鋭く矢を放つ。矢は真っ直ぐ女性の顔面へと飛び、尾が顔の前から通り過ぎる時には矢は目と鼻先であった。

 

 

「ガウッ!!」

 

 

「なっ!?」

 

 

 

「………にへっ!」

 

 

アタランテは驚愕に目を見開く。女性の目と鼻先に飛んで来る矢を予知していたかのように歯で止めたのだった。そしてこのドヤ顔である。

アタランテは直ぐに矢を手に持つが、弓を持つ手を鞭の様に尾で上に弾いた。弓は放さなかったものの、強い衝撃に手が痺れた。アタランテは矢を持ち替え、目の前に延びた尾に刺した。だがそれは尾からスルリと抜けて、矢を持つ手も弾かれる。アタランテの両手両足が使えない状態になったのを女性の笑みが深くなった。

 

 

「くっ、ぐうぅ!」

 

 

茂みに足が隠れ始めた。両足をグイーッと回され再び俯せに戻される。どんどん足から体が茂みに隠れていく。まるで茂みがアタランテを飲み込んでいくようにも見える。アタランテはもがこうと痺れた手で地面に手を掛ける。がそれは抉るだけで地面には10本の縦線が引かれていく。

アタランテは段々焦りに掻き立てられる。此処にいる獣の女性は先程聖女を貪って((意味深))いた女と同じ。ならその先を予想できてしまう。

 

 

「や、止めろ、私は純潔の、誓いを…。」

 

 

それを聞いた女性は一旦止まるが、アタランテを一気に引き込む。

 

 

「ひぃっ……。」

 

 

アタランテは茂みに隠れ、茂みの中から弓やら矢やら短刀やらがぽいぽいと投げ出される。

 

 

「……………あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あああああああぁぁぁぁ!!」

 

 

寝静まるフランスにもう一人の女性の悲鳴が響き渡る。それを聞いていた一人の音楽家は苦笑いしながらも子守りの音楽を奏でる。

 

 

 

 

チュンチュン……朝チュンチュン。

 

 

「…う…~ん!良い朝ですね~。」

 

 

茂みの中からアヴェ藻が出てきて木々の隙間から照らす朝日を受ける。茂みからガサガサと離れ、ふと後ろを向く。其処には茂みの端に耳と頭、足と尾が出て地面に横たわるアタランテの姿があった。

 

 

「ふふふ、約束通り()()()()()()()()()()。これで貴女は私の支配下(自由)です。特異点修復まで勝手にして下さい。但し魔力が少ないので自愛して下さいね。それじゃ私は行くので、御馳走様でした。」

 

 

アヴェ藻は体が透け一枚の人型の紙になって飛んでいった。

 

 

「…ふはは、穢された、純潔以外を全て……もう嫌だ、何も考えたくない…。」

 

 

茂みで横たわる彼女の救いはこれで子供を殺さずに済むことだろう。

 

 

《藤丸》

 

朝が来た。昨日の夜、俺達はアヴェ藻から逃げる(マルタを生け贄に)ようにベースキャンプ戻り、耳を塞ぐようにアマデウスの奏でるBGMで眠りについた。アマデウスをちょくちょく覗き見ると笑顔のような引き吊ってるような表情だった。聞こえたのか、この距離で。

 

 

「やぁやぁ皆様お早う御座います。」

 

 

来た、きっと顔がスベスベしているに違いない。漫画のような存在だ。きっとそうに違いない。

 

 

そうぐだ男は思っていた。溜め息をしてアヴェ藻に振り向くと………

 

 

「…ふふふ。」ツルスベテカ~

 

 

「……ゥゥ……。」ゴゴゴゴゴゴゴゴッ…

 

 

「……予想外!!?」

 

 

予想以上に見た目がツルツルテカテカしてた!?後ろの仁王立ちの肩パット着けた世紀末スタイルの女性誰ぇ~!!

 

 

「先輩、この人、マルタさんじゃありませんか?」

 

 

「はっ!本当だ、髪を後ろで縛っているけど聖女マルタだ。」

 

 

『霊器パターンも一緒だ…でも魔力量が微妙に大きいような。』

 

 

いったいどうなったらこんな事に…だってほら、顔見てよ。しかめっ面じゃないけど、まるで静かに怒ってるような顔をしてるんだよ。目なんか白眼になってんだよ。一晩で何があった。

 

 

「何って………ナニですが?」

 

 

「あっさりと俺の心を読まないでくれませんか?」

 

 

「ナニ…とは?」

 

 

『あー…気にしなくていいんじゃないかな。』

 

 

この狐~…いったい何をしたんだよ。

 

 

「知りたいですか?では教えてしんぜよう。私はマルタさんの体…オッホン魔力を堪能しながら竜の魔女の契約を弄くりました。内容というのは単に魔力を吸いながら魔力パスに繋げ(割り込み)まして式としての呪術式を組み立てて契約(カリ)をしました。所謂二股契約状態で、其処から色々()()()まして、主に狂化をですね、底上げしました。只、理性のある状態ですと頭がパンク(ぐちゃぐちゃ)しちゃうので理性と本能を混ぜ混ぜする位のマッサージをして。結果、理性を失いつつ本能で動く世紀末聖女マルタ。が出来上がっちゃった訳です。」

 

 

「……あぁ、うん。」

 

 

一つ思ったことがある。うん…………

 

 

「只の爆弾じゃないかぁ!?何やってんのこの狐ぇ!? 」

 

 

「つまり、狂化を強くしたバーサーク・ライダーにしたという事ですか?」

 

 

 

「イグザクトリー!!」

 

 

 

なんかよく分からない立ち方でそう言い放つアヴェ藻。一体何がしたいんだコイツ。

 

 

「何って、そりゃ可愛い女の子とかをウヘウヘしながアへアへさせ」

 

 

「………フンッ!」

 

 

護符ッ(ごふっ)!?」

 

 

なんとアヴェ藻が下ネタ言い始めたら仁王立ちしていたマルタが動きだしアヴェ藻の頭を殴ったのだ。

 

 

「おぅ…おぅ…。」

 

 

アヴェ藻は頭を抑えて、その場でコロコロと悶えていた。しかも昨夜までなかった籠手まで付けているのだ。これは痛い。

 

 

「痛いじゃないですかぁ~。何で殴るんですかぁ。私は、心の内にあった思いを暴露してるんじゃないんですか。昨日まであんな奥ゆかしかったじゃないですかぁ~。いったいどうしたんですかぁ~!」

 

 

「…フンッ!」

 

 

「ゴングぅ!?」

 

 

アヴェ藻は韻を踏むようにマルタに語り掛けるとマルタは『お前のせいだ!』という感じでアヴェ藻に頭突きを食らわせていた。アヴェ藻はまた痛がっている。これは…。

 

 

「自爆かな。」

「自爆ですね。」

『うん、自爆だね。』

 

 

マシュもドクターも同じ事を考えていたようだ。

 

 

 

《マシュ》

 

その後、私達は竜殺しのサーヴァントがいるというリヨンの街へ向かい始めました。道中マリーさんが通りすがりの街で聞き込みをしサーヴァントらしき人物が居たことが判明、マルタさんの言う竜殺しのサーヴァントの可能性が高い為、急ぎリヨンに向かっています。更に道中アヴェ藻さんが私やジャンヌさんにセクハラし始めましたが、その度に狂化マルタさんが殴ったり頭突きをして黙らせています。それでも止めないアヴェ藻さん、凄い執念です。

 

 

そんなこんなあり、私達はリヨンの街を見つけ、先輩、私、ジャンヌさん。マリーさん、アマデウスさん。アヴェ藻さん、マルタさんで別れ竜殺しを探しています。

 

その現状は最悪な物でした。

 

 

「ここも…。」

 

 

「………。」

 

 

ラ・シャンテと同じように民家などあまり残ってはおらず瓦礫ばかりでした。所々に住民の…ジャンヌさんも絶句しています。

 

 

「ジャンヌ。これは貴女のしたことじゃない。」

 

 

「…ええ、そう、ですね。」

 

 

先輩が言葉をかけますがジャンヌさんは浮かない顔をしています。竜の魔女を止めなければ更に被害が増えるでしょう。

 

 

「おや、お三方。随分と暗いお顔で…。」

 

 

すると建物の影よりアヴェ藻さんとマルタさんが現れました。

 

 

「どうかされたのですか。」

 

 

「いえいえ、私はこの街に存在する魔力を感じ取って探してました。因みにジャンヌさんの微弱な魔力も覚えました故。」

 

 

……こればかりは先輩もジャンヌも呆れを通り越して遠い目をアヴェ藻さんに向けてます。この人、何でこんな事をしているのでしょうか。

 

 

「…アヴェ藻さんは落ち着いているように見えますが、大丈夫なんですか?」

 

 

「……あぁ、まぁ、大丈夫、ではありますね。」

 

 

今度はアヴェ藻さんが遠い目に…私、いけないことを訊いてしまいましたか?

 

 

「…ちょっとだけ思ったんです。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()とね。」

 

 

「大差…ですか?」

 

 

「ええ、只の()()()()。私はある者への復讐が為に壁として大軍を、彼女はこの街含めたフランス全てを、その差です。」

 

 

アヴェ藻さんのいう彼女とは竜の魔女の事でしょうか。復讐という点での差異を彼女は語っているのでしょうが、まるで竜の魔女を理解しようとしているような。

 

 

「まぁ、彼女に下らないと言ったばかりですから、此処までやるのであれば褒めてやらなければ…。」

 

 

「……。」

 

 

私はアヴェ藻さんが怖く思いました。さっきまでの貞操の危機感とはまた違う只の恐怖。アヴェ藻さんはいったい何を思っているか私には分かりません。

 

 

「…さて、早速ですが…此処でサーヴァント一騎、退場して貰いましょう。」

 

 

「え…。」

 

 

誰の声だったか、アヴェ藻さんが何を言っているか分かりませんでした。突然の言葉に私達は呆然としていました。明後日の方を見ていたアヴェ藻さんが誰かを見ています。そして跳び出しました…ジャンヌさんへ、と。

 

 

「…なっ!」

 

 

あまりにも突然で私は反応が遅れました。ジャンヌさんも驚きましたが反射的に旗を構えます。が完全に防げる体勢ではない。アヴェ藻さんがジャンヌさんへと手を伸ばし…

 

 

ザグッ…

 

 

「…ッ!」

 

 

「うっ…くっ…。」

 

 

 

 

「…身を挺して聖女を庇うとは、称賛を送らなけらばならぬ。」

 

 

「サーヴァントッ!」

 

 

ジャンヌさんを覆うように抱き付き視界の端からいきなり現れたサーヴァントらしきマントを靡かせ顔を半面マスクで隠した音を奏でるような声の男性、鋭利な長い赤い指先でアヴェ藻さんの背中を突き刺していた。慌てて盾を構え…

 

 

 

「動くな…。これ以上動くならば、この者の心の臓を己が獲物に触れる前に切り裂こう。」

 

 

歌うように、音色に乗せた脅迫に私達は無暗に動けない。音もなく近付き攻撃した、アサシンのサーヴァント。目を離さず警戒するがこのままだと背中を突き刺されてるアヴェ藻さんと弱っているだろう竜殺しのサーヴァントが消滅してしまう。マスターも守らなければならない。どうすれば…。

 

 

「それと…竜の魔女の命令だ。獣の女よ、我等が主の到着を待て。との事だ。」

 

 

 

「…あれま、魔女さんからご指名なんて。ぅっ、わた、しの、テクが気に入ったのです、かね?はっ、情熱的な愛の告白(プロポーズ)では!?」

 

 

何故、自身の命の危機にそんな事が思い付くのですかアヴェ藻さん!?

 

 

「…否、我が主の声は、歌は、皆を魅せる赤ではなく、皆を侵し飲み込まんとする暗く赤黒い怒りの色であった。」

 

 

「…アヴェ藻ショック…ジャンヌさん、慰めて下さい。サワサワ。」

 

 

「ヒッ!?貴女はもっと真面目に成って下さい!!」

 

 

「むむ、真面目に揉んでくださいと!?夜露狐出(ヨロコンデ)。」

 

 

「……醜き欲望の具現、私のこの手を動かし、殺めたい。はぐれサーヴァントが羨ましい、妬ましい。」

 

 

「マシュ、このまま殺っちゃって良いんじゃないかな。」

 

 

先輩、諦めないで下さい!この現状で私はフォロー仕切れないです。

 

 

「ところで、アサシンさん?歌うように喋べりますね、貴方は舞台でもやっていたのですか?」

 

 

「…醜い私が歌う事は、我が天使、我が愛する()()()()()()()の為に贈ろう。」

 

 

醜い自分…愛する天使…歌…クリスティーヌ…もしかしてクリスティーヌ・ダーエ!なら彼は…

 

 

「はっは~ん、さては貴様、オペラ座の怪人さんですね。」

 

 

「左様、私はファントム・オブ・ジ・オペラ。そしてお前達を此処で殺そう。」

 

 

殺意が更に強く…本当に何とかしないと…。

 

 

「…ふぅ、私も此処までですか。もう少し堪能したかったのですが…。」

 

 

「アヴェンジャー…何を…。」

 

 

「まぁまぁジャンヌさんそのまま。でファントムジ…面倒なのでアサシンさん。一つ()()()()欲しいことがあるのですが…。」

 

 

アヴェ藻さんがファントムさんに顔を向けず話しかけます。こんな時に何を…。

 

 

「…この私に話せる事はあまり無い、例え時間を稼ごうともお前達の災厄が刻々と迫るだけだ。」

 

 

「いーえ、すぐに終わります。で聞きたいのは…。」

 

 

瞬間でした。アヴェ藻さんの尻尾がファントムさんの腹部に吸い込まれるようにドンッ!と重く鈍い音を発てて突き刺さりました。

 

 

「ごふっ!?」

 

 

「…貴方の腹ドンです。」

 

 

アヴェ藻さんの尻尾はもふもふとは裏腹にまるで鈍器のような感じでファントムさんを《く》の字に吹っ飛ばします。

 

 

「くっ…。」

 

 

「うっ…。」

 

 

「アヴェ藻!」

 

 

背中に刺された指は抜けましたが致命的なダメージは与えられずファントムさんは腹部を押さえながら立て直し、アヴェ藻さんは地面に倒れました。先輩はアヴェ藻さんに駆け寄ります。

 

 

「…油断した、だがもう容赦は」

 

 

「…やりなさい!マルタ!」

 

 

「…!」

 

 

「ウオオアアァァァァァ!!」

 

 

ファントムさんが今度は仕掛けようとした時、アヴェ藻さんの掛け声により背後より現れるマルタさん。気配に気付き振り返る瞬間に雄叫びをあげながらファントムさんの顔面を殴り飛ばすマルタさん。ファントムさんは顔面を殴られ踏み留まるが空かさずマルタさんが顔面を殴ります。

 

 

「フンッ!ハッ!オラッ!!」

 

 

「…ッ…はあっ!」

 

 

「!…オラッ!!」

 

 

「ぐぶっ!?」

 

 

マルタさんは更に膝蹴りを加えながら追撃を繰り出していきます。ファントムさんも殴られてばかりではなく、歌うような声ではなく本気でマルタさんを切り裂こうと鋭い指を振るいますが、マルタさんはそれすら掻い潜り拳をファントムさんの顔面へと叩き込みます。それからはマルタさんが優勢と思いましたがファントムさんも拳を避けながら指を振るいます。マルタさんが体の所々に切り傷を見られ始めました。

 

 

「マスター、私達も加勢を…。」

 

 

「御二人共、そのまま動かぬよう。」

 

 

「アヴェ藻!動かないで!」

 

 

アヴェ藻さんが私達を止めます。そして先輩の治療中なのに動こうと起き上がります。

 

 

「アサシンさん、時間稼ぎなんて、もうとっくに、終わっているんですよ! 」

 

 

するとアヴェ藻さんの尻尾がうねり始め…ファントムさんに向かって行きます。

 

 

「…遅い、遅すぎる。」

 

 

ですがファントムさんは軽々しく避けています。いつもの速さが…

 

 

「ふふ…。」

 

 

「!?くっ…。」

 

 

といきなり速くなりファントムさんの顎を突き上げます。

 

 

「次は…避けれますか?」

 

 

「…愛を知らぬ哀しき竜よ…。」

 

 

そこからマルタさんが飛び込みファントムさんの胸元へ拳を叩き込みました。って喋った!?

 

 

「…ここに…。」

 

 

次に胸元に2発目を与え…

 

 

「星のように!!」

 

 

そこからアッパーでファントムさんを打ち上げました。

 

 

愛知らぬ哀しき竜(タラスク)!!」

 

 

打ち上がったファントムさん目掛けてタラスクが回転しながら飛んで来ます。ファントムさんを巻き込んでタラスクが地面を抉っていきます。

 

 

「…くっ…災厄は…すぐそこ…に…。」

 

 

タラスクの回転が止まった時、ファントムさんは地面とタラスクの間に挟まれ消滅しました。急いで竜殺しのサーヴァントを…

 

 

「ウオオオオオオォォォォォ!!」

 

 

「「「「えっ!?」」」」

 

 

「グアッ!?《えっちょっ姐さん!?》」

 

 

マルタさんがタラスクに雄叫びをあげながら駆け出していきます。いったい何を。

 

 

「…鉄拳…。」

 

 

マルタさんが拳を引いて…まさか!?

 

 

「聖ェ裁ッ!!」

 

 

「グアァァァァッ!!《あんまりだぁぁぁ!!》」

 

 

そのままタラスクを殴り地面に埋めました。これには私も先輩もジャンヌさんも唖然するしかありません。アヴェ藻さんも口を開いたままです。何故こうなりました。

 

 

「…………あっ、サーヴァントは消滅しても宝具演出は止められないと…オーバーキルは無いと……成る程。」

 

 

アヴェ藻さんの言っている意味が分かりません。

 

 

 

 

 

「あっ、尺があまり無いので竜殺しとの出会いは飛ばしましょう。ガクッ…。」

 

 

「「「ええええええぇぇぇぇぇ!?」」」

 

 

「すまない、出番がなくてすまない。」

 

 

 

 




…あっ、結構これ爆発オチだ。

男性と分かるようにぐだ男で表記していますが藤丸立香とぐだ男のキャラ表記をどっちの方が観やすいですか?

  • 藤丸立香に変更
  • ぐだ男のままで
  • 敢えて藤丸ぐだ男にする
  • 藤丸立香(♂)と表記する
  • そこまで気にしない

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