【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

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感想・評価ありがとうございます。これからも頑張ります。

今回はちょっと短めです。
では9話どうぞ。


9. 予言と危惧

レナード・テイラーとフリットウィックの二人が校長室を出て行った後。

残されたマクゴナガルはダンブルドアに疑問をぶつけた。

 

「校長、なぜミスター・テイラーを賢者の石防衛計画に加担させたのです? 彼がいかに優秀な研究者とはいえまだ十一歳です。それにホグワーツに専用の研究室を用意させるなど、いくら魔法省からの依頼があったとはいえ前代未聞の処置です。これらには明確な理由があるのでしょうか?」

 

ダンブルドアは何かを考えて沈黙していたようだが、結論が出たのか話し始めた。

 

「ミネルバ……、わしは十年ほど前ある予言を聞いた。それは魔法界の、いや世界の命運を左右すると思われるほど重要なものだったと確信しておる。今からその時の記憶を見せようと思う。」

 

ダンブルドアは記憶を見ることのできる魔法具、憂いの篩を持ってきた。

頭に杖を当てその時の記憶を抜き出して憂いの篩に入れる。

マクゴナガルとダンブルドアは憂いの篩の中へ、記憶へと落ちていく。

 

 

周囲が鮮明になった後、マクゴナガルはそこがどこか確認した。

そこはホグワーツの大広間であった。

大広間にはダンブルドアと占い学の教師、シビル・トレローニーの二人だけの姿があった。

 

「トレローニー先生、久方ぶりのホグワーツはどうじゃ? 問題ないようならば次の学期から占い学の教師としてぜひよろしくお願いしますぞ。」

 

「もちろんです、ダンブルドア校長先生。あたくしには子供たちを導く必要がありますの。」

 

マクゴナガルはまさか、と思った。普段のトレローニーの授業や態度からはダンブルドアが彼女の予言を重要視するとはとても思えなかったのである。

マクゴナガルの隣に記憶ではないダンブルドアが立ちその疑問の答えを示した。

 

「ミネルバよ、確かに普段のシビル・トレローニーには予言の才能など感じられん。しかし彼女は魔法界にとって重要な予言をこの記憶の前にすでにわしに対して言っておる。だからこそわしは彼女を占い学の教師として雇い手元に置いておくことに決めたのじゃ。この記憶はその後にホグワーツで教職員についての連絡等をしていた時のものじゃ。」

 

マクゴナガルはダンブルドアの言葉に対して半信半疑であった。

その後の豹変したトレローニーの言葉を聞くまでは。

 

「魔法界を闇が覆うとき、賢きものと優しきものの二つの血を受け継ぎ、全ての魔を解く者が生まれる。その者、数多の認識を破壊し、世に変革をもたらすであろう。決して往く道を妨げてはならぬ。探求の道を阻むものは光であろうと闇であろうと全てが無に帰すこととなる。」

 

普段の霧の彼方から聞こえるような声ではない、荒々しく太い声。

マクゴナガルは確信した、これが真の予言であると。

トレローニーは予言が終わるとその時の記憶がないようでありまたダンブルドアとの会話に戻っていった。

 

 

二人は憂いの篩から戻ってきた。マクゴナガルは今の光景をどう受け止めていいかまだ判断が付かなかった。

 

「今のがわしが聞いたトレローニーの二つ目の予言じゃ。前に聞いた魔法界に重要な一つ目の予言はハリーとヴォルデモートについてじゃった。まさか教師としてホグワーツに来たその日にもうひとつ予言を聞くことになるとは思わんかったがの。」

 

「では、今の予言の者がミスター・テイラーだと考えているのですか?」

 

「そうだとわしは確信しておる。レナード・テイラーが生まれたときはヴォルデモートの全盛期、両親はレイブンクローとハッフルパフで母親はマグル出身で彼は混血じゃ。彼の『眼』と功績を考えるとそうとしか思えぬ。だからこそ彼をこちら側の力になってもらいなおかつ、彼の研究を妨げないように手を尽くすつもりじゃ。どの程度かはわからんが邪魔をすれば最悪全てが滅ぼされるのかもしれんからの。」

 

マクゴナガルは先ほどの予言は確かに信じさせるだけの力があるとは感じていた。

だが、ダンブルドアは必要以上にレナード・テイラーのことを警戒しすぎではないだろうか。

本当はまだ別に目的があるのではないかという疑問が心の奥に少しだけ残った。

 

「ミスター・テイラーについては予言で危惧することがあるというのは分かりました。ですが、私はあくまで彼のことを一生徒として扱います。こちらが正しく接していれば特に問題はないと考えます。」

 

「ああ、それでよい。だが彼が予言の人物でなくともその力と知識の影響はすでにかなりのものじゃ。彼を闇に堕ちないように最善を尽くすつもりじゃ。」

 

その後は、今後の学校についてや賢者の石について少し話し、マクゴナガルは自室に戻っていった。

 

 

 

誰もいない校長室でダンブルドアは考える。

予言、賢者の石、レナード・テイラー、ハリー・ポッター。

そして滅ぼすべき相手ヴォルデモート……トム・リドルのことを。

 

(あやつはまだ生きておる……。どんな手段なのかまだ確証はないが確実に。ハリーにはあやつを倒す者になってもらわなければならん。レナードにはその手助け……あわよくばこちら側の切り札になってもらいたいものだが……どうなることやら。)

 

最も優れた魔法使いと呼ばれたこの老人でさえ未来は読むことはできない。

だからこそより良い未来のためにあらゆる手を尽くすことを改めて決意するのであった。

 

(まずは、レナード・テイラーの力とその本質を見極めねばのう……。)




前回でダンブルドアのレオへの対応は予言が原因でした。

ダンブルドアは予言のせいで必要以上にレオのことを警戒し、またレオの希望はできるだけ叶える方針でいます。そして最終兵器として利用する気でいます。


それにしてもトレローニーのセリフがいまいちなってない感じがしますね。
予言難しい。

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