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では22話どうぞ。
始業式の次の日からさっそくの授業だ。
……なのだが皆が朝食を食べている大広間にやる気を削ぐ爆弾が投下される。
昨夜誰もしないような劇的な到着を果たしたロン・ウィーズリーへの吠えメールの到着だ。
ウィーズリー家の母親の馬鹿でかい怒号は食欲を無くすのには十分すぎる威力を持っていた。
レオは黙って吠え散らかしている吠えメールに近づく。
『昨夜ダンブルドアからの手紙が来て、お父様は恥ずかしさのあ「うるさいよ。」
レオは吠えメールを握り潰してしまう。通常ならば声の再生をしなかったり止めるとさらにひどい結果になるのだが『眼』で見てその部分を解除が可能なレオには関係なかった。
レオが吠えメールを止めたことで大広間からは感謝の拍手が鳴り響く。
吠えメールは止まったが、ロンにはマルフォイを中心にスリザリンからの嫌みが始まっていた。
母親の怒りであれスリザリンからの嫌みであれロンにとっては最悪な学期の始まりだった。
二年生になっても勤勉なレイブンクロー生たちは宿題もしっかりこなし、一年生の復習も十分のようだ。中にはレオに対して今年は負けないと宣言する生徒までいる。上級生たちが混ざっているのはどうなんだろうという疑問はもはや誰も感じてはいなかった。
変身術、魔法薬学、呪文学、薬草学、これらは去年より発展した授業内容であり、危険性と難易度は増したがその分今までになかったことを学べるため好評であった。
レオは相変わらず教授陣たちとの討論や共同研究を続けている。
魔法史はもはや何も言うまい。死んでも変わらない授業などはどうすれば変わるのだろうか。
さて、色んな意味でお待ちかねの闇の魔術に対する防衛術の時間がやってきた。レイブンクローは一番最後の授業日程だから、すでに初回の授業を終えた他寮の話は聞いているが、ロックハートファンの大多数の女生徒たちからはまともな意見を得られるはずがなかった。
レオは信頼できるハーマイオニーから聞いたがクィレルやビンズの方が万倍マシらしい。逆にレオはそこまでの授業はどこまでひどいのか興味が出てきてしまった。
教室はレオを除く全員が教科書であるロックハートの小説を机の上に積み重ねているのですごい光景になっていた。レオは当然持ってきていない、それどころかホグワーツにすら持ってきておらず家に置いてきている。ロックハートが自信満々に入ってきた。適当に生徒の本を取り上げて、表紙の写真と同時にウィンクをする。女子は喜ぶが男子は白い目だ。
「私だ。ギルデロイ・ロックハート。勲三等マーリン勲章、闇の力に対する防衛術連盟名誉会員、『週刊魔女』五回連続『チャーミング・スマイル賞』受賞。」
その後も延々と嘘か本当かもわからない、どうでもいい自慢話が続く。興味のない生徒からの視線に殺意が入り始めたころ唐突に小テストをすると宣言して、テスト用紙を配り始めた。
レオはテスト用紙を見て呆れるしかなかった。
(ここまでとは……。想像以上にひどい……。)
どの問題も、ロックハートの~、ロックハートが~など闇の魔術に対する防衛術に全く関係ないものだった。更に両面にびっしりと書いてあるためメモ代わりに使うこともできない完璧なまでに無駄なものであった。
テスト用紙を回収したロックハートはまだ誰も満点を取っていないことに不満があるようだが当然のことだとは思わないのだろうか。
「では、授業に入りましょうか。」
覆いのかかった籠を教卓の上に用意するロックハート。その顔はどこまでも得意げだ。
「気をつけなさい! 魔法界で最も穢れた生物との戦う方法を授ける! それが私の使命なのです!」
芝居がかった動作で覆いを取り払い中を見せる。中にはピクシーがいるだけだった。
何人かの生徒がどのような生き物か聞くが危険なものと答えるだけで対策方法などの回答はなかった。
「では諸君らの対処のお手並み拝見としましょう!」
いきなり籠の戸を開けピクシーを開放する。皆が魔法やそれ以外の方法で対処するが数が多く追いついていない。
「
レオが魔法を発動させる。特定の対象を一か所に集めて押しつぶす魔法だ。
ピクシーはレオの手の先の一点に向けて集まっていく。最終的に醜い肉団子が出来上がる。
「さて、ピクシーの処理終了です、ロックハート先生。」
話しかけられビクッとしながらも爽やかな笑顔を絶やさない。ある意味すごい執念を感じる。
「あぁ、えーと……。お見事! 私ほどではないが素晴らしい魔法の力量をお持ちのようだ!」
「ありがとうございます。ではそんな素晴らしい先生ならば僕ごときの魔法の対処など容易いに違いないでしょう。」
「へ?」
「
上から押しつぶした後、縄できつく縛り付ける。他の教師なら楽に対処できる速度と精度だったがこの無能には不可能だったようだ。
「な、何をするんです!? レイブンクロー50点減点!」
周りも相手がロックハートとは言えいきなりの攻撃に混乱している。ファンの女子生徒は悲鳴を上げてレオを睨んでくる。
「さて、やはりこの程度も対処できないのですね。面倒なのでさっさと終わらせますか。
開心術で心を読む。心の中は有名になりたいだの、下らない虚栄心で埋め尽くされていた。心の奥底の防壁の中に秘密にしていた部分が見つかる。ロックハートの本の内容の本当の当事者たちとのやり取り、そして忘却術で記憶を消し自分の手柄にする。その時に感じる幸福感、少しの罪悪感など。
レオはロックハートの心の全てを読み取った。心を読まれたことを感じたのかいつもの余裕のスマイルはすでに無くなり絶望した顔をしたロックハートが転がっていた。
「忘却術はかなりの才能を持っているのに使い方を間違えましたね。では詐欺師ギルデロイ・ロックハート、一緒に校長室まで行きましょうか。抵抗してもいいですけど無駄だと思いますよ。」
悪事を働いた時の記憶を抜き取って瓶に保存する。これで証拠は十分だろう。縛られたままのロックハートを浮遊させ、唖然としている生徒たちをそのままに教室から出ていく。授業中の為廊下では生徒に見られなかったのは幸運だった。もし生徒がいる中で進んでいたらこの無能がファンに助けを求めていただろう。
何の障害もなく校長室にたどり着く。
「カントリー・マ〇ム」
合言葉を言ってガーゴイル像の先の校長室に行く。扉をノックして入る。
「ダンブルドア校長先生。詐欺師を捕まえました。」
ダンブルドアは驚いた様子もなくこちらと縛られた詐欺師を見ている。
「おお、レオ。それにロックハート先生も。して、詐欺師とは誰のことじゃね?」
「その反応……。知っていましたね。ホグワーツで教師をさせて詐欺師であると証明するつもりだったのではないですか? 開心術と真実薬で一発でしょうに、回りくどいですね。」
「いやいや。君ならすぐに対処すると思っておったよ。さて、ロックハート先生。何か弁解することはありますかな?」
「ははは……。もういいです。縄を解いてくれませんか? 逃げも隠れもしませんよ。」
縄を緩める。途端に杖をレオに突きつけてきた。
「ははは! 先ほど君は忘却術の才能があると言っていましたね! その通り! 私はこれだけは絶対の自信がありますよ。ダンブルドアは無理でも君の記憶の全てを消し去ってしまいましょう!」
レオもダンブルドアもロックハートのことを見ているが、一切の危機感は感じているようには見えなかった。その反応はロックハートを逆上させるには十分だった。
「私をハンサムなだけの無能だと思うなよ!
レオに向かって閃光が走る! だがレオに当たる十数cm前でその閃光は進行方向を真逆に変える。レオが創造した指輪の一つ『反射』によるものだ。
「へ?」
間抜けな声を最後にギルデロイ・ロックハートはその記憶を永遠に失った。
何もない真っ白な記憶の状態で自分が誰であるか、そして言葉さえ忘れてしまったロックハートを見てレオは溜息をつく。
「ダンブルドア校長、どうしますか? これ。」
「そうじゃのぉ……。彼が忘却術を使った時の記憶は抜き取っているかね。よし、それならば十分に彼の罪は証明できるじゃろう。君に対しても忘却術を使用したのをこのわしが見ている。まぁ、この様子では一生聖マンゴにいることになるじゃろうな。」
「では後のことは任せてもよろしいですか?」
「うむ。こちらで処理しておこう。問題はまた闇の魔術に対する防衛術の先生がいなくなってしまったことじゃ。悪い噂が多いことから中々やりたがる人がおらんでな。スネイプ先生が希望しているが魔法薬との兼任は難しかろう……。」
しばらく考えていたが名案を思い付いた様子でレオの方を見てきた。
直感でこの後の展開が解ってしまった。
「そうじゃ! レナード・テイラー君! 君なら魔法への知識に実力どれをとっても教師に足る実力がある。一年だけでよい、引き受けてはくれんかの? 授業中は教師の権限も与えよう、寮の点数の増減も可能じゃ。もちろん断ってもいいができればお願いしたい。」
予想通りの提案が来た。さて、どうするか。
「校長先生。僕は教師の資格はないのですがよろしいのですか? それと教える内容は僕が自由に決めていいのですか?」
「大丈夫じゃ、問題ない。教師の資格がなくともわしの推薦があればホグワーツで教えることが認められている。それに君の思うように闇の魔術に対する防衛術を教えてくれればよい。ロックハートよりは確実に良いじゃろうから誰も文句はないじゃろう。」
「あー……。わかりました。引き受けましょう。授業内容が僕の実験の場になる可能性もありますが良いですね?」
「生徒に危険が及ばなければの。できるだけ事前の通知ぐらいはして欲しいがのぉ。それでは新任の闇の魔術に対する防衛術の担当、レナード・テイラー先生! よろしくお願いしますぞ!」
ギルデロイ・ロックハート退場!
原作は壊れた杖の暴発でああなりましたが、完全な自分の杖での忘却術が反射されたので原作よりひどいことになってます。
忘却術って使い方によってはかなりえげつない魔法だとおもんですよね。
レオの指輪紹介 その1
・反射:魔法の進行する向きを逆方向に変換する障壁を体の周りに発生させる。
障壁に接触した魔法的な力の向きが真逆になる。物理的な力には無力。
魔法で間接的に飛ばした物体等は防げない。
ロックハート後任にレナード・テイラー教授就任!
一年だけです。ずっとだとルーピンとか蛙婆出せませんしね。
では次回お楽しみに。