【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

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タイトル通りの決闘大会です。原作の決闘クラブの代わりですかね。

レオのチートがこれでもかと発揮する予定です。
とりあえず前後編です。

では27話どうぞ。


27. 決闘大会 前編

秘密の部屋の怪物がついに生徒を襲う。

本当ならばその知らせはマグル生まれの生徒を恐怖させるものだった。

だが、犠牲者はすでに回復しており、怪物の正体もバジリスクであると判明している。

正体不明の怪物よりは正体が解っている分安心できる。更には見ただけで即死する魔眼の対策もレナード・テイラーが完成させている。魔眼防御の眼鏡を生徒と教師分を作成、配布は完了だ。

これを装着することで即死することなく体への重圧程度に抑えられるとの事。しかしそれ以外のバジリスクの脅威を防ぐわけでは無いので依然として警戒は必要だ。

それでも生徒たちにとっては十分心強いものでありこの功績からレイブンクローには50点が加点された。

 

それからはバジリスクによる被害は発生しなかった。継承者も警戒されている中では迂闊に行動できないのだろう。レオの仕掛けた監視水晶にも怪しい存在は確認されていない。一応平和な学校生活が続いていた。

 

 

11月の後半に入り以前ダンブルドアと計画した免除課題のイベントの開催が決まった。

毎月の初めに開催され、事前にチームまたは個人を登録してクィディッチ競技場でレナード・テイラーと戦う。登録順に戦闘をしていって課題の条件を満たすか、生徒が全員戦闘不能または降参、あるいは制限時間で終了となる。制限時間までにチームの一人でも戦闘不能にならなければ寮に50点は獲得できる。この知らせを受けた生徒は新しいイベントに盛り上がった。

今までのレオの力を見ている生徒たちは諦める者も出ているが上位の実力者たちが結束してエントリーするとの情報が出ると期待が高まっていった。最終的には個人では勝てないと結論したのかほぼ寮ごとの上級生チームが参加者となった。

 

 

12月最初の土曜日。

クィディッチ競技場にはホグワーツの全員が集合していた。

 

「さぁ、やってまいりました決闘大会! クィレルやロックハートとは比べ物にならないあのレナード・テイラーを打ち破れる勇者は現れるのか!? 実況はいつもおなじみリー・ジョーダンがお送りいたします。解説には呪文学のフリットウィック教授にお越しいただきました。よろしくお願いしまーす!」

 

「解説を担当するフリットウィックです。よろしくお願いしますぞ。」

 

「さぁ、エントリー順にチーム紹介といきましょう!

まずはみんなの人気者、四年生ながらハッフルパフの代表ハンサム、セドリック・ディゴリー率いるハッフルパフチーム! 

次は騎士道精神で立ち向かう我らがグリフィンドールチーム! 頑張ってくれよ! 

続いてクィディッチチームを中心に結成されたスリザリンチーム! なんと今回の中で最多の50人編成だ。まさに勝てばよかろうなのだ、の精神だな、スリザリン! 

最後の寮はレナード所属のレイブンクローだ! 自分の寮だからって手加減する相手じゃないぞ、気をつけろよー! 

更にグリフィンドールの悪戯仕掛け人! フレッド、ジョージのウィーズリーズの登場だ! いったいどんなトリッキーなプレイを魅せてくれるのか!? 

そして最後は何と一人でのエントリーだ! グリフィンドールの才女、天才レナード・テイラーの愛弟子、ハーマイオニー・グレンジャー!」

 

続々入場してくる選手たちに惜しみない拍手がおくられる。

対して競技場の反対側からレオが入場してくる。その足取りや顔からは特に緊張は見られずいつもと同じだった。

 

「ラスボスのレナード・テイラーも入場しました。フリットウィック先生、どうです? 各チームの注目しているところなどありますか?」

 

「そうですね……。ハッフルパフはディゴリー君の指揮能力でどうなるかが肝でしょう。グリフィンドールはバランスが良い生徒が多いですが絡め手には注意が必要でしょうな。スリザリンはかなりの大人数なので連携が取れなければすぐ瓦解してしまうでしょうからそうならないような立ち回りができるかにかかってます。レイブンクローは寮監の贔屓を除いても個々の戦闘力ではトップですね。その力がテイラー君の通じるかどうか見物です。ウィーズリーズはその抜群のコンビネーションで翻弄できるか楽しみです。グレンジャーさんは一対一のまさに実力勝負になります。彼女は二年生ながら相当な実力者ですので正直一番注目しています。」

 

「はい、ありがとうございます。では早速初戦ハッフルパフチーム準備お願いします。」

 

ハッフルパフとレオ以外は控室に戻っていく。後半のチームが有利にならないように控室からは試合の様子は確認できないようになっている。

チームリーダーのセドリックがレオに握手を求めてきた。紳士的と聞いていたがその通りの好青年らしい。

 

「よろしくお願いします。全力でいきますよ、テイラー君。」

 

「こちらこそよろしくお願いします。僕も全力で迎え撃ちます。」

 

全力とは言ったが十の指輪の全てを使うつもりはない。指輪の機能の最終テストのつもりだ。

レオとハッフルパフチームの二十人は15m離れた開始位置に立つ。準備完了だ。

 

「準備完了です! それではダンブルドア校長先生、開始の合図をお願いします!」

 

「うむ。全力をもって素晴らしい試合になることを祈っておるぞ。では……はじめい!」

 

ハッフルパフはセドリックの指示を受け相手の周りに扇状に散開する。呪文での同士討ちを避ける布陣だ。対してレオはその場から動かず相手の出方を見ている。

 

スモクスリン(煙幕よ)。」

 

半数が煙幕を張って見えなくする。残りの半数が魔法で鉄球を生成させる。

 

フリペンド(撃て)!」

 

一斉に鉄球がレオ目掛けて射出される。ゴキンと鉄球がぶつかる音が響き渡った。それでもチームの誰一人として仕留められたとは思っていない。集中力を切らせず煙幕をじっと見る。

次の瞬間、扇の端の選手に向かって煙幕の中から高速でレオが飛び出してきた。驚いたのか対応が遅い。

 

ステューピファイ(麻痺せよ)。」

 

早速一人脱落。だが嘆く余裕はない。飛び出したスピードのまま、人間とは思えないスピードでレオが扇に沿って次々と各個撃破していく。事前情報から通常呪文は反射か消失させられると知っていたが焦って呪文を使おうとする。しかしスピードについて行けず次々やられていく。四人目がやられた時にはパニックになりかけたが、セドリックの一喝で立て直す。セドリックを中心に集合して迎え撃つ布陣に態勢を整える。すでに半分やられたがまだ諦めてはいなかった。だが一か所に集まったのは失策だった。

 

コルポリス・エラージセクインティア(物理的・拡大持続)。」

 

レオの呪文で一斉に押しつぶされるセドリックたち。上の圧力にこちらも呪文で対抗するがその隙をつかれ一人また一人倒されていく。

最後にセドリックが残った。

 

「降参しますか?」

 

「まさか。最後まで戦うよ、勝ち目がなくともね。」

 

その姿はグリフィンドール生よりも勇気ある戦士に見えた。

セドリックは剣を生成し射出する。レオはそれを呪文で弾く。レオの周囲を回りながら次々呪文を打ち出しては反射される。追い打ちのレオの魔法と反射される呪文を躱しながら戦い続けるセドリック。会場の全員がその姿を目に焼き付けた。それも長くは続かずとうとう魔力と体力が尽きたのか膝をついてしまう。

 

「素晴らしかったですよ。今までの生徒では一番強かったです。ディゴリー先輩。」

 

「ははは……。でも君の足元にも及ばなかったけどね。」

 

「まぁ、僕の力は魔法具だよりの所もありますけどね。素の実力はここまでの差ではないと思いますよ。では終わりです。ステューピファイ(麻痺せよ)。」

 

「決着―! いやー最後のディゴリー選手は非常に熱い戦いを魅せてくれましたね。全員が惜しみない拍手を送っています。解説のフリットウィック先生、今の戦いはどうでしたか?」

 

「ハッフルパフは連携も取れていて非常にいいチームでした。ただ煙幕を張ったのは良いのですが自分たちも相手を見えなくなることを十分に理解していなかったのでしょう。テイラー君の逆襲でたやすく瓦解してしまいましたからね。その後の一か所に固まるのも悪手でした。ですが最後のディゴリー君は素晴らしかったです。私も熱くなってしまいましたよ。」

 

「ありがとうございます。さぁて次はグリフィンドールチームの入場だ!」

 

グリフィンドールはほぼ7年生の上位陣で構成された十四人のチームだ。どのような手段を取るのか楽しみにしたいところだ。

開始位置で互いを確認する。ダンブルドアの開始の号令が響く。

 

グリフィンドールは二人一組になって横一列に並ぶようにして戦闘するようだ。

組の片方が一斉に武装解除を放ってきた。当然反射されるがもう片方が防御する。その流れが絶え間なく続いていく。

グリフィンドールの大将が声を上げる。

 

「いくら優れた防御魔法でもいずれ限界が来る! 攻撃と防御にそれぞれ優秀な生徒でコンビを組んでいるぞ。反射の魔法、その次の防御、最後に君に魔法が届くまでこの攻撃は止むことがないと思え!」

 

反射される魔法は全て防がれる。攻撃も止むことがない。このままいけばいくらレオの魔法具の障壁でも限界は来る! ……そのはずだった。

レオは反射を停止させ別の指輪の防壁を展開する。反射がされなくなったことで防御を一つ突破したと判断したグリフィンドールチームは全員が攻撃に転じる。だがレオに命中する前に全ての魔法は消滅していく。それでも防御が削れていると信じて攻撃を続ける。

十分後、グリフィンドールの全員は肩で息をするほど疲労していた。だがレオは何一つ変わらぬ様子で立っている。大将は両手を上げて宣言する。

 

「降参だ! ちくしょう、どうなってんだ!?」

 

「確かに僕の防御が反射のみならその戦法で突破は可能でした。ただその対策として別の防御機構も構築しています。自分の造った物の弱点は知っているのが普通ですから。」

 

「くそっ、でその防御はどんなもんなんだ?」

 

「秘密です。それを解析、推理して乗り越えるのもこの免除課題に必要なものですので。」

 

 

「グリフィンドールチーム敗北! 残念ですが寮杯獲得のためまた挑んでもらいたいものです。フリットウィック先生、レナードの防御がどんなものか解りますか?」

 

「…………。」

 

「先生?」

 

「……あっ、申し訳ない。集中してたのもので。大体の予想は付きましたが確証はないですな。それに今、私が言ってしまったらヒントになってしまいますからね、言えません。」

 

「うーん、聞きたいとこですね。さて次はスリザリンの番だ! クィディッチ同様反則上等の試合でレナードを追い詰めるのか!?」

 

スリザリンはクィディッチチームを中心に結成されている。キャプテンのマーカス・フリントがレオに話しかける。

 

「いつまでもいい気でいられると思うなよ。俺たちがぶっ潰してやるぜ!」

 

 

三度戦闘開始の合図が競技場に響き渡った。

先手はスリザリンだ。下級生を中心とした明らかに捨て駒の生徒たちがレオに向かって突っ込んでいく。順番に呪文を放ち反射され倒されていく。

それ以外の上級生たちは箒を呼び寄せる。箒で空高く舞い上がり時間まで逃げ切る作戦のようだ。

 

「おおっと、スリザリンさっきの威勢はどうした!? 時間まで逃げ切るつもりだぞ! 対してレナード・テイラーどうする!?」

 

「はっはっは! 勝てなくても負けなければいいのだ! これで50点はもらったぜ!」

 

地上の生徒を全員片付けたレオは上空の二十名弱を見上げる。クィディッチの選手は当然として他の生徒も箒の扱いが上手い者を選抜していると見える。

試しに呪文で撃ち落とそうとするが箒より呪文が遅いため簡単に避けられる。

 

(飛行魔法で一人ずつ撃ち落としてもいいけど、時間内には厳しいかもしれないな……。あまり強い魔法を使うと死んじゃうしなぁ。うーん……。さっきのグリフィンドール戦での吸収ストックでいけるかな。)

 

レオは手を上にかざす。その様子は特に誰かを狙っているようには見えない。

 

パテンティストレジ(貯蔵解放)エクスペリアームス(武装解除)ステューピファイ(麻痺せよ)スタトゥスプルビアム(状態雨)

 

手から光球が放たれる。箒よりも上空に上がったそれは弾け、呪文の雨を降らせる。

先程までの戦闘で『吸収』の指輪で防いだ魔法を『貯蔵』の指輪に貯めていたのだ。

それを一斉に解放し雨のように降らせたのだ。

突然の呪文の雨に慌てふためいた生徒たちは次々に呪文に撃ち抜かれて落下していく。

あらかじめ地面をクッション状態にしていたので怪我はないが大多数が脱落だ。

残った生徒は四人。レオは飛行魔法を全力で使用する。ハーマイオニーでさえ箒に匹敵する速度で飛べるのだ。当然レオはそれ以上。最新のニンバス2001であろうと勝てる道理はなかった。全員が叩き落されるまで三分もかからなかった。

 

「最後の一人も叩き落されたー! これでスリザリンの敗北です。作戦は消極的でどうだったんだとは思いましたがなんだかんだ生存時間は最高のタイムでした。ではいったん休憩を挟んで後半戦を行います。まだまだ楽しませてくれるはずだから期待しておくように!」




決闘大会前編でした。

ホグワーツ全眼鏡化。これには磨〇 映一郎先生も満足していただけるはず。
クィディッチの描写が無いのでリー・ジョーダン初登場。
セドリックは4年生ながらすでに相当な実力者として設定しています。

レオの指輪紹介 その4
・吸収
これまたそのままの効果。
放たれた魔法を吸収する。効果範囲は『反射』より小さい。なので装着者の近く以外の魔法には効果がない。
吸収上限はあるがそれはあくまで個別の魔法の強さの吸収限界なので生徒レベルが武装解除や麻痺などの弱めの呪文をいくら放っても突破は無理。
個人の力量を上げるか、悪霊の火や死の呪文などの上位魔法を使わないと突破できない。
突破してもある程度は吸収されるので威力減衰効果もある。

レオの指輪紹介 その5
・貯蔵
吸収で防いだ魔法を貯蔵する。
貯蔵の状態は魔法そのまま、あるいは魔力に還元して貯める。
魔法はそのまま自分のものとして使うこともできるし、魔力は指輪の動力にも使用する。
別に吸収で防いだ魔法以外でも自分でストックの貯蔵可能。
今回のスリザリン戦のように解放して雨のように降らせたのは指輪の効果ではなくレオの実力。指輪はあくまで貯めるだけ。

次回はレイブンクロー、双子、そしてハーマイオニー戦。
お楽しみに。

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