【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

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第2話です。

本作ヒロインのハーマイオニーとレオの出会いの話になります。
時系列はホグワーツの入学案内を受け取る少し前ぐらいを想定です。


2.知り合いから友人へ

レナード・テイラーの名は魔法界では有名であったが、彼には友人と呼べる人はいなかった。

高名な研究者、父の同僚の闇払い、魔法省の官僚、腕利きの癒者など様々な人と関わり合いこそあれども、それはあくまで研究を通じて知り合った間柄。

研究にかかりっきりであったレオには同年代の何も考えず遊び倒すような友人は皆無であった。

 

そんな孤独な研究の日々にレオとしては特に不満があるわけではなく、そもそも友人がいたこともないので孤独であるという認識さえ持っていなかった。

両親からの愛情は確かに感じていたのでこのままで良いと結論付ける。

 

そんなレオにも話し相手ぐらいは存在している。

 

レオの日常は魔法の研究が大部分だ。

だからと言って24時間連続で研究室に引きこもっているわけではない。

日課として、リフレッシュも兼ねた散歩と市内の図書館でのマグル文学の読書や学術書を読むことで魔法界以外の知識も学習していた。

時間にして1時間ほどではあったが、魔法のことを一時的に忘れることで新たな発想や行き詰った問題の対処法などが頭に浮かぶことも多く、いい気分転換である。

 

図書館を利用している人は毎日同じというわけではないのだが一人だけ行くたびに顔を合わせる少女がいた。

 

レオが来てから帰るまでずっと同じ場所で勉強をしているのだ。

おそらく学校が終わってすぐに来て閉館時間まで残っているのだろう。

 

あまり他人に興味を持たないレオも毎日のように目にすればさすがに顔を覚える。

そして、毎日勉強漬けの少女を見ているとどんな勉強をしているのか興味が出てくるのだった。

 

「やぁ、毎日来ているけどどんな勉強しているんだい?」

 

「こんにちは。あなたには関係のないことよ。」

 

そちらには興味がないといわんばかりのバッサリとした返答。

これがレナード・テイラーと少女、ハーマイオニー・グレンジャーの最初の会話であった。

 

「そうか。とりあえずそこの答えは間違っているよ。」

 

ハーマイオニーは問題を確認し、自分がミスをしていることに気付く。

ミスを指摘され顔を赤くしながらも、初対面でいきなりこんな対応のレオを睨みつけた。

 

第一印象は互いにひどいものであった。

 

それから、時折レオはハーマイオニーの勉強を観察しながらミスの指摘や効率化のアドバイスをして楽しむといった遊びをするようになる。

対するハーマイオニーはこのいけ好かないヤツに対抗するためより学業に打ち込み、メキメキと知識を向上させる。

 

1カ月も過ぎる頃には二人はこの関係が心地よいものに変化するとは夢にも思っていなかった。

 

 

 

1カ月後

「今日の課題は何だい? それと先週読んでいた本についての感想は?」

 

「学校の宿題は終わったから物理学について勉強していこうと思うの。先週の本は個人間の思想の違いについての本だったわ。」

 

「思想か、そういった分野については苦手だ。よくわからない。」

 

「そうでしょうね。あなたは何というか心が別の方向に向いている感じがするわ。でも私はなぜだかそういうあなたとのこの関係も嫌いじゃないわ。」

 

最初の出会いからは考えられないぐらい穏やかな気持ちで会話をすることができるのが、ハーマイオニーは不思議ではあった。

今では勉強について教えられても特に反感も感じてはいない。相手の知識のレベルが自分よりはるかに上であると認めざるを得ないからだ。

ハーマイオニーはこの1カ月で色々と、自分も変わったのかなと日に日に感じていた。

 

ふと、ハーマイオニーは気づく。

 

「そういえば、私たちお互いの名前も知らないじゃない。私はハーマイオニー・グレンジャー。改めてよろしく、そしていつかあなたを超えるわ!」

 

「あぁ、そういえばそうだった。別に名乗らなくても不都合はなかったしね。僕はレナード・テイラー。そのいつかを楽しみにしているよ。」

 

 

 

その後も二人の奇妙な関係は続いた。そんな中でちょっとした雑談をしていた時であった。

 

「ハーマイオニーはなぜここで勉強しているんだ?友達と遊んだりはしないのか?」

 

「聞きづらいことをストレートに聞いてくるのね……。はぁ、私は友人と呼べる人はいないわ。学校でも周りの人とは合わないし、勉強しているとからかわれたりもしたわ。そんな周囲の人に嫌気がさしたから静かなここで勉強することにしたの。そういうあなたは友達はいるの?」

 

「考えてみたら、僕もいないや。僕の知っている同年代の子供は君だけだな。」

 

「そうなのね。友達は欲しい?」

 

「どうだろう。友達がいたことないから何とも言えないな。」

 

二人の間に数秒の沈黙が流れる。

そして二人は同時に宣言した。

 

「僕と友達になってくれないか?」

「私と友達になってくれませんか?」

二人は驚き、顔を見合わせる。

お互いが何を言ったのか理解した二人は握手をして微笑んだ。

 

二人の関係はただの知り合いから友人へと変わった。

こうしてレオは人生初の友人ができたのであった。

 

 

 

その頃のハリー・ポッター

「逃げんなよ。このウスノロ眼鏡が!」

ダドリー軍団からのいじめから逃亡中。




第2話いかがでしたか。

ヒロインとしてハーマイオニーが登場しました。
原作ではロンと結ばれましたが、今作ではどうなることやら

ハーマイオニーはハリー達と親友になる前は友達がいないだろうなというのと
レオも自分の造ったキャラですが友達は作らなそうだなと感じていました。

ならいっそのこと二人を友達にしてしまえばいいんじゃね?
ということでこのような話になりました。

次回はハーマイオニーが魔法使いだと知ってからの話になります。

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