【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

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さて秘密の部屋編もあとわずかになりました。
次で終わりかな。

では32話どうぞ。


32. 騒動終結

穴の終着点は暗い石のトンネルのようであった。

全員で明かりをつけて進んでいく。

どこに継承者が潜んでいるか分からないので周りを警戒しながらゆっくり進んでいく。

 

「うわっ!」

「いって!」

 

少し進んだところで何者かが穴から落ちてきた。

マクゴナガルが代表として偵察する。すぐに怒声が聞こえてきた。

 

「あなたたちいったい何を考えているんですか! 寮から出るのは禁止と言ったはずです! しかもこんなところまで来てしまうとは……。ウィーズリー、妹が心配なのは解りますがあなたが来たところでどうにもなりません。今すぐ戻りますよ!」

 

「でも! ジニーが! 僕の妹がさらわれたんだ! 大人しく待っているなんてできない!」

 

「先生! 僕たちも何かできることがあるはずです。手伝わせてください!」

 

レオと他の先生も戻ってくる。二人を見るなりスネイプは嫌な顔を隠そうしない。

 

「校長。即刻この二人を寮に戻すべきだと吾輩は思いますがね。それと罰則も与えるべきでしょう。この非常時に正確な判断もできないようですし、足手まといにしかなりませんな。」

 

「いや、二人とも連れて行こう。ここに残すなら誰かを守りとして残さねばならん。連れ帰るにしても戻っていたら時間がかかってしまう。どちらにしても戦力の分断に時間の無駄になる。ならば連れていくのがよいじゃろう。ウィーズリー君も妹のことが心配じゃろうし、彼らも立派な生徒じゃ。何か役に立ってくれるじゃろう。ここで話している時間も惜しい、すぐに出発しよう。」

 

「校長先生。時間をかけずにこの二人を戻せばいいんですね?」

 

「え?」

「何するんだ!?」

 

レオがハリーとロンの肩をつかんで付き添い姿くらましをする。

グリフィンドールの談話室に姿現わしをする。二人は何か言ってくるが監督生を見つけ事情を話す。

 

「パーシー・ウィーズリーさん。現在校長先生たちと秘密の部屋に突入しました。ですが、この二人が後を追ってきたので寮まで連れてきました。では校長先生たちの所に戻ります。暴走しないように監視お願いします。」

 

突然の情報に驚くパーシー。だが今言うことは一つだ。

 

「分かった。ただお願いだ、ジニーを……僕たちの妹を助けてください……!」

 

返事をせずに姿くらましをする。ジニー・ウィーズリーが今どうなっているかは解らないのだ。絶対に助けるなんて言うことはできない。

再び地下深くに戻ったレオ。なぜかダンブルドアは苦い表情に見える。

 

「二人をグリフィンドールの寮に戻しました。ウィーズリー君の兄で監督生のパーシー・ウィーズリーに任せたのでまたこちらに来ることは無いでしょう。」

 

「あ、ああそれでよい。」

 

ホグワーツではできないはずの姿くらましをしたのはやはり驚きだが気を取り直して進む一行。

途中にバジリスクの抜け殻があったりしたが特に妨害などなかった。しばらく進むと壁が現れた。壁には二匹の蛇が絡み合っている彫刻が施されており、上のトイレの蛇口同様いかにもスリザリンといった感じである。

 

壁を爆破して先を進む。壁の先は蛇の彫刻が施された柱がいくつも立っている細長い部屋であった。奥には巨大な石像が立っておりその足元にはジニー・ウィーズリーが横たわっていた。

 

「ミス・ウィーズリー!」

 

マクゴナガルが駆け寄る。レオたちも警戒しながら近づいていく。

 

「まだ息はあるようじゃの。しかしこれは……。」

 

「一刻も早く戻って治療しなければなりませんな。」

 

今回の第一目標はジニー・ウィーズリーの救出だ。それが達成したのならば早々に戻るのが賢明だ。だがそういうわけにもいかないようだ。

 

「レオ、どう思う? わしは彼女の魂が殆ど残っていないように思うのじゃが。」

 

「アルバス、どういうことですか?」

 

「ミネルバよ、このまま彼女を連れ帰ったところで回復はせんじゃろうし、確実な死が待っていよう。ここで継承者をどうにかする必要があるようじゃ。」

 

「ダンブルドア先生。ジニーから魔力的な繋がりが伸びています。この繋がりから彼女は魂を吸われていますね。その先はそこの柱の裏です。」

 

レオが指さした柱を全員が見る。その柱の裏から一人の少年が姿を現す。輪郭がぼやけて若干透けている。

 

「トム……。やはりお主じゃったか。」

 

「トム……? まさかトム・リドル、闇の帝王ですか!?」

 

マクゴナガルたちは驚く。いったいどういう方法を使っているか不明だが50年前の継承者そのものが現れた。

 

「よく来ましたね、ダンブルドア校長と連れの先生方、そしてレナード・テイラー……!」

 

まだ顔が崩れる前のハンサムな顔が怒りに歪む。

 

「トムよ。お主がどんな手段でこの場にいるのかはわしにも正確には理解しておらん。だがお主は過去の者じゃ。今を生きる者たちを、わしの大切な生徒たちをこれ以上危険にさらすわけにはいかん!」

 

ダンブルドアの杖から閃光が走る。だがそれはトム・リドルの体を素通りして後ろの柱を砕いただけであった。

 

「ははは! 流石に50年も時が過ぎて衰えたか!? この僕に魔法は効かない! 僕は記憶でしかないからね。そこに転がっている小娘を騙して魂を頂戴してこの姿を得たがまだ不完全だ。ゆえに魔法も受け付けない!」

 

「なんと……。どのような魔法……まさか。」

 

「はっ、可哀そうな老いぼれに教えてやるよ。僕は再び秘密の部屋を開くために当時の日記に自らの記憶を封印したんだ。いつの日かホグワーツからマグルの穢れた血を一掃するためにね。そこの血を裏切る者が僕の日記に書き込んでそこから魂を喰らい、僕の一部を入れて操ったのさ! まさかスリザリンの対極のグリフィンドールに継承者がいるとは思わなかっただろう?」

 

秘密の部屋に馬鹿にしたようなトム・リドルの笑い声がこだまする。

その様子を教師は悔しそうに見るが、レオだけは真剣に見つめていた。

 

「さて、全員杖を捨ててもらおうか。そこの小娘の命が惜しければ命令に従うことだ。悔しいがそのレナード・テイラーのせいで僕の計画はめちゃくちゃだ、逃げるしかなさそうだ。だが未来の僕、ヴォルデモート卿と合流し必ずや戻ってくるぞ!」

 

「ああ、トム。この無知な老いぼれに記憶を封じたことや今回の騒動の件を長々と説明してくれてありがとう。レオ、どうじゃ?」

 

「解析完了です。本体を潰せばジニーへ魂も戻るでしょう。『巨神の腕』!」

 

黄金に輝く腕が両手を合わせトムに突っ込んでいく。

 

「まっ、やっ、止め、ぐがぁぐるおああおあおおおおおおぉぉぉ…………。」

 

トム・リドルは持っていた日記と共に光に飲まれて消滅した。

 

「ダンブルドア校長、当たらないと確信しながらわざと魔法を使ったり、驚いたふりをしましたよね?」

 

「さて、何のことやら。傲慢で愚かなあやつが勝手にぺらぺら喋っただけじゃろう。じゃがそれで解析時間が作れたのなら問題なしじゃ。あとで解析の結果を詳しく知りたいの。」

 

「分かりました。そろそろ目が覚めるかな?」

 

継承者の日記が消滅したことでジニーの顔色も元に戻り、心拍や呼吸も正常になった。

 

「う、う~ん。あれ? ここは……。わっ!」

 

「ミス・ウィーズリー!」

 

目を覚ましたジニーをマクゴナガルが力いっぱい抱きしめる。ダンブルドアがその様子を笑顔で見守る。スネイプも僅かだがホッとしているようにレオは感じた。

 

「ミネルバよ、そのぐらいにせんとせっかく助かったのに窒息死してしまうぞ。」

 

「そ、そうですね。ミス・ウィーズリー、体は大丈夫ですか? どこか痛かったり気分が悪かったりしませんか?」

 

ジニーはようやく自分が今いる場所、どのような状態であったのか理解したようだ。みるみる顔が青くなって、泣き出してしまった。

 

「せ、先生。私、私が継承者でした! わたしなんてことを……! トムは、トムはどこに!?」

 

「大丈夫じゃ。もうトムは消えたし、誰も死んでおらん。君に非はない、全てはトム、ヴォルデモートのせいじゃ。君より優れた大人の魔法使いでさえもトムは容易く操った。誰も君を責めはしないし、もしそんな輩がいたらわしが許さん。」

 

偉大なダンブルドアの言葉で少しは落ち着いたのかジニーの涙は止まった。

 

「それではジニー・ウィーズリーも無事取り戻した! 継承者も消え去った! 戻るとしよう! レオ姿くらましじゃ、行き先は校長室で頼む。ウィーズリー夫妻もそこにいるはずじゃ。あと後でホグワーツでのやり方教えてくれんかの。」

 

「了解しました。皆さん僕の肩をつかんでください。」

 

全員がつかんだのを確認した次の瞬間、校長室に姿現しした。

音もない突然の出現にウィーズリー夫妻は驚愕した。だがそれ以上に命はないとも覚悟していた娘が生きて現れた方が数十倍の衝撃だった。

 

「ジニー!」

 

両親に抱きしめられ、ジニーもまた抱きしめ返す。親子は泣きながら喜び合った。

 

「ダンブルドア、ああダンブルドア! やはりあなたは最高の魔法使いです! 娘を助けていただいてありがとうございます!」

 

「いいや、わしは大したことはしておらんよ。秘密の部屋の入り口を見つけたのも、継承者を倒したのもそこにいるレナード・テイラー君じゃ。」

 

「君がジニーを助けてくれたのか? テイラーってことはまさかアースキンの息子かい? 流石だなぁ。」

 

「誰の子だろうと私たちの娘の命の恩人よ!」

 

そう言ってレオもウィーズリー夫人が抱きしめてきた。

しばらくジニーともども抱きしめられていたがジニーの体を休めるためにウィーズリー一家は医務室へ向かった。マクゴナガルはジニーの兄たちへ無事を知らせに行ったようだ。

 

解放されたレオは中途半端になっていたバジリスクの解析の為、研究室に戻る。

こうしてホグワーツを騒がせた秘密の部屋の騒動は終結した。




ダンブルドア「ハリー来た! よっしゃ連れて行くぞい!」→「なん……じゃと……!?」

原作主人公ハリー・ポッター今年もラスボス戦出番なし!
今後もこんな感じになってしまう気がするが、もう諦めました。
ダンブルドアとしてはハリーの経験値として連れて行きたかったが強制退場でした。
ちなみに後で減点+罰則のコンボをくらいました。

若御辞儀、丁寧に説明。ダンブルドアがわざとわからんふりをしたので調子に乗りました。まだまだ若いということでしょう。

レオ分霊箱解析完了。効果や破壊手段もバッチシです。

では次回お楽しみに。

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