【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

40 / 96
お気に入り登録数が投稿時点で5700、UAは40万超えてました!
どのくらいなのかと調べたらお気に入り数原作ハリー・ポッターでトップ5に入っているだと……?
これはエタることは許されませんな。

では39話どうぞ。


39. ホグズミードデート

10月も後半に入った。

ホグズミード村はイギリスで唯一の魔法使いしかいない村だ。

三年生以上は保護者の許可を得れば休日にホグズミードに行くことができるようになる。

もちろんレオとハーマイオニーも許可は得ている。

 

今日のホグズミードには二人で一緒にお出かけだ。俗に言うデートというやつではあるがレオとしてはハーマイオニーに誘われたから出かけるぐらいの感覚であった。

対してハーマイオニーは必死で落ち着こうとしていた。

 

(落ち着くのよ、ハーマイオニー・グレンジャー。いつも通り、いつも通り。一緒にホグズミードを回っていろんな店に入ってショッピングをしたり、食べたりするだけじゃない。今までもダイアゴン横丁やマグルの町でやってきたじゃないの! ……デートって意識するだけでこんなに違うものなのね。)

 

そろそろ時間だ。寮からレオの研究室に向かう。

 

「ママだ!」

 

その途中でクーと遭遇する。この頃は前より成長しているからなのか落ち着いているように感じる。

 

「おはよう、クーちゃん。どこ行くの?」

 

「図書館! 本をいっぱい読んでご主人の助けになれるように成長するんだ!」

 

ハーマイオニーの遺伝子が入っているせいなのか随分と知識に貪欲に成長している気がする。クーと別れて改めて研究室に向かう。一歩進むごとにハーマイオニーの心臓の鼓動も比例して速くなってきた。

 

「おはようレオ! 今日は絶好のデート日和ね!」

 

扉を開けると同時に挨拶&デート宣言。もちろんデートだなんて言うつもりはなかった。テンパったせいでつい思っていたことが口から出てしまった。

 

「おはよう、ハーマイオニー。じゃあ、さっそくデートに出かけるとしようか。」

 

レオは気にした様子もなくデートという言葉を使ってくる。ハーマイオニーとしてはその様子が少し気に入らない。

 

(もうちょっと何か感じて欲しいわね。ま、レオらしいと言えばそうなんだけど。)

 

気を取り直してホグズミードへ出発することにした。

 

ホグズミードに到着した二人はまずは一通り歩いてみることにした。

人気のパブ三本の箒、悪戯専門店ゾンコ、お菓子の店ハニーデュークス、ダービッシュ・アンド・バングズ魔法用具店、等々。

最初ということでとりあえずハニーデュークスで色々なお菓子を買うことにした。

 

「おお、マグル製のお菓子まであるのか。魔法界のお菓子は奇抜なのが多く面白いけれど、純粋な美味しさではマグルの方が洗練されていると感じるね。マグル出身のハーマイオニーとしてはやっぱり魔法界のお菓子は変に見えたのかな。」

 

「そうね。動くし、変な味がしたりとんでもない効果が出たりで最初は驚いたわ。どっちのお菓子にもいいとこがあっていいんじゃないかしら。」

 

二人でおすすめのお菓子やクーへのお土産を購入して次の店に向かった。

ホグズミードは小さめな村だったが今日はホグワーツ生が多くいるため混雑していた。人込みから抜け出した二人は人気だと聞いたパブ、三本の箒で休憩することにした。

席に着くと店主のマダム・ロスメルタが注文を取りに来た。

 

「あら、初めて見る顔ってことは新しい三年生ね。何にする? おすすめはバタービールよ。」

 

「では、バタービール二本お願いします。」

 

注文を取るとすぐバタービールが運ばれてきた。乾杯をして口に含む。ビールという名ではあるがそれは見た目だけで甘く体の芯から温まるものだった。

 

「うん、おいしいね。気に入ったよバタービール。」

 

「私も! 寒い時にはこれが欲しくなっちゃいそうね。」

 

その後も話が弾む。いつものように二人は魔法のことから他愛のない話、今日の夕食の予想等々会話を楽しむ。

 

「場所が変わってもこうやっているだけで満足だね。どう、リラックスできたかな?」

 

「……うん、そうね。なんか出発前にデートって言っちゃったせいで変に緊張しちゃってたみたい。私、別にデートでも何でもいいみたいね、あなたが一緒なら。これからも一緒に出掛けてくれるかしら。」

 

「もちろん。……ああ、重要な案件がなければっていう前提があるけどね。」

 

「もう。そこは『何をおいても君を優先するよ』ぐらい言ってもいいのよ?」

 

二人は笑い合い会話を続ける。

それを見ていたホグワーツ生の反応は様々だ。

 

「信じられるか? あいつらあれで付き合ってないんだぜ?」

「なら俺にもチャンスが……!」

「ないない。」

「いつ付き合い始めるか賭けるか?」

「正直、テイラーの予想ができん。あいつなんであんなかわいい子と一緒で平然としてるんだ?」

「マダム・パディフットの店に行けよ……!」

「このバタービール甘いんだけど。あ、いつもか。」

「残念だったわね。今出したのは砂糖抜きよ!」

「なん……だと……!?」

 

三本の箒は今日も盛況である。

 

門限までの残り時間は三本の箒ですごした。これから卒業までの間にゆっくり残りの店は見て回ることにしたのだ。

 

「今日は楽しかったわ。これからどうする? 夕食にする? それともいったん研究室に戻るの?」

 

「うーん、いったん戻ろうかな。クーも一人だろうしお腹すいてるだろうから一緒に食べようかな。」

 

研究室の扉を開ける。そこには

 

「お帰りなさいませ、レナード様、お母様。」

 

メイド服を着た白い少女が立っていた。

ハーマイオニーは反射的に扉を閉めてしまった。

 

「レオ? 今の誰?」

 

「え? クーだよ。今日は成長したなぁ。」

 

「いやいや! 成長って度合いを完全に超越してると思うのだけど!」

 

「そうかな? 僕の想定ではあり得ることだと思っていたけどね。」

 

改めて扉を開ける。やはりメイドとしか形容しようがない存在がそこには立っていた。

身長から推定するに大体レオやハーマイオニーと同年代の少女に見える。だが、特徴的な緑の目や白い髪は小さいクーのままである。付け加えて言うならばとびっきりの美人である。

 

「ただいま、クー。今日は大きくなったね。」

 

「ただいま……。ねぇ、あなた本当にクーちゃんなの?」

 

「はい。わたくしはレナード様に造られたクーです。証拠をお見せしましょう。」

 

そういうとメイドは服ごと姿をグニョグニョと変形させる。形が整うといつものように白いローブを着た小さなクーに変わっていた。

 

「はい! 変身完了! ママ、ビックリした?」

 

唖然とするハーマイオニーをよそにレオはその様子を観察する。

 

「なるほど。記憶は継続、しかし人格のようなものは形態によって異なるって感じかな。体積が大きいほど細胞数が増加するからその分知能レベルも上昇するといったところか。クー、もう一度さっきの姿に戻れるかい?」

 

「了解、ご主人!」

 

再び姿をメイドにするクー。自身のペットの成長に満足気味なレオだったが一つ疑問がある。

 

「そういえばなんでそんな格好なんだい?」

 

「よくぞ聞いてくれました! わたくしは偉大なるレナード様に造られた新しい生物です。その役目はレナード様の役に立つこと。ゆえに小さいわたくしは学びました。今日も図書室で色々な本を読みました。屋敷しもべ妖精のことやマグルの貴族に仕える者たち。そこである結論に達したのです。主人に尽くすならばメイドが最適であると! 急ぎ研究室に戻ったわたくしは自身の体の大きさが適していないことに気が付きました。適切な体にならなければと思ったらこのように変化しておりました。」

 

「ふむふむ……。意識が体に影響したか。それならば仕込んでいた術式が発現するには条件が厳しいかもな。うん、とりあえずは今まで通り過ごしてくれ。何かあればこちらから命令を出すよ。さて、ハーマイオニーいつまで驚いているんだい? 夕食に行こうよ。」

 

「そ、そうね。クー……さん? ああ、なんて呼べばいいのかしら。」

 

「今まで通りクーちゃんでも構いませんし、お母様のご自由にどうぞお呼びください。」

 

「んー……。じゃあ、レオと同じでクーって呼ばせてもらうね。小っちゃい時にはクーちゃん呼びにするわ。」

 

 

今日はハロウィンであるので大広間では盛大なパーティーが開かれている。だが今年はかぼちゃ尽くしのパーティーの料理よりも一人の少女に注目が集まっていた。

人間離れした容姿に真っ白な姿。しかもメイド姿なのだから当然だ。そんな存在を横に座らせて平然と食事しているレナード・テイラーに生徒、特に男子が詰め寄った。

 

「おい、テイラー! その子は一体何なんだ!?」

「君にはグレンジャーさんがいるだろう! 良くないなぁそういうのは。」

「ずりぃぞ。俺にも出会いをくれ。」

「(モテない)男子の敵め! ゆ”る”さ”ん”!」

 

「皆様、落ち着いてください。レナード様のお食事の邪魔になります。」

 

「そうだよ。落ち着いて。この子はクーだよ。」

 

「「「「クーちゃん!??」」」」

 

「そう。自己進化してこんな風になった。」

 

「な、なぁレナード、いやレナード君。彼女、クーさんは君が造ったんだよな? だったらもう一人造ることもできるよな?」

 

「あ! てめぇ自分だけだなんて卑怯だぞ!」

 

「そうだそうだ! 俺たちだって……はっ!」

 

男子たちは気づいてしまった。女子たちからの絶対零度の視線を。クーはすでにハーマイオニーを中心とした女生徒たちによって避難させられている。

 

「サイテー。」

 

その一言で男子たちは撃沈した。短い言葉には様々な呪詛より強烈な力が宿っていた。だからモテないんだと言葉と視線から感じさせられた。

レオとしては自分の造った生物が美しいと言われるのは嬉しいので満足だった。

 

ハーマイオニーとのデートやメイドクーの誕生などあったが楽しい休日であった。




書いている自分もこの二人まだ付き合っていないのかと疑問に感じました。

ハーマイオニーはデートでドキドキしてましたが、レオは平常運転です。

クーは成長してメイドになりました。おそらく誰かが余計な事を吹き込んだんでしょう。(双子かな)
成長したクーはかなりの美人設定です。フラーと同格ですかね。
記憶は変身前後で維持してますが感性とかその辺が体格で変わってくる感じですね。
クーはもう一段回変化予定です。

ちょこちょこライダーネタを入れてみました。

では次回お楽しみに。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。