いやぁ、ありがたいです。
これからも私の妄想物語に付き合っていただけたらありがたいです。
では42話どうぞ。
ボロボロの叫びの屋敷に入るレオ、ハーマイオニー、クー。外観と同じように中も酷い有様だった。
「探知された反応は二階だったな。階段は……、あっちか。」
三人は二階に上がり目的の部屋まで到着する。
「さーて、何がいるかな?」
扉を開けて中を見渡す。やはりボロボロの室内にはベッドがあるだけであった。そしてその上に大きな黒い犬が寝ていた。
「なんだ、野良犬じゃない。どこから入り込んだのかしら?」
「これが犬ですか! 撫でても大丈夫でしょうか。」
クーは初めて見る犬に興味津々で近づいていく。黒犬は気配を感じて起きてこちらを見る。最初は驚いた様子だったがクーに撫でられると大人しくなった。
レオだけは黒犬を見て不可解な感じがしたのでよく『眼』を使って観察することにした。
解析結果、黒犬はただの犬では無かった。
「クー。離れて。それは犬じゃない、
レオのその発言を聞いた黒犬はいきなりレオとハーマイオニーの方に飛びかかってきた。
レオはハーマイオニーの前に出て防御をする。だがそのレオの前にクーが飛び込んできた。黒犬の牙がクーの腕に食い込む。腕からは体液が流れ出て床に滴り落ちる。
「クー!」
ハーマイオニーが叫び声を上げる。だが当のクーは顔を無表情にして口調も冷たく自らの腕を噛んでいる黒犬を見ていた。
「我が創造主、レナード・テイラーへの攻撃を確認。腕部損傷軽微。敵対生物と認定。防衛機能プロテクト解除。排除開始。」
機械的に言葉を発するクー。次の瞬間、体は一回り大きくなり大人のような体格に、メイド服から黒い鱗で覆われた鎧のような姿に変わる。髪も伸び、背中には翼が生える。
黒犬の牙は今まで食い込んでいた皮膚から弾かれる。その硬度は金属などより硬くとてもじゃないが破壊できるとは思えなかった。
黒犬は飛びのきこちらの様子を窺っている。だがクーは待ってはくれなかった。髪が刃のようになり襲い掛かかる。躱しきれずに前足を深く切り裂かれる黒犬。犬の姿のままでは殺されると判断したのか人間の姿に戻る。その姿に流石のレオもすこし驚いた。
「おお、なんとシリウス・ブラックとはね。」
ブラックはどこからか手に入れていた杖を使ってクーに魔法を放つ。こんな状況であるし相手は得体の知れない
「
全力の魔法がクーの胸に直撃した。避けられるか防がれるかと予想していたので少し驚愕する。
(良し! 残り二人を気絶させて一刻も速く逃げなくては……! あいつを殺すまで捕まるわけにはいかない!)
思考しながら杖を残りの二人にむけようとした瞬間、杖を持った右腕が肘先から吹き飛んでいた。
「うぎっ! ぐぅううう!」
激痛にその場にしゃがみ込む。それが彼の命を救った。ちょうど首のあったところをクーの刃状に変化させた髪が通過したのだ。
「精度不足。要修正。ですがこれで終わりです。」
シリウス・ブラックは自身の魔法の力量はそれなりだと自負していた。その自分の全力の魔法が直撃したのにこの化物は全く効いていない。腕の激痛と相手への恐怖から一瞬動きが遅かった。クーに首を掴まれ壁に叩きつけられる。
「がっ!」
「消し炭になりなさい。」
化物の口が開き奥から炎が見える。仮に万全の状態で杖を持っていてもその炎は人を焼くのに十分な威力があることを瞬時に悟った。
死にたくない! それだけのために全力で抵抗する。だが化物の拘束からは逃れることは叶わず次の瞬間には炭素の塊になる運命だった。
「待て、クー。」
その運命は一人の少年の言葉であっけなくなくなった。
クーはその命令に何の疑問も抱くことなく攻撃を中止する。
「クー。とりあえず、腕を止血しろ。拘束もだ。さて、どうしたものか。とりあえずダンブルドア校長に連絡を入れておくか。」
「ま、待ってくれ。話を聞いてくれ!」
クーの髪で体をぐるぐる巻きにされながらシリウス・ブラックが叫ぶ。
「どうぞ。話すだけなら自由です。」
シリウス・ブラックは話し始める。自分はポッター夫妻の秘密の守り人では無かったこと、ピーター・ペティグリューに代えていたこと、その後にピーターが裏切ったことでポッター夫妻を死なせたこと、ピーターを追い詰めたが逃げられたこと、ピーターはネズミの
全てを聞き終えたレオは一応の辻褄は合っていると感じた。だが、信用するかは別問題だ。
「信じられないだろうが真実だ。なんなら真実薬を飲んでもいい。」
そこまで言うなら真実なのかもしれないがそれを判断するのは正直めんどくさい。ダンブルドア校長に丸投げしてしまおうと決めた。
念話をダンブルドア校長に送る。
((ダンブルドア校長。ホグズミードの叫びの屋敷でシリウス・ブラックを発見、拘束しました。ですが、シリウス・ブラックは自分は裏切り者ではなくピーター・ペティグリューが裏切り者だと言っています。その辺の判断をするために真実薬をもって一人で隠れて来ていただきたいです。))
数分待つとダンブルドア校長が叫びの屋敷に駆け込んできた。
「レオ、それにハーマイオニーも。無事かの? さて、シリウス。レオから聞いたが本当かね?」
「ダンブルドア先生……。俺はピーターを殺すためにここにいる。決して他の目的ではない!」
「それならばここに真実薬がある。これを飲んだうえでそれを見極めさせてもらおう。」
シリウス・ブラックは抵抗することなく真実薬を飲む。その後に話す真実は先ほどのものと寸分違わぬものだった。
「さてどうしたものかの……。シリウスが無罪だとしても肝心のピーターが今どこにおるのやら。」
「クルックシャンクスが賢かったのが痛手ですね。おそらくスキャバーズが
「クルックシャンクスを知っているのか? あの子にはここで会ってな、信用されるまで時間がかかったがヤツを連れてくるように頼んだんだ。」
「クルックシャンクスは私のペットよ。あの子があんなにしつこかったのはあなたのせいだったのね。そのせいで友達と喧嘩になっちゃたのよ。」
「それは申し訳ない。だが、私にはそうするぐらいしかしか手が無くてね。」
「とりあえずシリウスはここに匿うことにするかの。ピーターについてはこちらで何とかしよう。それまで絶対にここを離れるでないぞ。下手をすればピーターに逃げられるだけではなく
「そうさせてもらいますよ。動こうにもこの怪我じゃしばらくは安静にしてなきゃな。」
そう言って無い右手を上にあげる。応急処置をしたのでとりあえずは大丈夫だがいくら魔法でも切断された腕の接合には時間がかかる。
実のところ、クーの体内の命の水を使えば簡単に治すことも可能だ。クーの刃が鋭く上手いこと切断されていたので腕をくっつけて命の水と少しの魔法で完治できるのだ。
レオもクーも襲い掛かってきた相手なので治す気はないのだが。
叫びの屋敷にレオとダンブルドアで監視と進入禁止を兼ねた結解を設置する。
今回の件は他言無用とし、ピーター・ペティグリューをどう捕らえるか話し合うこととなった。
校長室にはダンブルドア、レオ、ハーマイオニー、そしてメイド状態に戻ったクーがいる。そこへルーピンが入ってきた。
「ダンブルドア校長、お待たせしました。それに、レナード君とグレンジャーさんにクーさんまで。いったいどうしたんですか?」
「ルーピン先生、落ち着いて話を聞いて欲しい。……先ほど叫びの屋敷でシリウス・ブラックを捕らえた。そこで彼から真実を聞いた。シリウスはポッター夫妻を裏切ってはおらん。真に罪に問われるべきはピーター・ペティグリューじゃ。」
ダンブルドアはシリウスから聞かされた真実を話していく。ルーピンはシリウスを疑っていた後悔とピーターへの怒りで震えている。
「ここからが問題なんじゃが、わしは君がピーターやシリウスが
「ははは……。やはり知ってたのですね。それならいいものがあります。これを。」
そう言って何も書かれていない羊皮紙を広げてみせる。ハーマイオニーとクーは分かっていないが、ダンブルドアは何かに気付き、レオはその中に構築された式の複雑さに驚いた。
「忍びの地図というもので私、シリウス、ジェームズ、そしてピーターの四人で学生時代にいたずら目的で作成したものです。『われ、ここに誓う。われ、よからぬことをたくらむ者なり』……この通りホグワーツの地図になっています。それだけではなく人の位置と名前を示すことができます。」
「ほほぉ。これはすごいの。これがあったから君らはあれだけやんちゃできたのであろうな。」
「これは素晴らしいですね。これを造るには並大抵の技術じゃ無理ですね。」
忍びの地図の魔法の複雑さに思わず見入るレオ。ホグワーツ中を探すとピーター・ペティグリューの名が見つかった。
「さて、行くかの。善は急げじゃ。」
ダンブルドア、ルーピンそしてレオの三人でピーターを捕獲に向かう。
結果、当然のように捕らえられたネズミと一緒に三人は戻ってきた。
あとはこのネズミからも証言を得て魔法省を納得させるための準備をするだけだ。
クー戦闘形態に進化。この状態のスペックは次回紹介しますが基本チートです。
賢者の石を埋め込んだドラゴン+バジリスク+魔法使い+αって感じですからね。
あっさり捕まるシリウス。レオがクーを止めたのは犯罪者でもクーに殺しはさせたくなかったからですね。まぁ、作者の都合でシリウスを殺したくなかったのもありますが。
ついでにもっとあっさり捕まるピーター。
ルーピンがハリーから忍びの地図を没収してたのが運が無かった。
原作ではもう少し後の出来事でしたが今回のホグズミードでのハリー(+ロン)の行動が三本の箒にレオがいる→別の場所に→マルフォイにちょっかい出す→スネイプ待ち伏せ→ルーピンによる没収てな感じでルーピンの手元にちょうど忍びの地図がありました。
忍びの地図ってかなりのチートアイテムですよね。
それでは次回お楽しみに。