この物語では帝王は無事に復活できるのでしょうかね。
それでは47話どうぞ。
魔法学校であるホグワーツで学ぶ科目は様々だ。
魔法使いに必須の呪文を学ぶ呪文学。
生活に身近なものから危険で凄まじい効果をもたらす薬を学ぶ魔法薬学。
正確な理論を理解していないと難しいが無限の可能性がある変身術。
こちらもまた魔法使いの生活に欠かせない薬草学。
他にも魔法生物飼育学や占い学、数占いにマグル学など多岐にわたる。
その中でも特に魔法使いとしての力量が問われるものが闇の魔術に対する防衛術だ。
それはホグワーツの授業でも必須の科目であり、呪われた科目とも言われていた。
ここ数年間は毎年のように担当の教師が変わっていたのだ。
だが昨年赴任した元狼人間のリーマス・ルーピンはその呪いを跳ね除けた。
今年も闇の魔術に対する防衛術を担当して生徒たちに人気の教師としてホグワーツにいる。
現在、ルーピンはレイブンクロー生への授業の真っ最中だ。
「さぁ、授業を始めよう。去年は闇の魔法生物に対しての対処方法を中心に進めていたけど、今年は呪文による防衛を覚えていこう。と言っても一昨年のレナード君の授業で呪文については色々教わっていると思うからその発展になる感じかな。」
レイブンクロー生はほとんどの生徒がレオの勉強会に参加しているのと持ち前の学習意欲から他の寮と比較して平均実力が高くなっている。今年の授業でもその実力が伸びるのは確実だろう。
「クィディッチワールドカップの一件から分かるようにまだまだ闇の魔法使いは存在している。そういった相手から身を守れるように鍛えていこうと思う。最初の授業ではまず、最も警戒するべき許されざる呪文について学ぼう。」
許されざる呪文。
それは
ルーピンは苦い顔をして解説をする。
「
次に
最後、
説明を聞いていた生徒たちは恐怖していた。しかしレオだけは違っていた。
使い手は多く存在しているが皆それほど強力な呪文ではないと思っているものだ。
それは忘却術である。
汎用性が高く、使い方ひとつで恐るべきものに変容するのである。
呼吸などを忘却させて拷問に使う、人格を忘却させて自分に都合のいい記憶を埋め込んで操り人形にする、といった方法で磔や服従ほどの難易度ではないにもかかわらず代用することができる。その他にも魔法の使い方や視覚や聴覚を忘却させて無力化、全てを忘却させて死人同然にするなどの芸当も可能なのだ。
これも当たらなければ問題はないのだが何事も絶対ではない。磔や服従は耐えたり抵抗は可能なのだが、忘却呪文は当たってしまったらその時点で詰む。気づいていない者が多いがそれほど危険だとレオは思っている。
許されざる呪文は流石に授業では説明だけで実際に使用したりはしなかった。
当然である。魔法省もその使用は同じ人に対しては固く禁じているし、これらを好んで使うことはそれだけで闇の魔法使いだ。
それだけでなくこれらは難易度も高いのである。
その辺の生徒が呪文を知っていても使いこなすことは容易ではない。
「さて、許されざる呪文についてはこんなところだね。聞いていて気分が良い話では無かったと思うけど知っているのと知らないのでは天と地の差だ。この差があることで君たちは自分や愛する者を守る確率がぐんと上がったんだ。では残りの時間で今年のスケジュールを説明していこうか!」
ルーピンは学ぶ呪文を黒板に書き記していく。その内容を見るにより実戦的に役立つ選出だった。この一年しっかり学べばそれだけで最低限の防衛技術は備わるだろう。
「ああそうだ。レイブンクローの授業だけでいいんだが、レナード君には手伝ってもらうことになるかもしれない。正直なところ君は非常に優秀だしね。他の先生の話や二年前の授業の内容から生徒ごとの魔法の癖の矯正ができるみたいだから今回もお願いしたい。」
「分かりました。」
「ありがとう。よし残りの時間で私とレナード君で模擬戦をしてみよう。」
その発言で教室内はざわめいた。
(おいおいおい。ルーピン先生知らないのか?)
(相手はあのレナード・テイラーよ!?)
(ああ……今年も闇の魔術に対する防衛術の先生は交代か……。)
(いや! ルーピン先生ならやってくれる! 多分、きっと、恐らく、万が一……無理だな。)
「せ、先生! もちろん手加減ありの簡単な模擬戦なんですよね?」
「もちろんさ! いくら彼が優秀だからって手加減するよ。教師が生徒を傷つけちゃ大問題だ。」
教室内の生徒は誰もが思った。『違う。そうじゃない!』と。
ルーピンは二年前のレナードが大暴れしたのを知らなかったのだ。ただ単に優秀な研究者としての面しか知らなかった。彼の父親があのアースキンであることは聞いていたがあの人ほど規格外の存在であるとは夢にも思っていなかったのである。
「それじゃあ、模擬戦を開始しよう。レナード君は準備はいいかい?」
「問題ないです。いつでもどうぞ。」
ルーピンはジェームズやシリウスほどではないが自分はそこそこ優秀であると自信があった。その力を使って人生最大の恩人の力になりたいと思っていた。彼が少しでも力をつけてくれればもしもの時にも生き残れるだろうと。彼は魔法界に必要不可欠な存在だ、
結論を言えば、レナード・テイラーにルーピンの力はまるで必要では無かった。
決闘は一方的な展開になった。ルーピンの放つ魔法は全て無効化される。レオの魔法は強力で防御で精一杯、しかも明らかに手加減されている。
その様子を当然のように見ている生徒たちからルーピンは悟った。自分が間違っていたことを。
「はぁはぁはぁ……。参った! 僕が間違っていたよ! 本当に君はとんでもないな!」
圧倒的な力の差を見せられたルーピンはそれでも折れなかった。恩人は強大な存在だ。だからと言って無敵ではないだろう。確かに自分は彼より弱いが、それでも彼を守れないわけでは無い。もっと力をつけて少しでも役に立てるようにしなければ。いざとなればこの命を使って盾にでもなる覚悟はすでにできている。
「ははは! 私もまだまだだな! これから先も勉強に鍛錬にやることは多そうだ! 私もこれから頑張っていくから、皆も一緒に頑張ろう!」
レイブンクローの生徒たちはルーピンの姿勢に刺激され改めてはるか高みの目標を目指すことを決めた。
ムーディがいなくても許されざる呪文についての講義ぐらいはすると思ったのでこの話を入れました。
服従の呪文はレオのおかげで判別&解除可能な為前ほどの脅威ではなくなっている。
それでも即座に解除というわけでは無いから厄介な存在。
忘却術に関してはかなり恐ろしい呪文だと思ったのでこう書きました。
実際にはどこまで器用に忘却できるかは分かりませんけどね。
ロックハートも鍛えていれば対人戦においては強者だったと思っています。
ルーピンは狼人間から戻してもらった恩義からすでに命を捨ててでもレナードの味方になる覚悟です。
それでは次回お楽しみに。