これからも長いですが頑張ります。
それでは51話どうぞ。
対抗試合の代表が決まった翌日。
正式にレナード・テイラーが代表選手に選ばれたことが告知された。
それに対してボーバトンとダームストラングの生徒たちは不服そうにして、レナードのことを睨んでいた。
もっとも代表のフラーとクラムはそんなことは無く、あくまで強敵であるという認識であった。
ホグワーツではレオに対する態度は二つに分かれていた。
まずはハッフルパフを中心としたレオに批判的な反応をする者たち。
今まであまり注目を集める機会が無かったハッフルパフからセドリック・ディゴリーという魔法の技量、性格、顔、その他諸々全てに非の打ち所がない男が選ばれたのだ。
不正に代表になったレナード・テイラーなど認められるはずがないのだ。
もう一方はレナード・テイラーだから仕方がないと諦めた者たち。
今世紀最高の魔法使いであるホグワーツ校長のアルバス・ダンブルドアを筆頭に他校の校長、寮監、魔法省の役人が仕掛けた妨害を無視して選ばれるように仕組むような規格外に対してどうしろというのだ。セドリックには悪いが勝てる光景が見える気がしない。
もう諦めてレナード・テイラーが課題をどうやってクリアしていくのかを楽しんだ方がいいとう結論に達している段階だ。
この二つは批判3、諦め7といった割合だ。そしてこの二つに共通するのは誰もレオのことを応援しているわけでは無いということだ。
本当に応援している生徒は唯一人、ハーマイオニー・グレンジャーだけであった。
レオの研究室ではいつものようにハーマイオニーがくつろいでいる。
「レオが出場するのは驚かなかったけど、四人目としてだとは予想外だったわ。何はともあれ応援するわ。不正が許せないなんて言ってる人がいるけど、付け入る隙がある時点でダメな気がするのよね。考えればいくらでもレオが立候補できないような方法はあったと思うし。」
ダンブルドアや他の者たちも妨害方法は魔法でしか行わなかった。それ以前に選出方法も魔法具である炎のゴブレットなのである。あらゆる魔法を解析し理解できる『眼』を持ったレナード・テイラーには無意味であったのだ。校長や教師からの推薦のような方法であればレオが入り込むこともなかったであろう。
「まぁ、魔法使いは魔法が万能であると信じているからね。魔法は未だ発展途上の穴だらけのものだ。マグルの科学技術の方が余程洗練されているよ。だからこそ僕は魔法の研究が好きなんだけれどね。」
「ああ、そう言われるとそうかも。私もだんだん魔法界の方が常識になってきちゃってるわね。……それはそうとレオ? ボーバトンの代表のあの綺麗な子とは何話してたの?」
「? 何話したかな……? ああ、そうだ。ボーバトン生用の翻訳魔法を付与した指輪を渡したっけ。あとは……、なんか魅了魔法をやたらと出してたな。多分、彼女の親族にヴィーラがいるんじゃないかな。それぐらいだと思うけど、なんでそんな事を?」
「ねぇ、あの娘のことどう思った? 綺麗だなって思ったりした?」
「特に何も感じなかったかな。フランス人はこんななのかな程度だと思う。どうして?」
「べ、別に何となくよ! そっか、そうよね。レオだもんね。」
「?」
レオがフラーのことをどうとも思っていないことに安心のハーマイオニー。
逆によく分かっていないレオ。
そしてその二人を見て関係性の進展のための良い刺激になっていることだけをフラーに感謝しているクーであった。
数日が経過した。
直接危害を加えるような嫌がらせなどはないがレオに対しての敵対的な行動が大きくなってきた。
『セドリック・ディゴリーを応援しよう!』というような会話がハッフルパフ生からはレオに聞こえるように大声で発せられる。
レオはそんなことを気にせず普段通りに過ごしている。
その様子が更にハッフルパフ生からの反感をかっているがそれすらも気付くわけがない。
闇の魔術に対する防衛術の授業中に用務員のフィルチがレオのことを呼び出した。
どうやら日刊預言者新聞用に代表選手の写真を撮るらしい。
呼び出された部屋には各校長にレオを睨むクラウチとバグマンにクラム、フラー、セドリック達代表選手と見覚えのない女が一人、そしてオリバンダーがいた。
「おお来たね! これから代表選手たちの杖調べをするよ。調べてくれるのは魔法界一と言っても良い杖職人、オリバンダー老だ。」
オリバンダーによる杖調べが始まる。
「さて、拝見させてもらいましょうか。ミス・フラーは……24センチ、しなりにくい。紫檀に芯は……おおこれは……。」
「尊敬するおばあ様の髪の毛です。おばあ様はヴィーラなんです。」
「なるほどなるほど。私が作る杖にはないが良いものだ。」
次はクラムの番だ。
「クマシデにドラゴンの心臓の琴線。26センチでかなり頑丈。ふむ……かなりの太さじゃな。」
セドリックに移る。
「おおこれはわしの作品じゃな。トネリコにユニコーンの尾、30センチよくしなる。うむ手入れも良くされているようじゃ。」
満足そうな顔のオリバンダー。最後にレオの番が来た。
「お久しぶりですな、テイラーさん。今日はあなたが作ったという杖を見られるというので楽しみにしておりました。それでは拝見しましょう。」
レオは杖を差し出す。
「どれどれ……。25センチ、持ちやすい。ふーむ、材質は桜のようだ。そして芯材は……。おお、まさかこのようなものを使うとは!」
(流石はオリバンダーさんだ。普通は見ただけじゃ気付けないものだけど。)
「テイラーさん。この杖の芯材はあなた自身の体の一部ですね。」
「正解です。正確には僕の腕の骨の一部を摘出加工したものです。僕の一部であるので僕の魔力をよく通すことができます。」
「なるほどのぉ。人間は芯材の使う魔法生物と比べて魔力は通しにくい。だが自身の一部を使うことでその魔力を通す抵抗は少なく、効率も良くなるということじゃな。まさにこの杖はあなたの為だけのものじゃ。こんな発想は今までになかった。いや、新しい発見もあったし長生きするものじゃな。」
杖調べは無事終了。その後に写真を撮って解散となった。
レオも戻ろうとしたら部屋にいた女性に呼び止められた。趣味の悪い恰好をした人だった。
「ちょっといいざんすか? わたくし、リータ・スキーター。記者をやっているざんす。他の選手にもしたしあなたにもインタビューをしてよろしいかしら?」
「短い時間でいいのなら。」
「もちろん! 時間なんか取らせないざんすよ。」
立ち話なんだから二人分の椅子を出して座る。
スキーターは自動速記羽ペンQQQを使って色んな事を早口で聞いてきた。
どうして出場を決めたのか、どうやってダンブルドアたちを出し抜いたのか、課題への意気込みは、他の代表選手をどう思っているのか、等々。
レオは適当に答えていたが、羽ペンがスキーターが思うような面白い記事を書いている。
内容を見てみると、
『若き天才全てを敵に回す! 最早魔法界に知らぬものがいないと言っても過言ではない天才魔法使いのレナード・テイラーが
こんな内容が延々と続き、レオのことを才能があるが傲慢で他者を見下すような人物として
「このぐらいで良いざんしょ! 良い記事になるのを楽しみにして待っててちょうだい。」
「その内容を少し見ましたが読者はそういうのが好きなんですか? よく分からないですね。」
「読者とは真実よりも面白いものを求めているものざんす。止めても今回の記事はこういう方向で行くざんす。もし邪魔するようならもっと過激な記事を書くことになると言っておくざんす!」
「いえ、別に興味がないので。ああ、そうだ一つ質問してもいいですか?」
「何ざんす?」
「虫になる感覚ってどんな感じですか?」
その言葉にスキーターは固まる。
リータ・スキーターは未登録の
「どどど、どういう意味ざんす……?」
「あなた
(なんで、どうして!? まさか、魔法を理解する『眼』というのはデマじゃなくて本当なの? こんなのとは関わらないにかぎる!)
「失礼するざんす!」
この後、リータ・スキーターはレナード・テイラーの記事も無難なものにして一切かかわらないようにした。
この判断は正解であったと言わざるを得ない。
もしレオを中傷するような記事を書いていた場合にはハーマイオニー、クー、レオの両親によって記者生命が終わりを告げていただろう。
リータ・スキーターが大人しくなったおかげで波乱もなく第一課題の日が近づいてきた。
原作でのハリーへの批判と同じようなことは起こってますね。
フォイは怖がってやってませんけど。
杖については以前魔法の補助具という説明をしてたかと思います。
ある魔法の威力を100とすると、杖なしの呪文では10、訓練しても70程度の力しか発揮しない。
杖なしで完全に力を出すには完璧にその魔法を理解しなければならない。
杖を使えば能力が上がって上限値120の威力になる。芯材に使ってる魔法生物が人より魔力を通しやすいからである。
しかし杖の持ち主と芯材の相性もある。普通は杖に選ばれたのなら問題ないレベルではあるが杖と魔法使いは異なる存在なので100%完璧に性能は発揮できていない。
なので抵抗がかかってどうやっても最大値で魔法を行使できない。
レオは芯材に自分自身を使うことで上限は上がってないが抵抗を無くすことで最大値での魔法を使える杖を造った。
簡単なイメージはこんな感じ あくまで私の妄想です。
杖なし呪文=10
杖なし呪文(熟練)=70
完全理解杖なし=100
杖あり=120×抵抗減衰30%=84
杖あり(他人の杖)=120×抵抗減衰50%=60
レオ杖=100×抵抗減衰0=100
これら以外に呪文精度や理解度、保有魔力、無言呪文等あるので計算式は複雑になる。
ちなみにニワトコの杖は杖に認められるとこうなる
ニワトコの杖=200×抵抗減衰0=200 チートだな。
スキーターの記事には興味なかったが虫の動物もどきには興味があったレオ。
唯の興味であったが脅されたと感じたスキーターであった。
それでは次回お楽しみに。