【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

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それでは53話どうぞ。


53. 誘い

第一課題を終了したレオは研究室に戻って来ていた。

扉を開けるとハーマイオニーとクーが出迎えてくれる。

 

「お帰りなさい、レオ。疲れてない? 紅茶ならすぐに用意できるわよ。」

 

「お帰りなさいませ、レナード様。捕縛したドラゴンは暴れていたため、わたくしが大人しくさせました。」

 

「ただいま。紅茶はいただこうか。クーえらいぞ。」

 

紅茶で一服した後、扉を使って研究室内に作った格納空間に入れたドラゴンの様子を見ることにした。

 

 

ドラゴンは鎖で雁字搦めにされていたが、大人しくしているようだ。頭部は鱗がはがれ血が流れている。

 

「あの頭の傷はクーがやった?」

 

「お恥ずかしながら……。あまりにも抵抗するものでしたので一発お見舞いしました。」

 

とりあえずドラゴンに知性向上剤を投与して会話をすることにした。

 

「聞こえるかな? いま君に投与した魔法薬のおかげで僕の言葉が理解できているはずだ。」

 

「……聞こえている。我は貴様に敗れた……。もう抵抗もしない、焼くなり煮るなり好きにするがいい……。」

 

「話が早くて助かる。単刀直入に言おうか。君には僕の実験体になってもらう。君は何か希望はあるかい?」

 

「…………あった。我は種族の中では最強であった。それだけではない、いずれはこの世界で最強の存在になりたいという願望はあった。……今は敗れ無様をさらしているがな。」

 

「ふむふむ、最強の存在ね……。よし選択肢だ。意識を消されて生体兵器になるか。僕に従って最強の生物になるか。まぁ、どっちにしても改造させてもらうことには変わりはないんだけどね。」

 

「……その改造とやらを受ければ我は強くなるのか?」

 

「今よりは別次元の強さになることは保証しよう。」

 

「……良いだろう。これから貴様を我が主として認めよう。だが心せよ、隙があれば貴様の命を奪うと。最強の存在になったら真っ先に貴様を狙うと!」

 

「ははは。いいよ。もっとも安全対策は何重にもするからね。それを破って僕の命を狙えるなら僕の対策不十分ってことだから、恨むこともできないよ。」

 

こうしてその場の思いつきでレナード・テイラーのドラゴン改造計画がスタートした。

 

 

第一課題が終了して数週間。

今年のクリスマスでは三大魔法学校対抗試合(トライウィザード・トーナメント)が開催されているのでダンスパーティーが開催されることになっている。今年の持ち物にドレスローブが指定されていた理由が判明した。

生徒たちは誰をパートナーに誘うかで色めきだっていた。

代表選手も例外ではない。むしろ代表選手は真っ先に踊るため必ずパートナーが必要になるので大変になっている。

 

セドリックは人気者であるため寮、学年問わず誘われている。もっとも心に決めた人がいたのかすぐにセドリックにアタックする女子はいなくなっていたが。

クラムもクィディッチの人気プレイヤーであるので連日のように誘われていた。

それより凄まじいのはフラーであった。5メートル歩くたびにダンスパーティーのお誘いを受けており流石にまいっているようだ。

さて、レナード・テイラーといえば。

 

「レナード様は誰からも誘われてはいないのですか?」

 

「そうだね。興味ないから不参加で良いかなって考えているよ。」

 

「駄目です! 絶対に参加してください! お誘いは必ず来ますから! いえ、来なかったらレナード様から誰か誘うべきなのです!」

 

「う、うん。分かったよ。」

 

クーの予想外の反対に思わず頷いてしまうレオであった。

ホグワーツ生はレオとハーマイオニーの仲を知っている、というよりは付き合っていると認識しているためレオを誘うという選択肢はないのであった。

もっともそれはハーマイオニーにも言えることではあった。ハーマイオニーにアタックしたのはグリフィンドールの赤毛のそばかすの男子他数名だけであった。

結果は言うまでもないが。

 

(ああ、お母様。早くしないとわたくしをパートナーにするなんて言い出しかねませんよ。ファイトです!)

 

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ハーマイオニー・グレンジャーは悩んでいた。

もちろんクリスマスパーティーについてである。

何人かにパートナーのお誘いはあったが全て断っている。

一緒に踊りたいのは唯一人、想い人であるレナード・テイラーだけであるのだ。

できればレオの方から誘ってほしい。けれど関心がないことには本当に見向きもしないレオであるからそれも期待できない。

 

(でも……もしかしたら……。いや、私から誘うべきかしら? 誘ったらOKしてくれる?

きっと大丈夫なはず、それとも面倒くさくなって断られちゃうかも?)

 

そんな感じで誘うことができていなかった。今も図書室で本を読んでいるが、一行も頭に内容が入ってこない。

休日にもかかわらず朝からずっと悩み中である。

日が暮れる頃になってようやく誘う決心がついて図書室から出ていくハーマイオニー。

 

そしてその様子を見ている男子が一人……。

 

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「まったく冗談じゃないわ。」

 

フラー・デラクールは迷っていた。

そうここはホグワーツ、新入生なら確実に迷ってしまう迷宮がごとし構造なのであった。

ダンスパーティーに誘ってくるしつこい男子から逃げていたらいつの間にか帰り方が分からなくなっていたのだ。相変わらず男どもはうようよと湧いてきては誘ってくる。それを無視して当てもなく歩き続けている。

 

(まったく、私がこんな目にあっているのもレナードのせいよ。私が惚れた男ならさっさと助けに来なさいよ!)

 

何という無茶ぶりだろうか。だがその願いが天に届いたのか前方にレナードの姿が見える。

 

(ふふふ。やはり私たちは引き合うのね。ついでよ、ダンスパーティーに誘ってあげるわ。今までは周りが邪魔だったから今がその時ね。)

 

フラーはレオに近づいていった。

 

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ビクトール・クラムはクィディッチバカであった。

学業よりクィディッチ。休みもクィディッチ。読む本もクィディッチ関係。

幼い時より箒にしか興味を示さず、おこずかいも全てクィディッチに捧げていた。

ガールフレンドはいたことは無いし、箒が嫁であった。家族もクラム家の血筋はビクトールの代で途絶えることになると嘆いている。

そんなクラムはクィディッチ以外でも優れた魔法使いであった。ダームストラングに入学してからはクィディッチだけでなくどの教科でも優秀な成績をたたき出し、校長のカルカロフのお気に入りになっていた。

優秀な成績であればクィディッチに集中しても文句を言われることが少ないからやっていただけというのが真相である。

今回の三大魔法学校対抗試合(トライウィザード・トーナメント)もカルカロフに言われて渋々来たというのが本当のところなのだ。だが、選ばれたからには全力で戦うのみ。

しかし長らく愛箒に乗っていないストレスで最近はイライラしている。ダンスパーティーの誘いを受けているが正直ピンとくる女の子には出会えていない。

今日は一人で静かに過ごしたいと思って図書室でクィディッチの本でも読もうと決めた。

 

そこでビクトール・クラムは天使を見た。

 

茶色いストレートの髪。知性を感じさせる瞳。色々と描写することはできるだろうが、美しいものは美しいと表現するのが最適だろう。

クラムは生まれて初めての衝撃に戸惑った。女の子がこれほどまでに輝いて見えるとは思ったこともなかった。彼女は何か悩んでいるようだったが、そんな表情ですら美しい。

クラムは行動の早い男だった。億劫だったダンスパーティーの相手は彼女に決めた。彼女が図書室から出ていくのが見えたので急いでその後を追った。

 

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レオは研究室から出てハーマイオニーを探していた。

クーがあまりにもダンスパーティーのパートナーを見つけるようにしつこく言うため、気分転換に外に出ていたのだ。

そしてダンスパーティーのパートナーを考えてみるとハーマイオニーしか浮かばなかったためだ。

 

(誰でもいいと思っていたけど、いざ考えてみるとハーマイオニー以外はしっくりこないな。見つけたら誘うとしよう。)

 

ハーマイオニーならおそらく図書室にいるだろう。そう思って向かっているとちょうど前からハーマイオニーが歩いてきているのが見えた。

ハーマイオニーもこちらに気付いた。なんか決心したようにこちらに進んできた。

 

「やぁ、ハーマイオニー。」

 

「レオ! えーと、ちょっといいかしら?」

 

ハーマイオニーが何か言おうとした時、双方の後ろから言葉が聞こえてきた。

 

「レナード! 私と一緒にダンスパーティーで踊るわよ!」

 

「そこの美しいお嬢さん。僕のパートナーになってくれませんか?」

 

「「えっ?」」

 

レオとハーマイオニーの声が重なる。

フラーとクラムは多少驚いていたが、すぐに目当ての相手だけを見ていた。

 

(えっと、どういうこと? レオを誘う決心がついたと思ったら、フラーがレオを誘ってクラムが私を誘っている? どうすればいいの!?)

 

ハーマイオニーは混乱している! だけれども混乱はすぐに治まることになる。

 

「ごめん。誘いは断らせてもらうよ。ハーマイオニー。僕と踊ってくれませんか?」

 

ハーマイオニーが聞きたかった言葉。それを脳が認識した途端、思考がクリアになった。

ハーマイオニーはクラムの方に向いた。

 

「誘いはありがたいですけど、ごめんなさい。」

 

そして改めてレオの方に向き直る。

 

「喜んで。ちゃんとリードしてね、レオ?」

 

パートナーが決まってホッとしているレオと嬉しそうなハーマイオニー。

納得した顔をしたフラーと悔しそうなクラムを残して二人は研究室に戻っていった。

 

 

残された二人。

フラーが話し始めた。

 

「私の魅了が通じないわけね。あの二人どう見ても相思相愛よ。あーあ、私バカみたいね。

でそっちのクィディッチプレイヤーさんも失恋かしら?」

 

「……まぁ、そうなるね。さっき生まれて初めて箒より女性に惹かれたけど……。悔しいけどあの顔を見たらね。この悔しさは試合で勝って晴らすとしよう。」

 

「ふふん。同意見だわ。でも私諦めてないわよ? 少しでも隙があるならアタックし続けるわ。」

 

「経験がない僕が言うのもなんだが……、無理じゃないか?」

 

「うるさい!」

 

その後、この二人も何とかパートナーを決めることができた。




捕獲したドラゴンの魔改造計画スタート!
どこまでぶっ飛んだ改造をしようかな。

レオのダンスパーティのパートナーは勿論ハーマイオニーでございます。
レオは無自覚ながらもハーマイオニーを選びました。

そして恋敗れるフラーとクラム。
すまんな、プロット段階から決定していたことだ。

ちなみにセドリックは原作通りのお相手です。

それでは次回お楽しみに。

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