ここまでハリー達がでない物語も珍しいかな。
それでは55話どうぞ。
月日は流れ、年も明けた。
年末年始はホグワーツで過ごしたレオとハーマイオニー。
最早ハーマイオニーもレオの研究室で寝泊まりするようになっていた。
最初のころはマクゴナガルも注意していたが、相手がレナード・テイラーと成績最優秀であるハーマイオニーであり、二人の両親の許可も得たので特例として認めることになった。
本当のところはレナードを制御する手段としてハーマイオニーが有効であると考えたダンブルドアがより二人が親密になるように許可を出していたのが真相だ。
そしてとうとう第二課題の日がやってきた。
代表選手たちは湖のそばの待機場所に集合している。
観客たちも特製の観客席に詰めかけてすでに満員だ。
金の卵の謎は第一課題終了後すでに全員が解決済み。後に詳しく調べれば
レオ以外の代表選手も準備は万全の様であり自信に満ちているが分かる。
その姿は今から水の中に入るために水着姿である。
まだ気温も低いため寒いが代表に選ばれた誇りからか堂々としている。
セドリックは顔だけでなく体つきもしっかりとしている。
クラムはスポーツマンらしく鍛えられた肉体を見せつけている。
フラーは魅了全開で水着姿を惜しげもなくさらしている。
実況のバグマンもそれに同調して今やちょっとしたショーになっている。
バグマンがクラウチによって止められるまでそれは続けられることになった。
ちなみにレオはいつもと同じ服装でとても水に入る格好ではない。
『さぁ、観客の男たちよ十分に堪能したか!? あー……。バーティ杖をしまっておくれ。
それでは気を取り直して。紳士淑女の皆さんお待たせいたしました。選手の準備が完了しましたので第二課題開始いたします。テイラー選手以外は私のホイッスルと同時に湖から大切なものを取り戻してもらいます。テイラー選手は5分間遅れてスタートです。
では、3・2・1———』
ピーッというホイッスルと同時に三人は一斉に湖に飛び込んだ。
セドリックとフラーは泡頭呪文で頭に空気の保持する方法を選択したようだ。
クラムは変身に失敗して不完全なサメに変わっているが水中を泳ぐには問題なく効果的である。
その様子を眺めながらレオは考えていた。
(そういえば、大切なものって何だろうか? 研究室の中の物は特に無くなっていなかったし、実家にある何かなのかな?)
そうこうしているうちに5分が経過した。
『さぁ、5分経過! テイラー選手はどうやって追いつくのか!? 注目が集まります。おーっと? 飛び込む気配がないぞ!』
レオは湖に指を入れ探査魔法を発動させた。
(えーと……。水魔、
大切な恋人を人質にされた怒りはあるが、まずは救出が優先だ。
探査魔法の終了させると同時にハーマイオニーがいる場所の直上の水面まで姿現わしをする。
その円柱を降下してハーマイオニーを縛るロープを切り離す。人質たちは『眼』で視たところ酸素供給、耐寒などの魔法で保護されているので問題ないようだ。
ハーマイオニー以外はそのままにして水上に上昇する。水も元通りに戻しておく。
ハーマイオニーの濡れた体を魔法で乾かしながらお姫様抱っこで飛行魔法で湖岸に戻る。その途中で愛しい彼女が目を覚ました。
「ううん……。ここは……? ああ、レオだ。おはよう。」
まだ昏睡させていた魔法が解除されきっていないのかトロンとした表情を向けてくる。
「おはようハーマイオニー。気分はどう?」
「ん~……。なんだか、フワフワする。夢……? レオにお姫様抱っこされて湖の上を飛んでるわ。」
そう言ってギュッとレオに抱き着いてくる。その様子を見ている観客たちは「俺たち試合を見に来たはずなのになんでバカップルのいちゃつく様子を見せられてんだ……?」と思っていた。
水中の様子も魔法で映し出されているので意識を切り替えて、トップ確定のレオではなくセドリックたちの奮闘ぶりを観戦することにした。
湖岸に到着するころにはハーマイオニーも覚醒し寝ぼけてたとはいえ人前であんなに甘えた様子を映されて赤面していた。
ホグワーツ生にとっては今更感がすごいのである。付き合う前から仲の良さを見せつけられ、付き合いだしてからはより甘い空気を作り出しているのだ。本人たちはその自覚はないだろうが傍から見ていると完全に夫婦同然のカップルであった。
しばらく待っているとフラーが湖から出てきた。どうやら怪我をしているようでひどく取り乱している。
「ああ、ガブリエル……ガブリエル! どうすれば、戻らなきゃ!」
マダムマクシームが必死に止めようとしているが再度湖に飛び込んで助けられなかった人質を助けに行こうとしている。
先程ハーマイオニーを助けた時に施されている魔法を視たが時間は一時間以上持続するように設定されていた。金の卵の歌の一時間とはあくまで試合の時間であり本当に大切なものを失うようなことは運営側としてもする気はないのだろう。
少し考えれば解ることだが気が動転しているフラーは気が付いていない。
「それにしても運営も魔法で保護してるとはいえ人を水中に沈めるなんて何を考えているんだか。」
「一応、沈められる方の私たちには事前に許可を得てたわよ。断ってたら何か物品とかが代わりに沈められていたみたい。私としては囚われのお姫様を王子様が助け出すみたいで少しワクワクしたわ。」
「ハーマイオニーがそう言うなら良いんだけどね。」
そうしているうちに次の選手が水から姿を現した。
不完全なサメ状態のクラムだ。人質であろうスリザリンの女生徒も一緒である。時間制限内ギリギリではあったが見事課題をクリアしてみせた。
その数分後。セドリックが水面から顔を出した。泳いで湖岸まで来ようとしているが、二人分の人質を連れているため思うように進めていない。そう、セドリックは自分の人質だけでなくフラーの人質も連れて戻ってきたのだ。
「ガブリエル!」
マダムマクシームの制止も振り切って妹のガブリエルに駆け寄るフラー。
無事を確かめセドリックに涙を流しながらお礼を言っている。
代表全員が戻りフラーが落ち着いたところで採点になった。
『レディース&ジェントルメン! お待たせいたしました! 審査が終了いたしました! 50点満点で各代表選手の得点を発表していきます!
最初はテイラー選手。5分間のハンデも無いに等しい速さ! なんと制限時間は50分も残っていました。湖に入ることなく人質を助け出したのもすごい! 結果、47点!』
会場は拍手に包まれるが何というかやる気がない拍手であった。
感じとしてはワースゴイネーと棒読みで感想を言われているようだ。
『続いてミス・デラクール。泡頭呪文は完璧でしたが、水魔に襲われ残念ながら途中リタイア。よって25点です。』
フラーは当然の結果として受け取っている。
『次に戻ってきたビクトール・クラム選手! 変身術は不完全でしたが水中での活動には有効であることは変わりません。制限時間内かつ二番目ということで40点!』
クラムファンとダームストラング生から歓声が沸き起こる。
『最後! セドリック・ディゴリー選手! 泡頭呪文も問題なし、人質と共に無事帰還しましたが制限時間の一時間をオーバーしてしまいました。しかし
会場全体、ホグワーツだけでなくボーバトンやダームストラングの生徒たちもセドリックの行為が素晴らしいと認めているようだ。
セドリックとしては当然といった感じなのだろうが、そういった態度も彼への好感につながるのだろう。男女問わず人気があるのもうなずけるというものだ。
「ああいう人だから嫌いになる人がいないのよね。グリフィンドールにも彼のこと好きだって言っている女の子は多いのよ。」
「へー。ハーマイオニーも彼みたいなのはかっこよく見えるのかい?」
「そうね。確かにかっこいいんでしょうね。でも私がそばにいたいって思うのはあなただけよ。」
「それは光栄だね。僕も君以外が隣にいるのは想像できないかな。」
『さぁ、次はいよいよ最終課題! 6月24日に開始だ。それではみなさん、ごきげんよう!』
「さて課題も終わったし帰ろうか。夕食なんだろう?」
「気分的にはあったかいスープが飲みたいわ。」
残念ながらスープは無かったので屋敷しもべ妖精に頼んで作ってもらうことにした。
ハーマイオニーはホグワーツで初めてしもべ妖精を見たようだがその働きぶりに感心していた。
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(……第二課題も終わった。最後の課題でどのような結果であれレナード・テイラーが全員の目を奪うような活躍をしてくれれば良いのだが……。)
とある屋敷の部屋で一人、死喰い人が己の、いや主の計画の成功を祈っていた。
第二課題でした。
今回もレオにペナルティーがありましたが、何の問題もなかった。
実は水中人や大イカも事前にすごい魔法使いと聞いていて妨害しようと張り切っていたんですが水中にも入らなかったよ。
ハーマイオニーが人質にされて若干怒ってるレオですが、施されていた魔法とハーマイオニーが乗り気だったから運営側への制裁はなくなりました。
ダンブルドアもこのくらいなら予言の内容には当たらないと判断しましたが
ちょっとビビってました。
セドリックとフラーの人質は原作同様。
クラムは箒マニアなスリザリン女子。これから先登場予定もないキャラです。
何気にハーマイオニーがしもべ妖精を見てなかったし、レオに影響されたから例の活動はないですね。
それでは次回お楽しみに。