【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

6 / 96
お気に入り登録が100件を超えていてびっくりしました。
これからもよろしくお願いします。

今回はレオによるハーマイオニーへの魔法講座です。
私の魔法に対しての考えが出てますが、どこかで似たようなの見たことあるなと思ったら、それはきっと色んな漫画や小説等に影響されたからだと思います。

生暖かい目でスルーするか、感想でこれのパクリじゃないか!とか言ってくれると助かります。


5.魔法講座開始

ハーマイオニー視点

 

ダイアゴン横丁で買い物をした翌日の朝

 

私、ハーマイオニー・グレンジャーは小走りで目的地に向かっている最中であった。

行先は勿論テイラー邸である。

今日から入学までレオにみっちりと魔法について教えてもらうのだ。

昨日の夜は初めて魔法界に行った興奮と今日からの勉強について色々考えていたら中々寝付くことができなかった。

 

私はレナード・テイラーのことを唯一の友人……いや親友であると思っている。

それと同時にいつか超えるべき目標であると決めていた。

 

初めて会ったときはいきなり口を出してきて失礼な人だと怒りを覚えたものだ。

しかし、決して間違ったことは言っていなかったため余計に悔しい思いもした。

何度かそんなやり取りをしているうちに相手が自分より頭の回転が速く、物事をより正しく認識する力があると認めざるを得なくなった。

同時に、以前のような怒りはなく純粋に尊敬する自分の心に困惑もしたが、決して不快な気持ちではないと断言できる。

彼に近づいて、並び立ち、追い越すことを目標に勉強にもっと力を入れた。

 

そして、自分が魔法使いであると知らされても、人として、魔法使いではない彼のことを超えるつもりではいた。

まぁ、彼も魔法使いであると知って、一緒に魔法使いの世界に行くことになったが…。

 

昨日、一緒にダイアゴン横丁に行ったがどうやら彼は魔法界でも有名で優れた人らしい。

対して自分は魔法については0からのスタートだ。

だからと言って諦めるつもりはない。

目標との差は大きくなってしまったけれど、逆に燃えるというものだ。

まずは、ホグワーツに行く前に少しでも勉強しておかなければ。

 

「なんにしても、今日からその一歩ね……。もらった地図によるとこの辺りのはずだけれど。」

 

私はテイラー邸への地図を鞄にしまうと、もう一つもらっていた道具を取り出す。

それは幾何学模様が描かれた青いコインであった。

 

「これを持っていると認識できるようになるって言ってたけど……。」

 

そうつぶやいた瞬間、コインが光を放ち次の瞬間には先ほどまでそこには無かったはずの家が建っていた。

驚いたが、とりあえず呼び鈴を鳴らしてみる。

すぐにドアが開き中から長い茶髪の女性が姿を現す。

 

「は~い。どちら様ですか~? んん? 女の子? レオぐらいの歳かしら。迷子かしら。お名前は? 何かご用ですか?」

 

「あの、初めまして!ハーマイオニー・グレンジャーといいます。今日はレオ…じゃなくてレナード君に呼ばれて来ました。レナード君はご在宅でしょうか?」

 

「まあまあまあ! レオのお友達なのね!? あぁ、どうしましょう! レオに友達が訪ねてくるなんて。というかレオに友達がいたなんて初耳だわ!」

 

女性、おそらくはレオの母親だろう、の予想外の驚き様に逆にこちらが面食らってしまった。

しばらく興奮したままだったが、こちらを放置しているのに気が付くと家の中に案内してくださった。

 

「ごめんなさいね。レオにお客様が訪ねてくるとは聞いていたのだけれど、まさか友達でしかも女の子だなんて夢にも思わなかったの。私はレオの母親のフェリス・テイラーよ。今レオを呼んできますからソファーに座ってゆっくりしていってね。」

 

そういってフェリスさんがリビングから出て行った後、家の中を見渡してみる。

魔法使いの家という割には特に変わったところは見つからなかった。いたって平凡な普通の家でちょっと拍子抜けしてしまう。

しばらく、観察をしていると、フェリスさんがレオを連れて戻ってきた。

 

「お待たせ~。そういえばどんな用事なの? 遊びに来てくれたの? ハーミーちゃんも今年からホグワーツ? 好きな食べ物は?」

 

「母さん。興奮しすぎですし、そんなにいっぺんに質問されても答えられませんよ。」

 

「だって、レオに友達がいてしかも家に遊びに来てくれるだもの! さらには女の子! 色々聞いてみたいのよ~!」

 

フェリスさんからの質問が続いていたが、レオに引っ張られて彼の研究所まで案内された。

室内は外から見るよりもはるかに広く、また先ほどまでのリビングとは大きく異っていた。見たことのない物体やフラスコに入った様々な色の薬品など、まさに魔法使いの研究室としか言い表せない。

 

「さて、ハーマイオニーはマグル出身ということで魔法がどんなものか全く知らないと考えていいのかな?」

 

肯定するしかない。つい一週間前までは自分が魔法が使えるとさえ思ってもみなかったのだ。

 

「それじゃあ、まずは魔法とは何であるかの説明かな。学校の勉強は基礎をしっかり固めてから取り組んでもいいと思う。」

 

「レオ、あなたを信じていないわけじゃないけれど不安だわ。学校の勉強についていける? 早く学校の勉強も取り組んだ方がいいんじゃないかしら?」

 

ホグワーツは魔法学校なのだ。当然魔法が中心で勉強も進むに決まっている。

魔法の存在が空想のものだと信じられてきた環境で生きてきたのだ。

勉強にはついていけるのか、魔法を扱えるのか、などなど。

最初は魔法使いと知って嬉しさと希望でいっぱいだったが、いざ勉強を教えてもらう段階で不安が徐々にわいてきた。

そんな私の心の内を気にもしない様子でレオは言う。

 

「君以外にもマグル出身はいるし、そういった人もホグワーツの入学から魔法を学んでも魔法使いの家に生まれた子供と大差ないのだから、気にする必要はないと思うよ。君は優秀だよ。あぁ、魔法が使えるとかそういったことではなく、頭の回転とか観察力、理解力とかかな。魔法を扱ううえでそれらは重要になってくるよ。とりあえず今日は基礎を教えて、君の能力に合わせてペースを上げよう。僕も色々と一から魔法を学びなおすことで何か違った発見があるかもしれないし、マグル視点からの魔法について知るのも面白そうだ。」

 

彼に優秀と言われるだけで胸の奥が暖かくなる。マグル出身が他にもいるとかそういった情報よりその一言で私の下へ向いていた気持ちのベクトルが真逆になるのだった。

 

「やる気になったようだね。じゃあ、勉強開始だ。僕は教師じゃないけど、魔法研究をしている。これから僕なりの考えで魔法について話していくよ。」

 

 

「ホグワーツでの科目も含めて魔法研究は大別して三つに分けられると僕は考えている。

一つ、呪文系。魔力と呪文を使ってあらゆる現象をもたらすもの。呪文学、変身術が該当する。

二つ、魔法生物系。魔力を秘めた動植物を扱うもの。薬草学、魔法生物飼育学、魔法薬学だね。

最後の三つ目は前の二つ以外のものになるかな。魔法史やマグル学は歴史や文化の分野だから魔力自体は使わないし、占い学なんかは魔力以外の才能がものをいう。それ以外にも魂や精神なんかを扱う分野の研究がここに属している。」

 

なるほど、と頷く。とりあえず呪文、不思議な生物、その他と記憶しておく。

 

「まずは、魔法がどういったものか説明してから呪文系を学んでいこう。魔法生物系は実物を扱って経験してみないことにはどうしようもないこともあるからね。三つ目の分野は後回しでも問題ないだろう。入学までの約一か月間は呪文の運用などを中心に取り組んでいこう。」

 

いよいよ本格的に講義開始のようだ。気を引き締めてしっかり脳に刻み付けていこう。

 

「魔力、これを体内で生成できるかどうかが魔法族とマグルを区別するたった一つの違いなんだ。

魔力の量や特徴は個人差があって生まれ持ったものだから変えることは困難だ。

量は魔法をどれだけ使えるかに関わる。マグル文化で例えると車のガソリンに当たるかな。量によって車の速さと走行距離が変わってくるように使える魔法の数と強さが変わる。

特徴は個人間での差はほとんどないが、得意な魔法分野に影響する。特異な魔力を持つがゆえにほとんどの分野でまともに魔法を使えないが、ある分野のみは誰にも負けない才能を発揮したりする人もいる。」

 

「呪文は魔力を魔法という現象に変換するための補助をするものだ。

大事なのは呪文を言う、知っているというよりは使いたい魔法がどのような結果をもたらすか、しっかりとイメージする必要がある。そのイメージによって魔力が魔法に変わる。イメージを確立するために呪文がある、なので熟練者ほど呪文を言わなくても魔法が使える。ただしイメージを強くできるため呪文を言った方が強い効果を発揮することができる。」

 

「イメージの確立つまり、魔法を取り扱うには精神が大事になってくる。

正常な精神状態であれば十全な魔法が使える。逆に疲弊した精神ではまともに魔法を使えないことさえある。不安、動揺、自信がない、恐慌状態、などなどこういった精神状態で無理に魔法を使うと成功しないだけでなく、最悪暴発して命を失うことにつながりかねない。」

 

「最後に杖。これは体内の魔力を効率的に外へと出すための経路の役割になっている。

芯に人より魔力に対して親和性のある生物の一部を使うことで魔力を外へ通しただの魔力を魔法という方向に誘導する。呪文と同じであくまで魔法を使うための補助道具。

しかし魔法使いはほぼ杖に頼り切っている。杖なしでも魔法を使うことは理論上不可能ではない。

だが、魔法が使える他の種族と比べて人は魔力を外に出す力が弱い。

杖なしで魔法行使するには使う魔法に対して高度な理解力が必要になってくる。

杖の役割はこんなところだが作成なんかになるとまた専門的な知識が必要だ。

ちなみに別に杖でなくとも他の道具で代用できるのならばどんな形のものでも魔法は使えるんだ。あまり普及はしていないけどね。」

 

魔力、呪文、イメージ、精神力、杖……。レオの言ったことをメモを取りながら頭の中で繰り返す。魔法を使う時の必要なものは分かった。だけど……。

 

「レオ、とりあえず魔法を使う最低限の要因は理解できたわ。だけど、やっぱりこの目で魔法を見て使ってみないことにはイメージがし難いわ。」

 

「まぁ、今言ったことは本当に魔法を使ううえでの最小構成要素だからね。ほとんどの人はいちいち魔力とか杖がとかあまり意識せずに杖を持って呪文を言うと魔法が使えるって認識がだろう。学校指定の教科書を見たけれど呪文と効果、杖の動きぐらいで魔力なんかの説明はほとんど無かったしね。しかし、本当に魔法で何かをするときには今説明したことを意識することで細かな制御やより複雑な応用も可能になる。魔法研究をしている僕としてはその辺をしっかり知っておくと必ず魔法使いとしての力は上達すると断言するよ。」

 

レオの言葉を聞いて何事も基礎の基礎が大事なのだと改めて感じた。

 

それからは簡単な魔法を使った講座が始まった。

まず、レオが手本を見せてから私がやってみる。ミスや改善点をそこで指摘される。

具体的なイメージや細かな発音や杖の動きを調整。何度か失敗してもレオがその都度適切なアドバイスをくれるので失敗の頻度はみるみる減っていった。

 

 

 

最初の一週間はものを動かすなどの簡単な魔法だけだった。

次の二週目は簡単な呪いと防御呪文。それに危険度の低い魔法生物を扱ったりもした。

三週目になると基本呪文の応用(強弱や範囲の指定など)。それと魔法薬を作って実際に効果を確認して一喜一憂したりした。

最後の四週目は今までの復習とホグワーツの予習だったが、三週目までで三~四年生の授業内容レベルに達してしまっていたので、もっと高度な魔法について少しだけふれることができた。

その他にも魔法使いたちの常識や歴史について簡単だが教えてもらった。

 

レオの話では私は理解力が予想以上らしくついつい予定より高度な内容になってしまったようだ。

だけど私を優秀だと言うレオはこちらから見るとさらに上の領域にいるようにしか思えなかった。

なんでも、レオは普通とは『眼』が異なっていて魔法の理解力が人とは違うらしい。

どんな『眼』なのか聞くと魔力や魔法を式や色として認識できるらしい。

 

なにはともあれホグワーツ入学までの一カ月で私も随分力と知識を得ることができた。

目標はまだまだ遠いけれど私ももっと勉強してすぐに追い越してやるんだから待ってなさい!

 

 

 

そのころのハリー・ポッター

物置部屋での日々。

 




今回はハーマイオニー視点での話にしてみました。
色んな形式の話に挑戦してみたいです。

テイラー邸はレオ開発の簡易忠誠の術で守られています。コインが守り人の代わりです。
簡易なので少し実力のある魔法使いにはバレてしまいますが。

チートのレオに魔法を教えられたので本作のハーマイオニーのレベルはかなり上昇しています。最終的にどこまでにするかは未定ですけど。

次回はホグワーツに到着するところまでの予定です。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。