【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

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今回から5巻の不死鳥の騎士団に相当する章が開始です。

物語も終盤に入りました。このままの投稿ペースを維持して頑張ります。

それでは61話どうぞ。


5章 不死鳥を超えて
61. 騎士団本部へ


闇の帝王ヴォルデモートが復活した。

大多数の人間はそんな事(悪夢)信じてはいない、いや信じたくないのだ。

それはイギリス魔法界のトップである魔法大臣のコーネリウス・ファッジとて変わらなかった。そのため魔法省はダンブルドアやハリー・ポッターの言葉を全て妄言として扱った。

魔法省の圧力がかかった日刊預言者新聞では毎日のように二人に対しての批判的な記事で埋め尽くされている。

 

それでも

闇は徐々に日常を侵食している。

よく注意すれば気が付くことができたかもしれない。

それでも人々は闇を見なかった。見たくなかった。

 

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テイラー邸では世間の反応など無関係な様子で日常が流れていた。

父、アースキンは魔法省を解雇されたが実際はそれを快く思っていない闇祓い局局長のルーファス・スクリムジョールによって魔法省には出勤しない形態での仕事を任されていた。

スクリムジョールはヴォルデモートの復活は事実だと確信していたので不死鳥の騎士団とは別に戦力増強と情報収集を進めている。いずれは崩壊するであろう魔法省を纏めるための計画が水面下で着実に進行中だ。

 

母、フェリスはいつもの様に家事をして息子や未来の娘とお茶をしたり、帰ってきた旦那の疲れを癒したりと平和に過ごしている。ヴォルデモートの復活は知ってはいるが何も心配はしていない。旦那と息子がそばにいるそれだけで不安になることなど何もないのだ。

 

息子、レナードは研究室に引きこもっている。

一応は不死鳥の騎士団に所属する形になっているが現状特に任務はない。面倒でなければやっても良いかなぐらいではあるし、レオの力を借りなければどうしようもなければ極力連絡はないとの事であった。メンバーが誰であるかさえ知らない。

それに対して不満はないのでいつもの様に研究三昧である。

 

そして、未来の嫁ことハーマイオニー・グレンジャーは最早テイラー邸で暮らしている。

数年前から用意されていた自室で寝起きして、フェリスの元で花嫁修業中である。

ハーマイオニーの両親はレオ特製の防御魔法具が守っており住んでいる家も忠誠の術による守護が張ってある。

仮に闇の帝王が直々に襲ってきても即座に害をなすことは難しいだろう。魔法具の力は危険を防ぐだけでなく緊急時にはテイラー邸まで転移する魔法まで施されている。

このおかげでハーマイオニーは安心してレオの家で過ごしている。

 

 

夏休みも半分ほど過ぎたある日。

今日は家族全員が揃って午後のティータイムを楽しんでいた。

そこへ一羽のフクロウが手紙をやって来て手紙を落とした。

レオ宛であり、中を確認するとダンブルドアからであった。

 

「騎士団からの連絡か。……どうやら騎士団メンバーに僕のことを紹介したいらしい。グリモールド・プレイスに来れば本部が分かると……。今日なら大丈夫そうだからちょっと行ってくる。ハーマイオニーも来る?」

 

「そうね。せっかくだし行ってみたいわね。」

 

「気を付けてね。何かあったら逃げるのよ。」

 

「ダンブルドアに伝えてくれ。闇祓い局、というかスクリムジョールは現在情報収集中だ。時が来ればファッジは終わる。」

 

「分かった。」

 

クーも入れて三人は姿くらましでグリモールド・プレイスに移動した。レオの教えでハーマイオニーもこの夏にはマスターしたのである。未成年の臭いについても問題なく誤魔化している。

グリモールド・プレイスに姿を現す三人。ハーマイオニーとクーは周りを見渡してもそれらしきものは見つけられなかった。

レオだけが忠誠の術で守られた騎士団の本部を見つけていた。

 

「こっちだね。二人とも着いてきて。」

 

二人の手を取って十二番地に進んでいく。

一歩でも踏み入れてしまえばあとは効果が発揮しないので二人にも建物を認識することができるようになった。

庭にはダンブルドアが待っていた。

 

「よく来てくれた。早速だが君のことを騎士団に紹介しようと思う。グレンジャーさんとクーさんは別室で待っておるといい。」

 

「お断りします。私はレオのそばを離れるつもりはありません。情報漏洩を恐れているなら問題ありません。閉心術はマスターしましたし、レオが聞いたことなら私も知っておきたいです。」

 

「……確かに完璧な閉心術じゃ。よろしい一緒に来なさい。」

 

ダンブルドアの後に続いて屋敷に踏み入る。

屋敷はよく掃除されていたが内装や家具は蛇が目立つ。おそらくスリザリン出身の一族の屋敷なのだろう。

廊下を進み大きめの部屋に入る。

中では会議が開かれていたのか話し合っていたが、四人が入ってくると中断してこちらに視線を向けた。

部屋にはマクゴナガル、スネイプ、ルーピンら教師たちにウィーズリー夫妻がいた。他にも数名がいるが知った顔は多くなかった。

 

「知っているものが多いだろうが皆に紹介しよう。レナード・テイラー君じゃ。彼も不死鳥の騎士団の一員になってもらった。これからは情報については共有していこうと思う。

そしてこちらはガールフレンドのハーマイオニー・グレンジャーさんとレナード君が創造した魔法生物のクーさんじゃ。彼女たちも力は十分にあるとわしは考えている。」

 

「ダンブルドア、私は反対です。いくら優れた能力があってもこの子たちは未成年、子供です!」

 

モリー・ウィーズリーが反対する。それに追従して禿げ頭の男が言葉を発する。

 

「私も反対だ。そちらのお嬢さん方については力のほどもわからない。納得できるものを見せて欲しい。」

 

「うむ。彼らを知らぬ人間にとってはもっともな意見じゃな。そうだのぉ……。こういえば良いかの? レナード君とクーさんはわしより強い。グレンジャーさんは騎士団で言えばシリウス、死喰い人(デスイーター)だとレストレンジあたりといい勝負ができるほどだと思っておる。」

 

史上最高の魔法使いが本人より強いという発言。レオを知らない者にとっては嘘にしか聞こえなかった。ハーマイオニーについてもただの学生が帝王の右腕とも言われるベラトリックス・レストレンジと同等とはどうしても思えない。クーについては……よくわからない。

 

「ダンブルドアよ。言葉ならどうとでもなる。実力を見なければ解らんこともあるだろう。力を見せるのが一番早い。」

 

義眼の男、通称マッド・アイ・ムーディがはっきり言う。

それに続いてピンクの髪の女性も疑問を表す。

 

「テイラーってことは鬼の副局長の息子さんだよね? 魔法研究についてはすごいって聞いてるけど戦いとかはどうなのかは知らないんだよなぁ。あ、自己紹介してなかったね。私、ニンファドーラ・トンクス! トンクスって呼んでね!」

 

場の流れはレオたちが力を見せるような感じになりつつある。

ダンブルドアが三人に聞いてきた。

 

「三人ともどうしたいかの。騎士団の任務は危険を伴う。彼らもお主らのことを心配してああ言っていることは理解してほしい。」

 

「ムーディさんが言うように実力を見せれば良いのでは? 不満がある人と僕たちが決闘でもすればそれで済むでしょう。それにお互いの実力を知らないといざという時に問題でしょうしね。ハーマイオニーとクーもそれで大丈夫?」

 

「私は平気よ。ホグワーツ生以外と決闘するのは初めてだけど自分の実力を測るのにちょうどいい機会でもあるわ。」

 

「わたくしはレナード様に反対することなどありえません。」

 

 

庭に移動して反対しているメンバーと決闘をすることとなった。マクゴナガルたちホグワーツの教師たちはそれを止めようとしたが一度実力を見なければ理解できないと考え止めた。

 

レオの相手はマッド・アイ・ムーディ。

ハーマイオニーはトンクス。

クーは禿げ頭の男、キングズリー・シャックルボルトというらしい、に決まった。

 

初戦ハーマイオニー対トンクス。

お互いに呪文を放ち、それを躱し、盾の呪文(プロテゴ)で防ぐ。お手本のような戦い方だったが、最初は様子見していたハーマイオニーが身体能力向上と飛行魔法を駆使して翻弄しだすと一方的になり5分もしないうちにトンクスの杖は宙を舞っていた。

 

「あーやられたー! というか箒も無しで空を飛ぶって何それ!? 移動も速いし最近の子はそうなの!?」

 

「いえ、レオに教えてもらった魔法です。トンクスさんも学生とは比較にならないくらい強かったです。」

 

「ちぇー。最初は手加減してた人に言われたくないわよ。あーあ、私これでも将来期待されてた闇祓いなんだけどなぁ。自信無くすわー。」

 

 

続いてクー対キングズリー

クーは鎧姿の戦闘形態になるがその場から一歩も動かなかった。

キングズリーは最初こそ困惑するもすぐに切り替えて攻撃を始める。

だがそのどれもがクーに命中するも効果はなし。

数が十数発を超えたころにクーが動き始める。だがそれを視認できたものは一人もいなかった。キングズリーはクーが消えたと思ったら喉元に刃が付きつけられている状況だった。

降参の意思を示すように両手を上げる。クーも一礼してメイド姿に戻ってレオの横に立つ。

 

「その子は一体何なんだい? 呪文は聞かないし、最後のは何をされたかも分からなかった。」

 

「ドラゴンとバジリスクと人間に単細胞生物と賢者の石を組み合わせた魔法生物です。」

 

レオが簡単に説明するが余計混乱するだけであった。

 

最終試合 レオ対マッド・アイ・ムーディ。

 

「行くぞ、小僧!」

 

ムーディが失神呪文(ステューピファイ)を放つ。その強さは並みの魔法使いとは比べ物にならなかった。

しかしそれはレオの『反射』によって跳ね返される。

普通の相手であればそれで試合終了だ。だが、相手は歴戦の闇祓い。

魔法の義眼でレオの周囲に何層もの防壁が張られていると知っていたムーディは横にステップして躱す。

 

「何かしらの防御をしているとは分かっていたが、まさか跳ね返すとはの……。ならば!」

 

ムーディはいきなり悪霊の火を放った。周りは流石にやりすぎだと思ったが、戦闘になってから展開した防御機構を見たムーディはそうは思わなかった。

戦闘が始まってからわずかの時間で歴戦の戦士は目の前の子供が恐ろしい化物だと理解した。

 

(強いとは思っていたが予想をはるかに上回っておる。ダンブルドアの言うことは正しい。ここでその力を見極めなくてはならん!)

 

全力の悪霊の火がレオを襲う。普通の呪文ではこれを防ぐことは困難だ。

だがその呪われた炎を極光が吹き飛ばした。

三大魔法学校対抗試合(トライウィザード・トーナメント)第三課題でレオが放った殲滅魔法(インタリトム)の簡易版だ。

射程や大きさは小さいがそれでも悪霊の火ならば消し飛ばすには十分だ。威力を抑えた結果連射性や速度は上昇するといったメリットもある。当然暴発については改善済みだ。

 

「防御だけじゃなく攻撃規格外か……。ふん。降参だ! このままやったらわしが死んでしまう。確かにダンブルドアの言うようにわしらの手に負える存在じゃないようだ。」

 

三人の力を確認した騎士団はこの力が闇の陣営に渡らなくてよかったと心の底から安堵した。




騎士団員へ力を示した回でした。

世間ではダンブルドアへの不信感だったりお辞儀が復活したかもしれないという
疑心暗鬼で暗い感じになっていますが、レオの周りはいつも通り。

本作スクリムジョールは有能です。部下のアースキンに戦闘を任せられるからそれ以外の仕事に集中できるのが大きい。

ハーマイオニーの実力はトンクスには勝てるがムーディには勝てないぐらいですね。
ムーディは参加には反対していないけど実力は知っておきたいので決闘しました。

それでは次回お楽しみに。

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