【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

65 / 96
さぁ、カエル婆の登場だ!

奴はどんな運命になるのか予想してみてください。

それでは63話どうぞ。


63. 未知の生物

レナード・テイラー五年目のホグワーツは衝撃から始まった。

周りの生徒からの興味の視線、組み分け帽子が警告し結束を促すといったいつもと違った組み分けの儀式。ダンブルドアのいつもの話においしい料理。

そんなものは、あの存在の前には霞んでしまう事柄だった。

 

教職員が座るテーブルにレオが今まで見たことが無い生物が存在していたのだ。

見た目は蛙と人間の中間、まさにカエル人間といった感じだ。だが『眼』で見た魔力の感じでは人間そのもの。

教職員のテーブルにいるということは知性がある存在なのだろうか。

 

(新種の魔法生物? それとも人工的に造られた何かだろうか? 魔法や魔法薬の失敗だったら視れば解るはずだけどそれもない……。どういうことだ……?)

 

レオは『眼』で視ても理解できない初めてのことに頭がオーバーヒートしそうになっていた。

……実際はただ単純にカエルのような姿の唯の人間であるというのが真相なのだ。

 

食事も終わりダンブルドアからの注意事項が伝えられていると例のカエル人間が声を発した。

 

「エヘンエヘン。」

 

ダンブルドアも無視ができなかったのかそのカエルに発言を許した。

 

「皆さん、初めまして。闇の魔術に対する防衛術を教えるために魔法省から参りました。ドローレス・アンブリッジと申します。」

 

(喋った!?)

 

人語を話す魔法生物はいるがカエルの要素を持った生物では未確認のはずであった。やはり新種であるのかと疑念を強くするレオ。

 

「ホグワーツに戻ってきて可愛い皆さんに教えることができて幸せですわ。これから仲良くするよう頑張りますわ!」

 

そう言って大広間全体を見渡すアンブリッジ。

その目はハリー、ハーマイオニー、そしてレオをに対してはより強い視線を向けていた。

アンブリッジの話も終わり、ダンブルドアからの注意事項の連絡の後解散となった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

五年生からはO.W.L試験、通称ふくろう試験というものがある。

学期末に二週間をかけて実施され、将来の仕事に影響する重要な試験だ。これに一定の成績を修めた生徒だけが六年生からのNEWTレベルの授業に進む事ができる。

多くの五年生は先の事を考えておらずどの授業が楽か、担当の教師が、などを考えている。

 

「将来の仕事か。とりあえず魔法の研究ができればいいかな。ハーマイオニーはどんな仕事をしたいの?」

 

「魔法薬の研究をやってみたいわね。でも最終的な就職先は決めてるつもりよ?」

 

「そっか。僕は君なら即採用だよ。僕といつまでも一緒にいてくれるかい?」

 

「そのつもりよ。永久にあなたに就職することになるのね。」

 

授業が開始する朝。大広間では新入生は初めての授業に心を躍らせ、五年生はふくろう試験について悩み、七年生はイモリ試験を恨んでいた。

そこにいきなりプロポーズまがいの会話だ。

本人たちはいつも通りだが、周りはそうはいかない。

 

「おいおいおい、聞いたか兄弟。なんか知らんが天才たちがプロポーズしておられるぞ!」

「聞いたぞ兄弟。そういうことは人がいないとこでやるべきだと言いたい!」

 

ウィーズリー双子が茶化してくるがレオもハーマイオニーも慣れている。

そこにジニーがため息をつきながら話しかけてくる。

 

「はぁ……。ハーマイオニーが羨ましいわ。私も誰かいい人が見つからないかしら。」

 

「いつどんな時にそういう相手が見つかるかは運命次第かもね。私も、もしあの時レオと出会っていなかったらどうなっていたのかしらね。」

 

「んー想像できないな。まぁ今が幸せならそれでいいんじゃないかな。」

 

そうして恨めしそうな視線すら消滅させそうな幸せなオーラをまき散らしている二人から逃げるようにどんどん生徒たちがいなくなっていった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

今年初の闇の魔術に対する防衛術の授業の時間がやってきた。

レオはいくら『眼』で見てもドローレス・アンブリッジの正体が解らなかったので直接

本人(?)に聞くことにした。

さて、その授業内容だが去年までのルーピンの授業とは天と地の差だった。

実技は一切なし、ただ単純に教科書を読むにだけなのだ。

これには多くの生徒が不満そうにしている。

ヴォルデモートの復活の真偽はともかく、身を護るための術を学ぶはずの教科で魔法に不慣れな一年生ならともかく、五年生にもなって一切の実技がないというのは間違っている。

だがアンブリッジは生徒からの非難の視線も声も無視している。

そしてアンブリッジは気持ち悪くなるような視線をレナード・テイラーに向けている。

 

単調でつまらない授業ほど長く感じるものだ。

やっと授業が終わり解放された生徒たちは一秒でも早くあの存在から離れるために教室から出ていった。

 

「レナード・テイラー君、ちょっとよろしいかしら?」

 

最後に残っていたレオにアンブリッジが声をかける。自信に溢れ断られることなど想像していないようだ。レオとしてもありがたい申し出だ。元より残ってこの存在が何であるか調べるつもりではあったのだ。

 

「はい、何でしょうか?」

 

「有名なあなたと少しお話したいの。紅茶でも飲みながらどうかしら?」

 

レオは了承してアンブリッジの部屋に足を踏み入れる。

部屋はピンクに染まっていた。全ての家具、果ては壁までピンク一色なのだ。

 

(うわぁ……。)

 

魔法研究で色々な現象や様々な物を見てきたレオもここまでの光景は見たことが無かった。

 

「私の部屋へようこそ。歓迎しますわ。」

 

ピンクのソファーに座ってピンクのティーカップで紅茶を飲む。

紅茶がピンクでないのがこんなに嬉しいことだとは思わなかった。

一口飲む。思いのほか美味しかった。

 

「飲んだわね。さて、あなたには色々と聞きたいことがあるの。ファッジはあなたには関わるなといったけど所詮は子供。ダンブルドアの目的や仲間について教えてちょうだい?」

 

「ダンブルドア校長の目的ですか……。あの人は隠し事だらけで何が目的なのやら。今のところ打倒ヴォルデモートじゃないですかね。」

 

「具体的には? それとあなたは今何を研究しているの?」

 

「研究内容は極秘ですよ。共同研究をするというなら話は別ですけどそんなつもりはないですしね。」

 

「……紅茶、もう一杯いかが? 最高級の葉なの。遠慮しないで。」

 

実際おいしいのでもう一杯飲んだ。それを見て笑みを浮かべるアンブリッジにレオが言う。

 

「真実薬は隠し味には向きませんよ。基本的に無味無臭ですし。それに入れすぎです。あまり入れると欲しい情報だけでなく際限なくどうでもいいことまで話し続けてしまうことになりますからね。」

 

「し、真実薬? 何のことかしら?」

 

「紅茶に入ってましたよ。僕から研究内容聞き出そうとしたみたいですけど無駄です。僕には効きませんよ。」

 

レオの指輪の一つ『治癒』には魔法薬に対しても効果を発揮する。新種の毒薬ならば解毒に時間がかかるかもしれないが既存の魔法薬であれば真実薬であろうとも即座に無毒なものになる。

 

「言いがかりは止めなさい。レイブンクロー10点減点。もういいわ、帰りなさい。」

 

「最後に一つ良いですか。あなたはなんていう生物ですか?」

 

「は? 何を言ってるのかしら? 私は人間よ。」

 

「人間? カエル系の魔法生物ではなく? ただ単にカエルに似ているだけ……?」

 

「誰がカエルですって!? 無礼な態度にレイブンクローから20点減点! 出ていきなさい!」

 

追い出されるレオ。まさかの結果に驚いている。

 

(予想外だ。まさか魔法関係なしにあんなにカエルに似た人間が存在するとは……。人体の奇跡だな。それにしても真実薬まで使うとは魔法省も余裕ないのかな。)

 

実際にはレオに真実薬まで使ったのはアンブリッジの独断であった。レオの事を過小評価しすぎていたのだ。

魔法省、ファッジとしては極力レオには干渉しないようにするつもりではいたのだ。

今回の件を報告したアンブリッジには減給が言い渡された。




レオをここまで混乱させるとはアンブリッジの実力(カエル顔)は侮れませんね。

ファッジはダンブルドアの方を片付けてからレオの対処をしたかったのですが
舐めてたアンブリッジが独断で行動しました。

さてカエル婆はこれで諦めるかな?

それでは次回お楽しみに。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。