【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

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今年も終わりですね。
来年はどんな年になることやら。
とりあえずはこの物語は完結させたいです。

それでは65話どうぞ。


65. 許されないこと

レオによる訓練は毎週行われていた。

もちろんアンブリッジは警戒して様子を聞き出そうとしていたが、皆ただの勉強会だと言い張っていた。レオの研究室に入り込もうとしてみたり、力づくで扉を破ろうと試みてはいたが悉く失敗に終わっていた。

 

参加している生徒の実力は確実に上がっている。

三年生までの低学年は基本的な魔法理論を理解し、簡単な魔法ならば確実に発動させることができるようになった。同時に教えている闇の魔法使いと相対した時の心得から逃げる方法なども教えている。これならば簡単な呪いで妨害して逃げることも可能だろう。

 

四年生以上は予想外に苦戦していた。

エクスペリアームス(武装解除)ステューピファイ(失神)プロテゴ()、これら三つを全て使える生徒の数が少ないのも原因だがなかなかマスターするのには時間がかかっている。

特にプロテゴ(盾の呪文)は普通の呪いを飛ばすようなものではないのでイメージが固まらないのかマスターしている生徒は極僅かだ。

ちなみにレオの言うマスターするという条件はこうである。

エクスペリアームス(武装解除)……杖を狙いの場所に弾き飛ばすと同時に相手を最低骨折させるレベルで吹き飛ばす。

ステューピファイ(失神)……どのような体勢からでも命中させる精度と身体強化なしには躱せない速度、かつ命中した相手が一時間は失神している。

プロテゴ(盾の呪文)……五分間盾の維持。平均的武装解除五発以上防ぐ。前方以外への展開。

 

これらをすべてクリアすれば晴れて次のステップに進むことができる。

現状では七年生の半分程度しかこの段階には進んでいない。

だが、そこに進んだ者たちはレオによって己に合った魔法を教えられ高度な魔法を使えるように精進している。

 

「フレッドとジョージは物に魔法的要素を付加する才能が有る。悪戯グッズの開発と一緒だね。それを悪戯ではなくより攻撃もしくは防御をするような方向で開発すれば戦力としては十分だろう。魔法で戦うより魔法具で戦った方が確実に有効打を狙えるはずだ。」

 

その他にも魔法の発動が速い者にはより速くするアドバイス。

連続で魔法を発動できる生徒にはより多く、プロテゴ(盾の呪文)が得意ならば何よりも強固に、バランスが良いならばより多くの魔法を使いこなせるように、といった感じでアドバイスを続けた。

 

そして自らの長所を伸ばして極めたと判断した人物は今のところ唯一人。

ハッフルパフの監督生にして主席。皆の人気者、セドリック・ディゴリーだ。

昨年の三大魔法学校対抗試合(トライウィザードトーナメント)の代表に選ばれるだけあって少し教えるだけで三つの呪文はマスターした。そして彼の得意分野は意外なことに何もなかった。

得意分野など無く全ての分野に等しく才能を秘めていたのだ。

なるべくしてホグワーツの代表となったが分かるというものだった。

 

「はぁー……はぁー……。」

 

そんな才能あふれるセドリックは現在ボロ雑巾のようになって転がっている。

相手をしていたのはハーマイオニーであるが彼女も疲弊して床に座り込んでいる。

 

「流石ね、セドリック。もう何戦かしたら負けちゃうかもね。」

 

「……ふぅ。まだまだだよ。そういう君だって日に日に強くなってるじゃないか。」

 

セドリックもハーマイオニー同様にレオのオリジナル魔法を伝授され加速的に力を伸ばしている。レオとハーマイオニーを除けばセドリックに勝てる生徒は存在しなくなってしまった。今はハーマイオニーが勝っているがそのうち追い越す勢いである。

 

そして二人の決闘を見ていた他の生徒たちにはいい刺激になっていた。

レオの様にはるか高み、真似できないような力ではない。

常識の範囲内の二人には努力すれば手が届くと思わせるぐらいの力なのだ。

二人は普通の魔法使いの完成形と言ってもいいほどだった。

 

そんな二人を相手にしてもなお圧倒的なのがレナード・テイラーではあるのだが。

 

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十二月になった。秘密の活動は続いている。

生徒の実力は開始当初とは比較にならないものになった。上位の者ならば死喰い人(デスイーター)と戦っても互角に渡り合えるだろう。

ウィーズリー双子は防御グッズの作成技術が素晴らしいことになっている。

回数制限があるがプロテゴ(盾の呪文)と同等の効果があるアクセサリーを量産している。活動に参加しているメンバーは常にこれを付けているため魔法で傷つくことはそうそうないだろう。

セドリックはハーマイオニーと同等のレベルまで達して彼女と二人で日々力を高め合っている。

だが、彼らをも上回る速度で力を付けているのがネビル・ロングボトムだ。

魔法とは魔力をイメージで形作るものだ。ゆえに意識に変化があるだけで発揮する力も変わってくる。ここまでの急成長の理由はハッキリしている。

アズカバンから死喰い人(デスイーター)が大量に脱獄したからだ。その中にはネビルにとって因縁の相手がいるらしいのだ。

脱獄が新聞に載ったその日にレオはネビルからより一層の教えを頼まれた。

今やエクスペリアームス(武装解除)ステューピファイ(失神)プロテゴ(盾の呪文)はマスターをして、得意分野であるプロテゴ(盾の呪文)を重点的に強化している。

落ちこぼれだと侮っていたネビルの急成長に感化され周りも意識を改める結果になった。

 

ちなみにアズカバンからの脱走でファッジ政権への不信感が高まりスクリムジョールの準備が進んだとアースキンから教えられた。

ダンブルドアからは死喰い人(デスイーター)と同時にハグリッドも脱獄したことを聞かされた。死喰い人(デスイーター)と戦いになったらしく重傷を負っていたが今は秘密裏に保護されて傷を癒している。そのうち巨人族の説得役にするらしい

 

脱獄以外は大きな事件もなくあってもせいぜいアンブリッジが他の教師の授業を査察した程度であった。

 

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その日、レオは校長室に研究のために訪れていた。

予定以上に研究が進んで気分よく研究室に戻ろうとしていたところ後ろから抱き着かれた。

そばにいたクーが何もしなかったということならば相手はハーマイオニーであろう。

 

「ハーマイオニー? 今日は大胆だね。」

 

後ろを振り返って彼女を見る。その目に飛び込んできた光景に覚えた感情は……怒りだった。

 

トロンとした明らかに発情した蕩けた表情。

廊下には人がいるのにいつも以上に積極的に抱き着いてくる。

その口からは今すぐ研究室に帰って愛して欲しいなどと言う言葉が出てくる。

だが、そんなことは重要ではない。

 

服従させられていた。その上媚薬を盛られているようだ。

 

ステューピファイ(失神せよ)!」

 

これ以上こんな姿を誰かに見せるわけにはいかないので失神させ研究室に姿くらましで移動した。

インペリオ(服従の呪文)を解呪する魔法薬を投与しベッドに寝かせる。

三十分ほどで目を覚ました。

 

「ここは……? そうだ、私!」

 

勢いよくベッドから飛び起きようとするハーマイオニーを止めるレオ。

ここがどこでレオがそばにいると知ったハーマイオニーは泣き出してしまった。

 

「ごめんなさい、レオ! 私、わたし……。」

 

「大丈夫、大丈夫だよ。君は悪くない。僕の方こそゴメン。もっと上質な防御魔法具を持たせておくべきだった。」

 

しばらくして泣き止んだハーマイオニーから何が有ったのか聞いた。

 

「図書館の帰り道にいきなりインペリオ(服従の呪文)が飛んできたの。一発はレオの魔法具で防いだんだけど何発も同時に飛んできて躱しきれなかったわ。相手はスリザリン生を率いたアンブリッジだった。そして媚薬を飲まされて……レオに色仕掛けをして情報を引き出すように命令されたわ。ああ、レオ。本当にごめんなさい!」

 

「僕は気にしてないよ。今日はもう寝ると良い。インペリオ(服従の呪文)は解呪したけど体には負担が残ってるはずだ。ゆっくり寝て今日のことは気にしないようにね。」

 

ハーマイオニーが眠りに落ちるまで手を繋いであげる。

やはり精神的にかなり疲れていたのかすぐに眠ってしまった。

 

寝室から出たレオはクーに命令を出す。

 

「クー。あの薬を持ってきてくれ。くれぐれも慎重にね。」

 

「アレをですか……!? 畏まりました。」

 

保管庫の最奥。

ここにはレオでさえ軽々しく扱えないモノが保管されていた。

クーが今にも爆発する爆弾を扱う手つきでそれを持ってきた。

だが、クーの手の上には何もあるようには見えない。

 

「さて、もうすぐクリスマスだ。ドローレス・アンブリッジには一足早いクリスマスプレゼントをお送りしようか。」

 




レオの特訓教室でみんな実力向上!
特にセドリックがヤバい。流石はホグワーツ代表。死んでなかったらそれだけで闇陣営側の勝率が下がるほどですな。

原作より大量脱獄が早まりました。それだけお辞儀も危機感があるということでしょう。
そしてネビルも同時に急速レベルアップ。ネビルは実力自体相当なんでしょうけど自信がないせいで発揮できないだけです。
ついでにハグリッドが久々に出番がありそう。

そしてついにやらかしたドローレス・アンブリッジ。
彼女の運命やいかに!?

それでは次回お楽しみ。
皆様良いお年を!

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