雪だったり、会社でインフルエンザやウィルス性胃腸炎が流行ったりと大変でした。
5章も今回で終了です。
それでは72話どうぞ。
「……もう一度言え、セブルス。どうやら俺様は耳がおかしくなってしまったようだ。
レナード・テイラーが生きているなど……。なぜそんな言葉が出てくる?」
忠実なしもべのレストレンジの家の一室。
アルバス・ダンブルドアのスパイをしているセブルス・スネイプからの報告は到底信じられるものではなかった。だが、心を覗いても嘘を言っているわけではない。セブルス自身も現実として受け入れていないかのようだった。
「我が君。確かにレナード・テイラーは生きています。しかもより強力になって蘇りました。」
「詳しく話せ。どんな些細な情報であろうとも一つ残らず話せ。」
その後のスネイプの言葉はまるで異国の言葉の様だった。
頭が認識しようとしない。
それでもそれが事実なのだ。
「つまりだ……。レナード・テイラーは生きていると。それどころか不死で強力な体を手に入れた? さらには俺様をそのために利用しただと!!」
怒りのあまりスネイプを殺しそうになる。しかしこいつはホグワーツをスパイするために必要だ。
「ホグワーツに戻れ。レナード・テイラーについての情報を入手しろ。どんな些細な情報でも構わん。」
「仰せのままに。」
スネイプが部屋から出ていく。
(俺様の計画は現段階では順調だ。騎士団や闇祓いの多くは葬った。下僕どもの中の不穏分子も排除した。魔法省の陥落も目前である。闇の生物たちの多くが俺様の元に集いつつある。
……だが、それでもレナード・テイラーが生きているだけで全てが無駄になる。)
闇の帝王は一人、夜が明けるまでレナード・テイラーを殺すための策を考え続けることになった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ホグワーツ内、レナード・テイラー研究室 実験スペース
今ここにはレオとハーマイオニー、クーのみがいる。
これから行うのはレオの新たな体の性能テストだ。
「さて、理論上ではどの程度可能であるかの予測はできているけれど、やはり実際に試してみないことには分からないことがあるからね。とりあえず色々と試していこう。」
体の性能テストということで指輪は全て外している。指輪も今の体に合わせて再調整する予定である。
「クー。僕を攻撃してくれ。僕は防御に徹しながら見極めることにするよ。手加減無用だから全力で、殺す気でやってくれ。どうせ死なないし。」
「畏まりました。全力でいきます!」
そう言うと瞬時にクーは戦闘形態に変形する。長く伸びた髪があらゆるものを切断する刃に変わりレオを襲う。通常の目ではその動きを追うことは不可能だが、人外のモノになったレオにはその動きを確実に捉えていた。
だが、レオはその刃を躱さなかった。結果としてレオは真っ二つになる……はずだった。
「!? これは……。」
クーは戸惑いながらも刃の数を二桁に増やしてレオをバラバラにすべく切り刻んだ。
だが、レオは何事もなかったかのように平然とその場に立っている。
(防御しているわけではない。幻覚でもない。確かに体を切り裂いた感触があった。いったい……?)
「驚いているね。僕もだよ。ちょっと予想以上だな。クーの刃は確かに僕を切った。でも刃が通り抜けた次の瞬間、ゼロにも等しい極短時間に体が再生してくっついただけさ。多くの魔法生物の治癒力、賢者の石がもたらす命の水、更には不死鳥の涙の相乗効果だね。まさかここまでとはね。」
「なるほど。でしたら次はこれです!」
クーの体から触手が伸びる。先端が肥大し、ドラゴンの顔を形成する。数にして10を超えるドラゴンの顎からブレスが放射される。
レオはそれも避けることなく受ける。体の表面はわずかに炭化するがそれもすぐに再生する。炎が途切れるとそこには火傷一つないレオがいるのみだ。
「さぁ、どんどんいこうか。」
その後もあらゆる手段を用いてもレオに致命傷を与えることはできなかった。
どんな魔法、物理攻撃、魔法薬も無意味であった。
その次はレオの魔法行使への影響の調査へ移った。
ドラゴンなどの膨大な魔力量に命の水を魔力変換する炉心を体内に保有しているのでほぼ無尽蔵に魔法を使える、更には父アースキンと同じような原理で普通の魔法も非常に強力になった。アースキンと異なる点ではより精密なコントロールをレオができるため今までと同じようにも魔法が使えることだろう。
「ふむ……。指輪の耐久度は相当高くしないといけないな。」
今までと違いどの指輪もレオと直接接続する構造、体と一体化させることで高強度にして今のレオの魔力にも耐えるだけのものに作り替えることになった。
更には基本的な機能はそのままにそれぞれを更に強化した。
今まであればここまでに能力を使いこなすには魔力が足りなかったが、ほぼ底なしの魔力を手に入れたのであればその心配もない。
『反射』はヴォルデモートの死の呪文でさえも跳ね返す。
『吸収』は魔法だけでなく魔法生物由来の魔力がある攻撃も吸収。
『遮断』はあらゆる魔力現象から遮断する。
『守護』はより強固に。
『治癒』は今の体の再生速度を限界以上に高める。
『貯蔵』は上限が向上し、あらゆる魔法をほぼ無尽蔵に貯蔵する。
『増強』は身体機能の限界を突破させる。
『聡明』は思考の高速化のリミッターを取り外す。脳への影響も今の体なら問題ない。
『制御』は魔法や指輪だけでなく複雑な体の細胞の一片までも制御する。
『蘇生』は不要になったため新たに作り直す予定である。
「あとはハーマイオニーの方の準備だけかな。時間がかかるからそれまでに心の準備をしておいてね。」
「大丈夫よ。レオになら殺されても良いわ。」
「もし失敗して死んでも生き返らせるからね。」
お互いに微笑み合いながら談笑しているが、その内容が物騒極まりない。
それでも二人にとってはそれが普通なのだ。
その後はいつもと同じように年度末まで研究をするという生活をしていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
学年末パーティーになれば幾分か暗い雰囲気も落ち着いてきた。
それでも例年と比べると遥かに暗い。それも致し方がないと言うほかないのである。
魔法省はほぼ機能しておらず、毎日のように日刊預言者新聞には死者や行方不明者が出ていると報じられる。生徒の親族もその中に多く含まれていた。
レナード・テイラーという化物が身近にいていつ自分たちに襲い掛かってくるのかと恐怖していた。
レオとしてはそんな気は全くないとはいえそんな事を知らないスリザリン生は恐怖するしかない。
スリザリン生以外もかなりの生徒がレオを怖がっていた。
死んだと思ったら、蘇る。更にはヒトではなくなっているのである。
それを当然のように受け入れるハーマイオニーも異質なものに見える。
もはや二人は別の世界の住人の様だった。ダンブルドアや教師たちもレオとどう接するべきか測りかねているようだった。
結局はレオ、ハーマイオニー、クーだけがいつもと同じようにパーティーの料理を楽しんでいた。
一年が終わり生徒たちは蒸気機関車に乗ってキングス・クロス駅に向かっている。
レオ、ハーマイオニー、クーの三人だけのコンパートメントにロンを除いたウィーズリー兄弟たちが訪れていた。
「よぉレオ。ちょっといいか?」
「色々聞きたいことがあってな。」
「良いですよ。」
フレッド、ジョージ、ジニーが中に入って座る。しばらく黙っていたがフレッドが聞いてきた。
「なぁ……。パパは最期どんなだったんだ? 皆俺たちには教えてくれないんだ。でも、俺たち知りたいんだ。」
三人とも真剣な顔をしてレオを見つめている。
「そうですね……。アーサーさんは最後まで
「……そっか。そうだよな。パパは騎士団の一員で、俺たち全員の自慢の父親だもんな。
うん、決めた。いや、前から決めてたけど改めて決心したよ。」
「俺たちダイアゴン横丁で悪戯用品専門店を始めるんだ。」
「ママは止めろって言うんだ。でも、俺たちは皆を笑わせたいんだ。」
「ホグワーツだって今は滅茶苦茶暗いだろ? だからこそ今は笑いが必要なんだ。」
「パパが命を懸けて護ろうとしていた世界が暗くちゃきっと嫌だろうしさ。」
「レオもダイアゴン横丁に来たら寄ってくれよな。」
双子は吹っ切れたようだった。これならば暗い世の中を笑顔にするぐらいならやってみせるだろう。
次にジニーが話し始めた。
「レオ、私を鍛えてちょうだい。私、闇祓いを目指すわ。パパや死んでいった皆の代わりに皆を、世界を守りたいの。そのためには力が欲しい。」
「来年度も教師を続けないかと言われているからそれでいいなら教えるよ。」
「それだけじゃダメ。もっと強くなりたいの。」
「んー……。それなら希望者を募って特別授業でもやろうか。メンバーが集まったら研究室にでも来てくれればいいよ。」
「ありがとう! あ、ママには内緒にして! 絶対反対するだろうから。」
その後はキングス・クロス駅に着くまで色々と話した。
三人はレオが人外になった事なんて気にしていないのかいつもと同じようだった。
キングス・クロス駅 九と四分の三番線
レオ達三人をアースキンとフェリスが出迎える。
再会した途端アースキンの拳骨がレオの頭に直撃した。もちろん手加減なしである。
レオも覚悟はしていなので防御はしていない。
「心配させるんじゃない! 手紙で死ぬって書いてあった時にはどうかしたんじゃないかと思ったぞ! その後はスクリムジョールがやってきた時も大変だったぞ。謝ってくるあいつに生きてるって言ったらしばらく休むように心配されたぞ。」
フェリスがレオを抱きしめる。体を全部を触り無事を確かめる。
「レオ、本当に大丈夫なのよね? 痛くないの?」
「父さん、母さん。心配させて申し訳ありませんでした。でも大丈夫です。」
「それならいいんだけど。ハーミーちゃん、こんな息子でゴメンね。心配したよね?」
「いえ、大丈夫です。こういうところも含めて好きになったのですから。それより私の両親はやはり家からは出てこれなかったのですか?」
「ああ、グレンジャー夫妻は俺たちの家で待っていてもらっている。ここ最近の情勢を考えたら外を出るのは厳しいだろうな。レオの彼女の親族というだけで連中に狙われるとスクリムジョールは考えている。俺も同感だ。まぁ、俺が守ってるし、レオの施した保護もあるからそう簡単には手を出さないだろう。」
「ハーミーちゃんと早く会いたいだろうしさっさと帰りましょうか。」
レオ達は夕食は何を食べたいなどいつもと変わらない会話をしながらテイラー邸へと帰っていく。
その様子は世間の暗さとは無縁の幸福な空気が満ちていた。
レナード・テイラーの五年目のホグワーツ生活はこうして終わった。
お辞儀はスネイプがいたから平静を保っていましたけど内心では滅茶苦茶焦ってます。
それでもまだ諦めていないからすごいですよね。
レオの肉体はヤバいレベルです。
不死鳥の涙も体に循環して治癒力を高めるようにしてます。
切った先から瞬時に回復のイメージはバーニングゴジラですね。
指輪もレベルアップ。 と言っても基本性能は変わらず上限の底上げって感じです。
『蘇生』は不要になったため新たな指輪を検討中。
世間的には闇の勢力の方が優勢という認識です。
実際、闇祓いや騎士団の大部分が戦死しているため間違ってないです。
双子の悪戯用品専門店は対抗試合の賞金がない分小規模になってます。
ただ、レオのおかげで店を開くだけのお金はありました。
ちなみに原作と違ってちゃんとホグワーツを卒業してます。
レオは両親にもハーマイオニーと同じように死んで蘇ると連絡してました。
それでも心配させたので拳骨を貰いました。
次回予告!
世界が闇に包まれる。
闇の帝王の魔の手は日に日に広がっていく。
魔法省も、闇祓いも、不死鳥の騎士団もその闇を払うだけの力はもはやない。
このままでは世界は闇に覆われてしまうのか!?
レナード・テイラーはどうするのか!?
レオ「別に研究を続けるだけですよ?」
第六章 更なる先へ
それでは次回お楽しみ。