【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

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これを書いている時点でもうすぐ通算UA100万! マジかよ……。
ここまでこれたのも皆さんのおかげです。ありがとうございます!

それでは75話どうぞ。


75. ホラス・スラグホーン

キングス・クロス駅 九と四分の三番線

例年通りホグワーツ行きの赤い蒸気機関車が出発の時を待っている。

乗り込んだ生徒たちと保護者との別れの挨拶がいたるところで行われているがいつもと違って悲壮感が漂っていた。

まるで子供たちの旅立つ先があの世であるかの様である。

 

保護者達は愛する我が子が自分の元を離れてしまうことを恐れている。

ホグワーツがいかに安全な場所であると言っても、ダンブルドアが今世紀最高の魔法使いで例のあの人が唯一恐れた人物であろうとも、優れた魔法使いである教師が大勢いるとしても、不安が消え去ることが無い。

例のあの人の影響はますます増している。それにダンブルドアがあの人と敵対しているならばそんな人物がいるホグワーツが狙われるのは必然、安全であると言えるのだろうか? そんな風に思えてならない。

 

対して送り出される新入生以外の子供たちは全く逆の事を思っていた。

ホグワーツはイギリス一、いや世界一安全な場所であると確信しているのである。

身の安全を心配するのはむしろホグワーツにいない親たちの方であると本気で思っていた。

子供たちはなぜホグワーツが安全であると信じ切っているのだろうか? 

ダンブルドアがいるから? 教師たちが優秀? 城の頑強な守り? どれも違う。

 

レナード・テイラーがいるからである。

 

大人たちもレナード・テイラーを知っている。

だが、認識としてはすごい魔法研究家ぐらいのものだ。

直接その目で見て、感じている子供たちにとってはレナード・テイラーという存在がどのようなものか理解しているのである。

あの人も恐ろしい存在ではあるが、あくまで闇の魔法使い、人間なのだ。理解の範疇にいる存在なのである。

 

対してレナード・テイラーは最早理解不能の存在、人外の何かなのだ。あれには誰も敵わない。

そんな存在がいるホグワーツに死喰い人(デスイーター)や闇の魔法生物が攻め込んできたとしても恐れる心配はないとホグワーツ生は知っているのである。

 

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そんなある意味闇の帝王ヴォルデモート以上に恐れられているレナード・テイラーはというと。

恋人(未来の嫁)、ハーマイオニー・グレンジャーと最高傑作()のクーと一緒にコンパートメントでくつろいでいた。

レナード・テイラーを知らない人間がパッと見ただけでは平凡なこの男子生徒がそのような恐ろしい存在だとは到底思えないだろう。

今もコンパートメントでの過ごし方など他の生徒と大差ない平凡なものだった。

恋人と談笑して、昼食を食べて、読書をする、ただそれだけである。

 

ホグワーツまでの旅路も半分を過ぎたころ、レオたちのコンパートメントの扉が開かれた。

そこにはレオたちと同学年レイブンクロー監督生のパドマ・パチルがいた。

 

「こんにちは、レナード。ハーマイオニーにクーも。」

 

「こんにちは。どうしました?」

 

「えーと……。あなたの事を呼んでいる人がいてね。これ招待状。大丈夫だったら来てもらってもいいかしら? あ、ハーマイオニーとクーも一緒でも良いみたいよ。」

 

「相手は誰だろう? ああ、スラグホーンさんか。」

 

「その人、新しい教師らしいわ。監督生だからって伝書梟代わりに選ばれたってわけ。それじゃあ見回りに戻るわ。またね。」

 

パドマは用件が済んだらすぐに出て行ってしまった。やはり少しレオの事を怖がっているかのような対応だ。

レオ本人やハーマイオニーとクーはそんな事気にも留めずに招待状を見ている。

 

「スラグホーンって凄腕の魔法薬師だっけ? 確かレオも面識があるのよね。」

 

「ホグワーツ入学前に一緒に何度か魔法薬について研究したことがあるね。ホグワーツに入学してからも殺狼薬を創った時とか何度か手紙でやり取りをしてる。新任の教師ってことは今年の魔法薬学の教師かな。スネイプ先生はどうするんだろうか。まぁ、いいか。それで、どうする?」

 

「せっかくの招待だから行ってみたら?」

 

「よし。行ってみようか。」

 

三人はスラグホーンの待つ先頭車両に向かった。

前二つの車両は監督生と主席、乗務員専用の車両になっている。

先頭車両のコンパートメントは普通のコンパートメントと比較してかなり広かった。

物理的にも当然広いが、魔法によって空間が拡張されている。

スラグホーンのいるコンパートメントの中は小規模なパーティーのような感じであった。

レオ達が扉を開けると中にいる全員が注目した。どうやら最後の到着だったようで中にはすでに十数人ほどの生徒がいる。

各寮の監督生、成績優秀な生徒、聖28一族に属する生徒、ハリー・ポッターなどだ。

中に入ると奥で座っていたスラグホーンが立ち上がって熱烈に歓迎してきた。

 

「ほっほう! レオ! 待っていたよ、よく来てくれた! さぁ、中に。」

 

どうやらスラグホーンにとって今回の主賓はレオのようだ。

 

「よしよし。これで招待した生徒は全員揃ったな。おほん! 改めて自己紹介しよう。ホラス・E・F・スラグホーンだ。今年からホグワーツで魔法薬学を皆に教えることになった。

ここにいる君たちは優秀だと聞いているよ。私はそんな君たちと仲良くなりたいのさ。

さぁ、紅茶もお菓子もたっぷり用意した。ホグワーツまでの短い時間だけど楽しくお茶会といこう。」

 

スラグホーンの話が終わり、皆紅茶を飲んだり、お菓子を食べたり、近況を話し合ったりと好き行動をとり始めた。

スラグホーンは生徒一人一人を巡って話をしている。生徒によって簡単な挨拶だったり、すぐ興味なさそうにしたり、熱烈な興味を持った視線を送ったりと様々だった。

そして最後にレオたちの元にやってきた。

 

「レオ! 久しぶりだね! 直に会うのは七年ぶりかな? いやまた君と一緒に魔法薬に携われるなんて最高じゃないか。長生きはするものだな。」

 

「お久しぶりですスラグホーンさん、それとも先生とお呼びした方が良いですかね?」

 

「気軽にホラスでも構わんよ。そしてこちらが君の恋人のハーマイオニー・グレンジャーさんかな?」

 

「初めましてスラグホーン先生。レオの恋人のハーマイオニー・グレンジャーです。」

 

「君も非常に優秀だと聞いているよ! 私はそういった子が大好きだ。さぞや名のある魔法使いの血が流れているんだろう。」

 

「スラグホーン先生、ハーマイオニーはマグル生まれですよ。」

 

「なんと! いや、失礼。まさかマグル生まれとは思わなかったんでな。私が前にもホグワーツで教師をしていた時もそういった生徒はいたが非常に稀だったのでね。」

 

「魔法使いの力量にマグル生まれかどうかはそこまで重要ではないですよ。まぁ、親族に魔法使いがいる方がもともとの魔力量への影響はありますけど、大昔の最初の魔法使いもマグルからの突然変異でしょうからマグル生まれかどうかよりは本人の資質と努力などが重要でしょうね。」

 

「すまんすまん。グレンジャーさん、マグル生まれでも歓迎するよ。さて、二人の後ろで控えているメイドガールが、レオの最高傑作の魔法生物なのかね?」

 

「お初にお目にかかります。レナード様が創り出した魔法生物、名をクーと申します。」

 

スラグホーンは興味深そうに観察している。レオとクーに許可を取って触って調べ始めもした。クーの構成する要素や能力を聞いて驚愕と共に上機嫌にもなった。

 

「いやいや、凄まじいな。やはり君は天才などという言葉では言い表せないほどすごい!

噂では君自身も既に体を作り変えたと聞いたが、真かね?」

 

「はい。永遠に魔法を研究するには人の肉体では限界がありましたので。」

 

「うんうん。ホグワーツに戻る決心をしてよかった! ダンブルドアに頼まれたんだが、君がいるというのが最大の決め手だったんだ。それじゃあ、楽しんでいってくれ。」

 

その後はまたスラグホーンは生徒たちとの交流に戻っていった。といっても一週目で目をつけた生徒ばかりではあったが。

 

スラグホーンと入れ替わってハリー・ポッターとロン・ウィーズリーがレオ達に近づいてきた。

 

「テイラー、聞きたいことがある。」

 

「何です?」

 

「僕たちはヴォルデモートに勝てるのか? どうなんだ?」

 

「さぁ? どっちも勝つ可能性はあるのでは?」

 

「おい! どっちなんだよ!」

 

「正直、興味がないってのが本音ですね。ただヴォルデモートがこちらを害するのであれば容赦はしませんよ。」

 

聞きたいことはそれしかなかったのかすぐにレオ達から離れていく二人。

もうすぐホグワーツに到着するとアナウンスがありパーティーも終了する。

 

レナード・テイラーの六年目のホグワーツ生活が始まろうとしている。




いつもの様に列車でホグワーツへ。

保護者はホグワーツに子供を行かせたくないけど子供たちは絶対に行きたい。
認識の差は大きいですね。
ちなみに今回ちょっと登場したパドマは原作では家に連れ戻されてましたけどその可能性はなくなりましたね。

スラグホーン登場。
気に入った生徒をコレクション感覚で愛でる人。もちろんレオが最もお気に入り。
過去に一緒に研究してレオの事をどういった存在か理解しているので人外化も受け入れた。
ホグワーツに戻る理由としてはレオがいることが大きい。

それでは次回お楽しみ。

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