それはそうとしてもうすぐバレンタインですね。
番外編としてそういったイベントの話を書くのも面白そうだなと思います。
まぁ、本編終了してから書く感じになるかなと。
それでは76話どうぞ。
赤い蒸気機関車はホグズミード駅に到着した。
新入生以外は例年通りにセストラルが引く馬車でホグワーツに向かう。
この夏休みで人の死を見た生徒が多いのかそこかしらでセストラルに驚く声が聞こえてくる。
大広間で新入生の組み分けの儀式を待っている間、レオは今年の研究テーマについて考えていた。
(肉体及び魂の不死化は完了。今年はどうしようかな……。アレの強化はほぼ完了したし、近いうちに性能実験をしなくちゃ。力を解放したくてたまらないって感じだしな。
後は……そうだなぁ……、時間や世界、運命、宇宙、色々あるけどどうしようかな。)
レオの頭の中で色んなテーマが浮かんでは消えていると、大広間の扉が開きマクゴナガルに連れられて新入生が入ってきた。
人数は例年と比較すると若干少なく感じた。やはり親たちがホグワーツへ行くことを拒んだのだろうか。
組み分け帽子は今年も団結を呼び掛けることをしたが、それ以外は特筆することも無く無事に組み分けの儀式は終了した。
ダンブルドアが立ち上がって話し始める。
「さて、全員が料理を待ちくたびれているとわしは確信している。さぁ、思いっきりかっ込もう!」
その言葉と同時にテーブルの上の全ての更に料理が出現した。
レオの周りの生徒もそれぞれ好きな料理を自分のところに取り分けるがレオはダンブルドアを見ていた。
(あの右腕……強力な呪いだ。保護魔法を施した包帯で拡散を防いでいるけどこのままでは後一年も命はないだろうな。ダンブルドアの力でもああなったってことは相手はヴォルデモートかな? まぁ、いいや。僕も食べよう。)
生徒全員が料理を楽しみ、デザートも満足するまで食べ終えた。
皿の上が綺麗になくなりダンブルドアが再び立ち上がって話し始めた。
「皆思う存分食べたことじゃろう。新入生の諸君も楽しんでくれたのなら幸いじゃ。さっさとベッドに入って夢の世界に旅立ちたいとは思うが、その前にこの老人の話をいくつか聞いて欲しい。まず初めに禁じられた森には生徒は立ち入り禁止じゃ。三年生以上にはホグズミード村へ行くことが許可される。それと、管理人のフィルチさんから耳が痛くなるほど伝えるように言われたのじゃが、ウィーズリー・ウィザード・ウィーズという悪戯用品専門店で購入したグッズは防護品以外は校内への持ち込みは禁止じゃ。」
フレッドとジョージの悪戯用品専門店は既にホグワーツにまでその名が届いているようだ。
ダンブルドアはああ言ってはいるが恐らくほとんどの生徒が既に持ち込んでいるだろう。
「各寮のクィディッチチームへの入団は寮監へ届けること。そして最後に今年度は新しい先生をお迎えしている。紹介しよう、ホラス・スラグホーン先生じゃ。」
ダンブルドアの紹介でスラグホーンが立ち上がる。
生徒たちは興味深そうに見ている。
「皆、初めまして。ホラス・E・F・スラグホーンというものだ。以前ホグワーツで魔法薬学を教えてはいたが随分前に引退していたのだが、ダンブルドア校長の熱烈な勧誘と新しい優秀な世代と共に学ぶことの誘惑には勝てなかった。今年度から魔法薬学の神髄を教えていくから楽しみにしておいてくれ。」
スラグホーンは笑顔で着席する。
生徒たちは拍手をするが困惑顔だ。
魔法薬学と言えばスネイプが担当していたはずだ。
それが変わるということはスネイプが厄介払いされたのか?
でも相変わらずスネイプは他の教師と一緒に教員テーブルにいる。
ざわついている大広間で三度ダンブルドアが話し始めた。
「さて、皆の疑問に答えるとしよう。今年度からスネイプ先生には闇の魔術に対する防衛術を担当してもらうことになった。そして呪文学のフリットウィック先生なのじゃが色々あって怪我をなさっての。ああ、心配無用じゃ、怪我はすでに回復しておる。だが、そろそろ歳ということで代わりの者を推薦してもらったのじゃ。皆もよーく知っておる人物じゃ。
……今年の呪文学の教師にはレナード・テイラー君が務めることになった。」
大広間のざわつきはさらに増大する。
レナード・テイラーが教師をするのは別に構わない。むしろ今までの防衛術とは違い呪文学で学ぶ魔法はその種類が多く、レナード・テイラーのオリジナル魔法を学べる可能性もあってレイブンクロー生を中心に勉強熱心な生徒にとっては大歓迎である。
しかし、闇の魔術に対する防衛術の教師がよりにもよってスネイプだとは誰が予想していただろうか。
確かにスネイプは卓越した魔法の技術を持っているかもしれない。多くの闇の魔術を知っているのかもしれない。
それでも今までの授業が酷いものであったので闇の魔術に対する防衛術も同様なものになることは分かり切っていた。
ハリーやロンを代表とするグリフィンドールはスネイプへ嫌悪の感情を隠そうともしていない。ハッフルパフやレイブンクローもいい顔をするはずがない。
「さぁ、連絡すべきことは終わった。ふかふかのベッドが皆を待っておるじゃろう。監督生の指示に従って各寮に戻るように。それでは良い夢を。」
それぞれの寮へ監督生が引率していく。
レオ達も研究室へ戻ろうとしたところダンブルドアたちに呼び止められた。
そうして生徒と教師がいなくなった大広間にはダンブルドアに、レオとハーマイオニーにクーだけが残る。
「レオ、残ってくれてありがとう。わしが現在どういった状態か当然分かっておるじゃろう。」
「ええ。処置をしなければ余命一年あるかどうかでしょうね。」
レオはハッキリと告げる。
ダンブルドアは当然知っているので冷静であったが、ハーマイオニーは驚く。
「その通りじゃ。だが、今わしが死ぬわけにはいかない。闇の力は日々強大になっておる。このままではヴォルデモートを打ち破る力が育つ前に潰されてしまうだろう。
……わしはもうなりふり構わないことに決めた。レオ、お願いがある。この呪いを解いてはくれんか。もちろん無償ではない、世に平穏が戻ってからでなら何でもしよう。」
レオは考える。ダンブルドアから得られるものは何であるかを。
しばらく考えたが結局はいつも通りだった。
「では二つほど……まず、僕の研究の邪魔をしないこと。次にダンブルドア校長の知っている知識・情報の全てを教えてください。魔法、呪文、魔法薬、魔法生物、魔法具、その他全てを闇とか関係なく隠さず提供してください。まぁ、自由に研究させてくださいということですね。」
「分かった。魔法界の闇が払われたならわしの全てを教えよう。」
「契約成立ですね。それではさっそく治してしまいましょう。呪いはどういう経緯で受けたのですか?」
「ある品を手にとってのう。今思えば迂闊で愚かな行為じゃった。」
「それはまだありますね? 見せてください。」
ダンブルドアは懐から壊れた指輪と黒い石を取り出した。
「それは……。交信用の魔法具? でも、いや、先は……? ……まさか!」
「気が付いたようじゃな。この石がはめ込まれていた指輪はゴーント家に代々伝わっていた物じゃ。ヴォルデモートはスリザリンの血筋であるゴーント家の物と言ことからこの指輪を
包帯の一部を取り皮膚を見せる。黒くまるで焼け焦げたかのような皮膚がそこにはあった。
「そんなことはどうでもいいです。それよりその石は死者、あの世との通信するための魔法具だ。それはいったい何です?」
「これは死の秘宝の一つ、『蘇りの石』じゃ。君の言った通り死者を呼び出して会話することができる。ヴォルデモートはこれについては知らなかったのじゃろう。だから指輪自体を分霊箱にしたと考えられる。」
「死の秘宝……。おとぎ話ではなく実在したということですか。先ほどの条件に一つ追加です。それも研究対象にします。」
「良いじゃろう。わしが持っていても意味がないものじゃ。」
レオは『蘇りの石』を受け取る。新学期が始まってすぐにこんなものを手に入れられるとは運が良い。
「それでは気を取り直して治しましょう。指輪に残っている残滓は解析しました。ダンブルドア校長、腕の包帯を取ってください。切断します。」
ダンブルドアは腕の包帯を取る。同時に呪いが体への浸食を進めるがその前にレオが腕を切り飛ばす。ダンブルドアへは同時に麻酔も施したので痛みはないはずだ。
切り落とした腕が無残に崩れ去り、その残骸から呪いが具現化する。黒い霧となってダンブルドアの体に再度侵入しようとするがダンブルドアの前に立ったレオに阻まれる。
呪いはターゲットをレオに変更して襲い掛かる。何の抵抗もなくレオは呪いを受け入れる。
「ふむ……。体組織の劣化と体力の減衰、単純強力だけど内容はその分結構シンプルだな。憑りついた相手の魔力で死ぬまで呪いが続く点は面白い。さて解析したし用済みだ。」
ダンブルドアを苦しめていた呪いも不死の身体と魂を持つレオには無意味であった。
『眼』で解析し、すぐに解呪されてしまう。
「終わりました。腕については後日、改めて創っておきます。それではおやすみなさい。」
呪いについてはすでに興味がなくし、蘇りの石や他の事へ興味が移っているレオ。
ハーマイオニーとクーを連れて自分の研究室へと帰っていった。
「ありがとう、レオ。おやすみ。」
今世紀最高の魔法使いと言われている自分が死を待つばかりだった呪いがああも簡単に無効化される。ダンブルドアは改めてレナード・テイラーの恐ろしさを実感した。
同時に何が何でも、どんなことをしても機嫌を損ねないことを固く誓った。
スラグホーンは魔法薬、スネイプが闇の魔術に対する防衛術と原作通り。
呪文学がフリットウィックからレオに変更。
騎士団の任務で負傷したのと高齢を理由に交代、それとフリットウィックもレオの教える呪文学に興味があったのが理由です。
レイブンクローの寮監はダンブルドアが代理としています。
ダンブルドア、手段を選ばなくなる。
現状は闇の勢力に対して劣勢が続いているのでここで死ぬわけにはいかないのでレオに頼んで延命しました。対価は蘇りの石。
今回は自身だけを治療しましたが他の騎士団員を治すことをしなかったのはあまりいっぺんに頼みごとをして機嫌を損ねることをダンブルドアが恐れたためです。
普通に頼めば感知してくれたのですけどダンブルドアが慎重になりすぎた。
レオ、死の秘宝の一つをゲット。
死後の世界との通信……つまり死後をレオが認識することになります。
それでは次回お楽しみ。