【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

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最近ハーマイオニーとの話をあまり書いてない気がする。
どこかで無理やりねじ込むか……?
いや、さっさとお辞儀を滅ぼして7年目は平和なイチャイチャ学園生活にするか!

まぁ、プロット段階で6年目から本格的に闇の勢力が勢いずくから必然的にシリアス成分が増すことになるんですけどね。

それでは77話どうぞ。



77. それぞれの授業

始業式の次の日。

さっそく授業が始まる。

レオ達六年生からはN.E.W.T試験、通称イモリ試験に向けての授業が始まる。

この授業には昨年のO.W.L試験に合格が必須条件だ。

そのため必然的に授業を受けられる生徒数が減るためほとんどの授業が全寮合同で行われるのである。

レナード・テイラーによる強化によって生徒たちの学力は上昇しているため平年よりは人数が多くなっているがそれでも合同で行うことには変わりはなかった。

 

厳しくも確実に実力が付くマクゴナガルの変身術。

実習も多く注意点も分かりやすく説明するスプラウトの薬草学。

相変わらず何を言っているか意味不明な占い学。

安全完備、美しいものから珍しいものまで幅広く学べる魔法生物学。

その他のマグル学、古代ルーン文字、数占い、といったいつもの授業が生徒たちを待っている。

しかし、今年は担当者が新しくなった授業が三つもある

ホラス・スラグホーンが担当する魔法薬学。

セブルス・スネイプの長年の望みが叶い、ついに教えることになった闇の魔術に対する防衛術。

そして、レナード・テイラーによる呪文学。

このうち魔法薬学と呪文学について、生徒は何も心配していない。

 

昨年までの魔法薬学はスネイプによる理不尽が凝縮されたような授業であった。

ネビルを代表とするスネイプに恐怖や苦手意識を持っている生徒とハリーなどのスネイプに目をつけられている生徒などは酷いものだった。だからこそスラグホーンに代わることでスネイプより悪くなることは想像できないのだった。

 

呪文学は長いことフィリウス・フリットウィックが担当しており、スネイプと違って授業は面白く不満に思っている生徒は皆無であったのだが、レナード・テイラーが教えることでどんな授業に変貌するのかとワクワクしている生徒が大多数だ。

 

対して闇の魔術に対する防衛術は始まる前から期待は絶無であった。

闇の魔術に対する防衛術。

これはその名の通り闇の魔術から身を護る術を学ぶ教科である。

闇の魔術に敵対することから長い間呪われた科目と言われ、多くの教師が交代することになっていた。

闇の帝王が寄生していたクィレル・クィリナス。

他人の功績を横取りしていた無能な詐欺師、ギルデロイ・ロックハート。

狼人間から解放されたリーマス・ルーピン。

あらゆる魔法を統べる人外の領域に達したレナード・テイラー。

そして今年からは元死喰い人(デスイーター)で闇の魔術を深く知るセブルス・スネイプ。

昨年までのレナード・テイラーの授業が好評だったためこの授業を好きになった生徒が多かった。それに今の闇の脅威が身近になった魔法界では力を特に入れる必要がある授業である。

それなのにスネイプに交代とはどういったことなのか? スネイプがまともにスリザリン以外を教えるのか? まともに力を得られるのか?

生徒はダンブルドアの判断に疑問に思っていた。

 

そんな生徒の様々な思いとは関係なく授業が始まろうとしている。

 

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まずは魔法薬学の授業。

レオとハーマイオニーが教室に入ると既にスラグホーンが生徒たちを待っていた。

レオやハーマイオニー、ハリー・ポッターなどを熱烈に歓迎していた。

 

「さーて、皆、授業を始めようか。道具一式と教科書を準備しておくれ。」

 

「先生、僕たち教科書を持っていません。N.E.W.Tの授業が取れるとは思っていなかったので……。」

 

ハリーが正直に話す。隣にいるロンも頷いている。スリザリン生以外には何人かそういった生徒たちがいるようだ。

 

「ああ、そうだったね。マクゴナガル先生から聞いているよ。なーに心配は無用だよ、ハリー。」

 

スネイプは『優』以外の生徒は教えないとハッキリと言っていた。

だが、担当が変わったことでそれ以外の生徒も希望するならば授業を受けられることになったのだ。

スラグホーンはそれを考慮して貸し出し用の道具と教科書をしっかり準備していた。

 

「さぁさぁさぁ、授業開始だ。こいつらを見てごらん。」

 

スラグホーンの前にはいくつかの鍋やフラスコが並んでいる。

水のように澄んだ色、真っ黒なもの、無色透明、薄いピンク、粘度のある乳白色、そして黄金、様々な液体が並んでいる。

 

「ここにあるのは全て強力な魔法薬だ。N.E.W.T試験をクリアすれば皆もこういう魔法薬を作れるようになる。さて、これらが何か分かる子はいるかな? ああ、もちろんレオ以外でだよ。」

 

レオが答えられるのは当然としてその他の生徒に答えを求めるスラグホーン。

挙手をしたのはハーマイオニー唯一人であった。

 

「水のように澄んだ色の液体は生ける屍の水薬、強力な眠り薬です。

真っ黒な泥のようなものはポリジュース薬、他者に変身することができます。

しかしこれは精製が不十分で途中段階です。

無色透明の液体は真実薬、最高の自白剤です。

薄いピンクは愛の妙薬、惚れ薬です。色から察するに大分効果は薄めですね。

粘度のある乳白色は幸福薬、飲むと幸せな気分になり、吸魂鬼の影響を防げます。

最後に黄金液体、フェリックス・フェリシス。別名幸運の液体。この中では最も複雑な魔法薬です。」

 

「素晴らしい! まさか全てを答える生徒がいるとは! いやはや恐れ入った! レオが恋人にするだけはあるということだ。グリフィンドールに20点あげよう。」

 

スラグホーンはハーマイオニーの予想以上の能力にすっかり上機嫌になった。

 

「これらはミス・グレンジャーが説明した通りのものだ。もっと詳しく知りたい、魔法薬を極めたい者はそのうち私が主催するクラブへご招待しよう。さて、これらの内好きな魔法薬を今日の授業の褒美としよう。とは言ってもフェリックス・フェリシス以外に選択肢はないだろうがね。」

 

教室にいたレオとハーマイオニーを除く生徒が目を輝かせた。

幸運というものは誰もが欲しがるものだろう。生徒たちはスラグホーンの言葉を一言一句聞き逃さないように集中している。

 

「さぁ、上級魔法薬の10ページを開いて『生ける屍の水薬』の項目を読んでみようか。残り時間でこの魔法薬を最も完璧に仕上げた者にこの幸運の液体を与えよう! 始め!」

 

生徒たちは一斉に鍋に向かって魔法薬の作成に取り掛かった。

N.E.W.T試験ともなると魔法薬の難易度も格段に上昇する。

殆どの生徒は悪戦苦闘し、作業も思うように進んでいない。

それでも丁寧に確実に教科書通りに作っていけばしっかりと完成できるようになっている。

今の生徒が使っている「上級魔法薬」には大幅な改訂があったのだ。

数年前にレオとスラグホーンが共同で研究を行った結果、多くの魔法薬、特に難易度の高いものはその作り方に革新が起こった。

そのため今の教科書は前ほど難しい作業が減っている。それでも難易度が高いことには違いがないが。

 

(さてさて……。うんうん。こっちの子は良い出来だ。ああ、あの子はダメだな。ハリーはどうだ? ほっほう! 古い教科書なのによくやっている。まさか自身で工夫を編み出したのか? 確実に母親の才能を受け継いでいる。)

 

スラグホーンは生徒たちの鍋を見て評価していく。時には注意やアドバイスをすることも忘れない。

そして最後にレオとハーマイオニーのそばにやってきた。

ハーマイオニーはすでに魔法薬を仕上げてあった。

 

「素晴らしい! まさかこの短時間に仕上げてしまうとは! 紛れもなく今日の勝利者は君だ、ミス・グレンジャー!」

 

日々レオと一緒に研究をしているハーマイオニーにとっては教科書の情報でさえもはや過去の情報なのだ。

ハーマイオニーの出来に最高の気分なスラグホーンは隣にいるレオの鍋を見た。

さぞ素晴らしいものが完成していると思ったが、予想に反して鍋は空だった。

代わりに各材料に何やら魔法を使っているようだ。

 

「おや? レオ、もしや今更こんな魔法薬など作る必要がないということかい?」

 

「いえ、少し研究中の魔法がありますのでそれで作ってみようかと。」

 

レオが最後の材料に魔法を施す。スラグホーンもそれをまじまじと見つめている。

 

イクスミセント(抽出・調合せよ)。」

 

魔法薬の材料が浮き上がり、必要な成分だけが抽出され空中で混ざり合う。

そうして出来上がったものが瓶の中に入りあっという間に魔法薬が完成した。

 

「うーん……。一応できているけど、まだまだだな。改良の余地ありだ。」

 

「今のは何だい? まさか魔法だけで魔法薬を作ったのかね?」

 

「まだ未完成なので完成したらお教えします。」

 

「そうか、楽しみにしているよ!」

 

その後、続々と魔法薬を完成させる生徒が現れるが完成度は圧倒的にハーマイオニーが上であった。フェリックス・フェリシスはハーマイオニーが手にすることになったが今までのスネイプの授業と比べて楽しいものだったのは言うまでもない。

 

 

次に闇の魔術に対する防衛術

生徒を前にしたスネイプは上機嫌だった。念願の防衛術を教えることがそれだけ嬉しいのだ。

 

「闇の魔術、これほど強力無比にして恐ろしいものはない。死、磔、服従は言うに及ばず、悪霊の火や他にも様々なものがある。まさに変幻自在にして狡猾な悪魔のような存在だ。我輩の使命はそんなモノから身を守れる術を諸君らに授けることだ。」

 

スネイプの演説はそれ以降も五分ほど続いた。それだけ闇の魔術に対して語りたいことがあったのだろう。闇の魔術が脅威だということは伝わるが褒めている部分も多分にあった。

 

「さて、ここにいる諸君らは非常に優秀なのだろう。なにせN.E.W.T試験を受ける資格があるのだからな。そんな君たちには簡単だろうが、これから学ぶのは無言呪文だ。」

 

昨年度のレオの授業でも取り扱ったものだが、かなりの上級者しか成功していない。

一通りの説明の後、各自が無言呪文を発動させようと必死になる。

成功したのはレオやハーマイオニーなどほんの一握り。

 

「我輩は非常に失望した。まさか、ここまでできるものが少ないとは。成功しなかった者は無言呪文について羊皮紙二枚分のレポートを次回までに提出だ。」

 

結局、魔法薬学から変わってもスネイプはスネイプであった。

今回もグリフィンドールから減点し、スリザリンに加点するというおなじみの光景であった。

 

 

最後の呪文学。

今年からの授業ではこの呪文学を生徒たちは一番楽しみにしていた。

レナード・テイラーはどんな魔法を教えるのか? 見たことも無いようなものなのか?

何かまたやらかすのか? 等々様々な事を考えていた。

教室にいる全員の視線を受けながらレオが話し始める。

 

「まず初めに、皆さんに質問があります。何を学びたいですか?」

 

いきなりの質問にしばし間があったが、何人かが答える。

 

「こっちでも防衛術を教えてください!」

「役立つもの!」

「助けになるものが良いわ!」

 

「ふむふむ……。実を言うと今の魔法界の現状を考えて防衛術とは違った観点から身を守るのに役立つ魔法を教えて欲しいとダンブルドア校長に頼まれいます。皆さんの要望とも合致しているのでその方向で授業は進めましょう。とりあえずこれらについて学んでいきましょう。」

 

レオは黒板に学ぶリストを書いていく。

・通信魔法……初期:個人間、最終目標:広範囲複数人同時

・索敵魔法……初期:数メートル四方、最終目標:ホグワーツ全域、敵味方判別可能

・治癒魔法……初期:簡単な傷の治癒、最終目標:骨折、重度の火傷、内臓損傷レベルの治癒

・身体強化魔法……初期:単純な強化、最終目標:身体機能+五感強化、繊細なコントロール

・魔力操作……適正者のみ指導

・目くらましの術……習得必須

・姿くらまし、姿現し……習得必須、早期習得者にはホグワーツ内での使用や発動速度強化

・飛行魔法……身体強化魔法をある程度習得後

・開心術、閉心術……習得必須

 

「ざっとこんなところですね。これらは日常でも非日常でも役立つ魔法なので覚えておいて損はないはずです。今日は僕がどのような魔法なのかを実践します。その後は各自の適正から判断して習得の順序を決めていきます。それと宿題として、どれか一つで良いのでレポートを作成するように。」

 

レオが選んだ魔法は相手を攻撃したり防御するような魔法だけではない。

しかし、これを知っているのと知らないのでは行動の選択肢に大きな差があるだろう。

ちなみにハーマイオニーは既に全て習得済みである。

生徒たちは闇の魔術に対する防衛術の反動でかなりやる気になっている。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

初日の授業も終わり自室兼研究室に戻るレオとハーマイオニー。

 

「お疲れ様。今年もよろしくね、レオ先生。」

 

「ハーマイオニーもお疲れ様。今年度の授業はどうだったかな?」

 

「闇の魔術に対する防衛術以外は良かったわよ。スネイプはもう少し教え方を変えれば良い先生なんだけどね。

スラグホーン先生は流石に教えるのが上手い印象だったわ。レオは言うまでもなく最高よ。」

 

「ありがとう。そう言えばフェリックス・フェリシスはどうするの?」

 

「んー……。別に使うつもりは今のところはないわ。」

 

「どうして?」

 

「だって……、レオと一緒だからよ。授業でも、食事でも、研究室でゆったりしている時も、ずっとあなたと一緒。それだけで私は幸せよ。それなのに幸運の液体を飲んだら幸せ過ぎてどうにかなってしまうんじゃないかしら?」

 

「僕もだよ。魔法を研究している時も幸福だけど、やっぱり君といる時間は何にも代えられないものだ。」

 

その後もしばらくじっくりと二人だけの時間を楽しんだ。

こうしてホグワーツでの六年目の生活がスタートした。

 

 




スラグホーンの魔法薬学
餌で生徒のやる気を出したりしっかりと指導したりと良い先生だと思ってます。
レオとスラグホーンの共同研究で高難易度の魔法薬の難易度低下してます。
ポリジュース薬が精製途中というのは原作では黒っぽい泥の様なものに身体の一部を入れていましたけどレオが改良して泥を精製することで味の問題はクリアしてます。

スラグホーンが貸し出した教科書も改訂されているもの。
但し、ハリーに貸したのだけ原作同様プリンスの物。なので改訂前。
これはスラグホーンが前の教科書でどこまでハリーがやれるか見たかったため。
結果としてプリンスのおかげで魔法薬を作れたのでリリーの才能を受け継いでると勘違いされました。ちなみにレオ、スラグホーン改訂>プリンス手順です。

スネイプの防衛術
原作と大差なし。しかしスネイプは内心生徒たちの力量の高さに驚いてました。

レオの呪文学
攻撃や防御以外の役立つ呪文を教えることになりました。レオオリジナルも有。
非常時の今だから防衛術としての側面もありますけど、そうでなくても役立つものなのでお辞儀が復活していなくてもあまり教えることは変わらなかったでしょう。

それでは次回お楽しみ。

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