【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

8 / 96
通算UA1万越えとお気に入り登録が400を超えました。
ありがとうございます。

週1~2回程度の更新を目標としてます。
これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします。

では7話どうぞ。


7. 組み分け

「ホグワーツ入学おめでとうございます。新入生の歓迎会がまもなく始まりますが、大広間の席に着く前に皆さんが入る寮を決めなくてはなりません。

寮は全部で四つあります。グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、そしてスリザリン。どの寮も輝かしい歴史があり、偉大な魔法使いを輩出してきました。」

 

その後は得点、減点の説明と寮杯について説明があったが、レオは聞き流していた。

寮杯については興味もないし、罰則で時間を取られなければ減点されても問題にはならないと考えていた。

 

新入生たちは組み分けがどんなものかお互いに様々な憶測が飛び交う。

呪文を使うテストだの、ものすごく痛いだのと現実的ではない意見も多かった。

 

待っている間にゴーストたちが出てきて悲鳴を上げる生徒が出たがそれ以外に特に変化はなく、レオはあたりを見渡し城に施された様々な魔法を見ていた。

 

しばらくした後、マクゴナガルに呼ばれ、新入生は大広間に連れられて行く。

 

大広間は素晴らしい光景が広がっていた。

何千もの蝋燭が宙を浮き広間を照らす。

中央には大きなテーブルが四つ並んでおり金色の皿やゴブレットが置かれ、上級生が新入生たちを見ながら座っている。天井には本物の空のように見える魔法がかけられ、星々が大広間の上で輝いていた。

 

「『ホグワーツの歴史』に書かれていたけど実施に見てみないとこの素晴らしさは分からないわね。」

 

「そうだね。やはり魔法は実際に目にするのが一番だ。」

 

レオとハーマイオニーもこの魔法の美しさに目を奪われていた。

新入生たちが並んで待っているとマクゴナガルが椅子を置き、その上にかなり古くボロボロになっている帽子を置いた。

 

新入生たちは何が始まるのだろうと思っていると、次の瞬間に帽子が歌い始める。

 

『わたしはきれいじゃないけれど

人は見かけによらぬもの

私を凌ぐ賢い帽子

あるなら私は身を引こう

山高帽子は真っ黒だ

シルクハットはすらりと高い

私はホグワーツ組み分け帽子

私は彼らの上をいく

君の頭に隠れたものを

組み分け帽子はお見通し

かぶれば君に教えよう

君が行くべき寮の名を

 

グリフィンドールに行くならば

勇気ある者が住まう寮

勇猛果敢な騎士道で

他とは違うグリフィンドール

 

ハッフルパフに行くならば

君は正しく忠実で

忍耐強く真実で

苦労を苦労と思わない

 

古き賢きレイブンクロー

君に意欲があるならば

機知と学びの友人を

ここで必ず得るだろう

 

スリザリンではもしかして

君はまことの友を得る

どんな手段を使っても

目標遂げる狡猾さ

 

かぶってごらん! 恐れずに!

興奮せずに、お任せを!

君を私の手に委ね(私は手なんかないけれど)

だって私は考える帽子!』

 

歌が終わると、生徒と教員の全員が拍手をおくった。

組み分けの方法が帽子をかぶるだけだと知って周りからは安堵の声が聞こえてくる。

レオは組み分け帽子を凝視し、その魔法の構造を解析するのに集中していた。

 

「ABCの順番に名前を呼びます。帽子をかぶって椅子に座って組み分けを受けてください。」

 

「アボット・ハンナ!」

 

最初に金髪おさげの少女が呼ばれ帽子をかぶり座る。

一瞬の後帽子は彼女の寮を決定した。

 

「ハッフルパフ!」

 

その後も次々と名前が呼ばれ各寮に組み分けられていった。

 

「グレンジャー・ハーマイオニー!」

 

ハーマイオニーはレオに目配せをして、待ちきれないように帽子をかぶった。

帽子は決めるのに五分以上の時間をかけた、彼女の寮を決めかねているようだった。

 

「レイブン……、いやグリフィンドール!」

 

ハーマイオニーはグリフィンドールの机に拍手を持って向かい入れられる。

 

その後も組み分けは続いていく。

そしてとある少年の名前が呼ばれたとたん、先ほどまでの様々な声は一瞬で無くなり、大広間は静寂に包まれた。

 

「ポッター・ハリー!」

 

生き残った男の子がどんな人物なのか、そしてどの寮に決まるのか大広間のレオ以外の全員が注目していた。

 

「グリフィンドール!」

 

英雄の行き先はグリフィンドールとなった。グリフィンドールの机は爆発したような歓声に包まれ大騒ぎである。ポッターを取ったとはしゃいでいる双子が特に目立っていた。

レオはそんな周りに興味を持たず、帽子を凝視し続けていた。

 

(なんて複雑な構成なんだろう……。ホグワーツ創設期に造られたはずだから、千年近く……。魔法の構成だけでなく魔力の色も全然劣化していない、ホグワーツの創設者が作ったのだろうけど凄まじいな。)

 

「テイラー・レナード!」

 

分析しているうちにレオの番が回ってきた。

 

レオの名前が呼ばれるとハリーほどではないが大広間からの注目が集まる。

魔法研究の若き天才がまさか新入生にいたとは、どこの寮に所属するのか、こんなに若かったのか、等様々な好奇な目で見られながら帽子をかぶる。

 

(ふむ……。これはまた大層な資質を持った子だのう。今までに見なこともない体質でもある。)

 

(あなたも今までで見てきた魔法具の中で最も素晴らしいものだ。やはりホグワーツの創設者たちが造られたのですか?)

 

(いかにも。どうやらその『眼』にはお見通しのようだの。)

 

(すべてはまだ把握しきれていませんけどね。ところでどの寮なのでしょうか。)

 

(おお、そうだった。すまんの。うーむ、勇気も優しさも確かにある。だが魔法研究を第一にする傾向から他者を疎かにしてしまいそうだの。グリフィンドールとハッフルパフではない。手段を選ばないことからスリザリンでもよさそうだが、何よりその魔法に対しての理解しようとする欲望! それならば……。)

 

「レイブンクロー!」

 

拍手と歓声に包まれる大広間。その大多数がレイブンクローからのものであった。

 

その後も順調に組み分けは続けられ、最後の一人の組み分けも無事終了する。

校長のダンブルドアから簡単な挨拶があり、テーブルの上の大皿には多種多様な料理が現れていた。生徒たちはそれぞれ自由に食べ始める。

レオも近くにあった料理に手をつけていくが、流石は知識を求めるレイブンクローの生徒たち。新入生も上級生もレオについてだけでなく彼の研究への質問を多くぶつけてきた。

 

「僕はアンソニー・ゴールドスタイン。これから七年間よろしく!」

 

「私はパドマ・パチル! よろしくね。」

 

「僕はアール。四年生だ。何かホグワーツで分からないことがあったら遠慮なく聞いてくれ。ところで脱狼薬の更なる改良を研究していると聞いたんだが……。」

 

「私は守護霊薬について聞きたいわ!」

 

あちこち、レイブンクローの机からは質問が飛び交う。やがて最初にどの研究についての話をするのが有意義であるかの議論にシフトしていった。レオは結論が出るまでは話がこちらに振られないことにほっとしつつ、食事を楽しむことにした。

 

デザートも食べ、皆が食事に満足しだした頃にダンブルドアが立ち上がった。

 

「エヘン、皆よく食べ飲んだことじゃろう。レイブンクロー生たちは議論も白熱しているようじゃが、また後日に語り合う機会はあるじゃろう。」

 

結局、校長の最後の挨拶まで結論は出ず後日時間があるときにそれぞれ話をしようということに落ち着いたようだ。

その後は構内の森に入ってはいけない、廊下での魔法禁止、クィディッチについてのお知らせが続いた。

 

「最後に、とても痛い死に方をしたくない者は、今年は四階右側の廊下は入らないようにすることじゃ。」

 

この注意には多くの生徒たちが疑問を感じているようだ。

 

「では、寝る前に校歌を歌いましょう!」

 

校歌は各自が好きなメロディーで歌うため滅茶苦茶な歌になってしまった。最後にグリフィンドールの双子が歌い終える。

 

「音楽は何事にも勝る魔法じゃ。諸君! 就寝時間じゃ、駆け足!」

 

生徒たちは各々の寮に移動していく。レオは他の新入生たちとともに監督生についていこうとしたが、レイブンクロー寮監のフィリウス・フリットウィックと副校長のマクゴナガルに呼び止められた。

 

「ミスター・テイラー。少々お時間をよろしいですか。校長先生がお呼びになっています。ついてきなさい。」

 

入学早々何事なのだろうと、思いながらもマクゴナガルは有無を言わせないといった感じであるため、レオは周りに挨拶をして二人についていく。

 

(さて、いきなりなんでしょうか……。)

 




というわけで、レオはレイブンクローになりました。

ハーマイオニーは原作でもレイブンクロー適正があるとのことでしたが、本作ではレオの影響で最後まで帽子も(私も)悩みました。かなりの組み分け困難者になっています。
組み分けの順番がレオが先であったなら数秒でレイブンクローに決まっていました。

ダンブルドアからレオへの話とは何なのか
次回をお楽しみに。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。