【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

85 / 96
今回で六年目も終わりです。
次回からはついに最終章!
そろそろ終わりが見えてきました。

今のところの予定では本編が完結した後、番外編を書こうと思ってます。
番外編で書こうかなと考えている内容を活動報告に書いておきます。
希望があればそこでコメントしていただけたら参考にします。

それと活動報告でも書きましたが今後の更新は日曜日の午前0時が基本になります。

それでは83話どうぞ。



83. 六年目が終わって

闇の陣営の拠点の一つ、聖二十八一族所有の屋敷。

その一室にいる闇の帝王ヴォルデモートは上機嫌だった。

目の前にはホグワーツから持ち出された望みの二品が献上されている。

一つは己以外でこの世で最も大切なもの、いやすでに己自身であると言える分霊箱(ホークラックス)である。

器になったのはロウェナ・レイブンクローの遺品の髪飾りだ。

レイブンクローの寮のシンボルたる鷲と信条が刻まれており、頭にのせるだけでその者の知性を引き上げることができるまさにホグワーツ創設者にふさわしい品だ。

更にスリザリン最後の末裔、闇の帝王ヴォルデモートの魂を宿すことでこれ以上のない素晴らしいものに昇華した。

 

もう一つは、これからの戦略に必要なものだった。

今回の襲撃の最優先の目的は髪飾り(分霊箱)の回収だったのでこれを手に入れることができれば幸運程度に考えていた。ゆえに今回の作戦の実行者には褒美を与えることにした。

 

「ベラトリックス・レストレンジ、ピーター・ペティグリュー。よくやった褒美をやろう。望むものはあるか?」

 

ベラトリックスは歓喜で打ち震えながら、ピーターは恐怖で震えながら答える。

 

「ああ、我が君! 私は御身に仕える、それこそが至上の喜び! それ以上を望むことなどありえません!」

 

「わ、我が君……。私の望みはちっぽけなものです。死にたくありません……。それだけです。」

 

二人を下げさせヴォルデモートは目を閉じこれから先の事を考えた。

今回の作戦は上手くいった。

ホグワーツ内にいる下僕の子供たちを利用してレナード・テイラーの行動予測を立てる。

そしてネズミの動物もどき(アニメーガス)であるピーター・ペティグリューを密かに潜入させる。

過去にもホグワーツにいたピーターであるがその際もレナード・テイラーに発見されていなかった。もしネズミの動物もどき(アニメーガス)をあの研究最優先の存在が見つけていたら何かしらの行動を起こしていたはずだ。つまりネズミを目撃していないことが考えられる。

その情報から闇の帝王はレナード・テイラーの『眼』の欠点を見抜いた。

あの『眼』も万能ではない。確かにあらゆる魔法事象を見抜き、解析するのは脅威だ。

しかしあくまで魔法に対してのみ、他の視力、視野範囲などは通常の眼球と同様なのだろう。

つまりただ単に物理的な壁などで隠してしまえばその向こう側に何がいるかは分からないのだ。

これによってピーターはレナード・テイラーに気付かれることなくホグワーツの配管や物影に潜んで情報収集と工作を行っていった。他にも小型の生物に変身できる動物もどき(アニメーガス)を増やすことも考えたが、動物としての慣れや習得時間の関係でピーター一人でことをなした。

そして今日。レナード・テイラーとダンブルドアが離れたとの知らせを受けてホグワーツに忠実な爆弾人形になったマグルどもを突撃させ、その隙にピーターとベラトリックス率いる別動隊がホグワーツに侵入。望みの物を手に入れたということだ。

だが、今回の方法はもう通用しないだろう。

 

(おそらく洞窟のサラザール・スリザリンのロケットは破壊されているだろう。ハッフルパフのカップは今はグリンゴッツに保管したままでよい。指輪には強力な呪いがあるが安心はできない、すぐに回収する。ナギニには可能な限りの強化と保護をしておくとしよう。)

 

分霊箱(ホークラックス)についての今後を考える。どれだけしても安心とは言えないが、見えない場所に置いておくよりは手元にあった方が良いと結論付けた。

 

(巨人族の集落の全滅は痛手だった。手元に残った巨人の戦力は極僅か。だがコレがあれば戦力は十分だろう。後は魔法省を陥落させるのが先だな。)

 

今現在の闇の勢力の力をもってすれば魔法省、ホグワーツ、ダンブルドアだけであれば十分に勝てると踏んでいた。だが、レナード・テイラーだけは別だ。そのための切り札が必要になって来る。何としてでも計画を進めなければと、計画の詳細を夜が明けるまで考え続けていた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

死喰い人(デスイーター)の襲撃後、ホグワーツは校舎、敷地の大規模な改修を行った。

迎撃装置、校舎内の監視魔法、至る所にある魔法探知機、などなど。

レナード・テイラーによる協力もあってこれまで以上に難攻不落の要塞と化した。

レナード・テイラーは対価として何も要求してこなかった。

彼にとってもホグワーツは長年過ごした場所であるので愛着があったのだ。

更にホグワーツに施す防衛機構について色々と試したいことがあるとかなり乗り気であった。自分が不在の時に狙われたことや何かしらの目的が達成されるなど完全に裏をかかれれる形になったことから何かしらの見落としがあると考え、とことん対策をするつもりでいた。

レナード・テイラーがホグワーツを改造することを知った生徒たちは安心感と興奮とそしてちょっぴりの恐怖を覚えることになった。

だが、生徒の保護者達はいかに守りを強化しようとも襲撃された事実がある以上はホグワーツとて安全とは言えないと感じるのも仕方がないことだ。そのため何人かの生徒たちが家に連れ戻されたり、来年度に来れなくなるということになってしまっていた。

 

 

そんなこんなで学年末試験も終わり六年目のホグワーツが終わろうとしている。

学年トップの成績は相変わらずハーマイオニーだ。その他に特筆すべきことはドラコ・マルフォイの急激な成績の伸びだ。もともと優秀な方ではあったがやはり目的があると違うということなのかどの分野でも力をつけているのだ。別の学年で言えばジニー・ウィーズリーがトップになっていた。これもドラコ同様に目的、闇祓いを希望するのが大きいだろう。

 

学年末パーティーが大広間で行われる。飾りつけは真紅と黄金、そして獅子だ。

今年はグリフィンドールが寮杯を獲得したのだ。

理由としては色々ある、ジニーを代表とするレナード・テイラー特別授業の参加者が一番多い寮であること、スリザリンとの確執が薄れつつあるため衝突による減点が減ったなどだ。対して最下位はスリザリンだった。少なくない生徒が闇の陣営に参加しているためそもそもホグワーツにいる数が減っているのも要因になっている。

パーティーではグリフィンドール生がジニーを中心にはしゃいでいる。

この一年で寮間の溝が大分埋まったためどの寮も悔しい気持ちはあれど来年こそはといった感じるのみでこの場では純粋にグリフィンドールを讃えていた。

 

「また一年が過ぎた!」

 

デザートも存分に食べ、宴も終わりダンブルドアが話し始める。

 

「今年も色々とあった。わしの不手際で皆には怖い思いをさせてしまったことじゃろう。それを心からお詫びする。だが、この辛い時期も長くは続かないじゃろう。必ずや魔法界に平和な日々が戻る、そのために持てる力の全てを費やすことを約束しよう。それに皆の力もこの老いぼれに貸してほしい! 今こそ力を合わせるときじゃ!」

 

ダンブルドアの声に賛同する者たちが続々と現れる。

 

「そうだ! ここは俺たちみんなの家だ! 俺たちが守るんだ!」

「そうよ! 寮なんか関係ないみんなと一緒に戦わなくっちゃ!」

 

最後には大広間に集まったほぼ全員が一致団結して平和のために力を尽くすことを誓っていた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

ホグワーツから蒸気機関車で戻る日。

ハーマイオニー・グレンジャーは愛する恋人、レナード・テイラーの前に立っていた。

 

「さて、ハーマイオニー心の準備はいいかい? これから一度死ぬけど大丈夫?」

 

「今更ね。私はあなたになら殺されても良いと思っているわ。それに失敗しても生き返らせてくれるんでしょう?」

 

「まず失敗なんかしないよ。もし死んだらどんなことをしても生き返らすよ。」

 

「なら良いわ。さぁ、どうぞ。」

 

「うん。アバダ・ケダブラ(息絶えよ)。」

 

死の呪文(アバダ・ケダブラ)の緑の閃光がハーマイオニーに命中する。抜き出た魂はすぐに変質し不死鳥と同等のものになる。そして用意していた新たな器に入り込む。さらに残された肉体も新たな肉体と合一させる。

レオは外部から細かな調整を施していく。これで時間をかけずに魂が体に馴染んだ状態になるはずだ。

新たな肉体を得たハーマイオニーはすぐに目を覚ました。

 

「おはよう、レオ。」

 

「おはよう、ハーマイオニー。気分はどう?」

 

「んーと、特に違和感わないわね。これで成功? 私はあなたとずっと一緒にいられるの?」

 

「そうだね。お互いが嫌になるまで一緒だよ。ハーマイオニー、結婚しよう。僕は永遠に君と一緒が良い。」

 

「私もよ、愛しています。永遠にあなたのそばに居させてください。」

 

ここにニコラス・フラメル夫妻以上の不滅の存在となった夫婦が誕生した。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

ホグワーツ特急に乗り込む生徒たち。

レオ達はいつもの様に三人でコンパートメントに入る。

新しい肉体には馴染んだがやはり精神的な疲れは残ってしまったハーマイオニーの為に魔法でコンパートメントの存在を隠す。

 

「レオ、キングス・クロス駅に着くまで眠るわ。その間ずっと抱きしめてくれないかしら?」

 

「お安い御用だね。」

 

最愛の嫁を優しく抱きしながら窓からの景色を眺める。

ホグワーツでの生活も残すは一年。

卒業したらどうするか、就職? 研究? 何にしてもやりたいことを続けようと思った。

 

(それにはヴォルデモートが邪魔になるかなぁ……。もう利用価値はないかな?)

 

そんなことを考えながら家族が待っている場所に戻っていった。

こうしてレナード・テイラーの六年目のホグワーツは無事に終わった。




闇陣営のホグワーツ襲撃の本当の目的は分霊箱の奪取でした。
そういえばレオが万能すぎるからか必要の部屋が出てきてない気がする……。
ちなみに別動隊が侵入した方法は屋敷しもべ妖精による姿現しです。
お辞儀ももはや手段は選んでいません。
もう一つの目的はそのうち明らかになります。

レオの『眼』の弱点は魔法以外は通常の目と同じということです。
透視できるわけでもなく視力が特別優れているわけでもないし動体視力も常人並み。
但しこれらの欠点は魔法を使えば解消はできます。
それでも日常で常に魔法を使った状態ではないのでピーターの事は気づきませんでした。

ホグワーツ魔改造計画始動。
最終決戦でその機能を存分に発揮する予定です。

スリザリン生との和解が進んでいるのでホグワーツ側はかなり団結しています。
まだ一部のグリフィンドール生はいまいち馴染んでいませんが。

ハーマイオニー不死鳥化。
レオと違って外部からレオが調整しているのですぐに目を覚ましました。
ついでにおそろいの人外になったのでレオから永遠に一緒に居たいとプロポーズ。
結婚式は成人してからになりますかね。

レオとしてはそろそろお辞儀様は用済みかなと。逃げてお辞儀!


次回予告!

崩壊する魔法省!

勢いを増す闇の力!

ホグワーツに集う正義の者!

強大なるレナード・テイラー!

ホグワーツで巻き起こる最終決戦!

死、魂、世界。

ヴォルデモートが世界を取るか、正義が勝つのか!?

そしてレナード・テイラーは!?

次回 最終章! 宝はいつもすぐそばに

それでは次回お楽しみ。

※本編の内容は次回予告とは異なる場合があります。御了承下さい。



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。