【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

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ついに最終決戦開始!

強大なる敵に仲間を率いて戦いを挑む!
敵は最強の眼! 万能の僕! 不死身の身体と魂! すべて揃った最悪の存在!
帝王ヴォルデモートはこれを打ち破ることができるのか!?

……どっちがラスボスだよ。

それでは87話どうぞ。


87. 戦争

運命の日 1997年11月30日

 

ホグワーツにいる魔法使いたちは全員が緊張していた。

戦う力がない子供や年寄りなどは幾重にも重ねられた防御陣の奥で震えている。

戦えると判断されたホグワーツの生徒達や大人たちは非戦闘員を護るため杖を握りしめている。

不死鳥の騎士団員と闇祓いの生き残りたちは要塞と化した校舎の周りに立ち命に代えても死守するつもりでいた。

 

ホグワーツ城はレオとダンブルドア合作の防御が施されている。

ホグワーツの敷地もまたレオ特製の三桁を超える魔法障壁で覆われていた。

いかなる魔法生物の転移、あらゆる魔法を反射・吸収・遮断・防御し、そして物理的にも突破は困難である魔法障壁が百を超えるほど展開されていた。

ただ一つの入口を除いて。

ホグワーツ城の真正面の一区画のみ障壁が存在しない。

明らかに敵を誘い込む罠である。だが、ここを攻めるにはその穴を突くしか方法がないのもまた事実。誰もがそこから今にも敵が突撃してくるのではないかと息を呑んでいた。

 

「それじゃあ、行ってらっしゃい。」

 

「ああ、行ってくるよ。」

 

レオはハグをするつもりで近づいたが、やんわりとハーマイオニーに止められた。

 

「それは帰って来てからね。頑張るのよ。」

 

「分かった。頑張ったらご褒美でも貰おうかな。」

 

ハーマイオニーは空間ごと隔離した最も安全な研究室で留守番だ。

他の全員の緊張や恐怖とは無縁なレオとクーの二人は校舎から離れたところに立って敵を待ち受ける。

 

「レナード様、現在19時を過ぎました。今のところ障壁への攻撃及び敵影は確認されていません。」

 

「報告ありがとう。さて、日も沈んで暗くなってきた。そろそろかな?」

 

 

それからおよそ十数分後、完全に日が沈んだ頃合いにホグワーツ城前方から闇そのものとも思える黒い波が押し寄せてきた。

その正体は数百を超える吸魂鬼(ディメンター)の集まりである。

防御障壁のおかげで吸魂鬼(ディメンター)の影響はないとは言え、その姿を見たホグワーツ城の人間の心には多大な恐怖が襲いかかっていた。

障壁の穴を覆いつくすように、まるで誰も決して逃がさないように黒い大きな壁が出来上がった。

 

そして次はその黒い壁をかき分けるように大量の亡者が侵入、一直線に城に向かってきた。

 

「すごい数だな。せっかくだし防衛装置を使うとしよう。」

 

レオが合図を送ると城にいる者たちの魔力を使用して防衛装置が作動する。

塔の最上部より殲滅魔法(インタリトム)が放たれ亡者の群れを一掃した。

回数制限こそあるがこの装置一つで大抵の敵は撃退してしまうだろう。

だが、敵もこの戦いに全てを賭けたのだろう。

撃っても撃っても敵は次から次へと湧いてくる。とうとう打ち止めになってしまった。

 

防衛装置が停止したことによって次の敵が進撃してきた。

巨人の集落より運び出されて難を逃れていた正真正銘最後の巨人族。大きさは30mを超え狂気の研究成果を詰め込んだ特別製、それが10体ほど。

空中には様々な種のドラゴンが舞っている。これらも薬と改造によって通常とは比べ物にならない存在に変貌している。

頭・前足が鷲、胴体と後ろ足がライオンのグリフィンや頭は人間、胴体はライオン、尾は即死の毒針を持つサソリ、ほとんどの呪文を弾く皮膚を持ったマンティコアまでいる。

それ以外にもマグルの兵器で武装したトロールや大蛇が次から次へと湧き水のように吸魂鬼(ディメンター)の壁から現れる。

その全てがホグワーツを、抵抗勢力を滅ぼすための戦力ではない。たった一人の存在を殺すためだけに進軍していた。

 

「壮観だな。クー、リミッターを解除する。命令はあれらの全滅。」

 

「了解しました。」

 

レオはクーの体の中に手を入れる。

そして体の中にあったクーの細胞の上限を抑制していた魔法式を解除した。

体の中にあった枷がなくなったクーは飛んだ。

迫りくる魔法生物の大群の真ん中に着地すると同時にその体は液状化して広がった。

見る見るうちにその液体は広がりホグワーツの敷地全てを覆いつくした。

液体は漆黒、まるでこの世全ての色を混ぜて作ったような黒だ。

 

地面が真っ黒になろうと、足にそれが付着しようと構わず進軍を続ける魔法生物。

目標はレナード・テイラー。それ以外は何も知らない、分からない。ただ魂に刻まれた(レナード・テイラー)を殺す、邪魔者を殺す、その命令だけが彼らの存在理由。それだけが生きる証。そう作り変えられていた。

 

そしてクー(レオの最高傑作)はその絶対命令を破壊する。その力は既に解き放たれている。

黒い地面から無数にドラゴンやバジリスク、戦闘装束のクーが出現する。

複数の生物が混じりあったような姿のおぞましい存在までも現れる。

黒い液体そのものも鋭利な刃を持った触手や様々な武器に代わり攻撃を開始した。

 

「「「すべてはレナード・テイラー様のために!」」」

 

ドラゴン同士が呪われた炎で応戦し合う。蛇が絡み合い食い合う。

黒の鎧の戦士に切り刻まれるトロール。巨人を攻撃しながら踏みつぶされる無数のクー。

毒針が刺さり、首を断たれ、食いちぎられ、焼かれる。

そんな魔法生物同士の地獄のような戦い、戦争が始まった。

 

まともな感性なら絶句するような戦いにレオは見惚れていた。

 

(すごい……。魔法生物の鮮やかな色が舞っている。ここまで派手なのは二度とみられないかもしれないな。)

 

もう少しこの光景を見ていたいと思っていたが本日の主賓が現れては対応するしかない。

魔法生物同士の戦いなど全く興味がないようにレナード・テイラーのみを見据えて闇の帝王がゆっくりと、悠然と向かってきた。部下を一人も連れておらずたった一人だ。

 

「こんばんは、闇の帝王ヴォルデモート卿。やり残したことはないですか?」

 

「こんばんは、我が最大の障害、レナード・テイラーよ。貴様はやり残したことでいっぱいであろう?」

 

「当然です。まだまだ魔法の研究は途中も途中。ゴールは遥か彼方、いやゴールなど無いのかもしれませんね。」

 

「そうかもしれん。だが、貴様はそのゴールにはたどり着けん。ここで! 今日! この世から消え去るのだからな!」

 

ヴォルデモートはレオの目を見てしっかりとお辞儀をした。

レオもそれに応え、お辞儀をする。

体を起こした時、魔法界の命運を決める戦いが真に始まった。

 

ステューピファイ・マギ・マキシマ(魔法よ止まれ)!」

 

ヴォルデモートは麻痺の呪文を放つ。通常であれば必勝必殺の死の呪文(アバダ・ケダブラ)を使う。

だが、レナード・テイラーにはそれは無意味だ。だからこそ行動を阻害する目的で麻痺を仕掛けた。

 

「肉体ではなく魔法そのものを麻痺させる呪文ですか! 良いですね!」

 

レオは余裕でそれを避ける。今のレオにとって普通の魔法は脅威足りえない。

数多の防御式が防ぐだけでなく肉体そのものも無敵の鎧なのだ。

だが、避けた。それは闇の帝王の魔法が、その防御自体を無効化させる魔法だったからだ。

お互いに魔法を放ち、避ける。一進一退の攻防が続く。

レオが高速で動いてもヴォルデモートも長年の戦闘センスによってそれを避ける。

だが、おかしい。いかに優れた魔法使いで戦闘になれているとはいえ人外のレオの攻撃をこうも避けれるものなのか?

お互い一旦動きを止める。

 

「闇の帝王、あなたも肉体を改造していますね?」

 

「無論だ。人の身でなくなった貴様に勝つには俺様も人を超越しなければならない。だが、俺様の力はこんなものじゃないぞ!」

 

帝王の目が緑色に輝く。それを見た瞬間、レオの全身に重圧がかかる。

 

「隙ありだ! ステューピファイ・マギ・マキシマ(魔法よ止まれ)!」

 

隙のできたレオに魔法が直撃する。

続く攻撃を転移で避け、体勢を立て直す。

 

「いやいや! ビックリしました! まさか、バジリスクの眼とは!」

 

「流石にこれでは死なんか……。だが、これで貴様の防御魔法の一つは潰したぞ! あといくつだ? 回復までにどの程度かかる?」

 

「さて? まぁ、良いでしょう。他には何がありますか? 出し惜しみせずどんどん使ってください。どうせ今日でお終いなんですから。」

 

「ほざけ!」

 

その後も帝王と異常存在(レナード・テイラー)の史上最高の一騎打ちは続く。

最初は互角、いや帝王が勢いに乗って勝負の主導権を握っていた。

だが、力を見せるにつれ、それを解析・対応され徐々に追い詰められ始めた。

ボロボロになりながらも衰えることの無い覇気を見せる闇の帝王。

 

ディフェンド・ラティオ(空間断裂)!」

 

しかし、とうとう力及ばず、空間ごと胴体から真っ二つになって崩れ落ちる。

その戦いを見守っていたホグワーツにいる全員が歓声を上げた。

 

「がぐぅ! おのれ……。くそっ!」

 

腹から上下真っ二つにされて内臓がこぼれながらも未だ衰えることの無い殺意をレオに向かって放ち続ける帝王。分霊箱(ホークラックス)による不死と肉体改造もあって到底止まる気配がない。

ただ、レオはそれをつまらなそうに見つめる。

 

「それでおしまいですか? それではそろそろお終いにしましょう。」

 

「……やはり、勝てぬか。ああ……そうだ。認めよう、貴様は強い。俺様とて一人では勝てぬ、一人ではなっ!」

 

「「「ステューピファイ・マギ・マキシマ(魔法よ止まれ)!」」」

 

四方八方からレオに向かって魔法が襲い掛かる。

それを肉体強化と全力の身体機能向上魔法で避けるレオ。

体勢を整えたレオが見たのは仮面をつけた集団、死喰い人(デスイーター)だった。

しかし、レオの『眼』にはそれは異なって見えていた。

 

「すごい! ここまでやるとは予想外です! 良い、今日は最高だ!」

 

仮面の集団は一斉に顔を露にする。全員が等しく同じ顔をしていた。

整った顔、漆黒の髪、年齢は50~60ほどの男であった。

 

「トム!? いや、まさか!? そんなはずは!」

 

戦いを見守っていたダンブルドアは驚愕した。その男たちの顔に見覚えがあったのだ。

かつての教え子、今は最悪の闇の魔法使いヴォルデモートと成り果てたトム・リドル。

それがそのまま歳をとったかの様な外見なのだ。分霊箱(ホークラックス)で魂が切り刻まれたことによる醜い容姿になる前のトム・リドルの現在の姿を思わせる姿がそこにはあった。

 

「「「第二ラウンドだ。これからは私たちが貴様の相手をしよう。」」」

 

真っ二つになった闇の帝王に代わり男たちが続きを宣言する。

 

「もちろん。それにしても、分霊箱(ホークラックス)からの更なる発展かな? 他人を乗っ取り自分を増殖させる。魂のかけらに宿る僅かな自己から己を再構成……並外れた精神だ。流石は帝王ですね。」

 

そう、この男たちも正真正銘、闇の帝王その人なのだ。

分霊箱(ホークラックス)の要領で他人に魂の一欠けらを埋め込みその人間の魂を喰らい増殖した存在がこれらだ。

その数は十を超える、いや次から次へと現れる。

 

「「「いくぞ!」」」

 

「ははははは! もっと見せてください!」

 

己を増殖させた帝王と人外の存在になった天才の戦いは次なる局面に移っていく。




ホグワーツ城はめちゃくちゃ固く防御されてます。
具体的にはレオの指輪の超絶アップ版。城内部の人間の魔力で作動しています。

ハーマイオニーがいるのは更に安全なところです。
流石に不死になったからと言って戦争に参加させるつもりはレオにはないです。

吸魂鬼と亡者は使い捨ての尖兵のつもりです。
こちらを攻撃する防御装置を見越して最初に突撃させました。
殲滅魔法は連続使用回数が決まってますが高威力です。最初の突撃にドラゴンとか使ってたらお辞儀陣営は大損害でした。

クー、リミッター解除。
これで際限なく増える細胞を使って分身、ドラゴンバジリスクの召喚、様々な攻撃ができるようになりました。イメージはアー〇ードの死の河。

大惨事魔法生物大戦開幕。あくまで背景扱いですけどね。

お辞儀強化。
魔法生物や人体実験の成果を自身の身体にも反映させてます。
バジリスクの目は髪飾りを回収した際に秘密の部屋からバジリスクの抜け殻を回収してそこから再現しました。
お辞儀のレオ打倒の手段はこんな感じ
防御魔法を無効化→体を再生不能まで破壊→封印→無効化完了
肉体を完全に破壊できれば魂を封印
レオの肉体スペックを把握しきれていないので殺すより無効化を優先に考えてます。

お辞儀敗北。
肉体スペックはまだまだレオが上。しかし……

増えるお辞儀。
リドルの日記が魂を喰らって力をつけていたのでできるかなと。
捕らえたマグル生まれやマグルの精神を破壊し魂の一欠けらを植え込む。
魂を喰らって人一人分の力を手に入れ肉体改造→お辞儀完成!

次回、数多のお辞儀VSレオ!

それでは次回お楽しみ。

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