その後は番外編を気が向いたときに書いたりします。
次回作も色々考えて妄想しまくってます。
それでは89話どうぞ。
闇の帝王ヴォルデモートによる悪霊の火は勢いと熱を増し続けていた。
近づくだけで焼け死ぬほどの熱量がクレーターの中から発している。
帝王はそれを油断なく睨みつけている。
しかし、何の予兆もなく穴の中から光が溢れ呪われた炎は吹き飛ばされた。
レナード・テイラーが地獄の穴から飛び出してくる。
体は焼け焦げた状態だが数秒で傷一つない体に復元されていた。更には体をクーの戦闘形態と同様に鎧状にして防御を固めていた。
「ふふ……はは、あははははははは!」
レナード・テイラーは大声を上げて笑っていた。
子供が面白い何かを見た時の様に心の底から楽しそうに笑っているのだ。
「ははははは! いやぁ、すごい! やはりあなたは凄い! 正直ここまで凄いとは思わなかった! これからも、もっともっと色々な魔法を創り出すんだと想像するだけで嬉しくなってくる! また次に僕と戦う時に新しい魔法を魅せてくれると期待してここであなたを見逃したくなってくるほどだ! でも、これ以上親しい人が傷つくのは嫌だしなぁ……。うん、とりあえず行動不能にしてから考えます。」
帝王はその言葉にも怒りもなく精神は安定したままの状態だ。
無数の魂が結合するには精神も強くあらねばならない。この程度の言葉ではもはや怒ることも無いほどの強靭な精神になっているのだ。
無言で麻痺・衝撃・斬撃の複合呪文を放つ。その速度はマグルの拳銃の銃弾の速度などと比べものにならない程だった。
「巨神の腕」
それをレオは容易く防ぐ。クレーターから出た時にクーと同様に肉体に施されていたリミッターは解除されている。反射神経と動体視力も先ほどまでとは桁違いだ。
召喚された光輝く巨腕は帝王の呪文を握り潰す。
「続いて、巨神招来。」
レオの周囲から光が発生し形を成していく。先ほどの巨腕、大地を踏みしめる太い脚、厚い胸板、全てを見下す頭部。
光の巨神がその場に顕現していた。
巨人族では発し得ない神々しい雰囲気、全てを粉砕する魔力を込められた四肢、いかなる攻撃をも防ぐであろう胴体。それらによって守られたレオの声が巨神からこだまする。
「さぁ行きますよ!」
巨神の腕が消える。正確には目に見えない速度で振るわれただけだ。
帝王は躱しきれなかったが多重に展開した
それでも完全に防ぐことは敵わず、着弾した先の赤く濁った湖に巨大な水柱が発生するほどの勢いで吹き飛ばされてしまった。
戦いを見守る生徒たちから歓声が上がるが、それを否定するかのように水柱が水面に落ちきる前に炎の蛇によって蒸発させられた。
炎の蛇の頭上に立つ帝王は無傷。無数の束ねられた魂の力は肉体の回復速度をも向上させていた。
「行け。」
帝王の命で黒い壁となっていた
甘いお菓子に群がる蟻の様に巨神を取り囲む。
無数の闇が光を食い尽くさんとするが、闇はすぐに晴れた。
既に太陽は沈み、闇が支配している時間にも関わらず眼が眩むほどの光が広がっている。
その光によって
しかしそんな結果は闇の帝王にとっては予想の範疇である。僅かでも敵の動きを遅らせるだけで十分に効果がある。レナード・テイラーとヴォルデモートの間ではその僅かな時間が大きな意味を持つ。
「劫火の鎖」
悪霊の火を上回る呪いと熱量を持った炎の鎖が巨神を雁字搦めに捕らえる。
炎の鎖が爆発し天まで昇る炎の柱となる。
「フリペンド・マキシマ・ヴェロテ・インタフェク! 最大最速をもって穿て!」
帝王は追撃の手を緩めることはしない。
最高速度で十発以上打ち込まれたのはマグルの大量破壊兵器のミサイルだ。
唯のミサイルではない。魔法的な強化を施され、高速・高強度・爆破魔法を搭載したマグルの兵器以上の存在になっている。
炎の柱に次々に命中、大爆発を引き起こす。
ホグワーツ城に施された防御魔法も爆圧でかなりの数が損壊してしまう。
爆煙が晴れる。そこには微塵も変化がない巨神が確固たる存在感をもって立っていた。
「おおおおおおおおおおおおおおお!!!」
帝王は吠え、突撃する。
ミサイルの雨、ありとあらゆる攻撃魔法、思いつく限りの手段を持って最大の敵を滅ぼすため前だけを見て突き進む。
レオはその全てを受け止める。強力無比な巨神とて無敵ではない。帝王は攻撃の度に能力を見極め、確実に効果を上げ始めていた。
巨神の腕が吹き飛ぶ。
帝王が空高く打ち上げられる。
嵐を纏って帝王が一直線に
再度顕現した巨神と炎の巨蛇が激突する。
お互い一歩も引かない戦いは数時間にわたって繰り広げられた。
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空が白むころ合いになりようやく決着が付こうとしていた。
戦いの余波で既に森は消え去り、湖は泥だけが残っている。
競技場は跡形もなくなり、ホグズミード村は最早残骸しか残らない。
ホグワーツ城は形こそ残っているが防御魔法壁はほぼ機能していない。
内部で守護をしていた魔法使いたちも防御魔法の維持で魔力をほぼ消費していた。
それでも疲労など無視して戦いの結末を目に焼き付けようとしていた。
二つの人影。
片方は自然体のまま立っている。
もう一つは膝を地面について肩で大きく息をしている。
前者はレナード・テイラー。
後者は闇の帝王ヴォルデモート。
「はっ。力及ばずか……。」
「そうですね。では……。」
「これだけは使いたくなかったが仕方がない。とっておきをくれてやる。」
「まだ何かあるのですか? どうぞ見せてください。」
レナード・テイラーの悪癖は魔法第一に考えていることだ。
帝王の最後の切り札。それを回避することはレオには容易いことであった。
だが、その悪癖が致命的な油断につながった。
「この帝王を侮りすぎだ! もう終わりだ!」
帝王を中心に変わった。
見える景色も色も、聞こえる音も、感じる感触も、魔力も何もかもが変わらない。
ただ一点。そこにある生が死に変わってしまったと感じられた。
「これは……!?」
レオは驚愕しながら目を見開いて解析をしようとする。
しかし何も見えない。今まで見てきた魔法の構造を何一つ読み取れることができなくなっていた。
レオの真後ろに何かが現れる。目には見えない、音もない匂いもない。だが確実に何かがあった。
「不滅の魂であろうとそのまま死後の世界に逝ってしまえば戻ってこれないだろう! このままこの世から弾き飛ばしてくれる!」
ヴォルデモートが発動した魔法は強制的に対象をこの世からあの世へと送り出すものだ。
それが生きていようが死んでいようがどのような状態であろうともその魂をこの世からはじき出すものだ。
もちろん使うにも限定的な条件がいくつもある。
一つ、対象に出来るのは一回につき一人だけ。レナード・テイラーのみ使えればそれでよい。
二つ、対象の周囲に死が溢れていること。これは周りの大量の魔法生物の死骸で問題がない。
三つ、生贄として数百の魂が必要になって来る。帝王は自身の中の魂のほとんどをレナード・テイラーを葬るために使うことを決めた。
この魔法は敵の真後ろに死後の世界への扉を創り出し、その周囲の空間ごと死の世界に変えてしまうものだ。これを破れるのは死の世界からこの世に戻る方法を持つ者だけだ。そんなものはいるはずがない。いるとすればそれは死を超越し彼岸から戻ってこれるものだけだ。
そしてこの魔法が発動してしまえば生贄の魂が扉をくぐって死後の世界に逝くのと同時に対象の魂も死後の世界に強制的に連れて行ってしまう。
これは魔法省を手に入れた時に神秘部にあった死の世界とつながるアーチを応用した魔法である。アーチの存在を知った帝王はこれを手に入れるためだけに魔法省を手に入れたのだ。
「お、おおおお!? 馬鹿な!?」
周囲の魔法生物の死骸と帝王の身体から魂がレオの後ろの見えない扉に向かって次々と進んでいく。それに伴ってレオも意識を保てなくなってきた。徐々に肉体から魂が剥がされているためだ。
「くそ! この! なんで見えない!? 嫌だ! 死にたくない! ハーマイオニー! クー! 助けてくれ! なんで助けに来ない!? 僕は、レナード・テイラーだぞ!?
何で……? 違う、ちがうちがう! どうして!? なんでだ! なんでこんな! 僕は違う! ああああああ嫌だぁあああ……。」
最後の魂が扉を通過すると同時にレナード・テイラーの身体から全てが抜け出た。
残された身体には何も残っていない。
体内の魂を人一人分を除き全て使ったため元の醜い容姿に戻ってしまった帝王。
だが、それでも、勝った。
数多の魔法生物も。
マグルやマグル生まれの穢れた血を自分へと変換する嫌悪感も。
配下の下僕のほぼ全てを切り捨てて己の糧としたことも。
そしてその全てを費やしたことも。
己が宿敵のレナード・テイラーを葬ることに比べたら些細なことだ。
「やった……! 俺様が勝った……! これでこの世界は……! 全てが俺様のものに!」
ピクリとも動かないレナード・テイラーの肉体を見て歓喜を爆発させるヴォルデモート。
逆にホグワーツ城にいる全ての魔法使いはかつてない絶望を味わっていた。
そして……戦いは終わった。
帝王勝利! 悪の魔王レナード・テイラーは死んだ!
最期に醜態を晒しながら死んだレナード・テイラー。
なぜか助けに来なかったハーマイオニーとクー。
さてどうなってしまうのか?
それでは次回お楽しみ。