fate/extra night   作:iekiron

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今回少しグロ描写があります。


interlude ~銀の幼女と黒い巨人~

 はっ、はっ、はっ。

 息は乱れ切っている。

 咽喉は渇き切っている。

 身体は疲れ切っている。

 ――いいから走れ!

 死にたいのか――!

 はぁ、はぁ、はぁ。

 心臓はオーバーヒート寸前(バクバクだ)

 脳味噌はガラクタで混然(ゴチャゴチャだ)

 心はスクラップ同然(メチャメチャだ)

 ――何でこうなった?

 ――何がおかしかった?

 自問するが答えは出ない。

 月面世界で行われた聖杯戦争。

 128人というマスターが参加したトーナメント戦。

 自分は準決勝まで勝ち残ってベスト4に入ったマスターだ。

 冬木市にいるマスターなど障害にもなり得まい。

 たかだか7人で優劣を競っていただけの者達だ。

 自分はレオナルド・ビスタリオ・ハーウェイに敗れたものの、100人以上の参加者の中から勝ち抜き、あと一歩で聖杯に届くという所まで辿り着いた優勝候補の一角だったのだから。

 挨拶代わりに、御三家のアインツベルンとやらのマスターを蹴散らしてやる。

 生温い聖杯戦争しか知らないマスターに、この俺の実力を見せてやろう!

 

 ――何という慢心だったのか。

 冬の森には、自分が倒してきたマスター全員が束になっても敵わないであろう怪物が潜んでいたというのに。

 森を抜けた先に建つ城で待っていたのは、貧相な幻想など容易く打ち砕く化け物だった。

「はっ、ここっ、までっ、来れっ、ばっ」

 心臓が飛び出そうだ。

 震える足を止めて、大きく息を吸う。

 

「――ねぇ、鬼ごっこはお終い?」

 鈴が鳴るような声が聞こえた。

 優しげですらある少女の声は、そのまま彼の命の終わりを告げる鐘の音でもあった。

 

 ――なら、あなたの命もここでお終い――

 

 声の主が言ったわけでもないのに、彼の心にそんな言葉が浮かぶ。

 ズンッ、と地面が揺れる感覚と共に、足場をかろうじて照らしていた月明かりが遮られた。

 見上げた先にあるのは巌の様な顔。

 筋骨隆々とした身体が年月を重ねた巨木のように、彼の行く道を遮っていた。

「なってないわね。

そっちから誘いに来たのに、まともにレディーのエスコートもできないなんて。

あなたは紳士失格よ、招かれざるお客さま?

そんな退屈なヤツ、いらないんだから」

 天使の様な甘やかな声。

 あるいは悪魔の囁きか。

 城塞の様に立つ巨人の足元に現れたるは、妖精の様に可憐で危険な、銀の髪の年端のいかない少女だった。

「残念ね。

お日様が出ている内に現れたのなら、見逃してあげても良かったんだけど。

夜の帳が降りた(戦っていい時間になった)っていうのに、わたしの目の前にノコノコ現れる方が悪いのよ」

 くすり、と銀の髪の少女は笑った。

 或いはこの少女は、外見と違って自分より年上なんじゃないだろうか。

 身を守るサーヴァントを失った彼がそんな場違いな感想を抱いたのは、ささやかな逃避だったのかもしれない。

 自身の死という、逃れ様のない現実からの。

 

 ――殺ッちゃえ、バーサーカー――

 

 それは無邪気なままに虫の足を千切る、無垢なる幼女か。

 人の破滅を祝う、悪魔めいた妙齢の悪女か。

「■■■■――――ッッ!」

 少女の命令に呼応して、巨人の怪腕が振り上げられた。

 見るからに硬そうな拳は、神話に出てくる神様の大槌をイメージさせる。

 地に立つ自分は、釘となるには脆すぎる。

 トマトかスイカか、割られるのを待つ野菜がせいぜいだろう。

「それじゃあね、身の程知らずの負け犬さん。

次があるなら、もう少しレディーの扱いが上手くなっている事を期待するわ」

 破滅の大槌が振り下ろされた。

 風を頭上に感じながら、一秒後の自分を幻視する。

 三次元だったものが二次元に。

 立体から平面に。

 キャラクターの人形(フィギア)漫画(カートゥーン)のキャラクターに。

 匠のリフォーム、収納はバッチリ。

 彩色は勿論、赤いペンキを塗り残しなく――

 

 ――ぐしゃり――

 

 

                 ◇

 

 

「お嬢様。

他の侵入者達の処理も完了しました」

「うん。

みんな土のなか。

なかよく、おねむ」

「そう。

ありがとセラ、リズ。

バーサーカーもご苦労様。

もう霊体化して、休んでいいよ」

 イリヤの言葉に応えるように、巨体がその質量ごと消失していく。

 軽く息を吐いたイリヤの側に、白いメイド服に身を包んだ彼女の侍女達が姿を現した。

「勿体ないお言葉。

お嬢様にお仕えする侍女としての当然の責務です。

それにしても、いやしくもアインツベルンの領地に、どこの馬の骨とも分からぬ輩が連日押しかけてくるなんて。

この様な不始末、お館様の耳に入ればどれ程お嘆きになる事か」

「きっと立腹。

ナハトじじい、よそのにんげん、キラいだから」

「ああ、イリヤお嬢様ともあろうお方が、この様な辺境の国で、あの様な下賤の輩の為に面倒をかけられるなんて。

ええ、それもこれも全て、あのエミヤシロウが悪いのです!

本来ならば、不休不眠で不埒者からお嬢様の身の安全を守るのが責務でしょうに。

かの罪人(エミヤキリツグ)の罪の贖いをするどころか、更なる厄介事を抱え込んでお嬢様を巻き込む始末!

殿方としてお嬢様に奉仕する義務を蔑ろにしています!」

「うん。

わたしもシロウすきだけど、ちょっと、おしおき」

「もう、二人とも大げさなんだから」

 銀髪の少女・イリヤスフィールは苦笑した。

 もし赤銅の髪の青年が聞いていたら憮然として何でさ、と言ったに違いない。

「お嬢様。

今回の異常にアインツベルンの聖杯は関わっているのですか?」

「異常に、というなら違うわ。

冬木の聖杯は正常に動いている。

サーヴァントを現界させるっていう一点においてはね」

「冬木市の聖杯はエミヤ様達によって破壊されているのでは?」

「その通りよ。

冬木の聖杯はシロウとその仲間によって壊された。

でも、サーヴァントが現界している以上、聖杯は在るの。

つまり今回のコレは、他の聖杯によってわたしの聖杯が動かされてるってコト」

 ちらりと天上を仰ぎ見る。

 蒼い月は玉座の如く。

 中天に在りて地上を見下ろしている。

「それにしてもあのハクノって女。

どこで野垂れ死んでもわたしには関係ないんだけど、それにシロウが巻き込まれるのは困るわ。

あいつに関わるなって言っても、シロウは聞きそうにないし。

厄介ね。

一度本当にシロウの魂を人形に閉じ込めてみようかな?」

 口元に指を当ててむーっと唸る。

 銀髪の少女は衛宮士郎が聞けばナンセンス、と唸るであろう事を真剣に考えだした。

 

 

ステータス情報が更新されました

【クラス】バーサーカー

【マスター】イリヤスフィール・フォン・アインツベルン

【性別】男性

【真名】

【筋力】A+ 【耐久】A 【敏捷】A 【魔力】A 【幸運】B 【宝具】A

【クラス別スキル】狂化:B

【保有スキル】戦闘続行:A 心眼(偽):B 勇猛:A+ 神性:A

【宝具】

 




最近では魔法少女とかブルマとかが標準装備なイリヤ嬢ですが、彼女の元祖の属性は残虐ロリッ娘マスターです。
ポップでキュートなジェノサイドで何度バッドエンドを迎えた事か。
犠牲になったのは図書室前の彼ですね。
モブマスターでは最高クラスでしたが、正直相手が悪かった。
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