「…………。
――――?」
「――――!
――――!」
声が聞える。
誰かが言い争っているような声が――
「――ええい、分からぬ奴らめ!
だから敵の手など借りぬと言っておる!
何を企んでいたか知らぬが、早々に立ち去れ!」
「襲いかかって来たのはそちらでしょう!
何という言い草ですか!」
「だから二人とも落ち着けってば!」
いまだ頭がはっきりしない。
一体何を言い争っているのか――
「どこの誰とも分からん敵の居城になど、奏者を連れて行けるか!
たった今奏者の命を狙ったばかりではないか!」
「人の話を聴いていたのですか、貴女は!
シロウ、やはりこのような輩を衛宮邸に連れて行く必要はありません!
望み通り、この場で脱落させてあげましょう!」
「落ち着けセイバー!
……アンタが俺達を警戒する気持ちは分かるけど、このまま屋上にいたんじゃこの子、風邪ひいちまうだろ」
――命。
狙われて、脱落……
「保健室に行けばベッドがあったはずだ。
それにそなた達の手など借りずとも、我が奏者は余が守る!」
「たった今私に倒されかけたばかりではないですか!」
「アンタのマスターも気絶したままだろ。
二人とも本調子になるまで、うちで養生したほうがいい」
倒され、た――?
「セイバーッ!」
ガバッ、と跳ね起きる。
完全に意識が覚醒した。
「っと、目が覚めたかマスター!
赤毛に青いの、そういうわけだから、我らはそなた達の城になど行かぬ!」
セイバーが駆け寄って来た。
後半はわたしではなく、青いサーヴァントとそのマスターに言ったらしい。
「セイバー、怪我は――」
「保健室に戻るぞ。
怪我はなくとも、本調子ではなかろう」
セイバーは有無を言わさず、わたしを引っ張って行こうとする。
今の状況がさっぱり分からない。
「だから待てって!
女の子二人だけじゃ危ないだろ。
襲われたりしたらどうするんだ」
相手のマスターであろう、赤銅色の髪の少年が追いかけて来た。
……こんな時に何だが、まともに女の子扱いされたのは、前回の聖杯戦争から通しても初めてかもしれない。
「……そなた、何をちょっと嬉しそうにしておるのだ」
心の声は表情に出ていたらしい。
セイバーはわたしを引っ張っていた手を離し、不機嫌そうに少年を指差した。
「あの小僧は敵だぞ、敵!
いやむしろ、羊の皮を被った何かだ。
油断してると、奏者もぱっくりやられるぞ!」
「訂正しなさい!
我がマスターへの侮辱は許しません!
シロウは紳士です!」
向こうのサーヴァントが激昂していた。
赤毛の少年も居心地の悪そうな顔をしながら、わたしの方に向き直った。
「……サーヴァントの話じゃ、ほとんど何も分からないまま、聖杯戦争に参加する事になったんだろ?
俺じゃあ詳しい説明はできないけど、聖杯戦争に詳しい知り合いがいる。
情報収集も兼ねて、アンタのサーヴァントが回復するまで、うちに来ないか?」
わたしが気絶している間に、セイバーが色々と話したのだろう。
それにしても、ついさっき殺し合いをした相手である。
「どうなってるの?」
傍らのセイバーに問いかける。
「ふん、我らと手を結びたいと言う事だろう。
――うむ。
余と奏者の実力を見抜いている事だけは、称賛に値するな」
胸を張って答えるセイバー。
ものすごく曲解してるように聞こえるのは気のせいか?
……ともかく、少年の方に向き直る。
「どうして、わたし達を助けてくれるんです?」
セイバーは青いサーヴァントに完全に負けていた。
なのにわたしもセイバーもこうして生きていて、なおかつ敵マスターは自分達に助力してくれると言う。
状況が分からなさすぎる。
「だってアンタ達、困ってたんだろ?」
なのに、更に分からない事を言われた。
――確か聖杯戦争のルールって、自分以外のマスターとサーヴァントを全員倒して、聖杯を手に入れる事……だったよな?
ステータス情報が更新されました
【クラス】セイバー
【マスター】衛宮 士郎
【性別】女性
【真名】
【筋力】B 【耐久】C 【敏捷】C 【魔力】B 【幸運】B 【宝具】C
【クラス別能力】対魔力:A 騎乗:B
【保有スキル】直感:A 魔力放出:A カリスマ:B
【宝具】