息苦しさを感じたので起きると、顔の上になんかモコモコした不思議生物が乗っかっていた。
下ろしてもすぐに俺の頭に登ってくる。
そこが気に入ったのだろうか?
そんなに重くもないので、頭に乗せたまま部屋を出る。
「あっ、おはようございます。フォウさんと一緒だったんですね」
部屋を出た直後にキリエライトさんと出くわした。
どうやらこのモコモコはフォウと言うらしい。
「おはよう。このモコモコ…フォウだっけ?キリエライトさんはこいつを探しに来たのか?」
「ええ、それもそうなんですが…よければマシュと呼んでいただけませんか?そちらの方が呼ばれ慣れているので」
名前で呼べなんて、なんて難易度の高いことを言うんだこの子は。
まぁ、今までの女性と違って、なんかこう…邪なモノを感じないから大丈夫かな?
「初対面の人に対して呼びつけは難しいからマシュさんでいいかな?」
「はい、それでも結構です」
嬉しそうに笑うキリエライトさん…もといマシュさん。
なにこの子、すっごい無邪気なんだけど…。
「実は…えっと…」
ああ、そう言えば名前を言ってなかったな。
「
こっちだけ名前呼びと言うのもなんだしな。
「ありがとうございます。実は星河さんを探していたんです」
「俺を?」
「はい。もうすぐ説明会が始まるので探しに来ました。案内しますので一緒に行きましょう」
「分かった」
マシュさんと並んで歩いて説明会が行われる部屋へ向かう。
その際に色々と外のことをマシュさんに話す。もちろん綺麗な所だけ。
そうして向かっていると、廊下の壁に背を預けて眠っている女性を見つけた。この子もあの吹雪の中、山を登ってきて疲れたのだろうか?
「すみません、ちょっと待っててくださいね。先輩、起きてください、先輩。今は朝でも夜でもないですよ」
疲れているのだろうからそっとしておいてあげたいが、廊下で寝かせるわけにもいかないだろう。
「あれ?ここは?」
「あ、起きましたか、先輩?」
その女の子はしばらくまどろんだ目をして周りを見渡すが、俺を見つけると固まったように動きが止まる。
「あの、先輩?どうかしましたか?」
「お」
「お?」
「男ぉぉぉおお!?」
叫んだかと思うとすぐに立ち上がり、身だしなみを整える。
「うっわ…最悪…。まさか男の人にあんなところ見られるなんて…。涎は出てないよね?服は?汚れてない?」
女の子が身だしなみを整え終わると、コホンとひとつ息を吐いてこちらを向く。
「初めまして!藤丸立香です!気軽に立香って呼んでね!」
おおう…。さっきまでのことを無かったことにしようとしてる。
「マシュ・キリエライトです。そしてこちらが」
「加賀美星河だ」
「マシュちゃんと星河さんだね。よろしく!」
いきなり名前呼びとか、コミュ力高いな…。
「ところで、マシュさんは藤丸さ「立香」藤丸「立香」…ふ「立香」……立香さんのこと先輩って呼んでるけど、知ってる人なの?」
「いえ、完全な初対面です」
初対面かよ。
「私にとって、藤丸さん「立香でいいよ」立香さんくらいの方は皆先輩なんですが、なんと言いますか…立香さんは今まで出会ってきた人の中で脅威を感じなかったのでそれで…つい」
そうか…決して口にするつもりはないが、俺は脅威をビンビンに感じるぞ。主に邪な感じのヤツ。
「ちなみに俺は先輩って呼ばれないけど、それはどうして?」
「それは…その…」
マシュさんは少し恥ずかしそうに頬を染め、照れながら話す。
「その…星河さんは先輩というより…お兄さんって感じがして…」
なんだろう、聞いてるこっちが恥ずかしくなってきた。
「そういえば、二人はどこかへ行く途中じゃなかったの?」
立香さんにそう言われ思いだす。そうだ、俺たちは説明会へ向かっている途中だった。
「そうでした。結構時間が経ってしまっているので急ぎましょう。先輩、星河さん」
結構遅れているらしく、俺たちは駆け足でマシュさんに案内してもらいながら、説明会が行われる場所へと向かう。