俺たちの召喚したサーヴァントは、色々と相性がよかった。
近接に特化したセイバー、俺たちマスターと所長を守ってくれるマシュさん、後方で不思議な術を使い攻撃と回復の支援をしてくれるキャスター。
それぞれの役割が上手く分かれており、上手く戦えている。
が、何の情報もつかめず、ただ骸骨たちを倒していくことしかできないでいた。
「どこまで行っても焼野原…住人の痕跡もないし、一体何があったのかしら…」
『所長、あたりは安全そうですし、少しは休まれてはどうでしょう?』
「そうね。そろそろ休憩を入れましょうか」
俺たちは身を隠せるような物陰で休むことにした。
「星河さん、疲れてない?」
「ああ、大丈夫だよ、立香。体力はあるほうだからね」
「そう?でも、男性なんだから、無茶しないでね」
元の世界でいうと、男性が女性に気を遣うようなものだろうか。あまり慣れていないせいで、ちょっと複雑な感じだ。
「マシュさんはどう?疲れてない?」
「はい、大丈夫です」
「それはよかった」
「それで…あのですね?星河さんにお願いがあるんですけど…」
「お願い?」
マシュさんはモジモジしながら、少し恥ずかしそうに言ってきた。
「その…できればでいいんですけど、名前を…呼び捨てしてくれたらなぁ…なんて」
「呼び捨て?」
「その…さん付けだと、少し距離を感じるんです。だから、呼び捨てをしてもらってる先輩が少し羨ましくて」
「そんなつもりはないんだけど」
「分かってるんですけど…ダメですか?」
上目遣いでこちらを見てくるマシュさん。
まぁ、マシュさんは今まで見て来た他の女性と違って性格はかなりまともだし、名前くらいはいいかな。
「分かった。あらためてよろしくね。マシュ」
「はい、お願いしますね、星河さん!」
呼び捨てで呼ぶと笑顔で喜んでくれるマシュ。なんだかこちらまで嬉しくなってしまうな。
『―――! 休憩はそこまで、周囲に生体反応があるわ!』
ミス・ロマンからの通信を聞き、辺りを警戒する。
「っ!下がれ!」
セイバーが俺の前に出て、どこからか飛んできた何かを弾く。
「見ツケタゾ、新シイ獲物!」
俺達の前に全身が黒い……いや、まるで影のような何かが現れた。
『そいつからサーヴァントの反応が出てるわ!今までのより手ごわいから気を付けて!』
いままでの相手はただの骸骨だったか、今度の相手はヤバそうだ。
セイバーに対し、そいつはナイフのような物で応戦する。
「コレナラ ドウダ!」
そいつはナイフをセイバーと俺達に向けて投擲する。
「あまい!」
「星河さん達には手を出させません!」
セイバーは簡単に剣で弾き、マシュが俺たちを守ってくれた。
「ナカナカ ヤル・・・ガ ソコノ オンナハ ベツダ」
「なに?」
『気を付けて!もう一体サーヴァントがいる!』
ミス・ロマンがそう叫ぶのと同時に後ろから何かが投げられる音がした。
明らかに避けるのが間に合わない。
「ほいっと。まだまだ甘いですねぇ」
しかし、俺達にはサーヴァントが三人も付いている。
キャスターが後ろからの襲撃に気付き、蹴りで投擲物を弾いていた。
「ミヤブッタカ」
「ええ、キチンと召喚されてないせいか、わずかに殺気が漏れてましたよ?それではアサシン失格ですね」
「キサマ・・・」
「とはいえ、私はあまり戦闘向きではないですし、どこまでできますかねぇ」
懐からお札を何枚か取り出し、構えるキャスター。
確かに、キャスターはどちらかと言えばサポート向きだ。
だが、向こうのアサシンとやらは暗殺が得意らしいから、正面切っての戦闘はあまり得意ではないはずだ。
「お困りのようなら、手を貸しますよ?」
「ナニモノダ!?」
声のした方を向くと、そこには杖を持ったいかにも魔術師といった格好の青い髪の少年がいた。
「何って、君達の敵だよ」
そう言うと少年は火球で攻撃を始める。
「キャスター、彼と協力して攻撃して!」
立香がキャスターに指示を出し、アサシンと本格的に戦闘を始める。
向こうがアサシンを相手してる間に、こっちもなんとかしないと。
「これで終わりだ!」
「グ・・・オノレ・・・」
あ、少し目を離したすきに、終わってた・・・。
「えい!」
「アンサズ!」
あ、こっちも終わってる。
うちのサーヴァント達が優秀すぎる・・・。
「さて、あなたの事、この冬木で起こってること。全て話してくれる?」
所長が警戒をしながら、謎の少年に話しかける」
「もちろんです。ではまず、自己紹介からさせていただきましょう」
少年は敵対するつもりはないと示すために、杖を地面に置き、両手をあげたまま話し始める。
「僕の名前はクー・フーリン。キャスターのサーヴァントとして召喚されました
「クー・フーリンって、あの『クランの番犬』の!?」
いや、全然知らないんだけど?
『クー・フーリンっていうのはね、簡単にいうと珍しい男性の英霊で、そこそこ有名な人なんだよ』
ミス・ロマンが分かってない俺を察してか、簡単に説明してくれる。
「へー。『クランの番犬』っていうのは?」
『彼は鍛冶師クランの番犬に懐かれてね、彼から離れようとしないから、犬が亡くなるまで一緒に番をしていたことから付いたんだ』
「なんで番を一緒にしたの?犬なんだから置いていけばいいのに」
『その番犬がかなり強くてね。鎖の首輪すら噛み切るほどだったらしくって、無理にでも彼に付いて行こうとしたらしい。それだとクランが困るから、一緒に番をすることで番犬に番をさせていたんだ』
「なんとも難儀な…」
『ちなみにその番犬はメスだったと言われてるよ』
その情報はいらなかったかな。
「それでは話させていただきます。この冬木でなにが起こっているのかを」
ミス・ロマンから話を聞いている間に、話が進もうとしている。
こうして俺達はキャスターことクー・フーリンから詳しい事情を聞くのだった。