上海人形家出禄   作:ルシャルシャ@黒P

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まぁまぁのバトル回。バトル回って苦手だな...

上海かわいい


10人の英雄編
八十八体目 VSディルヴァルム 前編


振り向くと同時にランスを振るう。だがそこに(吸血鬼)の姿は無かった。

 

「どこを狙っているんだ?私はそこに居ないが?」

 

どこからか声が聞こえてくる。

周りを見回しても(吸血鬼)は居ない。

 

「お前らには私を倒す事が出来ないだろう。どれだけ探してもな。」

「ぐぁッ!!」

 

突然、衣玖さんが苦しそうな声をあげる。衣玖さんのみぞおちには殴られたような跡が出来ていた。

 

「お前達は私に触れることなく」

「.....ッ!!!!」

 

突然、ルーミアが顔から地面に叩きつけられる。

 

「私を見つけることなく」

「ぐっ!!!!」

 

突然、横から蹴りつけられ、近くの木に叩きつけられる。

 

「お前達は死ぬのだ。何も出来ずにな。」

 

 

強い。圧倒的に強い。

痛みが残る体を動かそうとしながら奴を探す。

 

(透明になる能力か?)

 

そう思い私は地面から砂を取り、前に向かって投げつけた。その砂は風に流され空を舞う。

 

「ほう、砂で私の位置を探ろうとしたか.....だが無駄。」

 

頭を掴まれ持ち上げられる。

 

「私は透明になったわけではない。私はお前達の感覚から’’消えた,,だけなのだよ。」

 

見えぬ手に掴まれたまま、奴は私に喋りかけてきた。

 

「冥土の土産に教えてやろう。私はあらゆるものを’’消滅,,させる事が出来るのだよ。お前達の’’聴覚,,と’’触覚,,以外の感覚から消えたのだよ。お前達の中から私の姿と臭いが認識できなくなったのだよ。」

 

すると何も無い空間から奴の姿が浮き出るように現れた。奴の瞳は澄んだ緑色だが、生き物らしい(ぬく)もりがないような瞳だった。

 

「今、君の視覚から私の姿を消したという事実を’’消した,,。これで君は私の姿を視認する事が出来る。」

 

そう言いながら私を衣玖さんの近くに投げ捨てる。

そして奴はルーミアを蹴り、私達の近くに転がした。

 

「さて、無駄話もこれ位にしておこう。君たちには消えてもらおう、文字通りね。」

 

奴がゆっくりと近づいてくる。

その時、私の隣で倒れていた衣玖さんがゆっくりと立ち上がる。

 

「これ以上近づくな...」

 

そう言いながら衣玖さんは私達をドーム状の電気を作り出した。

奴は歩みを止めることなく、ゆっくりと近づいてくる。

この様子だと電気は効かなそうだ。だが衣玖さんは電気を張るのをやめない。私たちを守るために。

 

奴が電気のドームに足を踏み入れる。すると無言で痺れ、真後ろに吹き飛んだ。

何が起きたの分からなかった。電気を張っていた衣玖さんも、私も、奴すらも驚いていた。

 

「ぐ.....何だ...何が起きたんだ...」

 

奴は何が起きたのか分からなかったようだった。その様子を見て、私の中のとある考えは確信に変わった。

ついさっき奴の瞳を見た時、その考えが生まれた。

 

(もしかしてこいつは目が見えてないんじゃないか?)

 

そんな考えが生まれていた。だがその考えには矛盾があった。どうして私たちを攻撃できたのか、その考えがあったせいで事実が見えなかったのだ。

 

残った問題は奴がどうやって私たちを見ているかだが.....そんな事は後々考えればいいのだ。

 

「衣玖さん、ルーミア、奴は目が見えていないと思う。」

 

小声で2人に告げる。幸い奴はまだ遠くで、何が起きたのかに頭を抱えていた。

 

「じゃあどうやって私たちを攻撃出来たのですか...?」

「それは分からない...だが奴を倒す可能性が出てきた。それは確かだ。」

「.....奴を倒すためなら何でもする.....」

「それでは私も覚悟を決めましょう。」

「2人とも.....ありがとう。」

 

そう言いながら立ち上がる。衣玖さんに肩を借りながらルーミアも立ち上がる。

その動きを察知したのか、奴もこちらに顔を向ける。

私は今思いついた作戦を、2人に手短に伝える。

 

「...分かりました。それで行きましょう。」

「.....私の役目は全力で果たす.....」

 

2人は戦闘体制に入る。私も近くに落ちていたランスを拾い戦闘体制に入る。

 

こうして私達の決死の作戦は始まった。

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