上海可愛い
今回は.....
[蓮子の実家]
「よく来たねぇ...メリーちゃんで合ってる?」「ハイ...えっと...はじめまして...」
この暑い時期にマントを羽織っている人なんて初めて見た...さすがの私でも引きますよ...
「そう言えば今から蓮子と、どこかに行くんだろ?山は熊が出るから気をつけなよ。」「ご丁寧にありがとうございます...」
その時外から蓮子の声が聞こえた。
「メリー!!行くよ~!!」「いってらっしゃい、くれぐれも暗くならないうちに帰っておいでよ。」「分かりました。ありがとうございます!!」
そう言って私は蓮子の方へ走っていった。
[裏の山]
「メリー遅いよ~!!」「ごめんね蓮子。」
待ち合わせに3時間も遅れる人に言われたくないけど、と出かけた言葉を引っ込めた。
「ここをちょっと登った所にその神社があるから、そこまで頑張ってね!!」
と言いメリーが指さした先は、ただのゴツゴツした岩があるだけの斜面だった。
「階段とかエレベーターは無いの?ここ登るの?」「ここ以外に行くと、熊に絶対合うからここが1番安全だよ?」「つまりここも熊が出る可能性があるって事?」「だから猟銃持ってきてんじゃん。」
蓮子は背負った猟銃を、軽く叩きながら言う。
銃刀法違反.....気にしないでおこう...どうせ未来だし...
「さぁ、メリー。ここを登る時は、三点で支える事が大事だよ。」「三点って何?」「足、足、手。手、手、足。手、手、手。みたいな感じで、自分の体を支えることだよ。(うろ覚えだけど...」「へぇ~...蓮子でも、頼もしい時もあるんのね。」「え?つまりいつもは頼もしくないってこと.....?」「さぁ、行くわよ蓮子、時間が勿体ない。」
そう言って私はそそくさと山を登り始めた。
~秘封少女登山中~
[裏の山・✕✕神社]
「いや~...登ったね~...」
メリーはまだまだ行けると言わんばかりに、そこら辺を歩き回る。
ここはちょっと登ったところの神社。入口近くに神社名が書いてある立て札があったが、汚れていて肝心の名前が見えなかった。
「ねぇメリー。これってなんだろう...」
蓮子が何かを見つけたようだ。蓮子の方を見ると、薄汚れた箱のような物が置いてあった。
その箱の上側には、格子状に穴が空いていた。側面には何か書いてあるが、汚れていて読めない。
側面の汚れを少し取って、字を読む。
「何て書いてあるの?」「えっと...ほう...のう.....奉納...これは賽銭箱ね。」「賽銭箱...つまり中にはお金が!!」「だめよ。それは許せない。」
中のものを取ろうとしている蓮子を止める。
しばらく神社の周りを探索したが、何も無かった。
「ねぇ、蓮子。何でここに嘆き人形があると思ったの?」1つ浮かんだ疑問を投げかける。
「え?それっぽかったからだけど?」
ここまで人を殴り倒したいと思ったことは無い。そんな適当な理由で、ここまで連れてきた蓮子を恨む。
「ハァ...とりあえず帰るわよ...」「そうだね...何も見つからなかったしね...」
そんな事を話していると、不意に近くの草むらが揺れた。
ここは山なので、狸か、狐かと思った。が...ちょっと前の会話を思い出した。
(「つまりここも熊が出る可能性があるって事?」「だから猟銃持ってきてんじゃん。」)
私の予想通り、草むらから熊がゆっくりと出てきた。その片目は切られたような跡があり、潰れていた。
「メリー!!神社の中に逃げな!!」
私は神社の中に入り、中から蓮子の様子を見る。
素早く蓮子が猟銃を構える。熊がこちらを認識し、飛びかかってくる。
蓮子は素早く熊の目に照準を定め、発砲する。弾丸は熊の目に当たり、熊が怯む。
その隙に神社の中に逃げ込む。
襖みたいな扉を閉じ、静かに外の様子を伺う。
「ねぇメリー...何か聞こえない...?」
静かに耳を済ませる。
<ブツブツ.........
確かに奥の方から何か聞こえる...
「嘆き人形っぽくない?」「そ、そんなわけないじゃない!!」「メリー、静かに。熊の目は潰したけど。まだ鼻と耳は私達を探しているはず...」
恐怖でどうにかなりそうだった。前には敵対した熊。後ろには呪いの嘆き人形。逃げ場無しの完全包囲網。昔の言葉でいう。四面楚歌である。
「メリー...ここから無事に帰れたら...この間出来たかき氷屋に一緒に行こう...」「蓮子.....それ死亡フラグ.....」
蓮子がわかりやすい死亡フラグを建てる。大体そのかき氷屋、結構前に出来たやつ...
「メリー、いい事思いついた....耳塞いどいて...」「え?何で...」「良いから...」
真剣な物言いに押され、素直に耳を塞ぐ。
するとメリーが神社の奥の方へ歩いていく。そっちには嘆き人形が...
そこで蓮子の考えが読めた。嘆き人形の呪いで熊を殺そうと言う訳だ。だが、私達も死んでしまう。だから耳を塞がせたのだ。私だけを助けるために。
「蓮子!!そんなのだめ!!一緒に帰ろう!!他にも何かあるはずだから!!」
何か蓮子が言っているがわからない。恐怖から腕が動かないのだ。耳をピッタリと塞ぎ、離れない。
蓮子が奥の方に歩いていく。まだ行って欲しくない...まだ死んで欲しくない...大切な人を...
蓮子が小さな木箱を持って奥から戻ってくる。結局私は何も出来なかった。ただ涙を流しながら蓮子を見ていることしか出来ない。
蓮子は笑っていた。今までに見たことのない程の穏やかな笑顔だった。
「蓮子...まだ死なないで.....行かないで.....私を...置いてかないで.....」
蓮子が何か言おうと口を開ける。すると蓮子の持っている箱が大きく震える。
蓮子は驚き大きく目を見開いている。私ももちろん驚いている。
蓮子が箱を私の前に置く。箱の上にはお札が貼られており、そのお札と箱の間に1枚の紙が挟まっていた。
蓮子はお札を剥がし、蓋を開けようとする。すると蓋が勢いよく飛び、中から人形が飛び出してくる。
驚いた蓮子は後ろに尻餅をついていた。私は慌てて蓮子の側による。いつの間にか手は耳から離れ、足も動くようになっていた。
「ひっさしぶりのシャバの空気だぜ.....」
喋ったのはその人形だった。
最後に出てきた人形はナンダロウナー、全 マッタクケントウモツカナイナー。
皆さんもワカラナイダロウナー