沢近さんの純愛ロード   作:akasuke

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akasukeといいます。
中古で売られていたスクランを思わず買ってしまい、ストーリーを思い付いた為、描きます。

今更感が強く、需要がない可能性が高い為、そっと投稿していくつもりです。

※タイトルは某エロゲのをパクっております。
バージンロードまで続くかは、未定。


ちゅーとりある!
#01「回避してしまうフラグ」


「待ってろ、天満ちゃん」

 

播磨 拳児は泣きながら走り去っていった女性――塚本 天満を必死に探し、追い掛けていた。

 

 

 

事の発端は、今から十数分前。

占い師として活動していた播磨の前に、好きな女性である天満が現れたのだ。

 

数日前、別のとある男子生徒と幸せな表情を浮かべて昼ご飯を食べる天満の姿を目撃した播磨。

彼はそれを見たことにより意気消沈し、学校をサボり、占い師へと成り果てていた。

 

そんな播磨は、もう彼女のことは諦めるんだと心の中で思いつつ、客である彼女の為に占いをしようとした。

 

しかし。

 

 

『わたしとカレーどっちが好き?』

 

『カレー』

 

播磨の目の前で。

 

 

『れ、レトルトのカレーとわたし、どっちが好き?』

 

『…………』

 

『烏丸くん、わたしとレトルトカレーで迷ってる! う、うわぁぁん!』

 

泣きながら走り去る天満を目にして、平常心を保つことが出来なかった。

怒りに任せ、天満が好きな男性――烏丸 大路に殴り掛かろうとしたが、平然と無表情のまま避けられる。

 

たが、そんな怒り心頭な播磨に、烏丸は言ったのだ。

 

 

『行ってあげるんだ』

 

僕は、行く訳にはいかない、と。

そう告げてくる烏丸の言葉を聞き、播磨は自分の思いのままに必死に走った。

 

普段は鈍臭いが、こういう時に限って速く走り去っていった天満。

 

もう姿が見えない彼女を追い求め、向かっていった道を追い掛ける。

 

 

「はぁ……ハァ……」

 

ずっと。

ずっと、見てきたんだ。

 

播磨は走りながら、最愛の女性のことを想う。

 

 

「ぐ、ぐおぉぉぉぉぉ!」

 

ただ、途中から雨が降ってしまい、走り辛い。

それでも無理に全速力で走っていたことが原因で、雨で濡れる階段に足を滑らせ、転げ落ちてしまう。

 

 

「やだ、いま階段から落ちたわよ」

 

「ヘーキなのかな?」

 

周りの人々の声など聴く余裕もなく、痛みを感じながらも立ち上がり、再び彼女を求めて走り回る。

 

だが、そんな強がりも終わりを見せる。

 

 

――く、くそっ……。

 

道端で力尽きて倒れてしまう播磨。

 

 

――ダメだ、もう……走れねぇ。

 

先程、階段から落ちた痛みが今になってぶり返す。

立つことも、辛い状態だった。

 

 

――こんなところで、終わっちまうのかよ。

 

天満が自分のことではなく烏丸が好きなのだと知った播磨。

 

そんな彼は、学校をサボり、姉ヶ崎 妙がくれた千円片手にパチンコなどで暇を潰し、挙句の果には占い師になった。

 

 

しかし、諦めたと思ったときに、播磨の好きな女性が目の前に姿を現したのだ。

 

チャンスだと思った。

 

今度こそ。

今度こそ、想いを伝える筈だったのに、と。

 

道半ばで諦めるしかないのか。

そんな諦めの思考が頭を過ぎる中。

 

 

 

 

そんな彼に手を差し伸べる女性が現れたのだ。

 

 

 

 

 

――て、天満ちゃん?

 

体力を使い果たし、更にサングラス越しで顔が見え辛い。

だが、こんな自分に手を差し伸べてくれるのは、優しさの権化である天満ちゃんしか居ない、と播磨は思った。

 

だからこそ。

だからこそ、伝えなければと思った。

 

 

「きゃっ」

 

力が強かったかもしれない。

だけどそんなことを考える余裕もなく、彼女の手を必死に掴んだ。 

 

 

「聞いてくれ……」

 

自分の想いを伝える為に。

どうか、この気持ちが彼女に届いて欲しいと思いながら。

 

 

 

 

 

 

 

「俺は…君のことが好きだったんだっ!」

 

 

 

 

 

 

 

伝えたかったが、伝えられなかった想い。

それでも、ようやく言えることが出来た。

 

 

「やっと、やっと言うことが出来た――」

 

どんな表情をしているのだろうか。

想いを告げた女性の顔を見るために顔をあげる播磨。

 

そこには、彼が追い求めた黒髪の女性――

 

 

 

 

 

 

 

「えっ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ではなく、金髪の女性――沢近 愛理の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沢近さんの純愛ロード

#01「回避してしまうフラグ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沢近 愛理は、今の状況に混乱していた。

 

愛理が友人の高野 晶からオススメされた占い師のもとへ行った帰り道。

 

道端に倒れている男性の姿を発見した。

雨が降っていることもあり、心配になったのだ。

 

そして手を差し伸べ、掴んだのは。

 

 

――は、播磨くんだよね。

 

さきほど占ってもらったクラスメイト――播磨 拳児であった。

だが、混乱しているのは、そこではなくて。

 

 

『俺は…君のことが好きだったんだっ!』

 

播磨から告げられた想い。

そして、その度合いを示すかのように握られる、凄く強い力。

 

 

――こんな告白、はじめて……

 

熱い。

どうしようもないくらいに、熱い告白。

 

 

――あんまり好きなタイプじゃない、はずなのに。

 

愛理が思い描く好きなタイプは、彼とは全く真逆の性格、そして容姿であるはずだ。

 

はずだった。

 

 

――はず、なのに……

 

動揺を隠せない愛理。

 

 

 

しかし、それ以上に動揺を隠せない人物がいた。

勿論、播磨である。

 

 

 

――ヤベェ マチガエマシタ イエナイ

 

思わず思考の中もカタコトになってしまう程に動揺する播磨。

 

 

 

 

 

 

「その…わたしは、急にそんなこと言われても……」

 

何て言葉を返してあげれば良いのか。

播磨に、そして自分自身に戸惑いを隠せない愛理は、言葉が途切れてしまう。

 

 

 

そんな愛理を見ながら、自分のやらかした勘違いの告白をどうすれば良いか必死に考える播磨。

 

だが、彼の悲劇は続く。

 

誰にも見られたくない、こんな状況。

そんなときに限って。

 

 

「……まわり道して、帰ろっか」

 

「うん、そーだね」

 

播磨と愛理のクラスメイト。

周防 美琴や高野 晶がその場面に偶然出くわしてしまう。

 

 

 

「……うっ」

 

混乱がピークに達した播磨。

そんな彼が起こした行動。

 

それは――

 

 

 

 

 

 

「……うおぉぉぉぉぉぉ!」

 

戦略的撤退。

つまり、逃げるしかなかったのであった。

 

 

「あっ…うっ……」

 

頬を赤くしたまま、走り去る播磨を呆然と眺める愛理を置き去りにして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、本来あったはずのフラグを、微妙に回避してしまった物語。

 

お嬢様と不良の恋愛物語である。

 




スクールランブル。
わたしが、勘違いものにハマってしまった原因であり、尚且つツンデレが好きになってしまった諸悪の根源です。

もう一つの作品の方が個人的に優先度が高い為、こちらの投稿ペースは少し遅めかもしれません。

さて、今回のプロローグですが、本来の物語であった展開から微妙にずれています。

■フラグ
・播磨の勘違い告白 ○
・姉ヶ崎 妙の登場 ×
→ シャイニングウィザード回避

それにより、展開がどう変わるのか。
また見ていただければ幸いです。

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