……待ってくださる方がまだ居てくれますかね?
もう1つの作品がキリの良い話まで描けたので、こちらを描きます。
では、本編をどうぞ。
「ちょっと、晶っ!」
どうして出て行ったのよ、と。
パラソルの下でのんびりと本を読む晶に対して愛理は詰め寄っていた。
浜辺のビーチ。
旅館から海へと戻ってきた愛理は、一目散に晶が居るであろう場所に向かった。
目的は言うまでもなく、旅館での出来事について。
「……何か、マズかったかしら?」
「ふ、普通、あの場面で出て行かないでしょっ!」
晶が入ってきた時、愛理は裸の播磨に後ろから羽交い締めにされていた。
色々な誤解等があったとはいえ、傍から見れば警察を呼ばれても可笑しくない状態である。
それなのに、晶が目撃した後に行った選択は、スルー。
――し、しかも、布団だなんて言うから。
『布団、敷いた方が良いわ』
晶が部屋から出て行く前に言った台詞。
その言葉の所為で愛理は更に混乱し、播磨は怯え、
二人がまともに会話できる状態になるまで時間を要した。
播磨が裸だったのは問題であるが、もともと男子部屋に入ったのは愛理自身であったし、なんとか誤解を解くことが出来た。
だが、愛理としては晶に文句を言わずにはいられなかったのだ。
愛理の言葉に、晶は本へと向けていた視線を上げる。
そして彼女へと謝った。余計な言葉も添えて。
「ごめんなさいね。 私には、愛理さんが満更じゃない様に見えてしまって」
「そ、そんな訳ないでしょっ!」
「……私の、勘違いかしら?」
「当たり前よ!」
そう、と。
顔を真っ赤にして否定する愛理をみて、晶は納得したように頷く。
愛理としては別に播磨に羽交い締めにされて嫌悪を感じたりはしなかった。
ただ、嫌ではないにしても気恥ずかしさが勝ったのである。
異性の裸など見慣れていないからこそ、特に。
ひとしきり頷いてから晶は愛理に言葉を掛ける。
「愛理さん、次から気を付けるわ」
「そうね、そうして頂戴」
晶の言葉を聞き、愛理も納得した様子を見せた。
彼女自身、本気で晶に怒っていたわけではなく、少し文句を言いたかった程度である。
その為、この話はこれにて終わり、である筈だった。
晶が言葉を終わらせていれば、である。
「――それじゃあ、次に播磨君が愛理さんを抱き締めていたら、警察に通報するわね」
「ちょ、ちょっと待ちなさい!」
晶がさらりと言った一言に、慌てて愛理は呼び止める。
呼び止められた晶は、首を傾げ、愛理を見つめた。
「どうかしたのかしら?」
「その、警察とかは言い過ぎでしょ」
求めていないどころか、曲解過ぎる方向に行きそうになってる為、そんな大袈裟な話ではないのだと晶に伝える。
愛理の話を聞き、晶はなるほどと頷く。
「……そうね、確かに言い過ぎだったわ。 それじゃあ、播磨君には愛理さんに今後一切抱きつかない様に言っておくわね」
「ま、待って……その、べ、別に一切抱きついて欲しくないわけじゃ…なくて」
――その…逆に、それは困るというか。
抱きつかれるのが嫌な訳ではないので否定したいが、それをハッキリとは言い辛い為、口籠ってしまう愛理。
「じゃあ――」
「いや、それは――」
そんな彼女の姿を見ながら次々に案を出していく晶と、案に対して訂正する愛理。
そして、結局。
「それじゃあ、愛理さんが播磨くんに裸で口を塞がれて後ろから羽交い締めにされてるのを見掛けたら、私は放置しないで留まっていれば良いのね?」
「え、えぇ……それで良いわ」
同じシチュエーションが起きるのか、晶が遭遇するのかはともかくとして、こうして晶と愛理の話し合いは終了するのであった。
ちなみに、晶はこの会話をボイスレコーダーに録音中である。
#10「目撃してしまう彼女」
「みんな今日はどれくらい泳げるようになったのー?」
「0メートル」
「5キロ」
「え、なんでそんな極端な――」
――今日はサイアクな一日だったぜ。
せっかくの天満ちゃんとの旅行なのによ、と。
播磨は今日一日の出来事を振り返り、内心で愚痴を吐いていた。
旅館『旅龍』。
夕方まで海で遊んだ後、天満たち一行は宿泊する旅館に戻り、現在は夕食を食べていた。
天満が中心に楽しそうに話す中、播磨は皆の会話に入らず、黙々と夕食を食べていた。
――ヒデー目に遭ったぜ。
彼が考えているのは、今日の出来事。
主には愛理に自身が裸でスチュワート大佐ごっこを目撃されてしまった時のことである。
播磨からしてみれば、あの初めの出来事が原因でその後の全てが散々な結果に遭ったと思ったのだ。
――高田、だったか? あのヤローが変なこと言って出てくから、誤解を解くのにも時間が掛かったしよー。
愛理を羽交い締めしている姿を晶に目撃され、彼女が出ていった後、ただでさえ身体中が赤くなっていた愛理が更に赤く色が染まったのだ。
播磨からしてみれば、あまりにも全身を赤くしてキレている愛理を後ろから見ていた為、死ぬかもと半ば本気で感じていた。
――それに、天満ちゃんに俺が泳ぎを教えるはずだったのに……何故か、お嬢の担当になっちまうし。
あの羽交い締めの場面から何とか状況を終わらし、その後に海へ戻った播磨と愛理。
これから天満に近づく為に頑張ろうと決意する彼に、すぐにチャンスがやって来たのだ。
『それじゃあ、水泳LESSON開始だっ!』
『何でそーなんだよ!』
花井と美琴の漫才な会話を聞くに、泳ぎが苦手な天満たちに男女ペアになって泳ぎを教えるとのこと。
これはチャンスだと悟った播磨は、天満に泳ぎを教える為に策を練り始めた。
『おい、奈良だったか……こういう感じでアミダを作れ』
『えっ、ぼ、ぼくが?』
裏工作ってやつだ、と。
播磨が奈良に指示し、天満の泳ぎ担当となる様にアミダを作成しようとしたのである。
これで完璧だぜ、と播磨は自分の策に自画自賛しながらも、アミダで担当を決めようと天満や美琴、愛理、晶たちに伝えた。
その結果。
『…………あれ?』
『あの、その…よ、よろしく……播磨くん』
線を一本間違えて、天満ではなく愛理に泳ぎを教えることになった播磨であった。
ちなみに、泳ぎの間、愛理がまだ微かに顔を赤くしているのに気付き、まだ怒っている彼女と一緒にいることで彼は胃が痛くなったのだとさ。
――はぁ、泊まりっつっても、チャンスなんてもう限られてくるしよー……。
どう挽回すれば良いのか。
若干不機嫌になりつつも策を考える播磨。
「播磨くん、播磨くん」
「えっ……?」
ちょんちょん、と。
腕をつつかれながら名前を呼ばれ、播磨が振り返ると、其処には彼が丁度近付きたかった相手が居た。
「ちょっと外でお話したいんだけど……いい?」
話しながらも何だか少し照れた様子を見せる天満。
「…………」
そんな彼女の姿と言葉を理解するのに時間を要する播磨。
しばらく呆然と彼女を見つめる播磨だったが。
「おう」
――旅は良い…何故なら新しい発見が出来るからだ。
サングラスに手を当てながら、天満へと返事する播磨。
返事は素っ気ないが、彼の中のテンションはだだ上がりである。
――天満ちゃんは、俺の魅力を発見してしまったみたいだぜ。
ふっ、策など考える必要なかったぜ、と。
意気揚々に外へ出る播磨であった。
播磨 拳児。
超ポジティブな男である。
―――――――――――――――
――やばい、播磨くんの顔、見れない……。
夕食中、美琴や晶たちと話しながらも、愛理の意識は播磨へと向かっていた。
だが、黙々と夕食を食べる播磨に視線を向けると、否が応でも羽交い締めされた時の記憶を思い出し、頬が赤くなるのを止められないのだ。
――し、仕方ないじゃない…裸なんて父様以外は初めて見たんだし。
自身に言い訳しながらも、愛理は少し反省していた。
それは、あの後の海での出来事。
花井が提案し、泳ぎを男子メンバーが女子に教えるという流れになった時である。
男子と女子がペアになって教えることになったのだが、自分の担当は――
『…………あれ?』
『あの、その…よ、よろしく……播磨くん』
少し前に色々あって顔がまともにまだ見れない相手である、播磨。
『こ、これで分かりましたか、サワチカサン』
『え、えぇ』
まだ恥ずかしく、泳ぎを教えてもらう間も素っ気ない態度をとってしまったのだ。
羽交い締めの時の出来事は互いに否があったので、播磨だけが悪いわけでない。
だけど暫くは照れて会話できる状態ではなかったのだ。
――せ、せっかく、播磨くんは一緒に居てくれようとしたのに。
泳ぎを教える相手だが、男子メンバーの提案でアミダで決めることになったのだ。
天満や美琴たちも提案に頷き、播磨らがアミダを砂場に書いていた。
愛理は少し離れてその様子を見ていたのだが。
『おい、そこは俺が担当になるように線を入れろ』
『う、うん』
奈良と播磨の会話が聞こえ、彼らがアミダに何か細工をしているのが分かった。
何となく播磨の意図が分かった愛理は恥ずかしくなった。
実際に自身の担当が播磨になったのを見たとき、分かっていながらも彼の積極性に顔が更に赤くなるのを自覚する愛理であった。
――な、なんとか、お話したいんだけど。
海ではあまり話せなかったので、二人っきりのタイミングを作ってお話したいなと思う愛理。
美琴や晶と話しながらも再び播磨の方へ視線を向けたが、彼の姿がいつの間にか居なかった。
――あ、あれ……どこに行ったのかしら。
気付いたら居ない播磨に、愛理は周りを見渡すが部屋には居ないのだと理解する。
そして、今なら二人っきりになれるのではと考えた彼女は晶や美琴に一言伝えて部屋を出た。
――どこに居るの、播磨くん。
一応、男子トイレ付近や喫煙室を探したりしたが姿が見えず、しばらく旅館を歩く愛理。
しかし、実際に二人っきりになったら何を話そうか考えるが、顔を見たら照れてしまいそうだなと苦笑する。
――ま、まぁ会ってから考えよ……あれ?
旅館の中央の開けた箇所を見た際、自分が探していた人物を見つけた愛理。
だが、そこに居たのは。
――あれは、播磨くんと……天満?
何で二人が一緒に、と。
思わぬ場面に動揺する愛理。
動揺しながらも、彼女は声が聞こえる所まで隠れるようにしながら近づく。
そして、愛理が耳にしたのは――
『俺はなぁ! お前のことが……っ!』
「えっ…………」
愛理は、頭が真っ白になるのを感じた。
最近ランキングを見掛ける際、勘違いものが増えてきたなぁって思います。
スクランも勘違いものですが、作品自体は古いので知らない方も居るかもしれませんね。
日間ランキングに載り、スクランを思い出していただく為、皆さんに楽しいと思ってもらえる作品を描けたらと<(`・ω・´)
あわよくば……作品増えてくれませんかね。
おにぎりとかエンピツとか、超姉が見たいです。
ありがとうございました!
また見ていただければ幸いです。