なので、日間ランキングで30位台に表示されていた時は驚きました。
ありがとうございます。
スクランは個人的に大好きなので、同じ様な人達がいたことが嬉しかったです。
ダカーポやスクランなど、古い作品ばかり描く私ですが、引き続き見ていただければ本望です。
さて、感謝はこれくらいにして。
それでは本編をどうぞ。
「聞きましたか、美琴さんや」
「なんですかな、高野さん」
しまった、と。
愛理は目の前でニヤニヤと笑う親友の姿を見て、自分の迂闊な行動に後悔した。
成績表が返され、HRが終了した頃。
愛理の親友である美琴と晶が彼女の席まで来ていた。
何の為に此方に来たのか、二人の表情を見て即座に察する。
「どうやら今日の放課後、誰かがデートに行くみたいですよ」
「なんと、それは一体誰が行くんでしょうねぇ」
胡散臭いやり取りを繰り広げる美琴と晶。
そんな二人を見て確実にHRでの、自身と播磨のやり取りを目撃されていたことを悟った。
『きょ、今日の放課後……俺と映画にでも――』
『あの、その……い、いいわよ』
播磨に誘われ思わず頷いた愛理。
別に彼女自身、播磨に誘われたことが嫌だった訳ではない。むしろ、播磨のことをもっと知る為に二人で出掛けるのは嬉しくもあった。
しかし。
――そりゃあ、見られるわよね……。
HR中の教室。
場所が場所だけに、デートに誘われた場面を目撃される可能性が高かった。
実際に見られていたのだ。しかも、愛理の親友二人に。
チラリと。
愛理はとある人物の方に視線を向ける。
――播磨くんもやっぱり困ってる。
視線の先にいる人物――播磨は、自分の席で頭を抱えていた。
おそらく、彼自身も人に見られる場所で誘うつもりはなかったのだろうと愛理は推測する。
自身に告白した際、美琴や晶に目撃されて思わず逃げてしまった播磨。
そんな彼を知るからこそ、愛理は播磨があまり告白やデートなど周りに見られるのは嫌なのだと考えていた。
――まぁ、他に誘うタイミングなかったものね。
基本的に天満や美琴、晶と一緒にいる愛理。
最近は男子生徒に誘われても断り、放課後は彼女たちと一緒に出掛けていた。
その為、誘うタイミングが中々取れなかったのだろう。
特に連絡先なども互いに交換していないので、咄嗟にあの場面で誘ってしまったのだろうと思った。
「そういえば、デートに誘われた女性は、以前に言っていたらしいですよ」
「ほうほう、何を言ってましたのかな、高野さん」
「あ、あんた達ねぇ、いい加減に――」
美琴と晶のやり取りを止めようとした愛理だったが、二人の方に視線を向けて驚いた。
晶がボイスレコーダーを手に持っていたからである。
――えっ、なんでボイスレコーダー?
「ポチッとな」
戸惑う愛理を他所に、晶はボイスレコーダーの再生ボタンを押した。
そのあと、レコーダーから音声が流れ出す。
『わたしは誰とも付き合ったことないわ!』
「はっ? えっ、いや、ちょっ…ちょっと!」
ボイスレコーダーから流れてきた音声に聞き覚えがあった。
明らかに愛理自身の声だったからだ。
頭が真っ白になり、上手く喋れない。
だが、それでもレコーダーからは音声が流れ続ける。
『それに、もう好きじゃない男と二人っきりで遊ばないようにしたの! わかったっ!?』
ようやく愛理は美琴や晶達が何を言いたいのかが理解できた。
いや、理解させられたと言うべきだろうか。
「おやおやおや、この発言からすると、もうこれは……アレですよね」
「はい、アレですね」
あえて濁して言われたが、ニンマリとした表情の美琴や晶を見て、話したい内容を悟った愛理。
愛理が話した発言が自分自身を首締める形になったのだ。
――待って、わたし……播磨くんにさっきのレコーダーの言葉、聞かれてるんだよね。
何せ誤解されない様に、愛理自身が播磨に聞こえる形で話していたのである。
「あれ、これって…………」
これは告白を受け入れた形になってしまうのでは、と。
頬が熱くなるのを止めることが出来ない愛理であった。
#06「状況に嘆く彼、状況に喜ぶ彼女」
――何故だ、なぜ、なんだ。
播磨は、自分の置かれている状況に頭を抱えずにはいられなかった。
授業終わりの帰り道。
播磨の隣には最愛の女性である天満――
「その……播磨くん、どうかしたの?」
ではなく、沢近 愛理の姿があった。
――俺が天満ちゃんと間違えて誘っちまったのか。
今の状況になった原因は播磨自身である。
従兄弟の刑部 絃子から貰った映画のチケットを天満と一緒に観に行く為、誘おうとした。
しかし、自身を奮い立たせる為に勢いをつけて振り返りながら誘ったら、天満ではなく愛理が其処には居たのだ。
――何か、この感じ……似たようなことが最近あった気がすんだよな。
自分が間違えたことで起きてしまった今の状況に、何処か既視感を覚える播磨。
「あぁ、そうか」
そして、播磨は思い出した。
夢で見た状況に似ているのだ、と。
彼が思い出すのは最近の出来事。
まるで現実で起きたかのようにリアルな夢のことだ。
天満と間違えて愛理に告白してしまう。
播磨としては夢だとしても、あまり思い出したくないものであった。
「ん、何かあった?」
「あん? ……あれだ。 今の状況に似た夢を最近見てな」
愛理に聞かれ、思わず考えていたことを正直に話す播磨。
彼の答えに、愛理は興味を持ったのか、距離を詰めて更に話を聞き出す。
「へぇ、こうやって一緒に映画に出掛ける夢?」
「ちげぇけど、似たようなもんだ」
場所などは異なるが、天満と間違えて愛理に告白やデートに誘ってしまう、という点では似ていた。
――これって、もしかして正夢ってやつか?
何て夢を見ちまったんだ、俺は。
どうせなら天満ちゃんとデートする夢を見たかったと嘆く播磨。
「ふーん、そうなんだ……」
一方、愛理は播磨の話を聞き、平静を装いながらも内心では喜びを隠せなかった。
――播磨くん、夢でも私とデートしたかったんだ。
自分が見たい夢を見れるわけではない。
しかし、夢は自分自身の深層心理が反映されると言われている。
播磨がデートしたいという願望があったのではと思うと、口元が緩んでしまいそうになる愛理であった。
そんな愛理を他所に、ひとつ疑問に思う播磨。
――それにしても、何でこのお嬢は俺の誘いを断らなかったんだ?
愛理が断れば問題なかったものを、と。
自分が間違えて誘ったことを棚に上げて内心で文句を言う播磨。
実際、何故誘いが断られなかったのか分からないのだ。
――沢近、だったか? あんま話したことねぇんだけどな。
播磨が思い返しても、愛理とあまり関わった覚えがなかったのである。
彼の認識としては、愛理は天満の友人の一人。あとは金持ちのお嬢様。その程度であった。
だからこそ、播磨としては疑問が尽きなかった。
――まさか俺が好きだとか……ま、ねぇな。
自身の好意を寄せているのではないかと一瞬頭を過る播磨だが、即座にその考えを捨てる。
金持ちのお嬢様が不良を好きになるとは思わなかったからだ。
――てことは、タダで映画見れるから断らなかったのか。
お嬢様の癖にがめつい奴だと播磨は思った。
しかし、間違えてでも誘った立場としては、仕方ないから映画は観に行くかと諦めた。
それに、と彼は自分がポケットにしまっていた映画のチケットを眺める。
――これ、絃子がくれたやつなんだよな。
現在の居候先の絃子から昨日貰った映画のチケット。
好きな娘と観に行くがいい、と言われて貰ったは良いが、今になって疑いが出てきた。
――あいつが素直に応援してくれるとは思えねーんだよなぁ。
何かあれば即座にモデルガンで撃ってくる絃子。
そんな彼女が自分の恋を応援して、役立つモノをくれるのかと疑問に思った。
「ハッ……そういうことか、絃子」
そして、播磨は唯一の真実に気付く。
この映画はきっと女の子と行くと嫌われるような内容なのだろう、と。
きっと嫌がらせな意味で渡してきたに違いないと、播磨は思ったのである。
――愚かなり、絃子。 俺がそんな見え透いた誘いに乗るとでも思ったのか。
天満を誘おうとした事実も棚に上げ、絃子の嫌がらせを回避したと誇る播磨。
では愛理と映画を観に行くのを止めた方が良いのでは、と一瞬考えるが。
――ま、タダ程高いモンはねえってお嬢様に勉強させるか。
どんな変な映画であっても、好きでもない相手なら別に構わないかと考える播磨。
「ほら、もうすぐ時間なんじゃないの?」
「あ、あぁ……それじゃあ行くか」
社会勉強をさせるだなんて俺は偉いやつだ、と。
内心で自画自賛しながら映画館に向かう播磨と愛理であった。
――――――――――――――――――
「さて、拳児くんは映画に誘えたであろうか」
教師としての書類作業を行いながらも、刑部 絃子は播磨について考えていた。
播磨 拳児。
絃子にとって従弟にあたる存在である。
現在は家賃を半分払うことを条件に居候させている。
昔は札付きの悪として喧嘩三昧であった彼に呆れていたが、恋をして更生しようとしている現在は少し認識を改めていた。
――恋をして更生だなんて、真っ直ぐなやつだな、君は。
いまでも不良であるのは変わらない。
しかし喧嘩に明け暮れる彼を知るからこそ、変わったと
絃子は思った。
モデルガンで撃ったりするが、これでも彼女自身は可愛がっているつもりなのだ。
一時期、何があったかは知らないが、また学校を辞めようとしていた。
しかし、また復学したのだ。
彼なりに学生として頑張っている。
そんな播磨に、何かしらご褒美でもあげるかと絃子は思い、昨日彼に映画のチケットを渡したのだ。
「ふふ、君は何かと上手くいかないみたいだが」
この映画を観に行けば少しは変わるだろう、と彼女は思った。
絃子が渡した映画は、ジャンルとしては恋愛モノである。
そして、その映画は男女で観に行くことが推奨されており、カップルや、付き合っていないが好意がある男女が観に行くのが定番となっている。
「これなら告白出来なくても、相手が察するだろう」
要は、この映画を異性と観に行くと、好意がありますよと伝えている様なものなのだ。
播磨が天満に好意を寄せているのを絃子は知っている。
そして、毎回彼女と仲を深めようとして失敗していることも聞いていた。
だからこそ、絃子が渡した映画のチケットは、彼女なりの応援。
告白できなくても、誘えさえすれば遠回しだが想いを伝えることが出来るだろう、と考えたのだ。
「まったく、恋のキューピットなんてガラではないのだがな」
精々頑張りたまえ、と絃子は播磨を応援するのであった。
後日、更に頭を抱える播磨と、彼をみて顔を真っ赤にする愛理の姿があったという。
スクランの魅力。
それは勘違いもですが、主人公の播磨くんも魅力の一つかと思います。
基本的には、主人公の男キャラよりは女性キャラやモブの男キャラが人気だったりします。
しかし、スクランでの人気キャラランキングでは、播磨くんは上位に輝き続けました。
愛すべきお馬鹿。
そして、真っ直ぐな想いでブレないところ。
それが彼の魅力なのだろうと思っています。
中学時代に大好きだった作品は、今でもわたしは大好きなままでした。
スクランop「スクランブル」
スクランed「オンナのコ オトコのコ」
上の二つは今でも聴いちゃいます。
スクールランブルが二次創作で増えないかなって願います。
また見ていただければ幸いです。