造られた大罪の少女と白龍皇の少年 作:bear glasses
場所は変わって、裏京都。ここは妖怪たちの住処。現世を離れた幽世の世界。一誠たちはその中の屋敷に案内された。屋敷の中には、
「お、来たか」
「やっほー☆」
アザゼルと着物姿のセラフォルー。そして二人に挟まれて、小さな狐の姫が居た。
「九重さま。皆様をお連れしました」
狐妖怪はそう報告をし、そのままドロンと炎を出現させて消えた。
すると、九重と呼ばれた狐の姫は一歩前に出て、口を開く。
「私は表と裏の京都に住む妖怪を束ねる者——八坂の娘、九重と申す」
自己紹介をした後、深く頭を下げてきた。
いわく、襲ってしまって申し訳ない。とのことだが、ゼノヴィア達もさらりと流して許した。子供のしたことであるし、理由が理由だ。
しかし、九重は一誠たち以上に気にしているようで——————————
「ええと、九重でいいかな?九重はお母さんの事、心配なんだろう?」
「と、当然じゃ。」
「なら、あんなふうに間違えて襲撃してしまうこともあるさ。まあ、場合によっては問題になってしまったり、相手を不快にさせてしまうこともある。でも、九重は謝った。悪い事をしたから、誤解してしまっていたとわかったから、謝ったんだろう?」
「勿論だとも」
すると一誠は九重の肩に手を置き続けた。
「それなら俺は九重の事を咎めたりしないよ。」
「……ありがとう」
九重は一誠の言葉に顔を真っ赤に染めて、もじもじしながら呟いた。
「(……これ、堕ちたんじゃないか?アルビオン)」
『(もしかしたら、な。ドラゴンは異性を惹きつける。なにより今代の赤龍帝は乳以外ならまともで誠実だ。惚れても仕方あるまい)』
「(確かにそうか。良くも悪くも優しいからな。兵藤一誠は)」
と、そんな邪なことを考えているヴァーリは、そんなことをおくびにも出さず、(表面上)真面目に話し込んだ。
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舞台は変わって、翌日。朝にヴァーリ達は京都駅に向かっていた。
「おい、イッセー、何難しい顔してんだ?」
おそらくサイラオーグや自身の今、トラウマについて考えていたであろうイッセーに、松田が話しかけた。
「い、いや、別に、って、お前も元浜もすげーケガだなぁ」
「まぁな」
「名誉の負傷だ」
そう答える松田と元浜の顔ははれ上がっていて、バンソーコーも張られていた。
まぁ何時ものことであろう。
天龍寺に着くと九重が居て、桐生と元浜がデレデレになっていた(元浜に関しては下手をしなくても警察モノだが)。なんでも天龍寺を案内してくれるらしい。
なんやかんやで天龍寺を見終わり、湯豆腐屋。
「わたしはよっぱらていやしないのれすよ。だいたいれすねぇ!」
ロスヴァイセさんが酔っ払っていていてとても可愛らしく愚痴を零した。
「わらしはおーでぃんのクソジジィのおつきをしているころから、おさけにつきあわされてれすねぇ…だんだん、おもいだしてきた。あのジジイ、わらしがたっくさんくろうしてサポートしても、やれさけだ。おんなだ、おっぱいだってぇ!ヴァルハラのほかのぶしょのひとたちからはクソジジイのかいごヴァルキリーだのなんだの……こっちはやすいおきゅうきんでジジイのみのまわりのせわをしてたんですよ!?そのせいでかれしはできないし、かれしはできないし、かれしはできないんですよぉおおおおおおおおおおお!!うわぁああああああああんん!!!」
代号泣するロスヴァイセ。それを見かねたイッセーが、
「よく、頑張りましたね」
頭を撫でた。頭 を 撫 で た !(大事な(ry)
「辛かったですよね。行き遅れだ、介護ヴァルキリーだなんだって」
因みにヴァーリは空気を読んで幻術で会話の内容を少しカモフラージュしている。
その間にもイッセーはロスヴァイセの頭を撫で、話を続ける。
「ロスヴァイセさんはいい人ですし、魅力的ですよ。俺たち生徒を大切に思ってくれてるし、優しいし」
「でも、かれしできませんよ?」
「ロスヴァイセさんが美人だから二の足を踏んでるんですよ。キリッとしてて、クールで、綺麗ですから」
「ほんとうですか?」
「本当です」
「……よかったぁ。わたしはしあわせれすね。こんなにせんせーおもいのせいとがいて」
突如、ロスヴァイセが、
「あいがとうございます。いっせーくん」
イッセーを抱きしめた。
「ちょっ!?」
「イッセーェ!貴様ァ!」
「そこ代われ畜生!」
「は、離して下さい!駄目ですって!」
「や、やっぱり、こんないきおくれにだきしめられたくないですか……?」
うるうるとしたロスヴァイセの瞳にまた焦ったイッセーは
「そ、そんなことありません!」
「ならいいですよねっ!」
ぎゅぅううううううううううう!!!っと、効果音が聴こえるくらい、ロスヴァイセはイッセーを抱きしめた。
「なっ、ちょ!」
「ぎゅうううううう、ですよ!」
「「イッセェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!」」
「(……俺もアリアを抱きしめたいなぁ)」
「ロスヴァイセさん!イッセーさんを離して下さぁい!」
「先生!ダーリンを離して!」
「イッセーを離すんだ!さもなくば私にも抱き着かせろ!」
「「あははははははははははは!!」」
「あ、あわわわ、どうすればよいのじゃ…?」
戸惑うイッセーと、抱き着く
京都の修学旅行は益々混沌を極めんとしていた————————