Fake/startears fate   作:雨在新人

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十日目ー魔術師一派の足跡

「オレは高校生魔術師久遠錬」

 ……何だろうこの人。戒人さんにちょっと似てる

 主に、話始めるとカッコつける所とか

 警戒しながら、私はそんな感想を抱いていた

 

 「願いが叶う聖杯戦争を聞き付け、そもそもサーヴァント召喚を望みとして伊渡間に遊びに来て、キャスターを呼んだ」

 ……酷い話。私はかーくんに会えるかもって必死に……

 あれ?あんまり私と変わらない?

 『願いは?』

 「魔術師の女の子に逢いたかった」

 『……酷い願いだね、それ

 キャスター狙い、聖遺物があれば召喚はかなり楽かな』

 「そりゃ、アテナ神殿にあった布切れ使ったからな。呼べるさ、ボロ布でも」

 『……こんなのばっかりかよこの聖杯戦争!嫁同伴らしいかったしよ第三次の奴は』

 「ヴィルヘルムさんもだと思うんだけど」

 『あーキャラが被るキャラが被る』

 やれやれ、と旧アーチャーは首を振った

 

 「美少女を召喚して調子にのっていたオレは、キャスターの抱える心の闇に気が付いてしまった

 オレはキャスターのかける人形化を令呪で拒否せず、目が覚めたら

 キャスターの願うままに動く都合の良い人形になっていた」

 ……無言

 無言を貫く以外に、何もなかった。どう反応して良いか、全く分からなくて

 『キャスターが裏切りを恐れるから、絶対に裏切らない証明に、自由を捨てた?

 無茶するね。そうでもしないとっていうのは、分からなくも無いけど』

 「……一目惚れ、だったから」

 『あー、うん。なら、仕方ないかな』

 ちょっと恥ずかしげに、ミラちゃんは頬を掻く

 さらっと一目惚れだったからとバカみたいな行動を語られて、私もちょっと目線そらしたい。私じゃないのに、他人ののろけ話って結構辛いんだなって思う

 

 『でもさ、キャスターはフリットくんを狙ってたよね?そこはどう思ったの?』

 「そうなの?」

 『……第七次については訳分からねぇ。おれは外出てるわ』

 話についていけてるのは、仮にもルーラーっていう特別なサーヴァントだから大体のことを知ってるミラちゃんだけ。考えてみればキャスターとまともに対峙したことも無い私達には言ってる事は分かるわけもなかった

 『うん、そうだよ。キャスターにとって人間は怖いもの、特に男性はね

 それじゃ、そんなどんな怖いものからも護ってくれる存在が欲しくなるでしょ?それでも、自由意思を持ってたらとても怖い。だから、人形にしてしまう

 

 ……その人形は、強ければ強いほど安心だよね』

 「まっ、オレよりもあのバケモンの方が強いってのは間違いない」

 「バケモン……」

 「いやバケモンだろあいつ

 何でマスター側がサーヴァントを庇いながら直接剣で対処しに行くんだよ。可笑しいだろうが対応が」

 「そうかな?……うん、そうかも」

 「サーヴァントとしては弱い、マスターとしてはあまりにも強すぎる。サーヴァントを人形にするには手がかかり過ぎるが、マスターならその点は問題ない。だからキャスターは、あのマスターを狙った」

 「……うん」

 それは、分かる。あの時のかーくんは、やっぱりかーくんで。けれども、とても歪んでいて。そして、バカみたいに強かった

 元々、私にとってかーくんは、そして戒人さんもだけど、とても強い存在だった。降霊魔術を使えば、殆ど何だって出来る、出来てしまう凄い存在だった。無敵のヒーローってほどじゃないけれど、そんな感じ。降霊魔術さえ使えば、どんなことでも一流に出来るから、何処にも無理なんて無いんだって

 聖杯戦争の中で再会した、ザイフリートを名乗るかーくんは、そんなヒーローじゃなくて、寧ろ魔王みたいに怖くて。それでも、変な所で背負い込んでの意地とか、元々かーくんなんだなって事は良く分かった。けれど、その力はもう、人間じゃなかった。血色の翼からエネルギーを噴き出して飛翔するとか、あんなの特撮の怪物だし

 

 「というかさ、あれ反則じゃないのか?」

 『そうでもないよ?』

 あっけからんと、ミラちゃんは言う

 『この世界ではその道には行かなかったけどね、ちょっと未来がズレた世界でなら、固有結界を展開してアーチャーのサーヴァントとほぼ単独でやりあったなんて、バカみたいな戦歴を持つ凄いマスターさんだって居るんだし

 他には、サーヴァントの心臓を使って一時的にサーヴァントになる人だって平行世界になら居たしね』

 うん、頭可笑しい。何なんだろう、マスターの中にそんなチートが混じるのって普通なんだろうか。かーくんもそうだけど、アーチャーが居なかったら……他のサーヴァントと契約していたら、そもそも私じゃマスター相手でも勝てる気がしない。相手のサーヴァントが居なくても殺されちゃうと思う。セイバーさんとかだと、二人まとめてばっさり斬られて終わりじゃないかな。他のマスターからしてみたら、アーチャーから宝具渡されてる私もチート側かもしれないけど、私じゃ使いこなせないし。例えばかーくんが持ってたら、それはもう凄い武器だったんだろうけど。今はちょっと外でタバコっぽいものを吸ってる旧アーチャーなんか、一人で倒しちゃうかもしれないけど

 

 「それでさ、キャスターの願いのままに動いてた訳だけどさ」

 はあ、と彼は深呼吸する

 言いにくそうに、そうしてから続けた

 「あのバケモンがアンタにボコられた日……」

 『ああ、セイバーさんが時間を稼いでいる間に、キャスターさんが取っていった……んだっけ?』

 「そんな感じだったんだ……」

 『その割には、それ以降ふっと姿を消すし、フリットくんはライダーに助けられたって戻ってくるし、クラスカードなんて持ってるしで不思議だったけど』

 「そう、奪われたんだ。あの……銀の髪の少女に」

 悔しげに手を握りしめ……そこから数滴の血すら流れる

 銀の髪の少女。私は全然見たことはないけど、多分って事は分かる

 かーくんが言っていたし、ミラちゃんがやられたってぼやいていた少女……サーヴァント、モルガン・ル・フェ。フェイと呼ばれていた存在

 「キャスターの未来視があるから、何も警戒していなかった。キャスターに焦りは無く、あいつはキャスターのものになるはずだった……だのに!」

 『キャスターは負け、貴方はバーサーカーの餌食になっちゃったと言う訳かな』

 「……ああ

 何でなんだ、ルーラー。何で!キャスターがあんな事にならなきゃいけなかったんだよ!」

 思わず、といった感じで少年はミラちゃんに掴みかかり

 その手首を難なく抑えられる

 

 『何でって……うーん』

 「キャスターには未来が見れた」

 『うん。だから油断して、あっさり捕まっちゃった』

 「はい?」

 ミラちゃんの言葉に首を傾げる

 未来が見えるから負けたって、未来が見えたのに負けたなら分かるけど……何と言うか、言葉が通らないような

 

 『まっ、本来はいないはずの相手だから仕方ないって言えば仕方ないんだけどね

 あの娘のクラスはキャスターじゃなくて、グランドキャスター。これで分からないかな?』

 「分かるわけ無いだろ!キャスターは絶対に負けないはずだったんだ!誰かが邪魔しない限り!」

 「ミラちゃん、グランドって……えーっと……」

 アーチャーの言葉を思い出す。確か、本来聖杯戦争には関係ないけどって笑いながら、だのに今回は関係するかもしれねぇってぼやいていた

 

 「ビーストを止めるための存在、だよね?」

 『うん。わたしだってグランドライダーの資質は持ってるよ。だから聖杯はわたしがフリットくんのカウンターに相応しいって思ったんだろうしね。ホントは、わたしよりジャンヌさんとかの方がまだ良かったんだろうけど』

 「……それが何だって言うんだ。キャスターは未来が見える!誰かに告げない限りブレることは無い。どんな化け物にも、負けないことは出来たはずだ」

 ……あっ、話通じてない

 

 『だから、キャスターさんは負けたんだよ

 グランドキャスターの資質は千里眼:EX』

 「アーチャーが持ってたのは千里眼(偽):Dだったけど、EXだと違うの?」

 『あはは。それはアーチャーさんの冗談かな。純粋に、物理的に世界の果て見てきただけだからね、あれは。魔術関係なく、目が凄く良いってだけ

 千里眼:EXは世界を見通す力だよ』

 「つまり?」

 『最古の王ギルガメッシュが持つそれは未来を見通すって言うよ』

 「ギルガメッシュの話はしていな」

 少年は固まる。話の趣旨を理解したから

 私にも、流石に分かる

 「ミラちゃん。対決する二人とも未来を見通す力を持ってたなら、戦いってどうなるの?」

 『相手の未来をねじ曲げられた方が勝つよ。未来視持ちって自分の見た未来が正しいって前提で動くからね、自分の存在を知られる前なら、騙すのは楽じゃないかな?相手が魔術戦を仕掛けられた事すら気が付いてないんだし』

 「そんな卑怯な奴に……!」

 キャスターさん側が言っちゃいけない気がする言葉を、少年は吐く。うん、気持ち的には仕方ないんだろうけど

 『未来視持ってるの?って話は無しね。持ってるよ、持ってなきゃ、「かつての、"そして未来の王"アーサー」なんて書けない。大嘘になっちゃうからね

 未来の世界に妹が居ることを見たから、そう書いた。なら、未来が見えないなんて話は有り得ないよね?』

 「……でも」

 なら、疑問がある

 「モルガンって人、生前はどうだったの?」

 『マーリンって同格が居たからね。マーリンの動きによって未来は変わっちゃうから特定はしにくかったと思うよ

 マーリンが居なくなって初めて、彼女はしっかりと未来視が出来た。けれども、その時にはもう遅かった

 

 って、これ以上は脱線だから、話を戻そうか』

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