バトルなんてものは無く話も進みません。単にアサシンやらミラとイチャつくだけです。読まずともシナリオ進行には問題ありません
日常描写苦手なんだよ!(作者の愚痴)
死体でもくっ付くって凄いなと義手を動かしている間に、消えていた二人が戻ってくる。アサシンには逃げられたらしい
『ふふん、わたしのセンスじゃないし、気に入るかは分からないんだけど……どうかな?』
眼前でそこはかとなく誇らしげにそれなりにある胸を張る裁定者の姿を認め、俺は言葉を喪った
『?どしたの?』
「ちょっと恥ずかしいよ、かーくん……」
うん、和服……ではある。ある意味巫女服であるとも言える……かもしれない
よし良くやったふざけんな煮込むぞフォックス。
そう、"ではある"だ。真っ当な和服ではない。上は胸元までしかなく、当然ぱっくりと胸は開いている。下は当たり前のようにスカート状で膝上まで。当然ながらそんな丈で肩に布なんてものはなく、腕部分のゆったりした手首から肘辺りまでを覆う袖は良く見ると細い紐で脇と繋げられている。和服っていうか和モチーフのアイドル衣装だとか言った方が正しいんじゃないのかこれ。因みに、紫乃も色は違うものの大まかな形状は同じ。胸がないからか、胸元がもう少しかっちりしてはいるが、それだけといえばそれだけである
……おい、見たことあるぞフォックス。てめえのせいだろ、何自分の服装させてんだ
「……どうしてそうなった」
『あはは、何でだろね』
困ったように、用意したはずの裁定者の少女は頬を掻いた。その手首にかかる袖に付けられた鈴が微かに音を鳴らす
「本当に、どうしてなの?」
『此処のせい』
不意に、そんな声と共にひょっこりとアサシンが姿を現した。……俺の背後から
何時からいたんだお前。というのは無視する。ぶっちゃけた話、今のアサシンはそんなものだ。あの日、強引に消えるはずだったアサシンを令呪と己の力で……俺の壊れかけた霊基と紐付けて繋ぎ止めた時から、俺とアサシンは運命共同体みたいなものである。その事は、アサシンが鮮紅……ではなく何故か花萌葱の右翼を拡げられるらしいことからも分かる。サーヴァントとマスターって元々そんなものだろうというのは置いておくが。今、俺が俺やってるのもそのせいだ。アサシンが近くに居る限り、どうしてかまだ俺は己でなく俺で居る事が出来る。己としても、俺である事に異論はないからかこのまま。朝のアレは……アサシンと離れていたせいである
「……やはりか」
『……「ボク」、も、やるべき?』
そうやって首を傾げるアサシンは、割と普通の格好だった。髪に合わせたら寧ろ地味に思えてしまう……とでも思ったのだろうか、蒼い髪色と似合割と似合う鮮やかな暖色の浴衣。白地に咲いた色とりどりの花火が、中々に美しい。本人が綺麗な赤い瞳を持っていることもあり、立っているだけで割と絵になる
見ようと思わなければ周囲からの認識状態が見えないくらいまで、俺の視界ではこの姿で統一されている。外見のモチーフは、その可愛らしさから吸血鬼に噛まれた成り損ないのハンターのもの、らしい。なので良いのだが……
ずっとこの姿で認識していられないとちょっと辛いだろう。ああいう浴衣は美少女だから似合うのであって、例えば俺が着てても地獄絵図だろう。そして、アサシンは他人にはそんな姿で認識されることも有り得る……訳だ。ああ、嫌だイヤだ。そんなあまっちょろい事を考える俺の心の甘さを含めて、ヘドが出る。この状況で、まだ祭りだからと楽しむ気になるのか
……まあ、良いか。所詮、必要となれば己になれば良い。ちょっと
「いや、アサシンはそれで良い。シンプルに似合ってる」
『……ぐっど』
俺の声を受けて、少女は満足そうに頷いた
「ねぇ、アサシンちゃん……
私の分、無いの?」
胸元を両の手で隠しながら、紫乃がそう問いかけている。あの桃色狐式だけあって可愛い服ではあるのだが……あまり派手な服装をしたがらない紫乃には辛いのだろう
『……無い』
「酷いよ、何で……」
『倭の国にも、血を啜る鬼の伝説はある。この姿は、服装は……その鬼に拐われ、自らの体を贄に村の衆に神出鬼没の鬼の根城の位置を伝えた名も覚えられてない小さな昔話の英雄のもの』
アサシンは、表情ひとつ動かさずそんな血生臭い事を返した
まあ、恐らくはワイン積んで漂着した外国人を当時の村の人々が吸血鬼と勘違いして……。話が通じないせいでそんな彼等の住居を見付けて虐殺したとかの、鎖国時代にありそうな話なのだろう。アサシンという幻霊の集合体みたいなものだから出来る反則で、魔術で作ってる衣みたいなものだから他人になんて貸せるわけもない。原理としては俺の翼と似たようなものなのだろう。いや、寧ろ本当に願われてる必要なものなら取り出せるよ?って和服取り出して貸してるミラの方が数段可笑しいのだ。チートに毒されてないか紫乃
「そもそも、本来サーヴァントの持ち物なんてほいほい他人に渡せるものでもない。当人の魔力で形作られたある意味その一部の事も多いからな」
『うん、無茶言っちゃいけないよマスターさん』
「じゃあ、もっと大人しいアサシンちゃんみたいな浴衣出してよ……こんなに肩出して、ミラちゃんと胸元比べられる服で……こんなんじゃ、外歩けない……」
『それが……ね、ごめん』
ぺこり、と金髪の少女は頭を下げる
『強い願いなら、出せるって感じだからね……
多くの人がこっちの服願ってるから、これしかプレゼントとして出せないんだよね』
あはは、だからわたしもこんな服なんだ、可愛い?と器用にミラは一回転してみせる。ふわりと、スカート状の布が少し浮きあがった
「可愛いと思うぞ、二人とも
神巫雄輝なら、他人に見せるのが勿体無いと返したはずだ」
果たして、そう返しただろうか。自信はないがまあ良い
「う、うん……」
顔を真っ赤にして、紫乃は頷き、胸元から手を離した
「そ、それなら……ちょっとだけ、この服で……
って、見せたくないって返しならやっぱり恥ずかしいよ!」
尚も叫ぶ少女の頭に……ぽふり、と赤い布が落ちてきた。いや、黄金の雲が落とした
「ん、これなら……」
と、少女はその布地を拡げ……
「ってチャイナ服じゃん!これも恥ずかしいよ!」
くしゃっと丸めた
おいこらお前一応退場してんだろ宝具にどれだけのもの仕込んで紫乃に渡してるんだ遊ぶなアーチャー
冗談冗談とばかりに、黄金の雲が降りてくる。其処には、今度こそ真っ当な淡い緑の浴衣が畳まれていた。用意良すぎるだろ怪しまれるぞお前