秦来ただけで何やってんだこいつ
「……ニア?」
ジェットコースターを降りた所で、ふとアサシンが居ないことに気が付く
いや、消えることは問題ないのだ。どこかに隠れたり、一応クラスはアサシンなのだしやるだろう
問題は、一言も無いこと。降りたその瞬間には消えていた。何かあるのだろうか
そうして、何かあるのかと思いながら、地上へと歩み出て
『奇遇ですね、アナタと此処で出会うなんて』
輝く銀の髪を風に揺らす、妖精と出会った
「何やってんだフェイ」
浮世離れした……というか、実際問題思いきり周囲の光景から浮いたメイド服。気に入りでもしたのか、そんな外見は変えることなく、ただ、その少女は眼前に立っていた
『……分かりませんか?』
「俺に会いに来た、とでも言うのか?」
『おや、しっかり分かってるじゃ無いですか。どうしました?感動で混乱でもしましたか』
「いや、想像より早いな、というだけだ」
……とりあえず、右目でスキャン。偽物であれば、騙されたならばお笑い草だろう。なので、確認しておく。そんな偽物を仕掛けてくるのも、また大体はフェイか狐二匹くらいだろうが。残りのサーヴァントは恐らく全騎搦め手なんてものは苦手なのだし
結果は普通にモルガン。なので警戒はとりあえず解く
「それで、遠くで隠れてるフリのアレは何だ?」
視界の端に時折映る尻尾に、ちょっと聞いてみる
隠れきれてないぞそこのライオン。頭隠して尻尾チラチラ。威嚇のつもりなのか、本当に隠れているつもりなのか、どちらにしても何とも言えない。まあ、悪ぶっていても円卓の騎士。気配くらいはある程度消せても、こそ泥の真似事は苦手か
『バカ息子です』
「……フェイ、お前の息子と娘に、あれ以上のバカって多く居ないのか?」
思わず、半眼になって突っ込んでしまった
『まあ、モードレッドよりはマシですね。それで、それが何か評価に繋がりますか?』
「繋がらないな」
『でしょう。だから、彼は結局はバカ息子なんですよ』
「グレるぞ、息子」
『バカな魔女の息子が、バカ息子でないなんて、その方が違和感があるとは思いませんか?
まあ、彼はワタシが気になっているだけでしょうから、無視で構いません』
人の視線が無視出来ないようなコトを、アナタがやりたいというならば、話はまた別ですけどね、と、この聖杯戦争の黒幕である少女はからかうように笑った
「……今、やりあう気にはなれないがな、フェイ。そんな時じゃない」
『おや、ワタシを倒しに来たりはしないんですか?』
「狐に頼まれて、フェイの敵を倒しに来た。それは、フェイであると思うか?」
『流石に思いませんね。けれども、人目が気になるというコトから、ちょっとくらいは面白い反応を見せてくれても良いかと思いますよ?
そんな戦闘マシーンみたいな言葉をはかず、もっと少年っぽく』
「……からかっているだけだろう?
乗ってみる必要もない」
『それはそうなんですけれども、ね』
「というか、敵だろう、旧キャスター、モルガン・ル・フェ
本当に、何の用だ」
『久し振りに、アナタに会いに来ただけですよ
アナタで遊びたくなった、それが理由ではいけませんか?』
と、瞳を揺らし、少女はそんなふざけた言葉を続けたのだった