「来たれ、虚空からの収穫星
『かの袋の銘は夢。明日を望む、無辜の祈りっ!
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『はあ、仕方ありませんね
其処は我が夢跡。未来への墓標
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とるのは全員構え
自身の切り札の前提たる宝具の解放
そう、前提である。これ等の宝具そのものに勝負を決める力なんてものはない。銀の翼を翻そうが、人々の夢を集めたサンタクロースのプレゼント袋を呼び出そうが、何度か見た金装飾の鞘を自身の前に浮かせようが、それそのものには特に意味はない。重要なのは次の一手
『これは、星を……皆を守る戦いだからっ!
これは、白き巨人との生存競争であるー代行承認、ミラのニコラウス
『
妹ではありませんが、仕事の時間です』
鮮やかなサンタクロース服の少女が選ぶのは、やはりというか一度見たあの黄金の剣。フェイが使いますか?とちらちらと見せてきたものとはまた形状が違う星の聖剣。恐らくは……違う世界における星の聖剣なのだろう。推測するならば今のこの世界ではなく、俺を俺たらしめている星が封印されている平行世界における星の聖剣。この星の剣がフェイの手に、意に沿わない相手の手に在るが故に人々のネガイニ呼ばれたという形だろうか
対するフェイは、無造作に鞘からそれと良く似た豪奢な剣を抜き放つ。鞘だけであり、何処にも無かった……というのは無粋だろう。少し前に解説されたはずだ。剣と鞘は一体、鞘の方が重要である……という事になっている。ならば鞘が此処にあるならば剣が無いはずがないという話だろう
そして俺は……特に何もしない。アサシンが消えて
本来銀翼を形成するのは3つの光。俺が元々振り回していた冷たい
ならばこの2/3銀光でも二人の少女の
それでも、ならばどうするという未来を思い描けないので銀翼を翻したまま止まる。銀翼でなければ死ぬだろう。俺という存在を分かってない相手であればこそ、首を跳ねるだ心臓を貫くだの無意味な事をやってきてくれていた。ミラもフェイも、そうではない。俺を消すならば胸に埋められた銀霊の心臓……そのコアたる指輪を破壊すればいいという事はわかっている筈だ。だからこその、後ろ向きな護身である
『全く、価値が下がるので偽物は御遠慮ください』
気軽に黄金の剣を軽く素振りしながら、銀の少女はあっけからんと言う
全く気負いしていない。あの世界ではなくなったとはいえ此処もヴァルトシュタインの地には違いない。自分が負けるはずはないと未来でも見えているのだろうか。それとも、勝つ未来が見えてるから余裕だと思わせ気圧されてくれればとわざとやっているだけか。其処は千里眼:EXならざる俺には分からない
『偽物じゃないよ
人々の願い。それでも明日を生きたいっていう、ちっぽけで大切な、みんなの祈り
本当はそこの剣の役目なんだけどね、それを思いきりサボってるみたいだから、代わりに来てくれたんだよ』
是は、己より強大な者との戦いであるー非承認、ベディヴィエール
と、ふと段々と光を増してゆく剣が語る決議が気になった
……解放されたのは8つ。最後のひとつは振るうその瞬間だろうから置いておいて、だ。4つの非承認が耳に残った。残り3つとは即ち
是は、誉れ高き戦いであるー聞き逃したが確かパーシヴァル
是は、精霊との戦いではないーランスロット
是は、私欲無き戦いであるーギャラハッド
である。つまりは、これはミラより弱い精霊相手の誉れのあまりない私欲混じりの戦いであるという事になる
ならば、これは……
是は、世界を救う戦いであるー承認、アーサー
『代行解放
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『妹の剣でしょう。少しは本気を出して下さい
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一瞬の迷い
それを振り切り、翼を噴かせ
『
見下ろした足元を、視界を、ビル数個を飲み込むほどの意味不明の幅を持った光が貫いた
『……全く
こういうときはしっかりともう少しロマンチックな抱き上げかたをするものです』
なんて、ギリギリ首根っこ……という訳ではないが軽く剣を振り下ろしたその左腕をひっつかんで持ち上げた為に俺に吊るされるような形になった少女がぼやく
「……半径100mはあるぞ何だあの範囲
承認9だろいい加減にしろよ」
と、こちらもぼやく
そう、分かりやすく言えば、あの瞬間。銀翼から紅の光を全開にし、俺はフェイをひっつかんで空へと逃げたというわけだ
理由はあまりにも簡単。精霊を相手にしているとあの剣が承認で教えてくれたから。当然ながら俺は精霊とは本来は仇敵であり、フェイは精霊に近い存在である。ならば、あの承認結果はあくまでもミラはフェイ目掛けて一撃を撃ってくるという証左。一瞬の迷いーここで無視すればミラがフェイを倒してくれるのではないかーを振り切り、ついその体をつかんで翔んでいたという訳だ
『……あそこでワタシが居なくなっていた方が良かったですか?』
「……いや、そうしたらきっとミラは、その後俺を殺しに来たよ
……そこまで来たらもう、止まれないから」
言いつつ、まあ良いかとフェイを抱えようとして……
「お願い、如意棒っ!」
その背の翼を、紅の棒が星の輝く夜の空に縫い止めた