駆ける、駆ける、駆ける
ただひたすらに、最早防護などほぼ無い森を駆け抜ける
ライダーを拾ってきて良かったな、と苦笑して
「ライダー!次はどちらの方向だ!」
ただひたすらに、ブリテンの森を駆ける。フェイの貼っていた全ては今や停止している。自己防衛の為に
とはいえ、数百年の間に森は変なことになっており、古典的な方向を狂わせる魔術等もあって素直に直線に駆け抜けるだけでは辿り着けない
よって、
『次の大木の横を抜けて右』
と、そこを知るライダーに聞くわけだ。元々の森は俺の方が一年性能の向上だとか何だとかで散々かけずり回されていたのだが、あれは結界の中だったからな。大分変わっているのであてにならない
『此処は母上の森。私なら確かに道は分かるが……』
並走しながら、ライダーがぼやく
『その星の力の前に、本当に必要なのか?』
「……星の力だからだよ、ライダー
奇襲をかけて、マスターを殺す。それだけのことをしに行くというのに、わざわざ罠を踏み砕いて突撃してどうする?」
『いや。そうかもしれないが……
母上の森だ。既に侵入は知られているはず』
「正面から来る分には、フェイは何一つ言わないよ」
『母上……』
目頭を抑えるライダー
『貴方に対する防犯意識が、足りなさすぎる……』
「妹とか子供達とかフリーパス立ったと聞いたぞ」
『それは確かにそうでしたが……変わってなさすぎる……反省が、反省が無さすぎる……』
それを無視し、獅子と駆ける
フェイが俺に、いや俺の中の遊星に御執心なのは知っている。だからこそ、真っ向から喧嘩を売らなければ見逃される。だからこそ、翼は展開せずに走り続け、日付が変わる頃に遂にはその森を抜けきって……
「……は?」
『……な、に?』
其所にあったものに絶句する
何故だ。何故?何故こんなものが此処に在る!
これは、ヴァルトシュタインの館などではない。これは、これは……
写真で見た者は沢山居るが実際に現実に建っているのを見た者は日本では数少ないであろう建造物。白き石の建造物
「都市神……アテナ神殿!」
『……いや、一応マスター、私もこんなものがあるとは聞いていない』
「あっても困る!」
何故だ?何でも突如として本来在るべきものの代わりにこんなものが
「……いや、都市神。都市の守護神
その力を振るえば、これくらいの……次元を繋げることくらいは出来る、か
なぁ?そうだろう……カッサンドラ、いや、神霊アテナ!」
『……悪魔めが』
同時、神殿から躍り出る人影。数日前の記憶だが、ほんの少しだけ見たことがあるカッサンドラ……いや、違う。奴はあんな殺気に満ちた目をしていなかった。こんな強い意思を感じさせなかった。ライダーやマスターの横に居て、何時も未来に脅えていた。だが、眼前の同じ顔、同じ体の少女にはそれが無い。代わりにあるのは絶対的な自信のみ。その体から溢れる力も、比べるとすればあの旧とつかない方のアーチャーとなる程に高い。つまり、俺の知る中でも1、2を争う。逆に、何なんだろうなあのアーチャーとはなるが、何処までも本気ではなかったアーチャーとは異なり、こいつは……俺を、全身全霊で殺しに来る!
「ちっ!まだ事を構える気は無かったんだが……」
『事を構える気が無いとしても、悪魔を滅せねばならぬ』
響く声は機械的
……俺の中の記憶が。いや違うな。俺に流れ込んでくる遊星の記憶が、アレに対して危険信号を告げている。真体が……女神アテナの本体、デメテルと同型の対となる機神、盾の機神アテナが降臨する前兆を感じている。このままこの女神を、神霊を放置していれば……来る。
……少しだけ睨み、星へと戻る
ミラと出会った際に、この姿では困るから。この姿では、森に穏便に入れないから。だからこそ残していた人を消し去り、銀の翼を翻す
ああ、来るはずなど無い。結局、俺……己の知る限り対峙する事は無かったあの機神。現れる前にポセイドンをコアを二つとも破壊し虚無の海へと
そう、俺は定めた。その弱き人の思考に、己は賛同した。その前に、眼前の神霊を撃滅、捕食する!人をコアとするが故に不完全な己も、それである程度元に戻るだろう
『……あー、マスター?
下がっていいか?』
「何を言っている、ライダー」
『私は竜や妖精くらいならばまだなんとかなるが、神と戦えるようなサーヴァントではない。だから』
「そもそも、己の中の俺の意思がお前に求めていることはたった一つだ
消えられたらフェイが憮然とした顔をする」
『……ならば、遠慮なく』
去っていくライダーの気配
それでいい。当たり前だが己はそれ以上を求めては居ない。ここまでの案内、十分だとも。結果的には無意味だったが
『星喰らう星よ。それを呼び込む悪魔よ
戦神の槍を……受けるが良い!』
振りかざす手には輝く槍。最早完全にランサーだな
まあ良い、終わらせる
「……守護神アテナ、今一度、破壊する!』
そうして決着は、割とあっさりとついた
眼前に倒れ伏すのはアポロンにより未来視を与えられた少女の体に降り立った神霊。その両の腕は消し飛び、足は機能を喪っている
当然の結末。神霊とはいえ、体はカッサンドラのもの。己と同じく、一応は人の体を使っているならば、後は力比べ。撃破出来ないことは無い
だが
「間に合わなかった、か』
頭上を見上げ、呟く
森が、一応は出ている月明かりが翳る。巨大な何かによって、完全に光が遮断される。それは……
「来たか、機神アテナ』
そう呟く己の目の前で、捕食し損ねた少女神の体は光の粒子となって消えていった
「久し振りだな。てめぇを、己が破壊して以来だから一万四千年ぶりか?といっても、己の知識はこの世界の遊星のものではないがな』
沈黙。機神は応えない。ただ悠然と浮かぶのみ
「なら、よ!』
銀翼一閃。だが
「硬てぇ!?いや、違うか』
林檎の表面に傷一つ付かず、理解する
「流石に元が唯人。今のこの体では出力が足りない、か』
だが一つ、遊星となっている己にならば手はある。当然だ
「……来い!マルス!』
撃破、捕食した紅の招来。一部であれば幾度も呼んだ。今でも己への殺意はそのままに。されど捕食された身は遊星の思うがままに
真紅の機神アレス、いや、己が使う場合はこう呼ぶべきだろう。嘗て軍神の星より降ってきた人型の機神。遊星の襲来を知った地球の断末魔の結末。今ではヨーロッパと呼ばれる地に降り立ち神代の地球の命を、人々を救わんとした
「さぁ、第二ラウンドと行こうぜ、機神アテナ!』
ミラのニコラウス『あのー、えーっと
神秘の秘匿とか、ご存じ無いかな?流石に巨大な空に浮かぶ盾のような城壁のようなパーツの付いた林檎とそれと対峙する真紅の機神って神秘の秘匿度合い終わっちゃってるんだけどどうしろと?わたしの宝具で皆に眠ってもらっても範囲外からでも写真とれる大きさなんだけど!?隠す気ある!?無いよね!?』