頭の悪い大学生がナーヴギアを作るとこうなる   作:二毛猫桜

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SAO
アインクラッド74層・不正規兵世界観を語る


 僕の名前は内緒ですが、僕のPNは二毛猫桜です。読み方はにけねこざくらと言いまして、一応二毛猫の部分が苗字です。現在大学三年生で、東京の工学系の大学に通っています。こんな一人称していますが女の子です。昔家族総出で『俺若しくは僕と言ったら500円払う』と言う試みをしましたが断念しました。天然のボクっ娘だよ愛でて。

 丁度20歳。独身。学生推奨外の六畳アパートに一人暮らし。バイトを二つ掛け持ちして月収数万。そのうち半分程がゲーム漫画小説諸々で吹っ飛びます。実家から送られてくるレトルトと米とたまに降ってくる同級生の施しで慎ましやかに生きています。

 自慢じゃないですが手先が器用な方です。今履修している電気電子工学関連の授業はめっちゃ楽しく学ばせてもらっています。テストは嫌いじゃないけれどテスト期間になると誰もかまってくれないのが嫌いです。最近卒業研究が尻尾を見せています。卒業研究面倒だから卒業したくない。

 とか言ってられない今日この頃。仕方がないので作りかけのハード片手に、今日も今日とて組み立てかけのプログラミングとにらめっこ

 している筈でした。

 

「花芽抓、スイッチ!」

「おうさ!」

 

 僕の名前は花芽抓です。ここではアルファベット表記なので正しくはkagazumeですが、面倒なことこの上ないので漢字を当てて読んでもらっています。苗字みたいな名前ですが一応名前です。最近僕が考える名前がありきたりなものが多くなってきている気がするし、挑戦してみようかという経緯でこの名前になりました。

 多分今22歳。独身の筈。61層にある綺麗な城塞都市、セルムブルグという市街にたっかいお金を払って相棒と家を買って友人含め三人暮らし。遊びで上げた裁縫、調合と相棒の商人スキルのおかげで貯蓄はたんまり。収入に見合った豪遊を体験してみたりして愉快な生き方をしています。メイン武器は大太刀です。

 特に組織に所属はしていないので、自由気ままにレベリングしたりスキルの習熟度あげてみたりな毎日。ノルマなにそれおいしいの? そんなもの無くたって、命かかってるんだから自己管理くらいやるし。相方が。いや、正直そういうの考えるより直感で技能値ふる人間なので。失敗して学んでいくタイプ。

 とか言いつつも今日まで案外生き残ってきている僕です。現在愛刀の大太刀を両手に、狩り仲間の真っ黒剣士と前線交代してトカゲ野郎とにらめっこ

 というわけでして。

 

「……何やってんだっけ、俺」

 

 そろそろ猫を被った一人語りを終わらせよう。俺の振るった二メートル強の大太刀がトカゲ野郎、レベル82モンスター《リザードマンロード》の構える盾を右上段へクリティカル判定で砕き、剣筋を翻す二撃目が相手モンスターのHPバーを九割削る。最後に左下段へ切り払ったままの白刃を抱き込むように一瞬溜めて大回転斬りを行う大太刀ソードスキル三連撃《表の二刀・月草》。最後のオーバーキルにより問答無用でHPを失ったトカゲ野郎は、仰け反った後ぱしゃんっと音を立ててポリゴン片と果てた。

 跡形も無く消え去る『この世界での死』を見送って愛刀を納刀すると、同じく武器を鞘にしまった狩り仲間と目があった。

 

「モンスターをオーバーキルしておいて、『何やってんだっけ』はないだろ」

「オーバーキルするつもりは無かったんだけどさ。だって仕方ないだろ? 大太刀技ってスキルツリーの一歩目と二歩目の威力の差が激しいんだ」

 

 俺の扱う大太刀のソードスキルは四つの分類があり、それぞれ習得する順に表の一刀、二刀、三刀と続いていた。それ以上の分岐は無かったので感覚人間である俺は面倒なことを考える必要も無くスキルを上げていったのだが、これらは一刀と二刀の威力の差が馬鹿みたいに大きい。今回相手をしたトカゲ野郎の一つ下の階級のモンスターくらいなら一刀程度で片がつくのだが、一撃で雑魚を倒すのが趣味な俺の信条の都合によりトカゲ野郎は汚い花火になっていただいたのである。三刀なんてボス戦用だ。

 大袈裟気味に肩を竦めてみせると、真っ黒剣士はわかりやすく溜息を吐いてもういいよと手を振る。こんにゃろうめ、俺の方が確実に年上なのだが如何せん見た目が幼いために未だに信じられていなかった。こんにゃろうめ。

 その辺走って二、三匹ほどモンスター捕まえてきてトレインでもしてやろうかと考えるが、ちょっと失敗すればこいつどころか俺の命まで危ないのでやめておく。仕方ないので愛刀の石突きでごすっとHPの1ドットを削っておいて、恨み言を言われる前に片手をしゅたっとかかげた。

 

「じゃ、安達に怒られても怖いので僕はもう帰る。お疲れ様」

「あ、おい花芽抓! この索敵範囲補助アイテム……」

「今日は貸しといてやるよ! じゃな、キリト!」

 

 それ以上の問答は無用とばかりに真っ黒剣士キリトをおいてさっさと迷宮区を脱出。圧迫感のある迷宮区の外は晴天と深緑に包まれていて、それらは幾らかの違和感を引っ掛けて俺の五感を刺激する。ここはアインクラッド74層迷宮区入り口の森の奥──ここは、VRMMORPGという名のデスゲームの名を冠した監獄、ソードアート・オンライン。

 メッセージの送受信が可能になった途端受信した相棒からの五通の昼飯メッセージは開けないでおいた。

 昼飯食う約束忘れてた。

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